【生物学的に・・・】

何か、この「戯れ言」の様子がおかしい。ここに書こうと思ったのは本来雑文というかそういったいい加減な話のはずなのだがなぜか重い話題になってしまっている。とはいえ、アップしているのは一つしかないので何を言ってるんだか・・・、という感じだが書きさがしの記事が2つあってそれらも十分重い。これではいけないので本来の目的に立ち返っていい加減な話題について考えてみる。

それは何かというと、多くのファンタジーRPGで出てくる人間型の種族についてである。特にキャラクターに使える人間型の種族で一般的なもの、人間、エルフ、ドワーフ、ハーフリング(ホビット、グラスランナー、ケンダー、etcと呼ばれる生きもの)についてどれが生態系の中で支配的地位にいて、過去ではどうであって、将来的にはどう推移するだろうか、ということを考えてみたのだ。ちなみに、人間以外は空想上の動物なので考察は人間を標準として行う。でないと、全てが空想上の物事のままなんの意味もなくなってしまうからね。

と、最初に書いたようなことを考えようと思った(考えかけてはいた)のだがその初っぱなで別の重大な問題に気づいてしまったのだ。それは何かというと、人間以外のこいつらは本当に存在できる生物なのか?、ということである。

【1. エルフ】

事の発端は(私の頭の中だけの話だけれども)エルフだった。エルフって奴は多くのTRPGでは美しい容姿の、高貴な森の種族で、魔法に通じていて、寿命が長く(もしくは無限の)、人間と交配可能な、人間型の種族だ。一部例外はあるがまぁ、これで押し通す。

はっきり言って、うらやましいところが非常に多い。

でも、上記の特徴の中から生物学的に意味があるのは寿命が長く(もしくは無限の)、人間と交配可能な、人間型の種族、ということである。美しいとか高貴だとかいうのはあくまで主観的な問題であって関係ないし、魔法はファンタジーRPGなら人間でも使えるのだから置いておく。寿命が長ければそれだけ勉強もできるってもんだ。

エルフは人間の亜種

まず、エルフは人間と交配可能なことから分かるように人間と非常に近縁なのだ。どのくらい近縁かというとエルフも人間も動物界、脊椎動物門、哺乳動物綱、霊長目、ヒト科、ヒト属、ヒト種、まではいっしょだ。つまり、亜種かそれ以下のレベルでの差異しかない。で、具体的に差異を考えてみる。

まず、エルフは耳がとがっている。日本では長かったりもする。目鼻立ちはすっきりしていて美しい。目は少しつり上がり気味でアーモンド型だ。体色は人間よりも薄く、体毛も薄い。背は高かったり低かったりだが華奢だ。

これらはそれほどの差異ではないことは明らかである。ちょっとした体節遺伝子の発現の違いとかそういうレベルにすぎない。でも、顔立ち等からすると人間よりもエルフの方がサルに近い形質を残しているようだ。耳がとがっているし、鼻が高い・・・これは正確には鼻が長いだ・・・。でもまぁ、共通の祖先たる霊長目の動物からのちょっとした進化の違いにすぎない。

でも、一つ決定的な差異、そして問題がある。

エルフの寿命

それは、何が問題かというとこの寿命が長いってことだ。エルフという種族はどんなルールでも大抵寿命が長い。短くて200年、長いと無限である。まぁ、数百年からは生きていて成長にかかる時間は人間と同じくらい、成人してからの時間が非常に長くて年寄りになるのも遅い、といううらやましさだ。つまり、生物学的に成熟する人間であれば18〜40歳くらいにあたる部分が長いというわけである。

これを科学的に考えてみるととんでもないことになってしまったのだ。まず、現実の地球上の動物では人間が大体100歳前後が限界である。長いのはゾウガメで200年くらい。エルフはこれよりも遙かに長い。まぁ、とりあえずなんとか説明を付けられるように努力してみる。

