The Lunatic ソロシナリオ「手紙の配達」
はじめに
このソロシナリオは作成したばかりのキャラクター1人用です。判定方法など基本的なルールを理解するためのものであり、複雑な仕掛けなどはありません。また、パラグラフの構成は単純(大きな数になるほど基本的にクリアに近づいている)になっています。
キャラクター
どのタイプの経歴のキャラクターでも正しい選択ができれば(必要があれば適切に経験値を使用してダイスの振り直し、自動的成功にする、などを選択しなければならないかもしれませんが) クリアは可能です。しかし、魔術系のキャラクターは若干困難を伴うかもしれません。
パラグラフの見方
各パラグラフは次のようになっています。
PC がアルフェの町の酒場にいると商人風の男が声をかけてきます。
- 無視する……【2】へ
- 応対する……【3】へ
まず、パラグラフに書かれている文章を読み、PCの行動を決定してください。もし、行為判定 や戦闘が指示された場合はルールに従ってそれらの行動を解決します。行動を決定したらパラグ ラフの最後に書かれている部分を参照し、PCの行動に一致する番号に進んでください。PCか とりたい行動が選択肢に無い場合はあきらめてどれかを選択肢から選ばなければなりません。行き先のパラグラフが【END】の場合は冒険に失敗したことになります。
経験値や報酬
このソロシナリオで使用したキャラクターを実際のセッションで使用するのであれば、ここで手に入れた経験値や報酬は破棄しなければなりません。逆に、ソロシナリオで消費したお金や経験 値は元に戻してかまいません。
シナリオ:手紙の配達
シーン1:アルフェの町
PCは町にいる間、好きなときに買い物ができます。必要な装備、食料等がある場合、どのパラグラフにいてもこれらを調達することができます。
町中で5時間以上経過したら他の地域には移動できないのて5SP支払って一泊する必要があります。
町中で行動できる時間(判定等を行える時間)は 8時間までです。
イベント 1-1:依頼
PC がアルフェの町の酒場にいると商人風の男が声をかけてきます。
- 無視する……【2】へ
- 応対する……【3】へ
無視しようとする PC に更に声をかけてきます。
- 無視する……【END】
- 応対する……【3】へ
商人風の男は次の仕事を PC に依頼してきます。
・ この手紙をベトの村の<住人 A>に届けてほしい。
・ 報酬は前金で 3GP 支払う。手紙を届けたら住人Aが更に5Gp支払ってくれる。
・ 特に期限はないが、1 週間くらいで届けてほしい。
- 断る……【2】へ(すでに一度選択した場合、選択できない)
- 報酬を吊り上げる……【4】へ(すでに一度選択した場合、選択できない)
- もう少し詳しい情報を聞く……【6】へ
- 引き受ける 【7】へ
《話術》で目標値6の判定を行ってください。
成功したら前払いの報酬を5GP、半成功の場合は4GPにしてくれます。
- 更に報酬の交渉を行う……【5】へ
- それ以外……【3】へ
商人風の男はPCへの依頼をあきらめて他を当たることにしました。
- 【END】へ
特に話しづらい様な情報は無いので、判定の必要は無く次の情報を教えてくれます。
・ 手紙の内容は単なる商売上の書類(それも人に頼める程度の内容)に過ぎない。
・ 最短経路は森を抜けるのだが、最近モンスターが出るようになったという話を聞いた。
・ ベトの村に行く隊商等は無いので冒険者らしい人物に頼むことにした。
・ それ以外の経路では時間がかかりすぎる(自分の店をそんなに空けられない)。
・ 以上の理由から人に頼むことにした。
- これ以上の情報は得られない……【3】へ
ベトの村に向かう場合、次の2種類の経路が存在します。
森を抜けて最短経路でベトの村に向かうのであれば、狩人達や近隣の住人がキノコなどを採りに行く際に使う小道があります。ただし、道標などは無いので途中の分岐などはPC自身の判断で進まなければなりません。他にはガマルの町を経由する経路があります。遠回りにはなりますが、森を経由するよりも道に迷う可能性が少なくなります。
- もう少しアルフェの町で情報を収集する……【8】へ(すでに一度選択した場合、選択できない)
- ガマルの町に向かう……【19】へ
- 森を抜けてベトの村に向かう……【21】へ
イベント1-2:街中での行動
《事情通》で判定を行ってください。1回成功するごとに1つ情報を手に入れることができます。1回の判定には1時間かかります。
森について
・最近モンスターが出るようになったらしい。
・狩人達の話ではゴブリンなどが出没するということだが、数はどのくらいか不明。
・現在のところ、町に近い場所(森の奥でない場所)には出没しないので放置している。
ガマルの町について
・ アルフェの町とガマルの町の間は比較的安全な経路である
・ アルフェの町とガマルの町の間には定期的に隊商が行き来する
- 隊商を尋ねる(隊商の情報を得た場合)……【9】へ(すでに一度選択した場合、選択できない)
- それ以外……【7】へ
