THE 12TH REGULAR CONCERT 曲目解説 |
1876年に勃発したトルコとセルビアの戦争は、セルビアを支援するロシアとトルコの戦争に発展した。そこで当時のモスクワ音楽院長でチャイコフスキキーの師でもあったニコライ・ルービンシュタインは、兵士を励ますための音楽会を開催することにし、そこで上演する曲をチャイコフスキーに依頼した。それを受けて翌年1877年9月に完成したのがこの「スラブ行進曲」であり、この曲はロシア人の愛国心を高揚させるような仕上がりとなっている。 |
映画「シャイン」の主人公で実在のピアニスト、デビット・ヘルプゴットが映画の中で弾いていたのがラフマニノフのピアノ協奏曲の第3番であったが、それ以来巷ではちょっとしたラフマニノフ旋風が吹き荒れている(と自分は感じている)。彼は19世紀末から20世紀前半にかけて活躍した作曲家であるが、ほぼ同時代の作曲家、たとえばラヴェル(1875〜1937)、シェーンベルク(1874〜1951)ストランヴィンスキー(1882〜1971)らに比べると古臭い作風なのが災いして、その人気のわりに評価はイマイチだった(と自分は感じている)。ただ、音楽史上最高のピアニストの一人であった、という評価は衆目一致しており、その超絶技巧と少々時代遅れのロマンティシズム、そして彼のピアノ協奏曲を以後名だたるピアニストが取り上げてきたおかげで、彼の作品群の中で最もポピュラリティーのあるジャンルといえよう。その中でも、この第2番は最も人気の誇る曲で、彼の代表作である。 |
「田園」はベートーベンの全9曲の交響曲のなかで最も特異な存在である。まず形だけ見ても5楽章構成をとっているのはこの「田園」のみで、他8曲は全部4楽章構成である。さらに、各楽章にベートーベン自らの手で標題がつけられていることも、他の交響曲には見られない特徴である。また、ところどころ自然風景の描写があらわれ、とくに第2楽章の終わり、鳥の鳴き声などは絵画的描写の好例と言えるが、ベートーベン自身は「絵画と言うよりはむしろ、感情の表現」とこの交響曲について語っている。にもかかわらず後世に与えた影響はむしろ絵画的な描写の面が大きいというのは、何か皮肉な感じもする。 第一楽章:Allegro ma non troppo 第二楽章:Andante molto moto 第三楽章:Allegro 第四楽章:Allegro 第五楽章:Allegretto |
(文責:99期バイオリン小弥祐介) |