エネルギー基本法

 自民のエネルギー総合政策小委員会(甘利明委員長)が11月末に第3次中間報告をまとめ、同法の創設を提唱した。同小委員会は、経済成長と安定供給の確保、温暖化問題などに配慮した新たなエネルギー政策の方向づけを目的として、6月より現行政策の見直しを進めてきた。第3次報告は、「CO2排出削減のための構造的対策」「石油の安定確保の重要性」「エネ総合政策について国会論議の充実」の3部構成。「国会論議の充実」を具体化する方策として、「エネルギー基本法」の制定を提唱した。現在、通産省内でそのほとんどが決定されてしまうエネルギー政策を国会審議の対象にするとともに、単発主義的に進められている現行エネルギー政策の調整手段として機能させるのが狙い。その一方で、2001年の最重要課題の一つとして激論必至のCO2 等削減対策強化に向けて、エネルギー政策優先の先手を打ちたいという深謀遠慮も、党あるいは通産省サイドにあるとみられている。エネ基本法の骨格としては、@基本理念の明示A施策の策定等に関する指針の明示B10年程度を計画期間とした長期計画の策定C各主体(国・自治体・事業者・国民)の責務Dエネルギー施策の国会への報告――などが想定されている。

 同委員会では議員立法としての提出を検討、次期通常国会にも提出する構えをみせているが、まだ法案のイメージ程度しか示しておらず、さらに今後の党内や与党間調整なども踏まえると、成立まではさらなる曲折がありそうだ。特に注目されるのは原子力と新エネルギーの位置づけ。先の臨時国会では、金のばらまき法案として批判の多い「原子力発電立地地域振興特別措置法」が成立する一方、「自然エネルギー普及促進法案」は廃案となり、結果として「原子力推進最優先」の枠組みだけがドンドン作られている格好だ。同基本法も「原子力最優先」の意図がアリアリと伺え、その行方には注視が必要だ。

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