7M4シャーマン戦車(M4、M4A1、M4A3...)

M4シャーマン戦車(M4、M4A1、M4A3...)

M4/A1
第二次世界大戦最大の生産量(49234輌)を誇るアメリカの傑作中戦車です。
膨大な生産数のためバリエーションが多く武装も初期と末期では違います。

最初の試作シャーマンは1941年の9月に完成しました。

試作名称T6はM3中戦車の車体下部を流用し16輌作られ各種の試験が 行なわれました。翌10月M4中戦車として正式化されました。

名前の由来、
シャーマン=ウィリアム・テクムサ・シャーマン南北戦争、北軍の名将軍

シャーマンの形式
M4july1942.6748and(105)1631February1944~March1945
全鋳造構造の上部車体の製造が遅れ、圧延装甲鋼板を溶接して組み立てました。 あちこちに出っ張りが多く全鋳造構造のM4A1に比べて防御力が劣ったので 後で車体前面部分だけ丸い鋳造構造のM1A1の上部車体を溶接してハイブリット型が 作られました。

M4A1February1942.6281(76)January1944.3396or3426
全鋳造構造の丸い車体上部で簡単に見分けられる。

M4A2April1942.8053(76)May1944.2915or3230
M4と同じ系列だがゼネラル・モーターズのトラック用ディーゼルエンジンを 2個連結したエンジンを使っていた。
米軍より海兵隊、イギリス、ソ連に移譲されたものが多かった。
ディーゼルエンジン
補給機構を複雑にしないように米軍の実戦で使用する戦車はすべて ガソリンエンジンのものに限るM4A2は、訓練用かレンドリース、 ディーゼルの多い海軍が主力の太平洋で海兵隊が使うことになりました。
M4のエンジンは航空機のエンジンを流用したため低速回転時のトルクが低く オフロード走行力を低下させました。 この点元がトラック用だったため強力な低速トルクを発揮し好評でした。 ツインディーゼルは一基だけも走行可能で荒い走りをする実戦で (オーバーレブを起こしやすい)故障してもまだ走れるのがうけたようです。

M4A3June1942.1690(Protected turret)February1944.3071(76)March1944.4542 (105)May1944.3039
フォードの戦車用V型8気筒ガソリンエンジンを装備。
各種の改良を採り入れた新型でこの最終生産型(M4A3E8)は第二次大戦後 も各国で使用されました。
前面装甲を43度傾斜に変更、各部の欠点も無くなり防御力が増しました。
(前型は、ハッチなどの部分が突き出していて傾斜が緩い弱点が有った)
(傾斜が減った分は装甲厚を増して対応しました50.8mm=>63.5mm)

M4A4July1942.7499
戦車エンジン不足から6気筒エンジン5基からなる複雑な機構のエンジンを搭載 出来るように車体後部を延長しました...
(信頼性が低く調整が大変なため1943年9月には生産が打ち切られ)
(大部分はイギリスへ移譲されました。)
マルバンクエンジン
点火時期調整が難しく米軍から不良品扱いを受けて捨てられた(レンドリース) M4A4ですが英国では何故か信頼性が高いと好評だったとか...
これは、英国巡航戦車のできがよっぽど悪かったためではないか?と思われます...

M4A5 アメリカ陸軍軍需部がカナダのラム戦車を呼ぶのに使った記号
M3リー戦車の車体を流用し鋳造上部車体、6ポンド砲装備の戦車でしたが
開発の遅れから、アメリカ、イギリス、に機材共通化を迫られ生産中止になりました。
生産分は訓練用とか兵員輸送車などに改造されました。

M4A6October1943.75
キャタピラー社の空冷ディーゼルエンジンを搭載して量産されるはずでしたが コンチネンタル、フォードの両エンジン計画が標準型に決まったため 75両で生産打ちきりになりました。

増着装甲板
米英の各部隊の前線工作部隊は砲撃に弱い部分に装甲板を溶接しました。 砲塔防盾の両側と車体側面の弾薬庫の側面、それとM4の場合は前面ハッチの前の張り出し 部分...