まず、寿命が長いと言うことだが、これはつまり細胞の寿命が長いということである。人間の細胞は約50回程度の分裂で死ぬ。これは、DNAのしっぽにあるテロメアという部分が無くなってちゃんとしたコピーが作れなくなるからだ(といわれている)が、実はこのテロメアを再生する酵素がある。テロメアーゼ(英語で言うとテロメレース)だ。人間では精原細胞なんかで発現している。だからオスは一生精子を作り続けるわけだ。また脱線したが、つまりエルフはこのテロメアーゼが全ての細胞で発現していればいい。そうすれば細胞の寿命が無くなるので細胞レベルでは無限に生きられる。

次に若い状態を長い間維持し続けることについてだ。これはまず単純に細胞の分裂が盛んかどうか、ということだ。人間では子供の間は増える細胞の数が死ぬ細胞よりも多いから成長できる。成人する頃になるとこれが釣り合うようになって次第に逆転する。だから、エルフはこの細胞の活性が人間の成人程度に高い状態を長い間維持できるというわけだ。

エルフと癌

なーんだ。簡単に説明できたじゃん。と思うかもしれない。しかし大きな落とし穴があるのだ。

それは・・・、癌である。

「はぁ?」という声が聞こえてきそうなのでちょっと詳しく説明しよう。癌という病気を簡単に説明すると遺伝子上にエラーが起きて細胞分照るが無秩序におこり、それが止まらなくなったため、周囲の組織を圧迫し、機能不全に陥らせる病気である。で、重要なのは遺伝子上のエラーが原因だということだ。細胞は分裂するときにDNAの複製を作る。元々対になっていたのを鋳型にして倍にするからもとの情報は維持できるけどたまに間違いを起こす。当然、これにはチェック機構があるけれどもそれでもたまにエラーが残る。もちろん、どこにエラーが起きても癌になるというわけではない。でも、分裂を繰り返せばエラーが蓄積して細胞が正常な機能を果たさなくなってくるし、最悪癌になる。

つまり、細胞が分裂すると言うことと癌になるということは切っても切れない関係にあるわけだ。言い換えると細胞に寿命があるのはDNA上のエラーが増えて細胞が駄目になる、特に癌化する前に排除するという自己防衛機構でもあるわけだ。だから、分裂回数が増えれば増えるほど癌になる可能性は増える。さらに、細胞の増殖が盛んであればあるほど進行が速い。人間でもお年寄りならば結構高い割合で癌になっていたりする。しかし、細胞の増殖が遅いので進行もせず表立たなかったりする。若い間に癌になるとやばいというのは細胞の増殖が盛んだからアッというまに進行してしまうからだ。

で、エルフの場合はどうかというと人間なら老人である時期を青年として生きていたりするのである。これはやばい。細胞の分裂回数は同じ程度だとすると癌化している可能性は遙かに高い。200年も生きていたらほとんどのエルフが癌になっていそうである。

これはやばい。ちょっと対策を考えよう。まずは細胞分裂時のチェックを厳しくする。とはいえ、その酵素は人間と同じであるはず(大腸菌レベルからよく保存されている)だから数を増やしてみる。しかし、これも新しく作られた側のDNA鎖がメチル化されるまでだから劇的な効果はないだろう。でも、少しはましなはずである。次に、免疫系だ。癌化した細胞は一応免疫細胞の標的となる。とはいえ、あくまで自分の細胞だからそれをかいくぐることもままある。しかし、これをちょっと厳しくしてみる。やはり劇的な効果は無いだろうけどすこしはましになる。ついでに、これによってエルフの出生率の低さの一部も説明できそうだ。精子は卵子にたどり着く前に免疫系の攻撃にさらされるけどこれが人間の比ではなくなってしまうからだ。

