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  人権規約データベース 一般社団法人 神奈川人権センター  
  女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 (抄)  
         '79 (昭54) ・12・18第34回国連総会採択
        '80 (昭55) ・7・17高橋デンマーク大使署名
        '85 (昭60) ・6・24日本・国会承認
        '85 (昭60) ・6・25批准
        '85 (昭60) ・7・25発効

 この条約の締約国は、
 国際連合憲章が基本的人権、 人間の尊厳及び価値並びに男女の権利の平等に関する信念を改めて確認して
いることに留意し、
 世界人権宣言が、 差別は容認することができないものであるとの原則を確認していること、 並びにすべて
の人間は生まれながらにして自由であり、 かつ、 尊厳及び権利について平等であること並びにすべての人は
性による差別その他のいかなる差別もなしに同宣言に掲げるすべての権利及び自由を享有することができる
ことを宣明していることに留意し、
 人権に関する国際規約の締約国がすべての経済的、 社会的、 文化的、 市民的及び政治的権利の享有につい
て男女に平等の権利を確保する義務を負っていることに留意し、
 国際連合及び専門機関の主催の下に各国が締結した男女の権利の平等を促進するための国際条約を考慮し、
 更に、 国際連合及び専門機関が採択した男女の権利の平等を促進するための決議、 宣言及び勧告に留意し、
 しかしながら、 これらの種々の文書にもかかわらず女子に対する差別が依然として広範に存在しているこ
とを憂慮し、
 女子に対する差別は、 権利の平等の原則及び人間の尊厳の尊重の原則に反するものであり、 女子が男子と
平等の条件で自国の政治的、 社会的、 経済的及び文化的活動に参加する上で障害となるものであり、 社会及
び家族の繁栄の増進を阻害するものであり、 また、 女子の潜在能力を自国及び人類に役立てるために完全に
開発することを一層困難にするものであることを想起し、
 窮乏の状況においては、 女子が食糧、 健康、 教育、 雇用のための訓練及び機会並びに他の必要とするもの
を享受する機会が最も少ないことを憂慮し、
 衡平及び正義に基づく新たな国際経済秩序の確立が男女の平等の促進に大きく貢献することを確信し、
 アパルトヘイト、 あらゆる形態の人種主義、 人種差別、 植民地主義、 新植民地主義、 侵略、 外国による占
領及び支配並びに内政干渉の根絶が男女の権利の完全な享有に不可欠であることを強調し、
 国際の平和及び安全を強化し、 国際緊張を緩和し、 すべての国 (社会体制及び経済体制のいかんを問わな
い) の間で相互に協力し、 全面的かつ完全な軍備縮小を達成し、 特に厳重かつ効果的な国際管理の下での核
軍備の縮小を達成し、 諸国間の関係における正義、 平等及び互恵の原則を確認し、 外国の支配の下、 植民地
支配の下又は外国の占領の下にある人民の自決の権利及び人民の独立の権利を実現し並びに国の主権及び領
土保全を尊重することが、 社会の進歩及び発展を促進し、 ひいては、 男女の完全な平等の達成に貢献するこ
とを確認し、
 国の完全な発展、 世界の福祉及び理想とする平和は、 あらゆる分野において女子が男子と平等の条件で最
大限に参加することを必要としていることを確信し、
 家族の福祉及び社会の発展に対する従来完全には認められていなかった女子の大きな貢献、 母性の社会的
重要性並びに家庭及び子の養育における両親の役割に留意し、 また、 出産における女子の役割が差別の根拠
となるべきではなく、 子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要であることを認識し、
 社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に
必要であることを認識し、
 女子に対する差別の撤廃に関する宣言に掲げられている諸原則を実施すること及びこのために女子に対す
るあらゆる形態の差別を撤廃するための必要な措置をとることを決意して、
 次のとおり協定した。

第 1 部
第1条
 この条約の適用上、 「女子に対する差別」 とは、 性に基づく区別、 排除又は制限であって、 政治的、 経済
的、 社会的、 文化的、 市民的その他のいかなる分野においても、 女子 (婚姻をしているかいないかを問わな
