ジメチルエーテル

ディーゼル自動車用燃料など幅広い用途に使用可能なエネルギーとして「ジメチルエーテル」(DME)への期待が高まりつつある。SOxや煤を出さずNOx発生量も抑制できるなど燃焼特性が良いうえ、石炭産業の存続や産炭地域再興にもつながるため、通産省は「次世代型のクリーンエネルギー」としてその開発・普及に力を入れはじめた。今年3月には「ジメチルエーテル戦略研究会」を資源エネ庁内に設置し、国内外におけるDME製造・利用の現状と技術的課題、経済性評価などの調査検討に着手。今年7月までに需要確保や供給体制整備など今後の開発・普及戦略に関して報告書をとりまとめる方針だ。

DMEは石炭や炭鉱ガス、ガス田、石油残さ、バイオマスなど様々な原料を利用して製造することができる。すでにわが国ではメタノールから生産・利用されているが、製造コストが高いため利用分野が限定されていた。このため、通産省はより高効率かつ低コストな生産を目指して、1996年度から民間会社に委託し、炭鉱メタンガスを利用した製造技術の開発に取り組んでいる。一方、DMEの用途としてはディーゼル自動車用燃料のほかガスタービンなど発電施設、ガスコンロ等民生用エネルギー、さらに燃料電池用燃料としての活用を期待。特にその燃焼特性の良さから自動車用燃料として注目されており、トラックメーカーなどを中心に燃料の改質や部品改造などの開発実験が進められている。昨年11月には世界で初めて炭鉱メタンガスからの合成試験に成功、走行試験もクリアしたという。

 しかし、自動車用燃料などに活用されるためにはまだまだ課題が多い。自動車燃料としては大先輩のメタノールも、実用化はされたが今だに普及に至っていない。これは技術的な課題以上に、車の供給や燃料供給体制の整備を含めその総合戦略に問題があったためだ。DMEも同様で、どれだけ中身の濃い総合戦略が組み立てられるかに将来がかかっている。

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