APFSDS(装弾筒付き翼安定徹甲弾)
(Armour Piercing FIn-Stabilised Discarding Sabot)
APFSDS(装弾筒付き翼安定徹甲弾)の解説
貫通現象...
超高速の衝突は、通常の砲弾の貫通とかなり違った現象になります...
(硬質装甲はバターやワックスと同じになり、)
(長弾心は消耗しながら貫通孔を開けていきます...)
まず、砲弾(飛翔体)と装甲の衝突面に超高圧が発生し、
(超高圧=着弾速度と装甲貫通速度との差により発生する)
装甲が押し広げられると同時に砲弾の先端部分が押し潰されてマッシュルーム状に
潰れ...穴が広げられていく...
超高圧で押し潰された砲弾と装甲は一部溶解しながら砲弾と装甲の隙間から逆流し
(ブローバック現象)排出される...
砲弾が先端から消耗しながら貫通穴を開けて行くように見える...
(先端部が超高圧により固体としての強度を失うため)
(注、運動エネルギが減ると消耗は止まり通常の貫通式に代わる)
エネルギー的には、砲弾の運動エネルギーが、
貫通穴形成エネルギーと砲弾消耗(弾心のエロージョン)エネルギー、
熱エネルギーに変化して貫通現象が進行する...
このため、APFSDSの方程式は、弾丸や標的装甲の高速変形を考えた
複雑なものになる...
(塑性波伝播による先端形状変化)
(弾丸に加わる加減速)
1.物理モデルに基づく微分方程式の数値解を求める方式
(スリップしない正面衝突式)
衝突部分のエネルギー保存式は...
1/2×弾丸密度×弾丸消耗速度2=1/2×装甲密度×装甲貫通速度2
弾丸消耗速度=弾丸衝突速度−装甲貫通速度
1/2×Pp×W2=1/2×Pt×U2
W=Vn−U
Pp、弾丸密度 Pt、装甲密度
W、、弾丸消耗速度 U、装甲貫通速度 Vn、弾丸衝突速度
弾丸の消耗式(弾心エロージョン)
式に弾丸の長さを使えない(弾丸自身が塑性変形するため)ため
弾丸の衝突速度−標的への貫通速度(Vn−U)を使って定義する...
Vp、弾丸が塑性変形していない部分の速度
Vn、弾丸が標的に命中する速度
(Vp−U)、全長変化率
微小時間△t
弾丸の全長消耗は、(Vp−U)△t
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弾丸の減速...
dVp/dt=(Ao/Mp)Sp
Ao、塑性領域境界面の弾丸断面積
Sp、塑性領域境界面の動的耐力
Mp、塑性領域の弾丸質量=∫Pp(x)A(x)dx
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材料工学からプラスする必要あり...
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U−V−W法
弾丸の長さと消耗と装甲貫通速度から式を建てて計算する方法...
弾丸の塑性変形式
Vm=Vp−Cpp
dLm/dt=Vn−Vm
dLp/dt=−Cpp
Lp、塑性変形していない弾丸部分の長さ
Lm、塑性変形部の弾丸の長さ
Vm、塑性変形開始部?、塑性波到達部
(変形は塑性波が到達する先端部分でしか起らない)
Cpp、塑性波
テイラーテスト
鋼板にカタパルトでワックス円柱を打ち付けて変形を解析した
塑性波伝播速度の解析テスト...
Cpp=√(∂δ/∂ε)/ρ
δ:真応力
ε:真歪
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材料工学からプラスする必要あり...
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マッシュルームの連続式
(Vp−U)Ao=(VN−U)A
dLm/dt=VN−Vp
Ao、塑性領域境界面の弾丸断面積
A、最大変形部分の断面積
マッシュルームの運動方程式
d(Mm・U)/dt=(1/2)Pp(Vp−U)2Ao+F0−(1/2)Pp(Vn−U))2A
F0=−MpdVp/dt≦−SpAo
Mp、塑性領域の弾丸質量
Mm、変形後の塑性領域の弾丸質量
貫通速度Uの数値解
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Uの時間積分=>貫通孔深さPを求める
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うう...説明が(T_T)...
(-_-;)駄目だやる気が尽きた(^^)...
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2.有限差分法
圧力、密度、温度、の状態方程式、
物質の応力、歪み関係の構成方程式を使用する。
残念ながら計算方法は、弾丸と標的装甲を細かく分割して大型コンピューターで
個々に計算する方法でTVでは、気象計算や地震計算でおなじみの方法です...