い) が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、 享有し又は行使することを害し又は無効にす
る効果又は目的を有するものをいう。
第2条
 締約国は、 女子に対するあらゆる形態の差別を非難し、 女子に対する差別を撤廃する政策をすべての適当
な手段により、 かつ、 遅滞なく追求することに合意し、 及びこのため次のことを約束する。
  (a) 男女の平等の原則が自国の憲法その他の適当な法令に組み入れられていない場合にはこれを定め、 か
    つ、 男女の平等の原則の実際的な実現を法律その他の適当な手段により確保すること。
  (b) 女子に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置 (適当な場合には制裁を含む) をとる
    こと。
  (c) 女子の権利の法的な保護を男子との平等を基礎として確立し、 かつ、 権限のある自国の裁判所その他
の公の機関を通じて差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保すること。
  (d) 女子に対する差別となるいかなる行為又は慣行も差し控え、 かつ、 公の当局及び機関がこの義務に従
    って行動することを確保すること。
  (e) 個人、 団体又は企業による女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。
  (f) 女子に対する差別となる既存の法律、 規則、 慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当
    な措置 (立法を含む) をとること。
  (g) 女子に対する差別となる自国のすべての刑罰規定を廃止すること。
第3条
 締約国は、 あらゆる分野、 特に、 政治的、 社会的、 経済的及び文化的分野において、 女子に対して男子と
の平等を基礎として人権及び基本的自由を行使し及び享有することを保障することを目的として、 女子の完
全な能力開発及び向上を確保するためのすべての適当な措置 (立法を含む) をとる。
第4条
  1. 締約国が男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置をとることは、 この条約
    に定義する差別と解してはならない。 ただし、 その結果としていかなる意味においても不平等な又は別
    個の基準を維持し続けることとなってはならず、 これらの措置は、 機会及び待遇の平等の目的が達成さ
    れた時に廃止されなければならない。
  2. 締約国が母性を保護することを目的とする特別措置 (この条約に規定する措置を含む) をとることは、
    差別と解してはならない。
第5条
 締約国は、 次の目的のためのすべての適当な措置をとる。
  (a) 両性いずれかの劣等性若しくは優越性の観念又は男女の定型化された役割に基づく偏見及び慣習その
    他あらゆる慣行の撤廃を実現するため、 男女の社会的及び文化的な行動様式を修正すること。
  (b) 家庭についての教育に、 社会的機能としての母性についての適正な理解並びに子の養育及び発育にお
    ける男女の共同責任についての認識を含めることを確保すること。 あらゆる場合において、 子の利益は
    最初に考慮するものとする。
第6条
 締約国は、 あらゆる形態の女子の売買及び女子の売春からの搾取を禁止するためのすべての適当な措置 (
立法を含む) をとる。

第 2 部
第7条
 締約国は、 自国の政治的及び公的活動における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置を
とるものとし、 特に女子に対して男子と平等の条件で次の権利を確保する。
  (a) あらゆる選挙及び国民投票において投票する権利並びにすべての公選による機関に選挙される資格を
    有する権利
  (b) 政府の政策の策定及び実施に参加する権利並びに政府のすべての段階において公職に就き及びすべて
    の公務を遂行する権利
  (c) 自国の公的又は政治的活動に関係のある非政府機関及び非政府団体に参加する権利
第8条
 締約国は、 国際的に自国政府を代表し及び国際機関の活動に参加する機会を、 女子に対して男子と平等の
条件でかついかなる差別もなく確保するためのすべての適当な措置をとる。
第9条
  1. 締約国は、 国籍の取得、 変更及び保持に関し、 女子に対して男子と平等の権利を与える。 締約国は、
    特に、 外国人との婚姻又は婚姻中の夫の国籍の変更が、 自動的に妻の国籍を変更し、 妻を無国籍にし又