シャーマン戦車の前面装甲は生産を簡単にするため
(装甲にハッチ、展望窓、機銃などの穴あけをすると加工時間が増え量産の阻害になる...)
ハッチや前方機銃などの部分を分割鋳造して溶接で繋いで造って いました...初期は8パーツ
そのため強度的に脆く厚さ分の性能は有りませんでした...
後期型では一枚板の圧延装甲板に変わりました...

搭載弾数
米軍戦車は、通常の搭載数よりも余分に砲弾を積みこんでいたました(1.5倍?) 米軍の写真集などで野砲の空薬莢の山をトラックで捨ててるシーンなどがありますが 戦車砲もこんな感じで撃ちまくったので...

ドイツ軍にはアヒル呼ばわりされましたが、その数と機構の信頼性(すぐ動かなくなる ドイツの重戦車や初期のフランス戦車に比べ)で1番です。ドイツの主力、4号戦車や 3号突撃砲相手には十分です。末期には各種の強化型ができました。
(太平洋では重戦車扱いした)
良くドイツの戦車の優秀性が引き合いに出されますが実際の戦場でキングタイガーと M4の出現率は1/100以下です。(東部戦線のことも考えると1/200?)
西部戦線の主な対戦相手は3号突撃砲や4号戦車、75mm、88mmの対戦車砲でした。
(ノルマンディー上陸作戦前にM4には補強のために増加装甲が付けられました。 主な場所は砲塔防盾の両側と弾薬庫の側面、ハッチの張り出しのため車体前面の傾斜 が少なくなっている部分の3箇所です。)
(それでもフランスに上陸して一番始めにすることはキャタビラや鉄板 土嚢などを貼り付けて装甲強化をすることでした。)
そんなわけで、ヤーボが打ち洩らしたドイツ重戦車にたまたま遭遇すると側面に回りこむか スモーク弾を打ち込んで接近戦を挑むしかなく手玉に取られて遣られてしまうと言う いつもの戦争漫画みたいなめにあってしまうのでした...
ドイツ崩壊の末期にはかなりの数の76mm砲やHVAP弾が支給されて かなり対抗できるようになったみたいです。

アメリカ軍機甲師団としての初陣はビシーフランスのアルジェリア上陸が初陣です。 相手は旧式のフランス戦車が相手だったので大丈夫でしたが 最初の戦闘では砲の射撃装置がすべての戦車で狂っていて敵を圧倒したのは 命中率ではなく弾量でした。

その後、アフリカに派遣されたタイガー1中隊と対戦させられてボロボロにやられちゃいました。 軍隊にもかかわらずパニックで全滅した戦闘部隊も発生して良いとこ無しでした。

この結果M4には開発中止したT23戦車の3インチ砲装備の砲塔を載せて火力強化する ことになりました。

イギリス軍は独自に17ポンド砲装備(パンサーと同じ程度の火力)のファイヤフライを 開発しています。

イギリス軍はファイヤフライ以外にもシャーマンを使った改造車両を沢山作っています。
シャーマンDD戦車(水陸両用戦車)、
シャーマンクラブ戦車(地雷除去戦車)43年後期から300輌量産された。
などなど...

この76mm砲は一時製作が停止していたアメリカの試作重戦車T23の砲塔を流用したものです。
最終生産型M4A3E8は戦後かなりの期間、自衛隊でも使われていました。


試作重戦車T23

M4A3E8


機動力及び装甲厚
乗員  5名
全長   7.39(5.883)m
全幅   3.06m
全高   2.97m
最低地上高 0.335m
接地長  3.733m
キャタピラ幅  60.7cm
接地圧   0.66kg/cm^2
戦闘重量  33.1t    自重t
機関  フォード製水冷8気筒ガソリン(GGA)
出力     500HP
回転数   2600rpm
変速器   前進、後進
馬力荷重 kg/HP
燃料容量 168ガロン
潤滑油  

最大速度路上 40km/h(ダッシュ48km/h)
路外                km
最大航続距離
路上         238km
未整地      160km
登坂能力  31度
超濠能力  2.29m
超堤能力  0.61m
渡渉水深  0.914m
回転半径  9.45m
燃費   km/リットル
運行時間 h

