戦車の方程式

まだ途中なのですがもったいないのでUPしときます。
最終的にはこのページは項目ごとに分解して戦車データ-と連動させる つもりです。

戦車の運動性能(最高速度)

最高速度、 通常は実用最高速度のことですが...平地で実際に出る最高速度、 つまり、瞬間的ではなくてある程度この速度を維持できなくてはいけない。 許容最高速度、 専門書などで説明が無くて最高速度とかなり速い速度が書いてあって混乱する 場合がありますが... 許容最高速度は、下り坂で出してもいい最高速度、設計段階で決まっていて、 これ以上速度を出すと機械に負荷がかかって危険になる速度のこと。 戦車の運動性能(横転限界)

通常は30度以上で設計される。
サスペンションなどの圧縮を考慮して計算値の80%程度

超堤時は100%(45度)で設計、公証値は60%(30°58’)
斜面横行は60%(30°58’)で設計、公証値は40%(21°48’)

エンジン・変速機なども市販のものと違い各仕様まで傾斜させても 大丈夫なように設計されている。
戦車の運動性能(接地圧)

接地圧=車両重量(kgf)÷(2×接地長(cm)×キャタピラ幅(cm))

車種別接地圧表
戦車     0.8〜1.2
装甲車   0.4〜0.6
雪上車   0.1〜0.2
スキー   0.03〜0.05
トラック 2.5〜7.0
乗用車   1.5〜2.5
人間     0.4〜0.5
道路上を走行する場合は転輪の接地している小さな部分に加重が集中するので
平均数値よりはるかに高い力がこの小さな部分にかかる...
軟弱地盤で10cm程度沈むと平均的に力がかかり表示接地圧に近くなる

戦車の運動性能(キャタピラの摩擦係数)

摩擦力=キャタピラ接地面積×粘度係数+車体重量×tan土の摩擦角度

この式は変数が多くて数値の特定が難しいので実験データ-から推測します。 接地圧が大きくなると摩擦係数は減少します。 代表的な路面とキャタピラ材質の組み合わせに対する摩擦係数の変化

方向   縦      横
キャタピラ材質  鉄
舗装(上仕上げ)  0.3〜0.4  0.7〜0.9
舗装(並仕上げ)  0.4〜0.5  0.7〜0.9
堅硬土               0.6〜0.8  
草地                  0.7〜1.0
砂                     0.2〜0.3
雪                     0.2〜0.4

最大登坂力
どの戦車も30度ぐらいの数値が書いてあるが...
測定に使う土質を使って調整している節がある
実際にはかなり差があるはず...
戦車のキャタピラや懸架装置はブルトーザーと違ってソフトにできているので
(スピードを出すため...)
ブレード(歯)を付けて地面を掘ったり、急斜面を登るのは苦手です...

戦車の重量
戦闘重量、全備重量
弾薬、燃料、工具、乗員、備品、など戦闘に必要な装備を総て積んだ重量...

車輛重量
燃料、装備、乗員などを除いた車体だけの重量のこと...

航続距離
通常路上走行距離が書いてあるが、車と同様、実用値はかなり違ってくる
戦闘時の航続距離は、半分程度にするのが通常です...
(注、米軍の統計は37%)
路上、路外を分けずに行動時間で表した方が実用的な数値になる...

火器搭載能力
火器を搭載する場合、火砲の後座衝力が車体強度や 命中精度に悪影響が無いか調べる必要があります。

後座衝力kgf=(弾丸重量kg^2×弾丸初速m/s^2) × (9.8m/s^2×後座長m×後座体重量kg)

弾丸重量kg=(飛翔体重量+発射薬重量×1/2)

弾道

火薬工学ハンドブックより
発射エネルギーの配分例は(AP?)...
弾丸の直進運動= 32%
弾丸の旋動運動= 0.14%
砲の反動= 0.12%
末燃焼発射薬の残留エネルギー=44.43%
燃焼ガスの運動= 3.14%
砲身と弾丸の加熱= 20.17%

砲内弾道

弾丸の初速V0=√2PAL/M (m/s)
P=平均腔圧(Kgf/m2)
L=砲身長(m)
A=砲腔断面積(m2)
M=弾丸質量W/g(kgf/9.8)

ドイツ軍戦車砲弾データを使って説明

? 過去にはティーゲルU戦車やM41のように砲身の長さがL70クラスのものも
有りましたが現在では、砲身を伸ばしてガス圧がかかる時間を延ばし初速を上げる
方法は、材質から限界が来てしまってL50ぐらいで止まっています...

