JCAP

JCAP(Japan Clean Air Program)とは、自動車排ガスによる大気汚染緩和のため、自動車と自動車燃料に係わる環境負荷低減技術の開発を、石油業界と自動車業界が協力して研究開発するプログラム。欧州の同様の技術開発システムをモデルとして1997年に創設された。運営主体は日本自動車工業会と石油連盟。これを通産、運輸、環境の3省庁がバックアップしている。このプログラムでは当面2001年度までを2段階に分け、@1ステップ=既存の自動車と燃料の組みあわせによる実験で排ガスを測定し、それが大気に及ぼす影響を明らかにする、A2ステップ=新規エンジンと新規燃料を開発し、その組み合わせによって排ガスに及ぼす影響を検討、その費用対効果の検証を行った上で政策提言を行う――方針だ。

 こうした両業界の連携が最重要のプログラムだが、どうも両者の関係はあまりしっくりいっていない。まず先にしかけたのが自動車業界。今年早々欧米日の各自動車業界の連名で、石油業界に対し軽油中硫黄分の含有量を現在の約1/10以下に引き下げることなどを求めた「望ましい燃料品質」の提案書を送付。これに反発した石油業界は、「連携して進めているのに一方的すぎる。自動車側こそ技術開発が遅れている。自ら果たすべき役割をきっちりとやって欲しい」という趣旨の文書を発表した。3月に清水環境庁長官は自動車と石油の各業界トップを呼んで、それぞれに技術開発の前倒しや軽油中硫黄分の早期引き下げを要請したが、その背景にはこうした責任のなすりつけ合いに対し仲裁の意味もあったと思われる。これと一連のディーゼル車に対する圧力もあってそれぞれ要請に応える方針を(3月中に)示すことになると思われるが、果たしてこの展開どうなることか。大気汚染とその健康被害にマッタはないぞ。

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