「キャラクターの設定の補足、等」

今回の「キャラクターの設定」は自分でもいまいち分かりにくいことを書いているな、と思ってたらやはり友人からメールが来た(彼は毎回送ってきてくれるのだが)。それでちょうどいいのでそのメールを引用して補足などを行っておこうと思う。

妥当なキャラクター設定とは

僕の中での考え
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キャラの設定をして、GMがそれにスポットを当てたとき(特にキャラ設定が行動指針を含むようなモノでかつ他のキャラに影響を与えるモノの時)そのキャラ設定に固執することをセッションメンバー全員が良しとしない限りキャラ設定をした意味がない。

そこでの、キャラ設定に固執することに依るセッション失敗は十分あり得ることとしてセッションに望むべきである。
そうしないなら、キャラ設定を行わないか曖昧なままで行う方がよい。

あえて言うなら、深淵、天羅(?)などはキャラ設定の暴走があり得るセッションを提案している。(言い換えるなら、上のシステムの時は暴走が起こりえるとして、セッションを始めるべきである。)

他の、システムにおいてキャラ設定をルールに盛り込んでいないモノはその様な暴走セッションを提案していない。(その様なシステムでキャラ設定を行ったなら暴走の心構えが出来ていないプレイヤーが参加する事になる。)

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キャラ設定で良しと思えるモノ

・好み(ガープスで言うとこの癖程度のモノ)
・NPCだけが絡んだ、過去の設定(シナリオソース用)
(ただし、ここから行動指針とかには持っていってはいけない)

深淵、天羅(?)などでは上のに

・行動指針(に関する過去)
・譲れない点

などが入ると思います。

まず、一番上の文章「キャラの設定をして、・・・キャラ設定を行わないか曖昧なままで行う方がよい。」についてであるが、まず、セッションを崩壊させるほど設定に固執してはならない。これはプレイヤーの態度がすでにおかしい。他のプレイヤー(キャラクターではなく)やマスターに迷惑をかけてはいけないのである。
キャラクターの設定の最も重要な用いられ方というのは、それを見たマスターもしくは他のプレイヤーがそれを利用するという点にある。つまり、設定があり、それをそのプレイヤーが尊重して行動するのであればそのキャラクターがシナリオにおいて必要とされるときにマスター、他のプレイヤーがそのプレイヤーを引く(それも強力に)ことができるのである。そして、キャラクターの設定を必ずしもシナリオの中心として考えることはないと言うことである。このような利用の仕方をする場合些細な設定であっても意味を持つし、逆に重要な設定であってもそれほど気負うことなく使えるはずである。また、十分に役立つ。

次に、キャラクターの暴走、以下の2段落についてだが、キャラクターが突っ走った場合、それを止めるような要素を持つシステムを私は知らない。ここで例に挙げられている天羅万象、深淵についても一人で(複数の場合もあるだろうけど)どんどん話を広げてゆくキャラクターを抑制する方法というものは存在しない。それがキャラクターの設定に絡むならばなおさらである。特に天羅万象のようにキャラクターの設定を用いることによって利益が得られるようなシステムであれば逆に止まりにくい。深淵もそれほどではないにしても同様であろう。
暴走よりも危険なのは設定に固執するあまりセッションが停滞することである。(おそらく、上の引用で言われている“暴走”はこのような状況をより意味していると思う)で、このような状況に陥らないためには設定以前にプレイヤーはシナリオの目的(ここで言うシナリオの目的というのはミッションの達成ではない。シナリオの目的と依頼内容などのミッションとは必ずしも一致しないからである)を認識している必要がある。シナリオの目的が認識できていればキャラクターの設定との間で融通を利かせる必要があるし、そうしなければならない。出来ないのは単なる我が儘であろう。そして、設定とシナリオの間に葛藤があるならばそれを何とかすることで物語になるのである。
また、シナリオの目的を認識していて、それを達成しようとする上でキャラクターの設定によってシナリオをどんどん展開させるのであればこれは問題にならないはずである。逆に、セッションにおける他のキャラクターに対する牽引力になる。

