The Lunatic 呪文データブック
呪文
呪文のデータ詳細について説明する。クラス毎に取得可能な呪文はクラスデータを参照すること。呪文データは系統毎に呪文系統毎に五十音順に記載する。
呪文の書式
呪文は、次の項目で説明する。
【火球】と並ぶ攻撃呪文で電撃によって個別に複数の目標を攻撃する。術者の任意に攻撃対象を選択する事ができるが1回の判定で同じ対象を2回以上対象にできない。
- 名称
- 呪文の名称である。(カッコ)内は英語の名称。
- 宣言
-
呪文の使用を宣言できるタイミングを示す。呪文を使用可能なタイミングは次の通り。呪文の使用は常に行動なので使用できるタイミングごとの行動ルールに従う。
行動種別 説明 主行動 クリーチャーの行動順の主行動で呪文を使用する。 補助行動
補助行動(N)
クリーチャーの行動順の主行動か補助行動で呪文を使用できる。[宣言:補助行動(N)]の呪文は補助行動で使用する場合、Nだけ魔力を追加消費する必要がある(主行動で使用する場合は必要ない)。補助行動で使用できる呪文は1つだけである。異なる呪文であっても補助行動で2以上の呪文は使用できない。
受動 本来の受動行動の代わりに呪文を使用する。 対応・X 他のクリーチャーの行動をトリガとして割込行動で呪文を使用する。いずれも割込行動や受動行動に対しては使用できないので注意すること。
「対応・移動」は他クリーチャーの移動に対応して使用する。
「対応・宣言」は他クリーチャーの行動宣言に対応して使用する。
「対応・打撃」はダメージ決定直後に使用し、ダメージ適用前に解決する。
「対応・呪文」は他クリーチャーの呪文使用に対応して使用する。
- MP
-
呪文を使用時に消費する魔力である。必要な魔力を消費できないなら呪文は使用できない。MPが「1+n」、「1+n+m」、「2n」の様にnやmを含む記述なら呪文の効果を拡大することが可能だ。例えば[MP:1+n]で[範囲:対象n]の呪文は魔力を3点(n=2)消費して2体の対象を呪文の標的できる。
- 判定
-
呪文を使用時の判定に使用する技能である。
- 防御
-
呪文の対象の受動判定方法を示す。
種別 説明 《技能》 《技能》に示した技能で受動判定を行う。 不可 受動行動を行えない。術者が呪文に成功すれば効果が現れる。 無効 呪文の対象が抵抗の意思を示せば呪文は効果を表さない。 - 効果時間
-
呪文の効果が継続する時間である。
種別 説明 瞬間 呪文は一瞬のうちに効果を発揮して終わる。 維持 次サイクルの術者の行動終了時まで呪文の効果が持続する。次サイクルの術者の行動順に補助行動(主行動でも良い)で魔力を1点消費すれば効果時間を次の行動終了時まで延長できる。魔力を消費できないか、消費しない場合は呪文の効果は終了する。呪文の維持は[宣言:補助行動]の呪文使用と同じである(呪文を維持したら[宣言:補助行動]の呪文は使用できないし、逆も同じ。2つ以上の呪文を維持することもできない)。
使用時に判定が必要な呪文は維持のタイミングで再判定が必要だ。呪文失敗なら維持できない(対象が防御成功でも維持できる)。呪文の効果は再判定のたびに更新され、ダメージなどは再判定ごとに発生する。
[範囲:対象]の呪文は対象を変更できないが、対象が移動して[距離]から外れても効果が及ぶ。[範囲:直径/連続nマス]の呪文は距離も範囲も変更できない。
持続 [持続・継続]と[持続・終了]の2種類がある。[持続・継続]の呪文は大抵有益な呪文で術者が指定されたタイミングで判定に成功する限り呪文の効果が継続する。[持続・終了]の呪文は大抵害のある呪文で対象が指定されたタイミングで判定に成功すれば呪文の効果は終わる。詳細は「量的効果」を参照すること。
行動開始
行動終了
[効果時間:術者・行動開始]、[効果時間:対象・行動終了]の様に「対象・いつまで」の形式で記述する。[効果時間:術者・行動開始]なら術者の次の行動順の開始時まで、[効果時間:対象・行動終了]なら呪文の影響下にあるクリーチャーの次の行動順の終了時まで、効果が持続する。
時間 1イベント、nD6時間のように具体的な時間が設定されている場合、その時間が経過するまで呪文の効果は持続する。 - 距離と範囲
-
距離は呪文の最大到達距離(マス数)を表す。[範囲]によってどこまでを[距離]として測定するかが変化する。[距離:1]は術者と隣接する対象、[距離:0]は術者自身か術者と同じマスを意味する。