ガマルの町に向かう隊商を探す場合、《事情通》判定を行ってください。成功すれば隊商の居場所にたどり着けます。判定に失敗してもやり直せますが、依頼を受けた日を超えてしまうと隊商は出発してしまいます。隊商を探すのに使える時間は(8-【8】で判定した回数)時間です。1回の判定には1時間かかります。
- 見つけられなかった場合……【8】へ
- 隊商を尋ねない場合……【8】へ
- 隊商を尋ねる場合……【10】へ
隊商を尋ねると、翌朝には出発するつもりだということがわかります。
- 一人で出かける……【7】へ
- 一緒に行きたいという……【11】へ
- ベトの村まで行ってほしいと頼む……【13】へ(すでに一度選択した場合、選択できない)
PCの《主近接》、《投射》、《呪文投射》、《対応呪文》が12以上の場合は護衛として同行できます。この場合、2GPの報酬をもらえますが、モンスターに襲われたときに戦闘に参加する必要があります。
PCの《主近接》、《投射》、《呪文投射》、《対応呪文》が10〜11の場合は無料で同行できます。ただし、戦闘員としてカウントされないので報酬などはもらえません。
それ以外の場合、PCが隊商に守ってもらうことになるので、1GPを支払う必要があります。
- 一人で出発する場合……【8】へ
- 報酬について交渉する場合……【12】へ(すでに一度選択した場合、選択できない)
- 隊商と一緒に出発する場合……【14】へ
《話術》で目標値6の判定を行ってください。成功した場合、1回の戦闘があるごとに1GPのボーナスをベトの村について時点で支払うことを約束してもらえます。半成功の場合は1回の戦闘につき5spのボーナスになります。失敗の場合は条件の変更は認めてもらえません。
- 【11】へ
ガマルの町についたあとであれば一人1GP(合計3GP)の報酬でベトの村に行ってもよいというメンバがいます。報酬を前払いで支払うならば契約成立です。
彼の能力は次の通りです。
- 11から来た……【11】へ
- 14から来た……【14】へ
シーン2:ガマルの町
PCは町にいる間、好きなときに買い物ができる。必要な装備、食料等がある場合、どのパラグラフにいてもこれらを調達することができるものとします。
町中で5時間以上経過したら他の地域には移動できないので5SP支払って一泊する必要があります。
町中で行動できる時間(判定等を行える時間)は8時間までです。
イベント2-1:街中での行動
3日でガマルの町に着きます。隊商と一緒に行動していた場合、報酬などがあればそれを受け取ってください。
- ベトの村まで行ってほしいと頼む(隊商と一緒に来た場合)……【13】へ(すでに一度選択した場合、選択できない)
- ベトの村について情報を集める……【15】へ
- ベトの村に向かう……【16】へ
- 止める……【END】
《事情通》で判定を行ってください。1回成功するごとに1つ情報が得られます。1回の判定には1時間かかります。
情報
・ 1泊2日程度の行程である。
・ 最近モンスターが出るようになったらしい。
・ ガマルの町からベトの村までの道は比較的良く使われるのでモンスターとの遭遇率は低い。
・ それでも何人かの集団で武装していったほうが良い。
- 【14】へ
イベント2-2:ベトの村へ
夜になって野営を始めます。
《野外活動》で判定を行ってください。判定に失敗するとゴブリン3体に襲われます。
《野外活動》の判定に成功したなら次の2つの選択肢があります。
- ゴブリンに襲い掛かる……【17】へ
- 隠れてやり過す(PC1人の場合だけ選択できる)……【18】へ
- 《野外活動》の判定に失敗した……【17】へ
ゴブリンとの戦闘になります。ゴブリンとの距離は2D6マス離れた状態で始まります。護衛のメンバがいる場合、PCは1体のゴブリンだけを倒せば戦闘終了です。なお、自分で倒せなくても6ラウンド目には護衛が助けにきてくれるので、6ラウンド生き残れば戦闘は終了します。護衛のメンバがいなければ3体のゴブリンを相手にする必要があります。
- ゴブリンを全滅させた……【完了】
- PCが死亡した……【END】
- ガマルの町に向かって《逃走》に成功……【14】へ
- ベトの村に向かって《逃走》に成功……【18】へ
《隠密》でゴブリンとの1対多の対抗判定を行ってください。発見側はゴブリンで隠密側はPCです。処理の詳細は《隠密》の「隠す・隠れる」を参照してください。
- ゴブリンに発見されなかった……【完了】
- ゴブリンに発見された……【17】へ
イベント2-3:ガマルの町へ
アルフェの町とガマルの町間は比較的安全ですが、一人で移動して何事も起きないというほど安全ではありません。アルフェの町とガマルの町間は2泊3日なので2回、《野外活動》で判定を行ってください。
- 2泊経過した……【14】へ
- 判定に成功した……【19】へ
- 判定に失敗した……【20】へ
夜盗2人に襲われます。戦闘が終了すると1泊分の時間が経過したものとして扱います。
- 夜盗を全滅させた……【19】へ
- アルフェの町に向かって《逃走》に成功……【7】へ
- ガマルの町に向かって《逃走》に成功……【19】へ
- PCが死亡した……【END】
シーン3:森
森の中では道具や食料の調達(買い物)はできません。
