DicelessRPG コアアルール
DicelessRPGはその名の通り、判定やダメージ算出などにダイスやトランプなどの乱数発生装置を使用しないシステムです。基本的に非常に簡潔なシステムで、比較的簡単にプレイすることができます。コアルールだけで世界設定などは存在しませんが、基本的に現代物のホラーなど一般人が主人公になるシナリオに向いていると思います。逆にあまりヒロイックなことは起きづらいため、戦闘を重視するファンタジーや超人が主人公になるようなシナリオには向いていません。
1998.02.24 初版
2015.11.14 加筆、修正
1.キャラクターの制作
1)能力値の決定
キャラクターはそれぞれ、”肉体”、”知恵”、”精神”、”財産”、”美貌”の5種類の能力を持っています。この3種類の能力に、12点の能力値を振り分けてください。ただし、最低値は1点、最高は5点です。
能力値は様々な判定においてその基準として使用されます。数値が大きいほど優秀であり、小さいほど無能であると言う事になります。
以下にそれぞれ能力について説明します。
- 肉体:キャラクターの力の強さ、敏捷性などの肉体的な能力を総合して表します。
- 知恵:キャラクターの頭の良さ、機転を総合して表します。
- 精神:キャラクターの精神的なタフさ、冷静さを表します。
- 財産:キャラクターの財産、社会的地位を示します。
- 美貌:キャラクターの外見の美しさを示します。
2)その他
その他、キャラクターの名前、職業、性別、身長、体重、血液型などは自由に決定してください。
2.行為判定
1)行為判定
行為判定とはキャラクターが何か行おうとした時、それが成功したか失敗したかを判断するためのものです。この判定の事を通常”チェック”と呼びます。チェックは以下の様な手順で行います。
- マスターが”目標値”を決定します。目標値とはその行為の難しさを表す数値で、数字が大きいほど難しい行為であると言う事です。目標値は、その行動の難しさが明らかならばプレイヤーに教えてください。難しさが分らないような行為ならば教えないでください。
- 行為を行うキャラクターが判定を行います。判定はその行動に相応しい能力を使用し、その能力値に”できるポイント”、”できないポイント”の修正値を加え、その数値がマスターの決めた目標値以上であれば成功です。目標値未満であれば失敗になります。なお、チェックの際の能力値に”できるポイント”できないポイント”を加えた値を”達成値”と呼びます。
2)目標値の目安
どの程度の難しさであればどのくらいの目標値であるかを以下に示します。
目標値 | 目安 |
---|---|
1 | 誰にでもできる |
2 | とても簡単 |
3 | 簡単 |
4 | 普通 |
5 | 少し難しい |
6 | 難しい |
7 | とても難しい |
8 | 非常に難しい |
3)できるポイント、できないポイント
プレイヤーはチェックの際に「できるポイント」、「できないポイント」を使用して達成値を増減することができます。それぞれのポイントの使用は次のルールに従います。
- 「できるポイント」を1点使用すると達成値+1します。
- 「できないポイント」を1点使用すると達成値-1します。
- 「できるポイント」は1回のチェックで何点でも使用できますが、「できないポイント」は最大でチェックに使用している能力の能力値までしか使用できません。
- 「できるポイント」を使用したら使用した「できるポイント」と同じだけの「できないポイント」を獲得します。逆に「できないポイント」を使用したら使用した「できないポイント」と同じだけの「できるポイント」を獲得します。
1>ゲーム開始時の「できるポイント」、「できないポイント」
「できるポイント」、「できないポイント」はゲーム開始時にマスターが決定して与えます。
いずれのポイントを何点与えるかはシナリオによって変化しますが、「できるポイント」と「できないポイント」の合計はマスターがそのシナリオで最も難しいと考える判定の目標値程度を上限としてください。
2>仲間で協力する
プレイヤーキャラクターは味方のために自分の「できるポイント」を使うことができます。味方のために「できるポイント」を使ったら対象の達成値に使用しただけのポイントを加えてください。反動で発生する「できないポイント」は「できるポイント」を使用したプレイヤーキャラクターに加算します。
4)対抗判定
2人以上が行為を競い合う場合、それぞれの達成値を求め、その数値の大きさを較べます。チェックは達成値の大きい方が勝ちとなります。ただし、達成値は同時に明らかにする必要がありますので、対抗判定を行う全ての者は紙などに達成値を書いて同時に明らかにしてください。チェックの結果数値が同じであった場合は、引き分けが無いような行動では、後から行動したものが有利に、または、防御的な行動をしているものが有利になります。
3.戦闘
1)近接戦
1>基本処理
戦闘は、戦闘を行う2者の対抗判定になります。チェックは双方とも”肉体”を使用します。チェックの結果、勝ったものの値から負けたものの値を引き、差を求めます。効果は差によって決まります。効果は以下の表の通りです。勝ったものは被害を受けず、負けたものは被害を受けます。これはチェックの際、ダイスを使用する場合も、使用しない場合も同じです。
達成値の差 | 被害 |
---|---|
0 | 効果なし |
1 | 痛い思いをさせる |
2 | 鼻血が出る |
3 | 叩きのめす |
4 | 病院送り |
5 | 半殺し |
6〜 | あの世行き |
キャラクターは受けた被害によって”肉体”が一時的に減少します。被害は累積し、以下の様に扱います。被害がランクアップした場合は、ランクアップする前の被害はなくなくなります。また、被害による修正値も以下に示します。被害による効果によって”肉体”が0になってしまったキャラクターは気絶してしまいます。
被害 | 効果 | ランクアップの条件 |
---|---|---|
痛い思い | なし | 3回で「鼻血が出る」になる |
鼻血が出る | 肉体-1 | 3回で”叩きのめす”になる |
