土壌環境保全対策制度 

市街地における土壌汚染をいかに把握し、どう処理対策を講じるべきか――長年の懸案課題となっていた市街地土壌環境保全対策の法制化に向けて、環境省がようやく重い腰を上げることになった。これは、「土壌環境保全対策の制度のあり方に関する検討会」を昨年12月に設置し、法制化の検討に乗り出したもの。検討会は当面月1〜2回のペースで開き、自治体や諸外国の制度と対策の現状調査や関係省、産業団体、デペロッパーや土壌浄化業界などからのヒアリング等を実施。その後、法制化に向けた基本的考え方を整理する。環境省としては、2002年の通常国会に法案提出することも考えているようだ。

 環境省(庁)は以前「土壌環境保全対策懇談会」を設け、この制度化検討を行った経緯がある。同懇談会が1995年にまとめた報告書では、法制化の必要性を指摘した上で数々の論点を将来の検討課題として提示。その後、地下水汚染対策の観点から水質汚濁防止法の改正等を行ったものの、本格的な制度化検討はこれまで手つかずの状態だった。今年度に入って、政府の行政改革推進本部・規制改革委員会が同制度の検討に乗り出し、昨年12月「法制度の是非を含め検討すべき」として論点を整理。これを受ける形で、ようやく環境省は本格議論を再開するに至った。環境省の検討会が示した「検討課題」は、@土壌汚染の環境リスクのとらえ方(調査・処理対策の発動要件等)、A汚染地の把握と土壌汚染調査のあり方(調査の対象、実施主体と費用負担等)、B土壌汚染の処理対策のあり方(実施主体と費用負担等)、C情報管理のあり方(情報の扱い方等)、Dその他(住民参加、汚染地の管理、支援措置)――など。最大の論点は、調査・対策の実施主体や費用負担の考え方。制度的には規制型と公的関与型の「複合型」が有力候補。なお、@とCに関しては別途研究会を設け基本的な考え方の整理を先行して進めており、その行方も注目される。

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