火力性能(命中精度)

誤差の算出...
弾道誤差、火器固有誤差、射撃諸元の測定誤差、照準器の誤差、射手の照準誤差

各種誤差の具体的な数字は...

戦車砲の火器固有誤差、
AP弾         0.1〜0.3ミル     
HEAT弾、HESH弾 0.2〜0.5ミル
戦車砲の射手の照準誤差 0.1〜0.5ミル

測遠器の誤差
光学測遠器       距離^2/基線長×0.000003m
レーザー測遠器     距離に関係無く、±5m

光学測遠器、測遠器誤差
距離)二乗/基線長さ×3×0.000001
測遠器誤差    基線長 0.9m    1.32m   1.6m
距離0 測遠器誤差     0m     0m     0m
距離1000 測遠器誤差  3.3m   2.2m   1.8m
距離2000 測遠器誤差  13.3m  9m     7.5m
距離3000 測遠器誤差  30m    20.4m  16.8m
距離4000 測遠器誤差  53.3m  36.3m  30m
距離5000 測遠器誤差  83.3m  56.8m  46.8m
距離6000 測遠器誤差  120m   81.8m  67.5m
距離7000 測遠器誤差  163.3m 111.3m 91.8m
距離8000 測遠器誤差  213.3m 145.4m 120m
距離9000 測遠器誤差  270m   184m   151.8m
距離10000 測遠器誤差 333.3m 227.2m 187.5m