範囲 説明 対象対象n「対象」は1体の対象、「対象n」はn体の対象を標的にできる。「対象n」のnは呪文使用時の魔力の変数である。「対象n」は呪文個別に記述がない限り異なる対象を指定しなければならない。
呪文の対象は全て[距離]以下にいなければならないが、「対象n」の呪文で距離を拡大したら全ての対象に対する距離が拡大される。[MP:n+m]で[距離:10n][範囲:対象m]の呪文をn=2、m=3としたら対象3体全てに対して距離20マスが適用される(3体の対象個別にn=2にする必要はない)。
X 縦横Xマスの範囲に効果を及ぼす。自身が占めるマスの一部でも効果範囲と重なるクリーチャーは呪文の効果の対象となる。呪文は範囲の中心までのマス数が[距離]以下でなければならない。
例えば、[距離:10][範囲:5]の呪文を術者から10マスの距離を目標地点とした場合は次のようになる。
連続X 連続したX個のマスが効果範囲になる。連続したマスは連続していなければならない。角だけで接しているマスは連続しているとは見做さない。自身が占めるマスの一部でも効果範囲と重なるクリーチャーは呪文の効果の対象となる。
呪文の効果範囲のもっとも近いマスが[距離]以下でなければならない。
- 効果
-
その呪文の効果を説明する。
- 属性
-
[効果:属性]の形式で重要な属性が示される場合がある。例えば[効果:幻覚]の様になる。モンスターの特殊能力によっては特定の属性の影響を受けない場合がある。
属性 説明 物理 武器による攻撃(斬撃、衝撃、など)と同様の物理打撃。 高熱 炎や高熱を利用する。 冷気 極度の低温や、それによって作り出した氷を利用する。 電撃 稲妻などの電撃を作り出して利用する。 神聖 神聖なエネルギーでこれを受けたものは陽光を浴びたかのようになる。 幻覚 呪文によって五感に作用する幻覚を作り出す。 無属性 純粋なエネルギー。無属性は無属性という属性である。 - 量的効果
-
[効果:ダメージ・リソース(ダイス)・属性]、[効果:回復・リソース(ダイス)]の様にダメージや回復、ダメージ軽減量、などを記載する。
呪文成功時は[効果]通りに量的効果を決定する。
決定的成功時は最大値+判定時のD10の目になる。
半成功時は1/2(端数切り捨て)にする。呪文の効果範囲に複数の対象が含まれる場合でも量的効果は全ての対象に対して1度だけ算出し、その値を判定結果に応じて増減させる。
効果 説明 ダメージ [効果:ダメージ・リソース(ダイス)・属性]の形式で表す。
「ダイス目 + 能動側効果強度 - 受動側効果強度」が実際のダメージになり、対象の耐久度や余力、魔力と言ったパラメータを減少させる。防御成功時でも効果を持ち、成功時の1/5(端数切り捨て)のダメージを与える。
属性はダメージの属性(物理、高熱、冷気、電撃、無属性)を示す。属性はモンスターの[耐性]に関係する(モンスターデータを参照)。
[効果時間:維持]や[効果時間:持続]の呪文が異なるタイミングでダメージを与えるならタイミングごとにダメージを決定する。
回復 [効果:回復・対象(ダイス)]の形式で表す。
「ダイス目 + 能動側効果強度」が最終的な値になり(対象が効果強度を引くことはできるが有用な効果のためしない)、対象パラメータを回復する。呪文毎に特別の記述がない限り死亡状態の対象には効果がない。完全死の対象には常に効果がない。
[効果時間:維持]や[効果時間:持続]の呪文が異なるタイミングで回復するならタイミングごとに回復量を決定する。
擬似耐久度 [効果:擬似耐久度(ダイス)]の形式で表す。
「ダイス目 + 能動側効果強度」が最終的な値になる(対象が効果強度を引くことはできるが有用な効果のためしない)。擬似耐久度はクリーチャーの耐久力とは別に存在し、ダメージに対して耐久度のように扱う。クリーチャーが擬似耐久度を持つ場合、ダメージはまず擬似耐久度に、擬似耐久度が0になったら耐久度に適用する。擬似耐久度は回復できず、2回以上疑似耐久度を得た場合は後からかけた呪文の効果が優先される。
移動力 [効果:移動力・増加/減少(ダイス)]の形式で表す。
「ダイス目 + 能動側効果強度 - 受動側効果強度」が最終的な値になるが、有益な効果なら受動側効果強度を引く必要はない。
軽減 [効果:軽減(ダイス)]の形式で表す。
「ダイス目 + 能動側効果強度」が最終的な値になる。「軽減」はダメージ自体を対象に取り受動側がいないため受動側の効果強度は引かれない。
