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2000.10.23
[ひとりごと]

大麻事件の被告と思想犯

 一昨日、新宿のロフト・プラス・ワンで恒例の「マリファナ・ナイト」をカンナビスト(大麻「自由化」を目指すムーブメント)主催で行った。今回で6回目。会場には100人ぐらいが集まって、大盛況だった。「マリファナ・ナイト」というのは大麻問題を真面目に考え、議論するというイベントだ。わたしはカンナビストのメンバーでもあり、酒やタバコに比べても有害性が高いとはいえない大麻について、所持や栽培を(大麻取締法に基づき)刑事罰で罰するというのは、あまりに過酷な処罰ではないか、それは不当な人権侵害ではないかといろいろな場所で訴えてきた。
 わたしは、ときどき大麻事件の裁判を傍聴しに行くことがあるが、裁判所が被告をどのぐらいの刑に処するかは大体次の4つの条件によって決まるようだ。それは被告が所持(あるいは栽培)していた大麻の量、社会的境遇(どんな職についているか、家族はいるかなど)、前歴の有無、反省の態度を示しているか否かといった項目になる。前例では僅か15グラムほどの大麻(北海道産)の所持でも未決期間を含め13カ月拘束(懲役10カ月の実刑)された人もいれば、オランダ産のハイクオリティ大麻1.5キロを密輸しようとして逮捕されたが執行猶予付き判決になった人もいる。前者は無職の男性で大麻はいいものだと法廷で主張したが、後者は幼児のいる主婦で深く反省しているという態度を示した。
 このように大麻をいいものだと主張するか、悪かったと反省するかを踏み絵にして、それで刑が大きく変わるというのは、ずいぶんおかしなことではないだろうか。わたしの知る限り、大麻事件で逮捕された人の中で本当に大麻が悪いものだと考えている人は皆無だった。刑が軽くなるためにと法廷で、自分の本音とは異なる 「嘘」を言わざるえなかったことに罪悪感を懐いている人もいる。
 戦前、国家に逆らう思想犯を取り締まる法律として治安維持法というものがあった。その法律で裁かれる被告は、自分の思想信条を貫き通すと刑が重くなり、反省して転向すると温情判決を受けることができた。
 わたしは何件もの大麻裁判を見てきたが、大麻取締法で裁かれる被告たちに、治安維持法で裁かれているのと共通するものを見るようになった。

[ひとりごと]