最後にキャラクターの設定として勧められるものについてだが、キャラクターの設定に勧められるもの、勧められないものというものは基本的にルールによらない。「深淵、天羅などでは」以下で挙げられているようなものを他のルールで設定しても問題ないはずである。天羅万象の因縁はほとんどの場合は他のプレイヤーのキャラクターと絡むためや、NPCとキャラクターの接触点として利用されるし、深淵の運命はルール上での強制力を持たない以上プレイヤーが意識して使わない限り(無視するならば)全く機能しない。使うことによって少々のメリットがある以外他のルールで設定を持った場合と差はない。
また、過去の設定だが実際に動くNPCに絡むものだけである必要はない。過去の設定がキャラクターに対して影響を持ちうるのはそれが直接絡む場合だけでなく、類似した状況や容姿の似た別人等も十分使える要素になるからである。そして、類似した状況を無視できなくなったりするのはキャラクターの考え方にその過去の設定が直結するからである。その手の設定が意味を成さないのはプレイヤーがそれを使う気がないからであろう。

キャラクターの設定というものは自分のキャラクターを中心に考えて問題ない。それどころか自分のキャラクターを中心に考えるべきである。理由は簡単だ。現実に生きている我々も自分の過去や、自分にとって譲れないことなどは自分自身を中心にしか考えていない。他人を中心に自分の行動基準や考え方などを決めているものはいない。例え、誰かのためなら死ねると考えていてさえもである。
これではキャラクター(プレイヤー)は好き勝手やるばかりでむちゃくちゃになると思うかもしれない。しかし、現実の我々は自分の行動規範や考え方などは自分を中心に考えているにもかかわらず、他人や世間とはそれなりにうまくやっている。それは、少なくともある程度他人のことを考えて行動しているからである。これは、TRPGのキャラクターにとっても同様であることは言うまでもない。つまり、他のプレイヤーのキャラクター、重要なNPCあまり重要でないNPCに対しても同じ様な考え方を持っていればそんな無茶は起こらないはずである。そして、少なくとも他のプレイヤーのことを考えていれば例え設定をかなり細かく設定してあったとしたところで問題にはならないだろう。
つまり、設定が生かされるかどうかということはそれを扱う人間にかかっているということである。
そして、キャラクターの設定というものは理想的に使われるならばマスターとそのキャラクターのプレイヤーだけが利用するのではない。他のプレイヤーにとっても利用されるべきものである。

記事での言及の甘さへの指摘

ですので、神尾君のページであくまで「設定を行う」としか提案されていないのが残念です。
システム(セッション)によって何処までの設定をすべきかを載せて欲しかった。

これに関しては自分がルールをデザインする上でも明確な考えを持っていない部分なので現時点での考え方になるが、今のところ次のように考えている。

キャラクターの設定、特にキャラクターの過去や気質、考え方といったような文章で表現せざる得ない部分に関してはルール側で如何に設定しようとも、それをマスターやプレイヤーが尊重しない限り全く意味を成さない。逆にルールに書かれなくても設定を重視するならば十分な意味を持つ。
と、これでは答えにはなっていないのでもう少し説明しよう。

例えば、天羅万象や深淵といったかなりルール側で設定を強要されるルールでも、その設定を全く使わなくてもゲーム自体は成り立つはずである。例えば天羅万象の「業システム」をほとんど機能させず最初にもらえる気合いを単なるヒーローポイントとして使用してもゲーム自体は成り立つ。深淵でもプレイヤーもマスターもキャラクターの「運命」を無視してセッションをしても他のルールだけで一応機能する(「夢歩き」はカードによる単なるヒント出しとして使うことになるだろう)。セッションがとてもつまらないかどうかは別として、だが。
逆に、ソードワールドのような基本的にキャラクターの設定を考えることを要求しないルールでも、考えた設定を尊重するのであればそれはキャラクターに対するマスターからの引き、シナリオソース、プレイヤーがキャラクターを行動させるための指針として十分に役立つはずである。

