ランチェスターの法則 E値の説明

武器効率、m軍=b、n軍=a、交換比=E=b/a

武器効率の算定式
a=(m0−mt)/ ΣTt=0(nt)
b=(n0−nt)/ ΣTt=0(mt)
m0戦闘開始時の兵力、mt、、t時間後の兵力数


防御、隊列数分割式(古代戦用)では、武器効率から防御力を分割してありますが、軍隊で分析に使う時はこの部分をさまざまな要素に分割して使います。
総合的には殺傷指数で良いのですが何故その数値が出るのかにはさまざまな原因がありその数だけこの数値は細かく分割されます。

ランチェスターの法則とは乱雑に見えるデーターから使える法則を拾いだすために使われるもの..。

武器効率(殺傷指数)はただ単にその部隊の強さを数値化したものと考えてはならず..。
兵器の性能だけでは無く、兵員の士気、その時指揮官の使った戦術の善し悪し、戦闘の行われる地形への適不適、補給状態、攻撃側か防御側か(地形の防御効果を使えない攻撃側は不利になる)などさまざまな要素の集合体となる。

つまり武器効率は・・・
ひとつの部隊を継続してデーター集積して(個々の戦闘の)さまざまな多様な状態の違いから・・・
例えば兵の士気や練度は新兵の多い状態から実戦をくぐると上がって来るのか?それとも消耗率が多すぎて厭戦気分の方が優勢で補充される新兵が使える兵になる前に死んでしまって弱体化してるのか?などを読み取ったり、
同じ編成の部隊のデーターを集積して比べたりすれば・・・
指揮官の善し悪し、有能か無能かを判定したり(でもこれは敵との相対的な評価になる、悪くない指揮官でも相手がナポレオンやロンメルだったら..。そんな相手と化かし合いするはめになれば不幸な結果が待っている..。)

似たような戦闘の別編成のデーターを比べれば・・・
投入される地形による修正がどの程度なのか判定したり
たとえば(戦車)機甲部隊は砂漠で有利で市街地では不利とか逆に歩兵部隊は砂漠では不利で市街地では有利とか経験的に分かっていることが数値結果として得られます。


・・・こうした分析結果の集積は実戦での次の指揮に反映されていきます・・・



修正、使われる数値は人命だけとは限りません。撃墜された航空機や破壊された戦車の数などでも計算を行います。

最近では(先進国では)人命の損失に特別な政治的な意味合いがあるため、大戦中のような役に立つ計算を(死傷者数では)行えないようです。

たとえばイラク戦争でも危険な仕事は民間軍事会社の傭兵に任せて正規兵の損失を減らしているため(大量の傭兵の死者数は隠されている)正確な数値が出てきません。

大戦中のようなほぼ拮抗した主要国同士が戦うのではなくて二流三流四流?の国家を攻撃しているため著しく不釣り合いな結果がでます。

投入した兵器を金額に変えて計算するのが一番分りやすいようです。最新の電子装備の米英軍 対 一回殴られてボロボロになった後、長期の経済制裁を受けて、湾岸戦争よりも一層差が開いたイラク軍金額的に数倍では済まない差がでます。
人数的には同じ規模のイラク軍と米軍が戦っても、金額的には数倍から十数倍の差になり(支援空軍が米側に足されることが大きい)軽く3:1の法則を越えてしまう。
死傷率を使う従来の計算では米軍の武器効率がとんでもない数値になってしまったことを表している。

常識として、
制空権の無い軍隊は砂漠で戦うことは不可能です。
遮蔽物の無い砂漠を移動することはカモ以外のなにものでもない。

注、単純な金額を比べるだけの方式では実態はでてこない。
例えば、米国や日本で作られている自動小銃と旧東欧で作られている廉価版の自動小銃では金額にかなりの差があるが性能差はほとんど無い。
兵隊の人件費にも欧米先進国とその他の国ではかなりの差がある。

電子兵器などの金額は生産できる国が先進国に限られるのでそのまま使えそう..。


精密誘導兵器
旧式戦車を塹壕などに埋めることによって簡単に強力な防御ポイントを作ることができていたが、スマート爆弾や西側の戦車砲の威力と遠距離命中精度のアップ、対戦車ミサイルの大量装備などによってこの防御拠点が簡単に破壊されてしまうようになった。(つまり目に見える防御拠点は誘導技術の進歩で簡単に潰されるようになった。)
(隠蔽がより重要になってきた)

しかし、暗視装置の進歩は隠蔽された塹壕や防御施設に潜む兵隊を周囲の温度と体温の差で浮かび上がらせてしまい簡単に始末することが可能になった..。

現代戦では投入される電子装置の差によって決定的な差が生じるようになった。

湾岸戦争では戦車の暗視装置や照準システムの差

イラク戦ではドップラーレーダーによる夜間爆撃



イラク戦では電子戦能力の差がすさまじいまでに戦力差として現れてしまった。中古の武器で装備された軍隊の価値が奈落の底に落ちたことを表す。

電子戦力の差と制空権の喪失は(交換比)E値をとんでもない数値に変えた。

注、制空権の有効性が大きい砂漠主体の国土だったことが大きい。

機動戦なので総戦力を比べるのではなく、イラク軍側に迂回されて無視される戦力部分が多数でる。ピンポイントで重要な交通拠点や主要都市や橋などを砂漠を通って迂回しながら攻撃して、狭い地点に集中して戦力を投入し、優位にたつという方法がとられていることを忘れないように..。

制空権の無いイラク軍は機動できず、米英軍のみ機動戦を展開できる。

だから個々の小さな戦闘正面でしか戦闘は行われず。戦争全体を単純に計算するこどは難しい。



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