武装(3インチ)76mmL52カノンM1A2
            12.7mm機関銃1、7.62mm機関銃1
弾薬数     71(発)
12.7mm機銃用、600発、7.62mm機銃用、6250発

3インチ砲(垂直装甲板に対する貫通力)penetration table javaScript
射程 25  100  250  500  750  1000 1250 1500  2000  2500  3000m
APC  122  120  118  113  110   106  102  98    89    81    73
AP  (***)(***)(***) 132  121   111  102  92    73   (**)  (**)
HVAP(218)(213)(204) 190  176   161  149  136  112   (91)  (71)

垂直から30度傾斜した装甲板に対する貫通力
,     457m     914m   1365m   1829m    2286m
HVAP  157      135     116      98  <--(0.744)(1.785)
90deg(192.82)(165.8) (142.46)(120.36)
APC    93       88      82      75     (70)
90deg (114.22)(108.07)(100.71)(92.11)  (86) <-(0.494)(1.021)
AP    109       92      76      64
90deg(133.87)(112.99) (93.34) (78.6)  <--(1.058)(1.3295)
M62A1(APC)7kg 792.5m/s<--(APCBC)__M79(AP)6.8kg 792.5m/s
M93(HVAP)4.26kg 1036m/s__M42A1(HE)5.8kg 853m/s

装甲厚(傾斜角度)可変javaScript
,            前面               側面         後面
砲塔       64(45~50)mm         64(77~90)mm  64(90)mm
車体上部分 63.5(43)mm          38.1(90)mm   38.1(78)mm 
車体下部分 50.8?(43)~108(90)mm 38.1(90)mm   38.1(80)mm 
砲塔防盾、  89.0(90)mm
上面  砲塔25.4mm 車体19.1mm 底面 25.4〜19.1mm

 製造会社   
生産期間   19年〜年
生産台数   両

陸上自衛隊にも360輌一時装備されていました。 M4シャーマンの最終型です。 M4はとにかく大きかったそうで、当時は、日米の戦車兵の体格が違いから... (とくに脚の長さの違いが決定的?) クラッチペダルの踏み代が大きくどのくらいの下駄を履かせるのが良いかが 研究のテーマになったそうです...

M4A2


機動力及び装甲厚
乗員  5名
全長   5.918m
全幅   2.616m
全高   2.743m
最低地上高 0.335m
接地長  3.734m
キャタピラ幅  42.06cm
接地圧   1.01kg/cm^2
戦闘重量  31.6t    自重t
機関  ゼネラルモータース6046 12気筒 
.    2サイクルツインディーゼル
排気量  13929cc
ボアラストローク φ108mmラ127mm
圧縮比  16:1
出力     375HP(ネット)410hp(グロス)
回転数   2100rpm(ネット)2900rpm(グロス)
変速器   前進、後進
出力重量比 ネット10.7hp/t、グロス11.7hp/t
燃料容量 560リットル
潤滑油  

最大速度路上 40km/h
路外                km
最大航続距離
路上         241km
未整地      km
登坂能力  60%
超濠能力  2.29m
超堤能力  0.61m
渡渉水深  1.016m
回転半径  9.45m
燃費   km/リットル
運行時間 h

武装        75mm(L37.46)カノンM3
旋回方式 油圧/手動
旋回速度 15秒/360ー
俯迎角  −10ー〜+25ー
発射速度  20発/分
            12.7mm機関銃*1、7.62mm機関銃*2
弾薬数     97(発)
12.7mm機銃用、300発、7.62mm機銃用、4750発
7.5cm砲(垂直装甲板に対する貫通力)penetration table javaScript.S---.L---.
射程   25  100  250  500  750  1000 1250 1500  2000  2500   3000m
AP      (***)(***)(***)  91   82   74   66   59   (46)
APC       99   98   95   90   85   80   76   72    64    56     49 <==硬化AFH
APC       88   87   84   80   77   73   69   66    59    53     47 <==圧延RHA
,                                               2.95deg(-0.1)(-0.2)4.2deg
M61(APC) 6.79kg 619m/s 1000m 86mm_M72(AP) 6.32kg 619?m/s
M48(HE) 6.7kg 604m/s<-(97)