つまり、「ルールでどれだけのことを要求するか」というのは実際のところあまり重要ではないと思う。ルール側でキャラクター設定をどの程度のすべきであり設定の内容にはこれこれこういうものがある、と細かく決めて意味があるのはそのシステムを使う上でプレイスタイルを制限したい場合だけだと思う。例えば、深淵であれば冒険者(というかキャラクター達のように旅をしているもの、旅をせざる得ないもの)にかなり暗い過去や奇妙で神秘的な設定が成されるのは深淵のそういう世界観をプレイスタイルに強制したいからだろう。

ただ、キャラクター設定をルールに絡ませる場合、採るべきでない方法というのはある。それは、GURPSの様に不利な設定を能力値やスキルなどの明確な数値データと同列に扱い、その不利な設定を回避する手段を与えることである。なぜなら、基本的にマスターは全てのキャラクターの全てに設定をセッションに反映させ続けることは不可能だし、回避する手段がある以上その設定が無意味になってしまうことが多々ある。つまり、キャラクターを強くするためだけの本来の意味を反映できない数値と化してしまう可能性が非常に高いからだ。例えば「足手まとい」などは50cpもあればそんなに守ってやる必要はないし、マスターもその設定を利用したセッションばかりをやるわけにもいかない。「敵」で出現の確率が100%でないならば(それこそあまり高くない場合)毎回、敵が出現することを考慮に入れてシナリオを組むのはかなりの負担だし、敵の出現を想定しないシナリオで出現した場合は、ちょっとだけ出ておしまい、ということも多いはずである。精神的な特徴などはIQの高いキャラクターにとってはないも同じである。
従って、キャラクターの設定に関わる部分は能力値や技能といった明確に数値化されたデータからは切り離して考えるべきである。

逆に、設定を用いることによって有利な状況が得られるようなルールでは数値にある程度絡めても有効に機能する。設定を用いればキャラクターが有利になるのだからプレイヤーはそれを有効活用しようとするのは当然だからだ。このような例の最も明確なものは天羅万象の「業システム」だし、深淵の「縁故」はこれに当たるだろう。深淵の「運命」はもう少し複雑だ(運命に絡むとキャラクターは状況がやばくなっても引き返せなくなったりすると言う不利な点も同時に持つ)が、「夢歩き」によって情報が得られるためある程度利用せざる得ない。

本題とはずれてしまったが、ルール側におけるキャラクター設定の数値化という面での線引きはこの程度ではないかと思う。

しかし、ルールがマスターのセッション運営、シナリオの構築を援助しようとするならばどの程度までキャラクター設定を決めてあると楽かというのはあると思う。
個人的には、次のようなことが決まっているとマスターとしても、プレイヤーとしてもキャラクターの設定を利用しやすいとおもう。
キャラクターの基本的な物事の考え方(例えば、権力に対して反抗的だとか、他人はあまり信用しないが一見普通につきあってるように振る舞う、とか)をある程度決めておく。しかし、それに対して絶対的に固執する事はないという程度で(つまり、相手や状況によっては少々の融通は利かせる)。
過去の重要な出来事とそれに関連した人物(人物に対しては自分のキャラクターとの関係が重要でそのほかはどうでもいい)、その出来事によって起きた考え方の変化を決めておく。過去の重要な出来事は私の"The Lunatic"や"Rune Quest"の様に職業を転々と出来るようなルールであればその転換期に起きたことを考えるだけでも結構思いつくと思う。特に、その変化が大きなものであれば必ず何らかの出来事や心境の変化があるはずである。変化に対する理由付けをするだけで十分だろう。基本的に職業がずっと一緒だったり、個別にスキルだけを修得するようなルールでもファンタジーであればほとんど冒険者という立場をとることになるのだから、以前の立場から何故冒険者などという流れ者になったのか、ならざる得なかったのかを考えてゆけばそれなりのものは出来るはずである。
逆にこの程度以上の細かいことを設定するべきではないだろう。身動きがとれなくなる可能性がある。

実際のところは、そのセッションを行うマスターの要求するレベルということだろうが、個人的にはこのくらいの設定を行っておくことが望ましいと思う。

『パーティを捨てよう』と矛盾するのでは?