軽減は対象が受けるダメージが確定した後で適用し、ダメージ自体を減少させる。軽減は回復とは異なりダメージで耐久度が減少する前に適用する。例えば呪文で成功時10点のダメージを3点軽減した場合、ダメージの対象が受動行動に半成功したなら10/2-3=2点ダメージになる。
- 持続、幻覚
-
[効果:種別(技能/能力:判定タイミング)]の形式で表す。
「種別」は「持続・継続」、「持続・終了」、「幻覚」のいずれか。
持続呪文の効果の終了判定、幻覚を見破れるかの判定は作業判定である。
「技能/能力」は判定に使用する能力である。
「判定タイミング」は判定を行うタイミングである。「判定タイミング」が主行動、補助行動の場合は指定された行動を消費する。行動開始時や行動終了時が指定されている場合の判定は行動ではないのでクリーチャーが行動不能でも判定できる。
作業判定は呪文を拡大しなければ[作業量:1]、[目標値:2]である。判定成功時の進捗は1である。
[作業量]と[目標値]は呪文によっては拡大可能である。特に記述がない限り[作業量]は量的効果の様に扱い、効果強度と決定的成功時のD10の目を加える。半成功なら[作業量]を1/2(端数切り捨て、最低1)にする。
「持続・継続」、「持続・終了」、「幻覚」の違いは下表を参照すること。
種別 判定の詳細 持続・終了 判定を行うのは指定がない限り呪文の対象クリーチャーである。
[作業量]の回数だけ判定に成功すれば呪文の効果は終わる。複数の対象を持つ場合、[作業量]は対象ごとに管理する。
持続・継続 判定を行うのは指定がない限り術者である。
[作業量]の回数だけ判定に失敗したら呪文の効果は終わる。この判定は行動ではないのでクリーチャーが行動不能であっても判定は行える。
幻覚 判定を行うのは幻覚を見た(見破ろうとしている)クリーチャーである。
[作業量]の回数だけ判定に成功したらその幻覚の影響を受けなくなる(幻覚自体はなくならない)。複数の対象を持つ場合、[作業量]は幻覚を見ているクリーチャーごとに管理する。
魔術呪文
魔術士の系統の術者の間に広く知られている呪文だ。魔術士を基盤とする術者は専門クラスの系統によらず魔術呪文を学ぶ。実際には術者の系統によって呪文名が異なる(例えば【魔術士の盾】は精霊術の系統だと【妖精の盾】かもしれない)がデータ的には全系統で同じ名前を使用する。
魔術呪文は専門クラスの呪文とは異なり、呪文データとしてレベルが設定されている。
魔術呪文には魔力(0)で使用できる呪文がある。魔力(0)で使用できる呪文は魔力導出をしていない状態でも使用可能だ。
0レベル
1レベル
2レベル
3レベル
4レベル
5レベル
呪術呪文
呪術士を基盤とする系統の術者の呪文だ。低レベルの一部の呪文は魔術呪文と同じだが中級から高レベルになると独自の呪文になる。呪術呪文に特徴的な点として魔力以外に耐久度をリソースとして要求する呪文が多数存在する。
呪術呪文は専門クラスの呪文とは異なり、呪文データとしてレベルが設定されている。
呪術呪文には魔力(0)で使用できる呪文がある。魔力(0)で使用できる呪文は魔力導出をしていない状態でも使用可能だ。
0レベル
1レベル
2レベル
3レベル
4レベル
5レベル
魔導呪文
魔導呪文は魔法を一種の科学と捉え学問的に探求する魔道系統の呪文である。魔道系統の術者は呪文を論理回路かプログラムのように捉え、それに魔力を作用させることで周囲の環境に作用を与えて様々な現象を引き起こすことができると考えている。この系統の呪文は物質や空間、感覚に作用する呪文を得意とする。
練術呪文
練術系統の術者の考え方は魔導系統に近くやはり魔法を一種の科学だと捉えているのだが、彼らはその原理よりもそれによって何ができるかを重視する。魔導系統が科学者とするなら練術系統は工学者か医者の考え方に近い。彼らの呪文はエネルギーをそのまま破壊力に変換したり生体に作用してそれを強化するような呪文が多い。
精霊呪文
精霊使いの系統は自然を偉大なものと考え、その力を借りる、自らのものとすることを目的としている。精霊呪文と言いながら(元素)精霊の力に基づく呪文ばかりではなく、妖精が使う能力に似た呪文を多数備えている。魔道や練術の系統と比べると彼らは呪文の根本原理をそれほど追求しない。あえていうなら医者か農学者に近い考え方をする。
法術呪文
