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[サイケデリクス]

トランスと祝祭――2CI体験について

mossa  

  秋晴れの朝。目が覚めると、直感が私をサイケデリックスへと駆り立てる。いよいよ今日なのか……。しかし今日は朝から仕事である。逸る気持ちを抑え、何とか仕事をこなして14時に会社を後にした。久しぶりの2CIなので胸がどきどきする。今日はどういうセッティングにしようかな? やっぱり、外れのないトランスにしよう。街のOpen Cafeでお茶を飲みながら、ネットでトランスをかけてるCLUBを探した。しかし夜までには、まだずいぶん時間がある。美術館でクリムトの絵画を見て夜まで待った。この絵が後の体験に作用するのである……。

  自宅にて、いつものように空腹状態で、2CI/18mg、マルチビタミン&ミネラル、スマート・ドラッグを一気に喉に流し込む。すぐに自転車でCLUBに向かった。

  店内はまだ時間が早いせいか、閑散としている。フロアの正面の席でくつろいだ。30分たつが一向にこないぞ。前回の5Meo-Diptからインターバルは10日以上空けているのに……。

  50分後、喉が渇いて寒気がする。いよいよ来たな……トランスのビートが股間を直撃する。最近どうしたんだろう?別に普段はそんな気は起こらないのになぁ。知らないうちに抑圧してるのかもしれない。考えるのはよそう、とにかく気持ち良いからいいや。

  なんだか店内が込んできたぞ。目の前のお立ち台の水着の女の子がとても美しい。クリムトの絵のように、女性の二面性みたいなものが美しく感じられる。女性って、時に理解不能になるけれども、なんて美しいんだろう。理解できないから惹かれるんだ。ああ、みんなとても綺麗だ。
  手が震えて、首筋が熱くなってきた。本格的に来た。いつのまにかフロアは人でいっぱいだ。最近は気分的に安定していなかったので、少しバットになることを恐れる。まぁ、それもそれで自分の心の反映だから、しっかりと向き合ってみよう。そう、すべてはなすがままにである。

  肩の力をすうっと抜くと、きたきた! 音の洪水だ。光がシャワーのように降り注ぐ。フロアを埋め尽くす人がつけてる蛍光色のアクセサリーが、神秘的でうっとりしてしまう。時間感覚がずれてきたので、蛍光アクセサリーが揺れるたびに、光の帯が移動とともに流れる。写真を思い出してほしい。動く光をシャッタースピードを遅くして写すと光の帯になる状態だ。それがフロアの中で無数にできる。なんて綺麗なんだろう。幻想的だ。

  眠くはないが意識が遠のいていく……いよいよ異次元に突入だ。ここからはうまく思い出せない。

  「私の探究心、好奇心は終わることがない。死ぬまでにすべてを知りたい。コンピュータ端末一台あれば、どこへでもアクセスでき、何でも知ることができる。人の心にアクセスすることも可能では?」 あれ!できるぞ、フロアの中の数人の女の子たちの中に、私の意識は入り込んでいく。具体的に何を考えているかまでは分からないが、感じていることは分かるぞ。軽いテレパシーだ。あと驚いたことに大音量のフロアの中で、10人ほどの別々の会話が聞き分けられるではないか。それに嗅覚も鋭い、さまざまな香水、シャンプーの匂い、気持ちのいい香り……とても幸せだ。ただタバコの臭いにはうんざりさせられた。

  フロアでナンパする人。一心不乱に踊る人。何もかもがいとおしくて微笑んでしまう。とても優しくておおらかな気分だ。

80年代後半のディスコ全盛期の曲がトランスで蘇る。その曲で歓喜する若者たち、私が毎週ディスコに通っていた頃を思い出す。「ああ、私の子供たち、何もかも忘れて踊りなさい。私は子供たちが好きなんだ。今、私が感じている精神的自由と、満たされた幸福感は、きっとあなたたちにも訪れる。私はただただその日が来るのを見守るだけ、安心しなさい。今はとにかく踊りましょう!」今日は祝祭である。

  私はいろんな人の諸問題を解決しようと答えを教えるが、誰もその答え通りに行動しない。あまりにも自分自身の枠の中だけで考えようとする。感情に支配されている。自分の考えている範囲なんて、なんてちっぽけなことか。それを語るが理解されない。