Java Script光学測遠器の誤差計算
(命中率計算用に試作中の部品ですまだ未完成品) 方程式の単位を間違えていたので直しました_(._.)_... (計算結果出力はがミル(1000m:1m)では無くてmでした) ドイツ軍、測量機器データーと比べてみてください。 、 砲兵隊用 パンタ- ティーガー2 、 b=0.9m b=1.32m b=1.6m 、 V=14倍 V=15倍 V=15倍 、 3度 4度 4度 、 E 3倍 E 3倍 E 3倍 1000 4 12 2.5 7.5 2 6 2000 16 48 10 30 8 25 3000 38 108 23 69 19 56 4000 53 159 40 120 33 99 5000 99 295 63 189 52 155 6000 142 425 91 273 74 222 7000 194 580 124 372 101 303 8000 253 760 160 480 132 396 10000 400 1200 250 750 200 600 FSC(射撃統制装置) 現代では、レーザー測量器と各種弾道データーの入力された コンピューターのことですが、 WW2当時はかなり違ったものでした。 最初は、主砲に固定さた照準眼鏡だけで、距離の測量は標的の大きさを 元に目測していました。 (そのためホビージャパンなどの採用したアクチュアルウォゲームのルール) (では射程を目測でコール(宣言)して初射撃としてその着弾を見て次の射程) (をコールして近づけていく方式になっていた...) 「WW2後もかなり長い間ソ連戦車は、この方式でした... 照準器を覗くと目標戦車の高さを測る目盛りが付いていて M60なら3.3m、チーフテンなら2.55mなど 解っている敵戦車の高さから距離を見積もりました...」 大戦初期の対戦車砲の有効射程は700m程度だったのであまり必要なかった ようなのですが... 修正、この時期でも重要でしたが米軍の教本によりとだいたい射撃をはじめて から45秒で命中弾を送り込めば良いことになっています... 高等射撃:目標に悟られないように標的から(水平に?)ずらして射撃して 距離を測定してから修正射撃を撃ちこむ... 大戦中期から後期になって火砲が大型化、長射程化、してくると遠距離戦での 命中率を上げる必要が出てきて光学測遠器が搭載が検討されましたが... 上の表は試作砲塔の実験データーで実際に実用化されたのは アメリカのM47からです_(._.)_... 大戦後は、機械式弾道計算器=>レーザー測量器=>コンピューター =>自動追尾と連動=>暗視装置と連動=>TVモニター利用の照準システム 現代FCS中で処理される数値(例) 砲身の熱ひずみ、6ミル(サマールスリープで4ミル) 温度変化、APDS -35度初速-52m/s射距離1000mでー50m高角偏差-0.1ミル 15度、、、基準、、、 +25度初速+37m/s射距離1000mで+36m高角偏差+0.1ミル 偏流、APDS500m~3000mで0.05~0.3ミル、HEAT無し 砲身の飛び上がり角度、APDS+1ミル、HEP−0.2ミル 砲口磨耗、0.01の増加でAPDSで2.5m/s、HEPで5m/s 跳飛角、APDSで+1ミル、HEPでー0.2ミル 砲耳傾斜(弾道の左右ずれの主要な原因) 74式戦車などで車体を水平に保つ油圧装置が採用されていましたが これは、戦場で車体を水平に保つのが困難なため車体の左右傾斜が 弾道の左右ずれの主要な原因になるためでした... 90式戦車で採用されなくなったわけは、ジャイロなどで車体の傾斜 を自動検出して射撃コンピューターが自動修正してしまうように なったためです... 砲耳傾斜計算(入力は車体の左右傾斜と、射程距離) 横ずれと弾道が斜めになったため短くなった距離を出力します。 参考データーは250m〜4000mです。 環境影響 横風、気温、気圧、温度、装薬温度、車速 計算機誤差 目標照準誤差0.07ミル、リンク連動誤差0.05ミル 潜望鏡連動誤差0.05ミル、メガネ補正0.05ミル レクチル連動誤差0.05ミル 計算誤差0.1ミル 合計すると誤差は0.185ミル程度... 弾道最高位の計算 単純に計算すると空気抵抗を計算しない場合は初速と発射角度だけで 弾道が出せます... 式は、初速×sin発射角度=弾道最高位 初速×cos発射角度=射程距離
命中確率誤差、正規分布、2倍が50%の必中界を示すと定義
命中確率誤差×2=1.349σ
命中確率誤差=0.6749σ

測量機から見た命中率
射程  250,,500,750,1000,1250,1500,2000,2500,3000
A     94   88  78  64   49   35   17    7    1
B     97   90  83  73   62   50   30   19   13
C    100   96  90  79   73   57   40   28   21
D    100   98  93  83   68   62   43   33   26

A。光学機器のみの射撃
B。光学機器と機械式計算機による射撃
C。レーザー測量機と電子計算機による射撃
D。理論的に完全な測量による射撃

資料が古いので論理的最高値の命中率が低いこれは、初速の違いが大きい
着弾までの飛翔時間が短くなるので乱数要素が減るため3000mの距離を、
1000m/sで4秒かけるのと1400m/sで2秒で飛ぶのではかなり違ってくる。

2000mを越える射撃で近代的な測量機、計算機の性能の差が各段に
出てくる...
イスラエル対アラブの戦車の戦いもこの差でイスラエル側有利になったもの
が多い...
資料は米軍戦車のものWW2で言うと
当然ドイツは優秀な光学機器を使っていたので米軍より良いし
二流三流の国はもっと悪くなる...

実戦、初弾命中値

射程 500,1000,1500,2000,2500,3000
a   63  20   06    3    2    1
b     87  60   30   14    6    2
c     94  85   53   26   12    9
a第二次世界大戦
b朝鮮戦争
c1980年?