 後、何か最後の方が、少し前の「パーティーを捨てよう」に相反するモノのような気がしますが気のせいでしょうか。

「キャラクターの設定」の内容はこういう印象を与えるのではないか、と少し自分でも思っていた。そう思っていたらやはりきた。自分で、ちょっとな・・・、と思うようなところはやはり他人も気になるものである。これは、このようなパッとしない文章を書いた自分の不徳の致すところである。
それで、おそらくそのような印象を与えるのは次の部分だと思う。

 TRPGにはキャラクターの設定以前に重視すべきことがあるはずである。そのうちの一つが仲間同士協力すると言うことであろう。べつに、四六時中一緒にいたりしろと言うことではない。しかし、なれ合うのがイヤだと言っても最低限やっておかなくてはいけないことがあるはずだ。一つは他のプレイヤーのキャラクターと知り合っておくこと。もう一つは協力しなくてはいけないときには協力することである。

この、キャラクター同士知り合っておくことと言うのは特に問題ないと思う。マスターも一応そのようにし向けるだろうし、プレイヤー側に何か考えがあればそれはそれで問題ない。
問題はその次の「協力しなければならないときには協力すること」であると思う。
「パーティーを捨てよう」では次のように書いている。

RPGはシナリオをクリアすることが目的ではないし、キャラクターが十分強く自由に行 動できるだけのものを与えられているならばわざわざパーティーを意識する必要もないということが重要なのである。

しかし、その前には次のようにある。

他のキャラクター達と知り合わなくてよいわけではない。知り合わないままでは、シナリオの進展も困難だし、マスターも大変だ。知り合った上で、個々のプレイヤー(キャラクター)が自分のキャラクターを中心に人間関係を考えてみるべきなのである。そのうえで、仲間として行動するのか、当面反目するのかを決定すればよい。 実際は知り合うタイミングもロールプレイの一環であるから全員が一斉に知り合う必要もないし、逆に最初から知り合いでもかまわないだろう。

そして、このようにもある。

プレイヤーがが自分のキャラクターの行動に責任を持ち、キャラクターが自由に動くようになれば、セッションはマスターがシナリオを語るだけではなく、プレイヤーも与えられたシナリオをクリアするだけではない、より活発で刺激的なものになる

つまり、「パーティーを捨てよう」でも自分勝手にやってよいとは書いていないのである。今回の「キャラクターの設定」も「パーティーを捨てよう」も、あと「マスターはしんどい」も結局は同じことを言っているのだからそうなるのは当然といえば当然である。この3つを通して言っていることは基本的に「キャラクターは好きなように動いてよい。しかし、それに対する責任は持つ必要がある。また、可能な限り、設定や行動を用いてセッションを発展させる必要がある」ということなのである。
ただ、今回の「キャラクターの設定」は話のスケールが小さい。現状でキャラクター設定がキャラクターの行動をいかにして誘導するのか、また、何故キャラクターの行動を誘導するべき設定がキャラクターの行動を必要以上に抑制し、さらにセッションすら停滞させてしまうのかということについて書いたにすぎない。逆に、「パーティーを捨てよう」は設定を生かし、更にそれをプレイヤー側からセッションに提示し、セッション自体を発展させるというアグレッシブな内容である。「パーティーを捨てよう」の内容は「キャラクターの設定」の内容などすでに分かり切った上での話である。
本来内容的には逆の順番に来るべきだったのだが。こればっかりは書きたいことを思いついた順番に書いているから仕方がない・・・(本当は順番も考えた上で書くべきなんだろうけど)。

p.s.
 しかし、長い補足だな(^_^;)
 本文の2.5倍ほどもある。

『The Lunatic』