あらま。無限の寿命は無理だが300年程度ならOKな感じになったではないか。俺もなかなかやるな。ということで書き始める前はエルフなんざ存在できねーぜ、と思ってたけど何とかなってしまった。寿命がかなり短くなったけどまぁいいだろう。ちなみに拙作の「The Lunatic」のエルフの寿命は2000/02/18現在で1000歳である。駄目すぎるな。近いうちに修正されるだろう。

おまけ

ほんとうは、上記の説明でなんともできなかった時のために用意して置いたエルフ植物説をついでだから出しておこう。

つまり、エルフは植物だから樹木と同じで寿命が長いんだよーん、という説明をしてみようと用意していたのである。とはいえ、結論からいくとこれも駄目なのだ。もちろん、植物だというのだから人間と交配可能というのは無しである。

で、植物だとするとエルフは次のような生物になるのだ。まず、体は緑色である。もしくは赤くても良い。紅藻類とかがいるからね。消化管はないが口から水とミネラルを摂取する。二酸化炭素をとりいれて酸素を吐き出す。が、呼吸器系は必要なく直接皮膚で行う。

ここまでは上手く説明できるのだがこの先が駄目なのである。

まず、植物があれほど巨大に、また長い寿命を持つことができるのは体の構造が動物に比べて単純であるからだ。つまり、エネルギーを作り出す葉っぱ。水を吸い上げ養分を運ぶ維管束、あとは成長に必要な成長点の細胞、である。幹を形成する部分はそれほど重要ではない。少なくともある程度駄目になっても植物の生命を維持するのには影響しない。

しかし、エルフは動物のように動けなくてはならない。そのために動物並に多様な組織が必要だ。単純に考えても、体を動かすための筋肉、それを支える骨格系、迅速に指示を出すための神経系、運動に必要なエネルギーを効率よく運搬する循環器系が要る。このうち最初の3つは植物にはない。循環器系は維管束を使えば良さそうだがあんなにゆっくりとしていてはいけない。さらに、植物のように体があまり重要でないというわけにはいかないのである。木であれば幹に大きなうろがあって、穴があいていても生きてゆけるが動物のように運動するとなると駄目である。

更に、植物となったエルフは森に住んでいては駄目だ。十分な日光を得られずに生存競争に負けてしまう。生活に適した場所は平野部が一番だが人間にやられてしまう。なんといっても奴らは数が違う。以外と適しているのが砂漠だ。なんといっても自分の脚で動けるのだから水を求めて徘徊できるではないか。何ならサボテンなどの他の植物から水を奪えばよい。さらに日光は十分すぎるほどある。エルフがC4植物であれば完璧だ。

しかし、これではエルフというより怪奇!サボテン人間という感じだ。

【2. ドワーフ】

エルフと来たら次はドワーフである。でも、寿命の問題はエルフの方でけりが付いているからドワーフの方でわざわざ論じることはない。体格の違いについても同じように体節遺伝子の発現の差で良いだろう。エルフの方では飛ばしてしまったが赤外線視覚があることは単に視細胞が興奮する波長域が人間とは違うだけである。多分、人間とは見えている風景が違うはずだ。

なんだかあまり問題はなさそうに思える。じゃあ、何が問題かというとそれはドワーフが耐久力の強い、力も強い、頑丈な種族である、ということである。事の発端はドワーフという種族がほぼ完全な地下生活を営むということにある。かつ、人間と近縁である点だ。でも、この話はややこしくなるので後回しにして簡単なところからケリをつけよう。

ドワーフは酒に強い

まず、ドワーフといえば大酒のみである。そして非常に強い。ルールによってはドワーフの主食は酒だ、等と言っているものもある。当然、人間にはこんなまねはできない。アル中への道をまっしぐらである。でも、この解決法は割と簡単にけりが付いてしまう。つまり、ドワーフがアルコールを人間より効率よく分解できればよいのだ。人間でのアルコールの分解経路は二段階に分かれる。一段階目ではアルコールからアセトアルデヒドにする。二段階目ではアセトアルデヒドから酢酸にする。酢酸はそのまま体使われる事になる。要するにこの活性が高ければ良いのだ。簡単である。