    は夫の国籍を妻に強制することとならないことを確保する。
  2. 締約国は、 子の国籍に関し、 女子に対して男子と平等の権利を与える。

第 3 部
第10条
 締約国は、 教育の分野において、 女子に対して男子と平等の権利を確保することを目的として、 特に、 男
女の平等を基礎として次のことを確保することを目的として、 女子に対する差別を撤廃するためのすべての
適当な措置をとる。
  (a) 農村及び都市のあらゆる種類の教育施設における職業指導、 修学の機会及び資格証書の取得のための
    同一の条件。 このような平等は、 就学前教育、 普通教育、 技術教育、 専門教育及び高等技術教育並びに
    あらゆる種類の職業訓練において確保されなければならない。
  (b) 同一の教育課程、 同一の試験、 同一の水準の資格を有する教育職員並びに同一の質の学校施設及び設
    備を享受する機会
  (c) すべての段階及びあらゆる形態の教育における男女の役割についての定型化された概念の撤廃を、 こ
    の目的の達成を助長する男女共学その他の種類の教育を奨励することにより、 また、 特に、 教材用図書
    及び指導計画を改訂すること並びに指導方法を調整することにより行うこと。
  (d) 奨学金その他の修学援助を享受する同一の機会
  (e) 継続教育計画 (成人向けの及び実用的な識字計画を含む)、 特に、 男女間に存在する教育上の格差を
    できる限り早期に減少させることを目的とした継続教育計画を利用する同一の機会
  (f) 女子の中途退学率を減少させること及び早期に退学した女子のための計画を策定すること。
  (g) スポーツ及び体育に積極的に参加する同一の機会
  (h) 家族の健康及び福祉の確保に役立つ特定の教育的情報 (家族計画に関する情報及び助言を含む) を享
    受する機会
第11条
  1. 締約国は、 男女の平等を基礎として同一の権利、 特に次の権利を確保することを目的として、 雇用の
    分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。
  (a) すべての人間の奪い得ない権利としての労働の権利
  (b) 同一の雇用機会 (雇用に関する同一の選考基準の適用を含む) についての権利
  (c) 職業を自由に選択する権利、 昇進、 雇用の保障並びに労働に係るすべての給付及び条件についての権
    利並びに職業訓練及び再訓練 (見習、 上級職業訓練及び継続的訓練を含む) を受ける権利
  (d) 同一価値の労働についての同一報酬 (手当を含む) 及び同一待遇についての権利並びに労働の質の評
    価に関する取扱いの平等についての権利
  (e) 社会保障 (特に、 退職、 失業、 傷病、 障害、 老齢その他の労働不能の場合における社会保障) につい
    ての権利及び有給休暇についての権利
  (f) 作業条件に係る健康の保護及び安全 (生殖機能の保護を含む) についての権利
  2. 締約国は、 婚姻又は母性を理由とする女子に対する差別を防止し、 かつ、 女子に対して実効的な労働
    の権利を確保するため、 次のことを目的とする適当な措置をとる。
  (a) 妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているかいないかに基づく差別的解雇を制裁を課し
    て禁止すること。
  (b) 給料又はこれに準ずる社会的給付を伴い、 かつ、 従前の雇用関係、 先任及び社会保障上の利益の喪失
    を伴わない母性休暇を導入すること。
  (c) 親が家庭責任と職業上の責務及び社会的活動への参加とを両立させることを可能とするために必要な
    補助的な社会的サービスの提供を、 特に保育施設網の設置及び充実を促進することにより奨励すること。
  (d) 妊娠中の女子に有害であることが証明されている種類の作業においては、 当該女子に対して特別の保
    護を与えること。
  3. この条に規定する事項に関する保護法令は、 科学上及び技術上の知識に基づき定期的に検討するもの
    とし、 必要に応じて、 修正し、 廃止し、 又はその適用を拡大する。
第12条
  1. 締約国は、 男女の平等を基礎として保健サービス (家族計画に関連するものを含む) を享受する機会
    を確保することを目的として、 保健の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な
    措置をとる。
