自動車長期戦略

 国土交通省は5月上旬、低公害・低燃費自動車の本格的な普及・導入策を検討するため、「環境自動車開発・普及総合戦略会議」を設置した。大気汚染と温暖化の両面から、自動車単体対策のあり方を抜本的に見直し、2020年頃までを見通した総合戦略を策定する。

具体検討は「次世代低公害車」と「環境自動車」の2ワーキンググループを設けて進める。このうち、環境WGでは、自動車単体におけるCO2排出削減目標の再評価が当面の課題。現行目標の「2010年まで450万t削減」について、可能な限りの上方修正を目指す。さらに2010年を目標とした普及戦略を策定。その際、燃料電池や天然ガス車など代替燃料車の燃料供給施設の整備促進策も示す。一方、次世代WGでは、2015年頃をにらんだ排ガス目標値を設定するとともに、2020年までの普及目標量や普及方策を提示する。こうした長期戦略を明示することにより、メーカーに戦略的な技術開発を促すのが狙いだ。

 その中で特に注目されるのが、排ガス目標値の設定方法。国土交通省には「これまでは各国の地域的課題を優先し、各国固有の事情に応じた排ガス規制が進められてきたが、世界経済のボーダレス化が進むなかで、もはや各種基準の統一化は避けて通れない。将来的には排ガス規制値も含めて日欧米の基準を統一すべき」(自動車交通局)との認識がある。すでに測定法の統一作業を先行して進めており、それが終われば排ガス規制値を統一というシナリオを描いているのだ。そうなれば現在、環境省が進めている排ガス規制方法も抜本的な見直しを迫られることになる。環境省はこの5月から中央環境審議会でガソリン車やディーゼル車の次の排ガス規制値の検討に乗り出したが、その目標時期はいずれも2005年前後。戦略会議は8〜9月頃に中間報告、1112月には最終まとめの方針だが、この内容次第では05年以降の排ガス規制の仕組みがガラリと変わる可能性も十分ありうる。

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