初弾命中値WW2
さまざまな要因で低下するので戦記物にかっこよくかいてあるようには
当たらない...(訓練などの命中率も同様)
射撃しながら距離を推量し敵に着弾を近づけていくのが普通の当て方

エースの戦記物などで至近弾を受けたら後退して射撃場所を移動するというのも
こういった理由です...

逆に標的の予想出現場所までの射程を正確に測って待ち伏せなどをされると
非常に初弾命中率が上がる。対戦車砲が危険な理由の一つ...
(戦場には、何も無い草原よりも射程の目印になる物がたくさんあるほうが良い)

#
#
#
命中率と砲弾消費の関係...

25%、43.75%、55%、66.25%、74.6825%
50%、50%、75%、87.5%、93.75%、96.875%、98.4375%
75%、75%、93.75%、98.4375%、55%、66.25%、
装甲板対砲弾(傾斜による貫通力の変化)

基本方程式

装甲板の耐久力=装甲板の厚さ×Sin^y装甲板に徹甲弾の角度
y=弾の種類による変数

APFSDS弾の場合yの値は1に近くなる。
第二次大戦型のHVAP弾の場合はyの値は1/0.7

硬度と防弾力
弾芯破壊現象のため
特異範囲があり硬度を増していっても防弾力は増え続けない。
(装甲板の強度400BHN〜500BHNの間、装甲板の材質により多少変化...)

400BHNから弾丸が装甲に潜り込み防弾力が突然落ちる。
500BHN以上で弾丸が破砕される。

弾種類によるだいたいの貫通力
(1000mで装甲に当たった場合)
APDS弾=弾径の3倍
HVAP弾=弾径の2倍
AP弾=弾径の1倍
HEAT弾=弾径の4倍
HEP弾=弾径の1.3倍
普通弾=弾径の0.2〜0.5倍

鋳造装甲...
鋳造装甲は鋼板に5%〜15%劣る
同じ耐弾性を出すためには重くなる
粘着弾に弱く大量の鋼破片が内部に飛翔する。

表面硬化した装甲板は小口径弾に有利
7.62mmAPだと通常の均質鋼板と比べて25%〜15%有利
20mmAPだと通常の均質鋼板と比べて15%〜5%有利

KE弾(運動エネルギー弾)
最近の装甲板はAPFSDS対策で鋼材硬度強化されたものが多いが?
逆に従来弾の太い弾丸を受けると脆くなってしまう欠点があるらしい...

装甲板の硬度と厚さと弾丸直径の関係は...
弾丸直径>装甲板厚み=硬度低い方が良い
弾丸直径<装甲板厚み=硬度高い方が良い





溶接の素人見学を基にクリスチー(仏)溶接法を
軍の溶接基本方針として定めたため
(今日の常識からみてまったく不適当な方式でした。)
装甲板の溶接割れが続出して大問題になりました。

リベット接合の欠点は、機銃弾などでリベットの頭を強打されると
リベットの内側が飛び散って死傷者が続出する...

米軍の戦車もM3中戦車まではリベット接合で
北アフリカに登場した時も75mm砲装備の
戦車でしたが
受け取ったイギリス戦車兵はあまり喜ばなかった
そうです。

旧陸軍の防弾鋼は材質的には優秀な方でしたが
スクラップ主体の不純物の多い鉄鋼素材と貴重
添加原素を減らされたため。
司馬遼太郎さんが本で書いているような
やすりで削れる装甲板になってしまいました。

最小抵抗線
弾丸は傾斜装甲板の場合はそのまま直進せず
途中から抜け易い最短距離を通る


戦車の損害データ-

第二次世界大戦中の連合軍装甲車両の攻撃手段べつ損害率
砲兵および対戦車兵器  59.8%
地雷          23.7%
バズーカ        17.0%
その他          0.5%

連合軍戦車の全損害に対する地雷損害の割合
北アフリカ(1942〜43)  18%
西ヨーロッパ(1944〜45) 23%
イタリア(1943〜45)   28%
太平洋(1944〜45)    34%
朝鮮(1950〜51)     56%
ベトナム(1967〜69)   69%


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