それはやるせない絶頂
それは恋した気怠さ
そよかぜに抱かれ
おののく森の姿
それはおぼろげな梢の
ささやく歌
ああ・・・
こんなにもさわやかな・・・
風の音とささやき・・・
鳥のようにさえずり
虫のようにしのび泣く・・・
それは風がはこぶ草原
やさしく叫ぶように・・・
君は言う
それは、まるで流れる水底の、石の音のようなゆらぎ・・・
眠るような荒野の果てに
こんなに身もだえする魂
ぼくたちは本当に?
この静かな黄昏に
低い声で
まるでつつましい祈りのように囁くのは
ぼくなのだろうか・・・
それとも君?
<ヴェルレーヌ「忘れた小曲」part1>