「TRPGは売れない」

↑、すでに言い古されて耳にタコができた(見飽きた)人は多いはずだ。

私などもうこの程度の言葉では動揺しなくなってしまった(笑)。

でもよく考えろ。これって当たり前じゃないの? TRPGのルールなんて大体4〜6人に一人しかもって無くても遊べるんだぜ。さらに、遊ぶ予定のないルールを買おうってやつはそんなにいないだろう。TRPGで遊んでる人間の数から利益を計算してるんだったらそりゃ儲からんよ。

じゃあ、将棋とかはって? あれも、2人以上の人間がいないと遊べないよな。まぁ、1/6ではなくて1/2だけど。こいつらとTRPGのルールの最大の違いは何かっていうとたぶん次の一点にあると思うね。俺は。

一人遊びができるかどうか。目的は「相手に勝つために」。

これは大きいと思うよ。勝ち負けって言う概念はわかりやすいし、誰でも負けると悔しいもんね。「負けること=つまらない」ではないというのは正しいと思うけど「負け続ける=つまらない」だとは思う。負けたくない、次にやるときは勝ちたいなら研究するし、そのためには道具がいるって訳だ。詰め将棋をやるときだって紙に書いてもできるけどやっぱり盤と駒があった方がいいってもんだ。

ところで、TRPGで勝ち負けとなると誰と誰の競争だと思う?

マスター対プレイヤーでは競争は生まれない。ほとんどのルールではね。だって条件が全然違うもん。結局、競争するのはプレイヤー同士って訳だ。他のプレイヤーのキャラクターに先んじるためにはルールブックを読み込むしかないもの。マスターがちゃんとルールを適用するならだけど(笑)。

でも、TRPGではほとんどこれができないんだな。理由は2通りある。

一つ目は、キャラクターを乱数によって生成する場合。これはどうしようもないよね。キャラクターの正当性を証明するには誰かの証明がいるからね。

二つ目は、何故かキャラクターを作り込むとマンチキン(和マンチ、データッキー)と言われてしまうこと。ついでにデザイナー自身がこのような考え方を肯定することだ。

でも、これっておかしくないか? キャラクターはルール通り作ってるんだぜ? なにも悪いことはしてない。ルールを効果的に使ったことを悪いことのように言われるのなんてTRPGくらいだ。カツカツのキャラクターを作られたらバランスを保てないなんてのはデザイナーの怠慢だ。ちゃんとバランスがとれるところまでテスト&ディベロップしてないか設計もしくは実装がダメダメかしかない。

いままで、(たぶん第二世代くらいからか?)ずーっとこういったことは否定されてきたけどちゃんと考え直した方がいいんじゃないの? プレイヤーがみんなルールを読み込めばマスターの負担だって減るぜ。きっと。ルールの説明は初めてやるときにちょっとだけだし、戦闘なんざプレイヤー任せだ(笑)。ひょっとしたらルールを読み込むためにみんなルールを買うかもしれないしね。

なんか、ずいぶん脱線した。脱線ついでにもう一つ。

TRPGのルールは高いか? 基本ルールが3000〜5000くらいが高いかってこと。Magic: the Gatheringなんかのトレーディングカードゲームと比べると間違いなく安いよね。「ちょっと待て、M:tGはスターターセットが定価でも1500円くらいだ」と言う人もいるだろうけどよく考えろ。スターターセット1つじゃとてもじゃないが遊べやしない。最低でもスターターセット2個はいる。まともなゲームがしたいならもっとだ。

俺はM:tGをやってた頃、うちのサークルじゃあんまり金をつっこまなかった方だ。間違いなく下から3本の指に入る。それでも4〜5万はつっこんだと思う。大体半年で。

じゃあ、TRPGのルールはっていうと一つのシリーズではルーンクエストかメタルヘッドが一番だ。それでもせいぜい2〜3万だろう。ちゃんと計算したことはないけどルールブックだけなら全部足しても20万行くか行かないかだと思う。大体12年位で。これは間違いなくうちのサークルで上から3本の指にはいるくらい金をつっこんでる。

えらい違いだ。間違いなくTRPGのほうが安い。なぜ、M:tGにはそんなに金をつっこんだか。つっこんだ人間が多いか。

やっぱり競争の原理が働くからだ。誰だってまず負けたくない。負けたからってつまらないとは限らないが負け続けるのはつまらない。だから研究するし、必要になるから買うわけだ。M:tGは買わせるためにもよく考えてるけどね。いくつか前のエキスパンションは使っちゃ駄目だとか、新しいエキスパンションが出たらルールが追加されてるとかね。これにはバランス調整の甘さなんかをカバーする要素があるけど今回の話には関係ないからやめとく。機会があったら書くかもしれん。

最後にもう一つ。ルールは売れないのに同じ世界を扱った小説とかリプレイは売れるってことについて。

これも何というか当たり前だよなぁ。小説とかリプレイなんかは読み物、つまり個人消費するものだもん。同じ世界を扱ってるTRPGのルールで遊んでる人間6人のうち1人しかルールを持って無くても4人くらいは小説なりリプレイを買うぜ。

少し前までは俺もリプレイとかまぁ無駄だなと思ってた。んなもん作ってるならルールなりサプリメントを出せってね。でも最近はそうでもない。リプレイなり小説で稼いだ金でルールなりサプリメントを書いてくれれば万々歳だ。

『The Lunatic』