  2. 1の規定にかかわらず、 締約国は、 女子に対し、 妊娠、 分べん及び産後の期間中の適当なサービス (
    必要な場合には無料にする) 並びに妊娠及び授乳の期間中の適当な栄養を確保する。
第13条
 締約国は、 男女の平等を基礎として同一の権利、 特に次の権利を確保することを目的として、 他の経済的
及び社会的活動の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。
  (a) 家族給付についての権利
  (b) 銀行貸付け、 抵当その他の形態の金融上の信用についての権利
  (c) レクリエーション、 スポーツ及びあらゆる側面における文化的活動に参加する権利
第14条
  1. 締約国は、 農村の女子が直面する特別の問題及び家族の経済的生存のために果たしている重要な役割
    (貨幣化されていない経済の部門における労働を含む) を考慮に入れるものとし、 農村の女子に対する
    この条約の適用を確保するためのすべての適当な措置をとる。
  2. 締約国は、 男女の平等を基礎として農村の女子が農村の開発に参加すること及びその開発から生ずる
    利益を受けることを確保することを目的として、 農村の女子に対する差別を撤廃するためのすべての適
    当な措置をとるものとし、 特に、 これらの女子に対して次の権利を確保する。
  (a) すべての段階における開発計画の作成及び実施に参加する権利
  (b) 適当な保健サービス (家族計画に関する情報、 カウンセリング及びサービスを含む) を享受する権利
  (c) 社会保障制度から直接に利益を享受する権利
  (d) 技術的な能力を高めるために、 あらゆる種類 (正規であるかないかを問わない) の訓練及び教育 (実
    用的な識字に関するものを含む) 並びに、 特に、 すべての地域サービス及び普及サービスからの利益を
    享受する権利
  (e) 経済分野における平等な機会を雇用又は自営を通じて得るために、 自助的集団及び協同組合を組織す
    る権利
  (f) あらゆる地域活動に参加する権利
  (g) 農業信用及び貸付け、 流通機構並びに適当な技術を利用する権利並びに土地及び農地の改革並びに入
    植計画において平等な待遇を享受する権利
  (h) 適当な生活条件 (特に、 住居、 衛生、 電力及び水の供給、 運輸並びに通信に関する条件) を享受する
    権利

第 4 部
第15条
  1. 締約国は、 女子に対し、 法律の前の男子との平等を認める。
  2. 締約国は、 女子に対し、 民事に関して男子と同一の法的能力を与えるものとし、 また、 この能力を行
    使する同一の機会を与える。 特に、 締約国は、 契約を締結し及び財産を管理することにつき女子に対し
    て男子と平等の権利を与えるものとし、 裁判所における手続のすべての段階において女子を男子と平等
    に取り扱う。
  3. 締約国は、 女子の法的能力を制限するような法的効果を有するすべての契約及び他のすべての私的文
    書 (種類のいかんを問わない) を無効とすることに同意する。
  4. 締約国は、 個人の移動並びに居所及び住所の選択の自由に関する法律において男女に同一の権利を与
    える。
第16条
  1. 締約国は、 婚姻及び家族関係に係るすべての事項について女子に対する差別を撤廃するためのすべて
    の適当な措置をとるものとし、 特に、 男女の平等を基礎として次のことを確保する。
  (a) 婚姻をする同一の権利
  (b) 自由に配偶者を選択し及び自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利
  (c) 婚姻中及び婚姻の解消の際の同一の権利及び責任
  (d) 子に関する事項についての親 (婚姻をしているかいないかを問わない) としての同一の権利及び責任。
    あらゆる場合において、 子の利益は至上である。
  (e) 子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する同一の権利並びにこれらの権利の行使を可
能にする情報、 教育及び手段を享受する同一の権利
  (f) 子の後見及び養子縁組又は国内法令にこれらに類する制度が存在する場合にはその制度に係る同一の
権利及び責任。 あらゆる場合において、 子の利益は至上である。
  (g) 夫及び妻の同一の個人的権利 (姓及び職業を選択する権利を含む)
  (h) 無償であるか有償であるかを問わず、 財産を所有し、 取得し、 運用し、 管理し、 利用し及び処分する
    ことに関する配偶者双方の同一の権利
