DPF

ディーゼル車から排出されるPM低減方策として期待されているDPF(ディーゼル微粒子除去装置)の技術開発が俄然勢いを増してきた。その最大の功労者は東京都。石原知事のなかば強引とも言える装着義務づけ案が関係メーカーに火をつけた。運輸省とトラック業界が同案に批判的見解を繰り返すなか、関連メーカーは開発競争へと姿勢を転向。まさに「必要(=規制)が技術を育てる」を地で行く展開となりそうだ。

  DPFは決して新しい技術ではない。欧米では80年代後半から技術開発に着手した。日本でもほぼ同時期に技術開発に着手。早くも10年以上が経過している。しかし、国内ではまたいすゞ製が環境庁等のわずかな補助金による支援を受けて実証試験を続けている程度。2300万円ともいわれる装着コストに維持管理の手間など、とても実用化のレベルでないとトラック業界によって喧伝されている。だが、その一方で、欧米では一部メーカーが開発したDPFが普及の兆しを見せはじめた。米・台湾・香港で導入普及を進める米・エンゲルハード社のDPF、北欧の超低硫黄軽油を前提に普及を進める英のジョンソン・マッティ社のCRT(連続再生式トラップ)など。それぞれ、国際市場での実績を引っさげて日本市場への売り込みを狙っている。三菱自動車や日野自動車など国内の一部のトラック・メーカーもこうした好機をのがしてなるかと生き残りをかけて、技術開発を加速化させる方向へと動きはじめている。

運輸・環境両省庁は先月「ディーゼル車対策技術評価検討会」を設置し、これらDPF等の技術評価、費用対効果等の検証に着手した。まさしく都に尻をたたかれた格好。都は「国がどれだけ技術開発や普及に力を入れるかが大事」と当面この行方を見守る構え。結局、運輸省と環境庁のこれまでの「無策」が一層際立つ格好となった。

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