ドワーフは病気に強い

次、病気に強い。なかなかの難題である。まず、ドワーフはものによっては人間の病気にはかかりにくいはずである。ドワーフと人間が交配できるという話は聞かないのでドワーフと人間は種のレベルで異なる。ということは、人間の細胞表面に有るたんぱく質、糖鎖などを感染に必要とするような病気にはかかりにくいはずである。また、バクテリアなどの場合でもこれらが産生する毒素などがドワーフの体内で産生されるたんぱく質などには作用できない、しづらいのであればよい。このくらいは種が違うのだから問題ない。しかし、良く考えるとこれはドワーフが人間の病気にかかりにくいのであってドワーフの病気には関係無いのである。逆にいえば人間はドワーフの病気には強いのである。

これでは問題の解決になっていない。もちろん小説などの話だけであればこれで片付けることも可能だろう。しかし、TRPGの場合はそうはいかない。少なくとも冷徹な数値で評価されているのだ。しかし、これにも解決策があった!

それはドワーフの生活環境である。一般的に彼らは地下生活を送っているとされている。これは、はっきり言ってあまり環境がよくない。なんといっても、地下では湿気がたまるし日の光が届かないしバクテリアなども繁殖しやすい。もちろん、彼らはその優れた技術力で何とかしていることは間違いないだろうが元々は地上生活を営んでいた生物(霊長目ヒト科)である。地下に住むようになった頃はこれらの悪環境に悩まされたに違いない。あの閉鎖性の高い地下では伝染病などが流行ったらあっと結う間に広まってしまう。しかし、彼らはそのような環境下で生き延び繁栄して現在に至ったのだ。つまり、病気などには強い性質をもつものだけが生き延びて現在に至っていると考えて間違いない。なぜ病気などに強いか、という理由ははっきりとは示せないが強くなければ生き延びられなかった環境で生き延びたという淘汰の歴史から強いことだけははっきりとする。

ドワーフは毒に強い

次、毒物にも強い。まず、一括りに毒物といってもいろんな種類がある。タンパク質、アルカロイドなどの化学物質、重金属、etc。それぞれに対して体内の応答も異なる。同じようにはいかない。また、毒物が体内に取り込まれる方法についても、消化器系から、呼吸器系から、循環器系からとある。

まず、消化器系から取り込まれる毒物の場合、消化器の内壁を直接傷つけるのでなければ一度肝臓に送られて解毒される。だから、蛇毒なんかは飲んでも効かない。しかし、毒物があまりにも多かったりして肝臓の能力を超えると肝臓が障害を受けて重大な症状を引き起こす。また、肝臓で処理しきれずに血中にでてしまうとやはり作用してしまう。・・・!!!。

ドワーフは酒に強い。これはアルコールを分解する機能が高いことにしたが同時に肝臓が発達していてもおかしくはない。というより、そのはずである。つまり、人間よりも大きな肝臓を持っていればそれだけで毒物が効きづらくなるではないか! なんだ、消化器から取り込まれる毒物はこれで良い。

次に循環器系つまり血液から取り込まれる毒物である。ものにもよるが、免疫系によって対処できるものであればドワーフが病気に強いことから何とかなりそうだ。ドワーフが病気に強いことの理由は特定しなかったがその理由の一つに免疫応答能力が高いことはあげられると思う。だから、これと同じ仕組みを使える毒物には強いはずだ。たとえば蛇毒などは血清をうつと何とかなることからもわかるようにこちらの分野である。

最後に呼吸器系だが、これも直接肺や気管の内壁を破壊するようなものでなければ血中に取り込まれてから作用する。つまり、あるていど血管から取り込まれて作用する毒物と同じ機構で対抗できる。