  そんな事をずっと考えてきたが、今やっと分かった。知識と経験しかない。もっとも知識というのは、感じる心がないと何の役にも立たないが……私は知っている。しかしそれを伝えようとすることが、もう私は何かに囚われている。そう、すべてはあるがままに悩み苦しみ、経験し、世の中を知り、日々のそういう人生のあり方が素晴らしい幸福を体験させてくれる。

  私は拘りすぎていた。何も拘らなくて良い。ある種の強迫観念に支配されていた。これは日本人には非常に多い。体験することが重要なんだ、そしてどう感じるか? 信じて見守ることが大事。失敗を次の成功の道しるべにするならば、それは素晴らしき経験である。子供たちが体験する事柄に大人は口を挟むべきではない。悲しみ苦しみが多いほど、得られる幸せは計り知れない大きなものになることは間違いない。

 私の意識は宇宙へと飛んだ。ビッグバン、宇宙の誕生。何もないところから宇宙は誕生した。何もないところからすべては創まった。何もないとはどういうことだろう? 私は物理には疎いので、その辺のことはよくは分からないが……。ただ言えるのは、何もないところからすべては創造できるのである。因果律である。そう必然なのである。不可能などないのだ。ただイメージできないだけなんだ。子供にはできる……その子供たちの素晴らしいイメージを大人たちが潰していく。さもすべてを知った風な口を利いて。このことの罪は計り知れない。新たな成長と発展は、寛容と承認が鍵を握る。

  目を開けてフロアを見渡すと、いつの間にか人が溢れている。「私の子供たち、踊ろう!祝祭だ」この溢れる人たちと共に、私の満たされた心と共に、絶対真理に向かって祝祭をあげよう。ああ、この一体感。一人一人の踊る姿が、私にはひとつの現象に思える。なんて美しい。なんて感動的なこのシーン。私はとても満足のいく映画を作り上げた監督さながらの心境で、頷きながら目を閉じた。

  神の存在を感じた。私の意識が作り上げた神様像ではなく、すべての物質、存在しない非物質。すべてを含めて、それらを創造する存在。いや待てよ、存在など関係ない。いるとかいないとか、そういう次元を超えたもの、それが神である。神などと言葉をつけるとイメージが壊れてしまうが。言葉は所詮、人間の意識レベルでのイメージに過ぎない。イメージを超えるものには、言葉を付けるとどうも可笑しい。それでも便宜上は神というが、すなわち物事の理由である。

  映画マトリックスでも再三出てくる言葉、すべての始まりには終わりがある。そう、理由が神であるように思う。なぜ宇宙はできたのか? 何もないところから何かを作る技とは? 理屈を超えた摂理。それも神であるように思う。しかも宇宙はとてつもない速さで膨張している。しかしそれにも終わりがあるのであろう……その遥か以前に地球の終わりが来るだが……悲観的になる必要などない。何かが終われば何かが始まるから。創造できるのだからね。

  理論物理学はてんで駄目なので、誰か詳しい人がいたら教えを頂きたい。サイケデリックスで感じたことを、見直しもせず文章にしているので、辻褄が合わない箇所が多々出てきているが、許してほしい。

  人間の脳から電波を発して、人の心にアクセスする事はできるだろうか? さっきテレパシーらしきものを感じたことから発展して、こんなことを必死に考えていた。そうすれば私の愛するパワーが伝わるのに。この話はやめよう、三流SF映画か、インチキ宗教家のようになってしまう。もっとも私は真剣だが……。

  私の友人などは、サイケデリックスを決めても、なかなか良い飛びができない。せいぜい考えることと言ったら、最近肩が凝るとか、どうして凝るのかといった、つまらないことに意識がいく。彼にとってはそれが潜在的に重要なことなのであろう。今はそれについて熟考すれば良い。1つ1つクリアしていかないと次のステージへは進めない。多くの人と語り、多くの本を読み、多くを感じなければ素晴らしい世界を体験することはできないように思う。もちろん多くのつまずきから学ぶことも大事だ。
  一瞬一瞬が映画のワンシーンのようで、今まで起こったことに、これから訪れる可能性に感動し、感謝し、光り輝く光と音の中で、大勢の人々と祝祭をあげた。幸せすぎて涙がこぼれた。

[サイケデリクス]