PCB処理法

   環境省は今国会に「PCB廃棄物適正処理推進特別措置法案」と「環境事業団法改正案」を提出、年度内の成立→4月1日の施行を目指す。環境省は同法案を活用して、今後10年程度をかけ、PCB含有廃棄物の無害化処理の完了を目指す方針だ。

PCBは、日本では1954年から製造を開始。68年のカネミ油症事件によってその毒性が社会問題化したため、旧通産省の行政指導により72年に製造が中止となった。その間、国内では58,000万tが生産、輸出分等を除き54,000tが高圧トランスやコンデンサー、熱媒体、感圧紙などとして使用された。このうち今特に問題となっているのは、全体使用量の2/3を占めている高圧トランスやコンデンサー。製造された39万台の高圧トランス等のうち、現時点でその保管や使用が確認されているのは、13.5万事業所の36万台で、残りの3万台近くが紛失不明となっている。一方、同処理に関しては、87年に鐘淵化学工業高砂事業所で高温熱分解処理実験が行われたが、その後地元住民の反対等により、処理施設の立地等が難航。こうした状況を打開するため、旧厚生省や環境庁は98年から処理技術の確立や各種基準等の整備を進め、昨年末「ミレニアム・プロジェクト」の一つに位置づけると、本格的な処理体制および法制度の整備、予算措置の獲得へと動き出していた。

  今回環境省が提出する上記2法のうち、PCB処理法案は全27条と付則2条で構成。@国による基本計画策定A都道府県による処理計画策定B事業者による保管等の届出・公表C一定期間内の処理義務づけ――などを規定する。廃PCB保有事業者には届け出と早期処理を義務づけ、処理を実施しない場合には県等が改善命令を出せるようにする。一方、PCB製造メーカーやPCB使用機器メーカーに関しては、環境事業団法改正により新設する「基金」への出えんを要請。この基金を、中小企業等への財政支援に活用する計画だ。

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