エデンの園の殺人(資料3)

アステカ族や未開地に住む狩猟民の食人や 嬰 児 殺 し など、現代人に衝撃をあたえた行動様式は生態学の観点から見れば明快に説明できる。

P36
「・・・余分な出産は、嬰児をほったらかしにして殺すことで抑制できたと思われる。一夫一婦制をとらない場合の人口増加率は、生殖年齢に達した女性の数によってほぼ全面的に決定されるので、女児だけをほったらかしにしておくという方法が最善だったろう。」
「石器時代の祖先は一定の人口をかくも完璧に維持することができたが、それに伴うコストもあった。それは嬰児の生命を奪ったことである。このコストは、もしそれさえなければエデンの園と見まがうばかりだったかもしれない先史世界の背景に、醜く暗い陰としてひそんでいる。」


(定住生活よりも狩猟生活のほうが死亡率が高かったとは言えない。 実際には定住生活に伴って病気がふえた。つまり狩猟民のほうが死亡率が低かった(そういう場合の方が多かった))

(赤ん坊の死亡率と出産能力)
(死亡率を高く見積もり過ぎている。幼児死亡率が50%だとしてもさらに20〜30%の間引きをしなければ人口増加率がゼロにならない。)

(旧石器時代の 嬰 児 殺 害 率 は50%だと考えられる。)

(旧石器時代の女性が短命だったのは出産の間隔をあけるための堕胎が原因だと考えられる。)

P32
「経済的・人工的に強い圧迫を受けている集団だけが、主な人口調節の方法として堕胎に訴えたのではないかと私は思う。」

「圧迫を受けている狩猟採集民のほうが 嬰 児 殺 し や 老 人 殺 し を行いがちである。 老 人 殺 し は、緊急の場合に集団の規模を短期間に小さくすることにのみ効果があり、長期にわたる人口増加を抑えることはできない。」
「(どちらの場合も)意識的な殺人というのは、恐らく例外に属するだろう。」

P33
エスキモーの老人は衰弱して自分の生活の糧を得ることができなくなると集団が移動するときにその場に残って「自殺をする」こともある。

(オーストラリアの部族には)老人が病気になると死者同然の扱いを受け、死に追いやられる。・・・

これに対して、 嬰 児 殺 し は、文字どおりの殺人から、ただほったらかしにしておくだけのものまで複雑な広がりを示している。例えば、 嬰 児 を 絞 め 殺 す 、溺死させる、岩にひどく打ち付ける、風雨にさらすなどの方法は当然見られる。しかし、もっともありふれているのは、嬰児をほったらかしにしておくことによって「殺す」という方法である。つまり母親が嬰児が病気になった時にしかるべき世話をしないとか、乳をちゃんと与えないとか、母乳で足りない分の食べ物を手にいれようとしないとか、抱いている時「誤って」落とす、といったたぐいのことである。

・・・狩猟採集民の女性は、昼間子供を連れて歩くだけでかなりの労力を要する・・・
・・・サン族の母親や子育ての四年間、採集の旅や野営地の移動で合計7800kmも子供を連れて歩くと計算した。・・・
・・・女性は一度に二人あるいは三人の嬰児を背負いたいなどとは思わない。

(この部分は人類学者がさまざまな未開人を観察した結果導きだされた。)
(戦争について考える場合は現在残っている未開人(狩猟生活や原始的な農耕)が敗者で生存に不利な辺境に押し込まれたグループだということを考慮しなければならないが、土地の食料生産力と人口、出産率の関係は環境対応だけなので先史時代の研究にもそのまま適応できそう...)

マーヴィン・ハリス
ヒトはなぜヒトを食べたか(生態人類学から見た文化の起源)


(この先史時代の解説を見ていると最近増えている 幼 児 虐 待 の増加は経済的に疲弊して生活していけないことがストレスとなって起きていると推察できる。そのため道徳とか子供への愛情とか言う方向で改善しようとしても根本原因が解消されないために有効な対策にならず失敗するだろうと容易に予測できる...)

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>古代ローマの生活誌 新生児の遺棄(資料1)
>>バンドから村落社会における戦争と人口調整(資料2)

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