叩きのめす | 肉体-2 | 2回で”病院送り”になる |
病院送り | 肉体-3 | 2回で”半殺し”になる |
半殺し | 肉体-4 | 2回で”あの世行き”になる |
あの世行き | 死亡 | なし |
2>武器の扱い
キャラクターが武器を持っている時は”被害”を決定する時に達成値の差に修正を加える事ができます。最初に行う”肉体”の対抗ロールには修正はありません。
3>防具の扱い
防具を身につけている時は”被害”を決定する時の差に修正値を加えられます。最初に行う”肉体”の対抗ロールには修正はありません。
2)射撃戦
弓や銃等を使用して戦闘を行う場合は近接戦とは異なる処理を行います。
射撃戦では目標との対抗ロールではなく、目標の大きさと、目標までの距離から算出した目標値を使用する普通のチェックになります。大きさによる目標値と距離による目標値は足して使用します。”被害”は使用している武器のダメージにチェックの結果目標値を上回った分を加えます。
距離による目標値を以下に示します。距離は超近距離、近距離、中距離、遠距離、超遠距離に分けられます。それぞれの距離の範囲は武器によって決まります。
距離 | 超近距離 | 近距離 | 中距離 | 遠距離 | 超遠距離 |
---|---|---|---|---|---|
目標値 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
大きさによる目標値を以下に示します。大きさによる目標値は距離による目標値とは異なり絶対的なものです。
大きさ | 目標値 | 目安 |
---|---|---|
極小 | +6 | コインなど |
小 | +3 | うさぎ位の大きさ |
中 | +1 | 中型の犬や子供 |
大 | ±0 | 大人の人間など |
極大 | -1 | それ以上に大きいもの |
4.恐怖判定
キャラクターは恐ろしいものを見たりした時に恐怖によって何等かの影響を受ける事があります。このような場合に行うのが恐怖判定で、”精神”を使用したチェックです。
チェックに成功すると何も影響は受けませんが、失敗するとまず、目標値との差だけ”精神”が減少します。 その他に効果を決定したい場合はマスターが適当に決めてください。また、精神が0になってしまった場合は気が狂ってしまいます。気が狂ってしまっても必ずしも行動できなくなるわけではありません。効果はマスターが決定します。
減少した”精神”はその恐怖の原因を取り除くか、恐怖の原因がそれ以上キャラクターに影響を与えない事が分れば適当な時間が経てば回復します。これは”精神”が0になってしまったキャラクターについても同様です。
以下に、目標値とどの程度の状況かを示します。
目標値 | 状況 |
---|---|
1 | ズタズタにされた動物の死体を見る |
2 | 人間の死体、体の一部分を発見する |
3 | ズタズタにされた人間の死体を見る |
4 | 身近な人間の非業の死を目撃する |
5 | 幽霊などを見る/死んだはずの人間に出会う |
6 | 酷い拷問を受ける |
7 | 死体が動くのを見る |
5.買物
このゲームでは物を買うのにお金は必要ありません。従って、所持金は関係ありません。物を買う時には、まず、目的の物品がどの程度手に入りにくいかによって目標値を決め、”財産”でチェックします。チェックに成功すれば目的の物品が手に入ります。失敗すると手に入れられません。なお、キャラクターが他人の為に物を買う時は”できるポイント”を使用する事はできません。
以下に、どの程度の値段であればどのくらいの目標値かを示します。
目標値 | 値段 | 目標値 | 値段 |
---|---|---|---|
1 | 百円以下 | 9 | 100万円以下 |
2 | 3百円以下 | 10 | 300万円以下 |
3 | 千円円以下 | 11 | 1000万円以下 |
4 | 3千円以下 | 12 | 3000万円以下 |
5 | 1万円以下 | 13 | 1億円以下 |
6 | 3万円以下 | 14 | 3億円以下 |
7 | 10万円以下 | 15 | 10億円円以下 |
8 | 30万円以下 | 16 | 30億円以下 |
また、どの程度珍しいものかによって目標値に修正を受けます。以下にそれについて示します。
目標値 | 珍しさ |
---|---|
±0 | 合法で珍しくも何ともない |
+1 | 合法で珍しい/非合法だがありふれている |
+2 | 合法で非常に珍しい/非合法で珍しい |
+3 | 合法でめったにない/非合法で非常に珍しい |
+4 | 世界に数えられるほどしかない/非合法でめったにない |
+5 | 世界に数個しかない |
+6 | 世界に1つしかない |
6.経験値
経験値はキャラクターが冒険に成功した時に、マスターが与えます。与える経験値は3点前後です。経験値は、使いきりの”できるポイント”として扱います。つまり、経験値は”できるポイント”として扱えますが、使うと”できないポイント”になるわけではなく無くなってしまうと言う事です。
7.スキル
これは選択ルールです。
マスターが望むならばプレイヤーキャラクターに”スキル”を与えてもかまいません。スキルとはキャラクターの持っている特殊な技術の事で、チェックの際にスキルのレベルを能力値に加えて使用する事ができます。
スキルを獲得するためには、次のレベルの数値の3倍にあたる経験値を使用する必要が有ります。また、一度に2レベル以上上げる場合は、目標のレベルまでに必要な経験値を全て使用する必要が有ります。例えば0レベルから3レベルにするためには1レベルにするための3点、2レベルにするための6点、3レベルにするための9点の合計である18点の経験値を使用する必要が有ります。
なお、ゲーム開始時にスキルを持っている事にする時は1レベルのスキルを3種類か、2レベルのスキルを1種類を持たせてください。
スキルの例としては次の様なものが考えられます。
医学、泳ぎ、化学、生物学、数学、外国語、コンピューター、写真、運転、機械修理、弓、剣術、拳銃、ライフル、格闘、値切り、鑑定、芸術、土地勘、など。