意外に簡単に片が付いてしまった。

後回しにした問題

ここまでは、かなり順調にきた。しかし、先送りしてきた最大の問題点が残っている。それは何かというとビタミンDだ。

なぜビタミンDかというと、ビタミンDは骨格の形成に重要な影響を及ぼす物質だからである。ビタミンDを摂取できないと骨が形成不全になる。でも、これは問題ではない。ビタミンDは食物から摂取できるからだ。しかし、ビタミンDは摂取したそのままではだめで日光に当たらないときちんと作用する形にならない。人間でも子供の時にビタミンDを摂取できなかったり、日光に当たらなかったりするとクル病という骨格形成不全からくる病気にかかってしまう。そして、これまで何度もでてきているようにドワーフはほぼ完全な地下生活を送っている。つまり、日光の届かない世界に住んでいるわけだ。これでは骨太で頑強なドワーフにはなれない。

解決策を考えてみよう。まずは、ドワーフには日光浴の時間がある、というのはどうだろうか。うーん。何というかあまりにもドワーフのイメージからかけ離れてしまう。でも、ドワーフは人間などとも交易があったりするのでそのような用事がある時には外に出てゆくことで日光を浴びることができる。しかし、子供の間はあまり機会はないだろう。そして、骨格形成に関して重要な時期というのは子供の間であるのだからこの程度のことではダメだ。

・・・。そういえば、活性型のビタミンDはビタミンDを摂取してから日光に当たるという方法以外にも干物とか乾物のようにビタミンDを含む食物を日光に当てて作るものからも摂取できる。そういえば、ドワーフという種族は酒が好きだということ意外については食物に関する嗜好は聞いたことがない。じつは、このあたりの食物が非常に好きなのかも。酒飲みだしな。

なんか、うまく説明を付ける方法が見つからないのでこのあたりでうやむやにしてしまおう。

【3. ハーフリング】

さて、ファンタジー世界における人間型種族の二大巨頭が片づいたところでそのほかの種族の話を片づけよう。で、おそらく第三位に入るのがハーフリング、ホビット、グラスランナー、ケンダー、などと呼ばれる種族だ。もちろん名前が違うことからもわかるようにこれらはそれぞれ別物だということもできるが実によく似通った性質を持っている。それは・・・

である。そういうわけで同じものとして扱うことにする。表現としてはハーフリングと統一する。

ハーフリングは人間かエルフの幼若型

で、この中で上記のエルフ、ドワーフの説明をしてきたような観点から個体としての性質で重要なものというのは「小型の人間型種族である」という点くらいしかない。そして、これに対しての説明は非常に簡単にできる。単純に人間かエルフの幼若型として固定した種であるということだ。

で、どちらかというとわりと難しい。一般的に寿命としてはエルフよりは短いし人間よりは長い。これをかんがえると人間の幼若型であると考えた方がわかりやすい。しかし、耳の先が少しとがっていたりする形態的なものを考えるとエルフの幼若型であると考えた方が良さそうな気もする。まぁ、この辺から考えると人間とエルフの共通の祖先の幼若型から進化したのと考えるのが妥当だろうか。

ハーフリングは丈夫

あとは、ハーフリングが丈夫な種族であることだろうか? これもドワーフに比べれば簡単だ。これらの種族は異種族に混ざって生活していることからハーフリングの病気にかかる前に人間やエルフなどのそのほかの種族の病気にかかる可能性が高い。そして、これらの病気がハーフリングにはかかりづらいのであれば自分たちの種族に感染する似通った病気に対する免疫を獲得できるというものである。牛痘と天然痘の関係のようなものだ。そして、ハーフリング同士は放浪していて自分たちの種族の病気を一気に広まらせることがない。