法術の系統は神のような超越的な存在を信じ、魔法はその力の一部を借りる、もしくは超越的な存在の行いを真似ることによって同様の力を使うことができると考えている。精霊術の系統と似ているが自然より上位の(自然すら作ったような)存在があると考える点が異なる。超越的な存在が1つだけなのか複数いるのか、自分自身はその僕なのか自分自身がその一柱になれるのかなどの考え方は流儀によって異なる。
呪歌
呪歌系統の術者は呪歌という呪文の伝承者だ。呪歌系統の術者は古くから伝わる力のある歌を歌うことでその力を現実のものとすることができる。彼らは魔導から法術系統の術者のような哲学というか魔法の原理に関する考えをを持っていない。哲学と言えるものがあるとするなら言霊には力があるということだけだ。
隠行術
隠行術は系統としては魔導か練術の系統に近いが非常に実利主義的である。そもそもの成り立ち自体が魔導や練術の盗んだ呪文から独自に発展したもので、自分たちの活動を補助する効果のあるものを密かに伝承している。隠行術のの術者は魔法の原理にはほとんど興味を持たず何ができるかを重視する。
儀式呪文
儀式呪文は複雑な手順を経ることで効果を表す呪文の一種である。というよりもクラス呪文の方が極端に無駄を削ぎ落として最適化をおこなった呪文で、儀式呪文の方がいわば普通の呪文とも言える。儀式呪文は冗長な部分があり手順も長いが手順通りに儀式を行えば(そして術者に能力があれば)誰でも使える。
儀式呪文にはプレイヤーキャラクターに取得させることを望まないような呪文もある。マスターは儀式呪文をプレイヤーキャラクターに取得させて良いかどうかをよく考えること。
儀式呪文の書式
儀式呪文は次の書式で説明する。
- 名称
-
儀式呪文の名称である。(カッコ)内は英語の名称である。
- レベル
-
その儀式呪文のレベルである。レベルは儀式呪文の取得に関係する(「基本ルールブック」を参照)。
- 魔那
-
儀式を行うにあたって儀式開始時に消費する魔那である。儀式呪文は魔力ではなく魔那を直接消費するので注意すること。〈魔力搾出〉を取得しているなら魔那の代わりに余力を消費しても良い。また、魔那の代わりに魔晶石を消費しても良い。
- 系統
-
[系統]が術者の専門クラスで取得できる呪文の系統と同じものを含むならその儀式呪文は術者の系統と近いことを表す。儀式呪文は系統が一致しなくても取得できるが、一致しない場合は取得するために余分に経験値を支払わなければならない。[系統:全て]の儀式呪文は呪文の取得不能でない基本クラスなら余分の経験値消費なしに取得できる。
[系統:死霊術]の儀式呪文は邪悪な呪文である。基本的にPCは取得できない。
- 取得
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[取得:容易(20gp)]の様に儀式呪文の入手難易度と購入できる場合の相場を表す。金額の設定がないものは市場では見かけない。「容易」は師匠などから対価と引き換えに、「普通」は探せばその儀式知っている術者から対価(お金とは限らない)と引き換えに入手可能だ。「難しい」は非常に高レベルの術者なら知っている可能性がある。「至難」はヴァンパイアやリッチとなった術者から奪うくらいしか手段はないだろうがれでも滅多に入手できない。
- 儀式呪文の作業パラメータ
-
- 作業量
-
呪文毎に設定される。
- 目標値、対抗
-
呪文ごとに設定される。
目標値は作業判定の目標値である。
対抗は対象との対抗判定での作業で、対象の受動行動の技能を示す。対抗判定の場合、儀式が終了するまで術者は対象と接触可能な距離にいなければならない。儀式が対象にとって有益でないなら、対象を拘束しておかなければ儀式を完了するのは無理だろう。
- 半成功、防御成功、呪文失敗(失敗)
-
[半成功][失敗]は作業判定の判定結果のペナルティである。
[防御成功][呪文失敗]は対抗判定のパラメータで[防御成功]は受動側成功時、[呪文失敗]は能動側失敗時のペナルティだ。能動側成功時は常に進捗ダイスD6で進捗があり、半成功時は「進捗1/2」なので記述しない。
- 材料
-
儀式を行うために必要な材料、もしくは材料購入に必要なお金である。金額が記載されている場合は一般的に入手可能な材料なのでその金額を消費すれば材料を入手できたものとして良い。金額が記載されていないならなんらかの方法で材料を入手しなければならない。材料は儀式の成否に関わらず消費する。
記述がない場合は材料は不要だ。
- 説明
-
その儀式の効果などを説明する。