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Vp→□□□□□□■■□■■■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□
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■Pp■■■■■■■■■■□■■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□
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□ブローバック■■■□■■U→■■■■■■□□□□□□□□□□□□□□□
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どうも簡単に使えるものが無いようなので探すと...
(簡易式を使い低速のJavaスクリプトでも使えるものは...)
3.装甲貫通長と着弾速度などの関係を求める実験式
Lambertの半実験式
V50=U(L/D)0.15[f(z)D3/M]1/2
f(z)=z+exp(−z)−1
z=(T/D)(secθ)3/4
U:標的の強度を表す定数
θ着弾角度
T標的の厚さ
L弾芯の長さ
D直径
M質量
Lambertの半実験式
予定、
Javaを使った穴開き式...
(矢印で数値を動かして遊べる物...)
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V50は...
弾道限界(Ballisutic Limit)V50
(現在一般的な米軍式)
破片の50%が貫通、50%が不貫通となる標的に当たった時の弾丸の速度...
Vr={Mp÷(Mp+m)}×{√(Vs2−V502)}
V50=弾道限界
Vr=残存速度
Vs=激突速度
Mp=弾丸質量
m=打ち抜かれた装甲部分の質量
貫通実験では...
薄板貫通後の弾丸の速度を使って弾道限界を出しています。
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滑腔砲(amooth bore gun)
(かっくうほう)俗読み
(かっこうほう)正式読み...消えつつある
amooth bore
スムースボア×
スムーズボア○
ラインメンタル社
105mm 初速1475m/s 弾薬全長941mm 弾薬18kg 砲弾6.3kg
貫通体直径
英105mmL64...28mm
仏OFL105F1...26mm
材質
英105mmL60
W90% Ni7.5% Cu2.5% 17.2g/cm3
独120mmD23
W90% Ni7% Fe3% 17.1g/cm3
米DU(depleted uranium)
U238 99.25% 0.75% 18.6g/cm3
ティタニウム
M1A1HA前面装甲
対APFSDS、600mm相当
対HEAT、、1300mm相当
ウラン・メッシュ強化前
対APFSDS、350mm相当
米120mm(L/d20)
有効射程3500m(4000m以上?)
貫通力2000mで700mm(90d)
T55、3750mで撃破
T72M、2000~2500mで撃破
ロシア125mm2A46-2(T80UM)
貫通力2000mで600mm(90d)
前面装甲
対APFSDS、600mm相当
対HEAT、、900mm相当
コンタクト5?運動エネルギーにも有効と考えると
対APFSDS、780mm相当
対HEAT、、1200mm相当
T72
125mm輸出用(均質製)
貫通力2000mで300mm(90d)
125mmAPFSDS
飛翔体設計不良?
有効射程2200m
L/d 長さ÷直径
long rod penetrator
注、有効射程...
APFSDSの飛翔体の差
L/D値、(全長/直径)
T72の125mm砲=1/9、3.6kg 有効射程2200m
M1の120mm砲=1/20、約5kg 有効射程3500m
回転して安定する一般の砲弾と違いAPFSDS(矢弾)は、
超高速で直進する「直進弾道部分」の有効射程部分を超えると急速に不安定になり
弾道が狂うか、落下する...
回転安定の場合は、ジャイロのような回転による方向を一定に保とうとする力と
空気抵抗により砲弾を進行方向に向けようとする力は、「放物線を描く弾道」に沿って
砲弾を曲げ、よほど急角度で発射しなければバランスが崩れるようなことは発生しないが
(重砲の場合70度を超えると上空で上手く砲弾が回転できずにバランスを崩し弾道が狂う)
矢弾の場合は「放物線部分」に入ると上手く方向を変えてバランスを摂ることができなくなる...
重量が軽いこともあって125mmの矢弾は有効射程が短いようである。
M1の120mm砲は3950m近くで撃破とか言ってたのでかなり直進弾道部分は長いようです。
(T72は、2500mでショート)
注、
チャレンジャーの120mmライフル弾(APDS)が4100mで一番遠距離の撃破記録
らしい...
加工精度なども影響するという話なので、この話から空気抵抗係数などを逆算すると
面白いかも、
(回転する砲弾と、矢弾の空気抵抗係数は(115:100)15%違います...)
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