ホビットの足の裏

まぁ、ハーフリングの生態的地位という点には考察すべき点は多いけど形態的、性質的にはこの程度のことしかない。っと、ひとつあった。

それはホビットには足の裏に毛が生えているというものだ。ホビットがヒト科の生物、いや哺乳動物綱である限りありえない。人間や猿はもちろん、犬や猫、マウスなどの齧歯類に至るまで足の裏には毛が生えていない。非常によく保存された性質だといえる。は虫類までいけば足の裏に鱗が生えている。そして、毛、羽毛、鱗は起源を同じくするのでホビットがこの段階から別系統の進化をした種であると考えれば足の裏に毛が生えていても問題ない。でも、やっぱり無理な説明だろう。なぜなら、ホビットのほかに足の裏に毛が生えた犬や猫、マウスのような種が見つかっていないからだ。

【4. その他】

一応、一般的によく見られる種族に関する考察は終わった。ついでだから拙作の「The Lunatic」のキャラクターに使える種族に関してもちょっとだけ考察しておこうと思う。

ノーム

まず、ノーム。はっきり言って全然問題がない。ドワーフの幼若型であるという程度にすぎない。ドワーフほどの免疫力がないのは生活環境がよくなったため退化したのだろう。

リザードマン

次、リザードマン。間違いなくは虫類から進化した別系統の種族で問題ない。ただし、恒温動物だろう。現存のは虫類は変温動物だが恐竜がいた時代には恒温動物としての性質を持ったものがいたようだからそのあたりから進化したのだと考えればよいだろう。

ユーウォーキーとケンタウロス

これらは非常に古い時代に枝分かれして進化した生物だということははっきりしている。理由は四肢の数がちがうからだが、これは魚類の時点から変わっていない。というわけで脊索動物から魚類に進化した時点で分岐しているということでよい。

それで、ユーウォーキーにゆくのだが実際に飛べるのか?ということをおいておけばあまり問題はない。

実は問題が多いのはケンタウロスなのだ。

ケンタウロスの下半身が馬なのはまぁいい。広大な平原地域で進化したならば馬と同じような形態になることは全然問題にはならない。また、上半身が人間の様になるのも中肢と後肢で起立できるようになり、前肢が余るために手として進化し、上半身が上に立ち上がっていた方が情報を獲得しやすいからそのような形態が淘汰の関係で残ったとするので問題はない。

じゃあ、なにが問題かというと内蔵の位置だ。ケンタウロスには人間の上半身の部分と馬の首からしたの胴体がある。これを馬と人間に照らし合わせると内蔵が重複してしまうのだ。そしてこれは起こり得ない。ということで内蔵の位置を考えてみる。

まず、心臓は体の中心に近い位置にあった方がよいので馬の胸のあたりだろう。運動量から考えても馬の胴体の方がより多くの血液を必要とするだろうから妥当である。しかし、より高い位置にある脳にも血液を送る必要があるから人間の胴体の心臓のあるあたりで動脈が心臓のようにビーティングして血液を押し上げる仕組みがあるはずだ。たしかキリンがこのような仕組みを持っていたはずである。

次に、消化管である。ケンタウロスは人間よりも明らかに巨大な体を持つ。まず、胃は人間の胴体の体腔のあたりをほとんどしめているだろう。また腸は馬の胴体に当たる部分の大半を占めているとみてよい。これだけ長大な消化器系をもてば栄養分の吸収率からもかなり優れている。

そして、肺。これは人間の胴体の胸の位置にあると考えられるがこれだけでは心臓から肺までの距離が長くなりガス交換の上で不利になる。とすると、馬の胴体の方にも肺をもっていてもよいだろう。そしてどちらかというとこちらがメインの肺で人間の胴体の方にあるのは運動量が上がったときの予備てきな役割になる。

肝臓やその他の内臓はやはり馬の胴体の腹部にあるだろう。まぁ、何とかなりそうだ。

以上で各種族の個体に関する考察は終わり。長くなったので各種族における生態的地位と今後繁栄に向かうのか絶滅に向かうのかという話は次回に持ち越し。

『The Lunatic』