装甲(mm)可変javaScript
,           前面              側面        後面
砲塔	  76.2(60)mm         50.8(85)mm  50.8(90)mm
車体上部分 50.8(34)mm         38.1(90)mm  38.1(78)mm 
車体下部分 50.8(34)~108(90)mm 38.1(90)mm  38.1(80)mm 
砲塔防盾(内側)89.0(90)mm(外側)50.8(90)mm
上面 砲塔25.4mm 車体19.1mm  底面 25.4〜19.1mm

 製造会社   
生産期間   1942年4月
生産台数   8053輌

火砲および装甲データ−は初期のM4、圧延装甲鋼板溶接タイプと同じです。

APの至近距離データーが500yd~200ydから計算したので大きいかも... 初速度も怪しい(-_-;)...資料の傾斜がきつい...だいたい130mm台?(^^)... 3インチ砲(垂直装甲板に対する貫通力) 射程 25 100 250 500 750 1000 1250 1500 2000 2500 3000m AP 146 141 135 128 121 115 101 89 78 <-old HIGH 246 239 234 218 198 183 157 135 112 94 <-old 射程 25 100 250 500 750 1000 1250 1500 2000 2500 3000m APC 122 120 118 113 110 106 102 98 89 81 73 AP (155)(150)(143) 132 121 111 102 92 73 (57) (46) HVAP(218)(213)(204) 190 176 161 149 136 112 (91) (71) , 914m 注、米30degデーターX=1で計算されている可能性大 APC 102mm 792m/s 垂直から30度傾斜した装甲板に対する貫通力 , 457m 914m 1365m 1829m 2286m HVAP 157 135 116 98 <--(0.744)(1.785) 90deg(192.82)(165.8) (142.46)(120.36) APC 93 88 82 75 (70) 90deg (114.22)(108.07)(100.71)(92.11) (86) <-(0.494)(1.021) AP 109 92 76 64 90deg(133.87)(112.99) (93.34) (78.6) <--(1.058)(1.3295) M62A1(APC)7kg 792.5m/s<--(APCBC)__M79(AP)6.8kg 792.5m/s M93(HVAP)4.26kg 1036m/s__M42A1(HE)5.8kg 853m/s
AP元データーの範囲が狭いため確定できず... 100m貫通可能だとまずいか? 元々貫通力の10%上下を考えれば至近距離(100m以内)で数当てれば ティーゲルTを穴だらけにできる(-_-;)... (「SS戦車隊」の筆者が至近距離でシャーマン部隊と単騎で撃ち合って) (ボロボロになってる...) (でも撃破にはならず筆者は十数台返り打ちにして生き残った) (重砲の射撃を受け、ヤーボに叩かれ、残った敵は迂回して側面に回り込んできて) (さらに、弾切れで砲弾を貰いに後方へ走っている、最後まで愛車を見捨てなかった) (やっぱり貫通できずで、ラッキーヒットを狙って速射でボロボロになるまで撃つしかないですね) 貫通力 射程   25 100 250 500 750 1000 1250 1500 2000 2500 3000m AP 94 90 88 82 76 70 58 48 <---old APC 88 87 84 80 77 73 69 66 59 53 47 <==圧延 , 2.95deg(-0.1)(-0.2)4.2deg APC 99 98 95 90 85 80 76 72 64 56 49 <==硬化 AP (110)(107)(101) 91 82 74 66 59 (46) 垂直から30度傾斜した装甲板に対する貫通力 457m 914m 1365m 1829m 2286m APC 66mm 60mm 55mm 50mm <==圧延 90deg(81.06) (73.69) (67.55) (61.41) (55.71) (0.523)(1.076) APC 74mm (67) (60) 54mm (49) <==表面硬化 90deg(90.88) (82) (74) (66.32) (59) (0.585)(1.215) AP 76mm 63mm 51mm (41) , (93.34) (77.34) (62.63) (50) (1.00)(1.434) M61(APC) 6.79kg 619m/s 1000m 86mm M72(AP) 6.3kg 619?m/s 6.32<-(E1) M48(HE) 6.7kg 604m/s<-(97)
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