ただし、水は森の中を流れる小川等から比較的容易に調達できます。
イベント3-1:道中
森を抜ける経路は順調に行けば3泊4日になります。1日ごとに食料を消費します。水は途中で補給することができます。3件のパラグラフを経過するごとに野営の必要があります。野営をする際には《野外活動》で判定を行ってください。判定に成功した場合は何も起こりません。判定に失敗した場合、夜盗2人に襲われます。
PCが死んだ場合は【END】となります。
PCが生き残った場合はパラグラフを継続してください。
- 森を通り抜けてベトの村に向かうのを止める……【7】へ
- 森に入る……【22】へ
森の入り口にいます。
- 東に向かう(アルフェの町に戻る)……【7】へ
- 西に向かう……【23】へ
- 北西に向かう……【24】へ
- 東に向かう……【22】へ
- 北西に向かう……【25】へ
- 南に向かう……【27】へ
- 西に向かう……【28】へ
- 南東に向かう……【22】へ
- 南西に向かう……【23】へ
- 西に向かう……【26】へ
- 北東に向かう……【24】へ
- 南東に向かう……【23】へ
ゴブリン1体と遭遇します。ゴブリンと《隠密》の対抗判定を行い、発見されなければやりすごすことができます。ゴブリンに見つかるか、PCが戦闘を望む場合は戦闘になります。
- 東に向かう……【24】へ
- 西に向かう……【31】へ
- 南に向かう……【29】へ
- 南東に向かう……【30】へ
- PCが死亡した……【END】
崖になっていて行き止まりです。
- 北に向かう……【23】へ
- 東に向かう……【23】へ
- 西に向かう……【29】へ
- 東に向かう……【28】へ
- 北に向かう……【26】へ
- 北西に向かう……【30】へ
- 北西に向かう……【26】へ
- 南東に向かう……【29】へ
- 北西に向かう……【33】へ
- 東に向かう……【26】へ
- 北に向かう……【32】へ
- 南西に向かう……【33】へ
- 南に向かう……【31】へ
- 南西に向かう……【33】へ
- 北西に向かう……【36】へ
ゴブリンの巣穴があります。引き返す方向以外に進む場合はゴブリン5体と戦闘しなければなりません。
- 南東に向かう……【30】へ
- 北東に向かう……【31】へ
- 北に向かう……【32】へ
- 南に向かう……【34】へ
- 西に向かう……【35】へ
- PCが死亡した……【END】
- 北に向かう……【33】へ
- 北西に向かう……【35】へ
- 東に向かう……【33】へ
- 南東に向かう……【34】へ
- 西に向かう……【完了】へ
- 南東に向かう……【32】へ
- 西に向かう……【37】へ
ゴブリン1体と遭遇します。ゴブリンと《隠密》の対抗判定を行い、発見されなければやりすごすことができます。ゴブリンに見つかるか、PCが戦闘を望む場合は戦闘になります。
- 東に向かう……【36】へ
- 南西に向かう……【完了】へ
- 北西に向かう……【38】へ
- PCが死亡した……【END】
- 南東に向かう……【37】へ
- 南西に向かう……【39】へ
森の出口だ。
- 北東に向かう……【38】へ
- 南西に向かう……【完了】へ
第4節 シーン4:ベトの村
PCが無事に手紙を配達することができました。
約束の5GPを報酬として受け取ります。
護衛を雇っていた場合はその代金も支払ってもらえます。
PCはシナリオ完了の経験値4点を得ます。
終わりに
このソロシナリオには大きく次の目的があります。
- 行為判定のルールを理解してもらう
- 武器による戦闘以外の行動(情報収集、野外でのエンカウントなど)を理解してもらう
- モンスター(NPC)との戦闘手順を理解してもらう
- 武器や魔法による戦闘はハイリスクであることを理解してもらう
- 経験値の獲得とキャラクターの成長のルールを理解してもらう
実際にやってみればそれほど難しいことは無いと思います。戦闘が発生したとしたらPCもモンスターも管理しなければならなかったので面倒だったかもしれません。しかし、マスターとして参加する場合、同様に複数のモンスターを管理する事になりますからこの経験は役に立つと思います。
シナリオ中では情報収集、モンスターとのエンカウントなど様々なとことで判定を要求しています。ソロシナリオではマスターを相手にNPCとの交渉等を行えないので判定は多くなってしまうのですが、実際のプレイでも単なる情報収集等は単なる技能判定で済ました方が良いでしょう。いちいちプレイヤーとマスターで交渉などするのは面倒ですし、《事情通》の高いキャラクター等は情報収集が活躍の場なのですから。
PCのタイプによっては戦闘で苦労したかもしれませんが戦闘をうまく回避すれば無傷で目的を達成できたはずです。『The Lunatic』の戦闘はファンタジーTRPGの平均から見てずっとリスキーな選択です。耐久度はダメージのダイスがよければ1回の打撃で0になる程度しかなく、魔力も自由に呪文を使えるだけ準備できることは稀です。本格的なシナリオをプレイする場合でもこの点には注意すべきでしょう。
以上、実際にプレイする、とくにマスターがシナリオを作成し運営するための参考になっていれば幸いです。