ブッシュマンの分析

ブッシュマン(サン)の分析から始め...
厳しい環境に耐えるためにバンドだけでなく近隣の血縁関係のある他のバンドとも友好的関係にある必要が生じた。蓄えの無い生活は(乾期や飢饉などの)いざというときに頼れる友人が必要になる。厳しい自然に対抗するためにここでは人々は協力し合って暮らしている。

◎シュアリング
(狩猟や採集で得た獲物は個人で独り占めにはせず、(どんなに少なくても)みんなで分け合う。)
(蓄蔵、貯蔵よりも分け合う(シュアリング)が優先する。)
(シュアリングしないことは反社会的な行為になる。)

(こういった考え方は出稼ぎで得た給料や芸術性を認められた絵画や装飾品を作るサンの芸術家も変わらなかった。)

(ほかの先住民族でもこの考え方は見られる。狩猟採集時代には、広く一般的な考え方だった可能性が高い...現代社会の個人個人が富を蓄積しようとする考え方とは対立する。これは、先史時代を考える点で非情に大きな問題になる。)


◎交換による助け合い
遅延交換の制度、一日、一カ月、一年後に(必ず返す。)
季節ごとの産物や獲物の回遊時期などがからんでこういった制度ができた。
(獲物が獲れる時期が来たら必ず返す。ってこと)

均等の物を遅延なく返す普通の交換も当然行われる。


◎他のバンドとの関係
サン族のグループ構造は単独のバンドだけではなく婚姻によって作られた(花嫁や花婿を交換した)グループともつながっていて血縁の濃いラインに沿ってバンドを移動することができる。



争いを抑えるための文化的な要素...
常に槍や毒の吹き矢で武装しているブッシュマンの争いは死に直結していて大変危険である。そのため争いを避け慎重になる。(争いが少ない主因)

平和な人々と言われていたブッシュマンも、最近の研究で殺人による死亡率が文明社会よりもかなり高いことが判明したが、これは文明に接触して新しい武器や食料を得て人口が急激に増えた結果も大きい。

このタイプの社会では100から200人程度が群れの限界で統率できずに分裂してしまう。
(個々の争いの頻度が限界を越える。動物の場合は順列争いにかける時間と餌取りにかけるの比率で匹数が増えると順列争いの時間が指数的に伸びてしまい大きな群れを維持するのが非効率になり分裂する。)

普段は見えないはずの家族内部の内紛も、ここでは家が無いため見えてしまい争いにカウントされてしまうことも関係する。

しかし、ブッシュマンはさまざまな争いを小さくする文化的な方法を持っている。

1.(  )一種のゴッコ、怒りを武器やこん棒などを振り上げて殴ったり突き刺したりする動作で表現する。対象になる人物のすぐわきの地面をたたいたり、となりの柱突き刺したりなどして怒りを表す。

2.細い棒でたたきながらわめきながら対象を追い回す。
(1も2も相手を本当に傷つけたりしないための代償行為)

3.ある種の言葉遊び、延々と例えばあれをくれこれをくれと言い続け、言われた方は駄目駄目駄目と否定するこれを繰り返しながらおもしろい言い回しを作って楽しむ。

4.物語り能力、さまざまな事象を、悲惨な事件も面白い話にしてしまうコミニケーション能力

「国境警備兵に覚えた言葉であいさつしたら怪しまれて殴り倒された。黙っていた仲間はなにもされなかった。」
殴り倒された馬鹿を笑いながら、もちろん殴り倒された者も一緒に面白く村の人々に物語りを語る..

「狩りのために借りた犬が獲物に反撃されて哀れにも横腹を突かれてキャンと哀れな声を上げて絶命した話を犬を貸した老人も一緒に大笑いしながら聞く..。」
犠牲になってしまった犬よりも面白い話の方が優先される。

5.こうした方法がすべて失敗するような場合は対象個人を踊りの中へトランスダンスの陶酔を利用して治療する..。

ブッシュマンの民主主義
特徴は、多数決の無い民主主義、すべての情報を共有する話し合い。つまり物事はバンドのすべての構成員が話し合って決め、多数決ではなくて話し合いで合意するまで物事は決まらない。
リーダーはその事項ごとに詳しい者が当たり・・・権威や特権は存在しない。

(エスキモーにも同様の政治体系が存在する。カナダエスキモー自治政府は伝統的な多数決の無い民主主義で運営されている。)

(注、順列争いの代用品として権威は発達してしてきたが、バンドや村落サイズではまだ必要ない。バンド(血縁の小さな群れ)ー>村や部族ー>近隣部族の集合体としての首長国家ー>国家。権威が必要とされるのは社会サイズが首長国家以上になった時)

注意点
このことから狩猟採集段階の人類は平和で友好的だったとするのは間違い..。なぜなら現在生き残っているブッシュマンは豊かな環境から追い払われた弱者にずぎないからだ。

現在国家が存在する豊かな地域に過去に生活していた狩猟採集段階の人類が自然と戦うための協調を第一とする理由が無い。むしろ、ヤノマモ族のような好戦的な状態だった可能性のほうが高い。

ブッシュマンという呼び名は
カラハリ砂漠の先住民
名前、ブッシュマン、サン、バサルワ
ナミビワ政府の呼ぶブッシュマンは蔑称、ボツワナ南アフリカはこの呼び名を認めない。
地域ごとに呼び名が違うが「サン」が使うには良さそう。


人類最古の石器時代人として注目され、本や映画などでもその点を強調された。

失った平等社会や自然との共生など、彼らの生活は、考えさせられる部分が多い。

修正主義が遊牧民や沿岸部との交易などさまざまな影響を受けているので先史時代のサンプルとしては使えないと攻撃した。
最近の建久では、サン族の長老に対する聞き取りなどで三世代前には彼らは孤立していたことが判明した。

しかし、過去のサンプルとして使おうとする場合、問題になるのはサン族の暮らす土地が食料生産性の乏しい枯れた大地であって(敗者としてこの土地に逃げてきたか、発展から取り残された民)、現在国家のある。豊かな土地に暮らしていた狩猟民が助け合う必要があったか?という点...



歴史
1810年に(女性が一人)ロンドンに連れてこられたのが最初
類人猿と人との間をつなげるものとして動物学者が注目した。
ロンドンでサーカスの見世物にパリでは動物興行主の手で展示された。
1850年にも(男女の子供)が英国で展示された。
死後解剖されて、頭がい骨はロンドン自然史博物館


南アフリカ、博物館のサン族のジオラマ
2001年、未開性を強調しているという訴えにより撤去された。



野生のイメージは観光用..。
、現在では、観光客向けのダンスや狩猟実演など以外は、ちゃんとTシャツやズボンを着てる。(騙される観光客??)

空港で売ってる「腰布だけで弓矢を背負った観光はがきのモデル」が平素は洋服を身につけ金鉱山に出稼ぎに行き、弓矢も最近始めたばかりで一匹も仕留めたことがない。(のに狩猟民の代表のような顔をして絵葉書に...詐欺??)
「石器時代人としてのサンの表象についてー映像、観光、博物館展示ー」より




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