環境関連税制

  昨年12月に発表された2000年度の自民党税調の税制改正大綱と政府税制調査会答申で、環境関連で最大の焦点となっていた自動車諸税のグリーン化は見送られたものの、「環境関連税制の検討」が明記された。これを受け、環境税導入への動きが一気に加速しそうだ。

うち自民党税制大綱では、「京都議定書の目標達成など環境問題に対する総合的な取り組みを進めるため、税制面においては原因者負担を基本としつつ、環境問題全般に配慮した実効性のある施策について規制による環境対策の役割を踏まえながら、幅広い観点から検討する」、政府税調答申は「地球温暖化問題をはじめ、環境問題への関心が年々高まってきており、これに対する総合的な取り組みの一環として、税制面からの対応についても検討を行うことが必要。〜今後の税制のあり方の検討の中で、環境関連税制についても、国内外における議論の進展を注視しつつ、国・地方の環境施策全体を視野に入れた幅広い観点から検討を行っていく」と明記された。党や大蔵省ともに、この環境関連税制を消費税増税に代替する新たな財源として期待している節がある。その意味からすれば、是々非々は別にして、導入実現の可能性は極めて高いといえそうだ。

 これを受けて、自民党や関係省庁が早くも動きだした。自民党は1月中にも環境税制検討グループを立ち上げる。また、大蔵省は今年度末をメドにまとめる税調の中期答申で、環境税制導入に向けたもう少し具体的な方針を提示する見通しだ。さらに、同税実現を長年の悲願としてきた環境庁は、まず環境税研究会を再開して具体的な導入検討に乗り出す構え。これに対し、通産省や建設省もエネルギー特別会計や道路整備特定財源の見直しに動き出す。それぞれエネルギー財源や道路財源など自らの既得権益確保や「我田引水」を意図した動きともとれるが、いずれにせよ当面はこれら動向から目が離せなくなりそうだ。

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