  2. 児童の婚約及び婚姻は、 法的効果を有しないものとし、 また、 婚姻最低年齢を定め及び公の登録所へ
    の婚姻の登録を義務付けるためのすべての必要な措置 (立法を含む) がとられなければならない。

第 5 部
第17条
  1. この条約の実施に関する進捗状況を検討するために、 女子に対する差別の撤廃に関する委員会 (以下
     「委員会」 という) を設置する。 委員会は、 この条約の効力発生の時は18人の、 35番目の締約国による
    批准又は加入の後は23人の徳望が高く、 かつ、 この条約が対象とする分野において十分な能力を有する
    専門家で構成する。 委員は、 締約国の国民の中から締約国により選出されるものとし、 個人の資格で職
    務を遂行する。 その選出に当たっては、 委員の配分が地理的に衡平に行われること並びに異なる文明形
    態及び主要な法体系が代表されることを考慮に入れる。
第18条
  1. 締約国は、 次の場合に、 この条約の実施のためにとった立法上、 司法上、 行政上その他の措置及びこ
    れらの措置によりもたらされた進歩に関する報告を、 委員会による検討のため、 国際連合事務総長に提
    出することを約束する。
  (a) 当該締約国についてこの条約が効力を生ずる時から1年以内
  (b) その後は少なくとも4年ごと、 更には委員会が要請するとき
  2. 報告には、 この条約に基づく義務の履行の程度に影響を及ぼす要因及び障害を記載することができる。
第21条
  1. 委員会は、 その活動につき経済社会理事会を通じて毎年国際連合総会に報告するものとし、 また、 締
    約国から得た報告及び情報の検討に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。 こ
    れらの提案及び一般的な性格を有する勧告は、 締約国から意見がある場合にはその意見とともに、 委員
    会の報告に記載する。
  2. 国際連合事務総長は、 委員会の報告を、 情報用として、 婦人の地位委員会に送付する。

第 6 部
第23条
 この条約のいかなる規定も、 次のものに含まれる規定であって男女の平等の達成に一層貢献するものに影
響を及ぼすものではない。
  (a) 締約国の法令
  (b) 締約国について効力を有する他の国際条約又は国際協定
第24条
 締約国は、 自国においてこの条約の認める権利の完全な実現を達成するためのすべての必要な措置をとる
ことを約束する。

解説  女子差別撤廃条約
■女子差別撤廃委員会
  「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」 の締約国会議第1回会合が'82(昭57) 年4月16
日、 ニューヨークで開かれた。 同会議では、 条約第17条1項に基づき 「女子に対する差別の撤廃に関する委
員会」 (略称・女子差別撤廃委員会) を設立し、 委員23人が選出された。 委員会の構成、 委員の任期・任務
などは、 同17〜22条に規定され、 事務局は国連事務局国際経済社会局の社会開発人道問題センター婦人の地
位向上部 (ウィーン) におかれている。
■女子差別撤廃条約と日本
 女子差別撤廃条約 (女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約) が日本で批准されたのは、 国
際婦人の10年 (1975〜1985年) など、 女性差別告発の波が世界的に大きく盛り上がっていた1985年のことで
す。
 この条約は、 伝統的な 「男女同権」 の考え方よりかなり進んだ考え方に立っています。 その一つは、 社会
通念としての 「男女の伝統的な役割」 の変更が平等の達成に必要であると真正面から位置付けたことです。
「男は仕事、 女は家庭」 という発想や、 「女は不浄」 だから相撲の土俵に上がったり、 男より先に風呂に入っ
てはならない、 というような考え方は、 いかに伝統的であろうとも、 是正されるべきものです。 条約批准国
はこのような伝統的社会通念の修正に必要な措置をとらなければならないという方向付けを明らかにしまし
た。
 もう一つは、 平等の達成は女性の権利に立脚することはもちろんですが、 進んで各社会の経済的発展、 経
済格差の是正、 福祉の充実、 緊張緩和による平和の実現の一環として広く捉えられ、 女性が平等な立場で参
加することがこれらの実現に必要なのだという壮大な観点です。
 国際世論と国内の運動の中で、 女子差別撤廃条約を批准した日本政府は、 条約が義務付けている最低限の
差別撤廃施策を実現しなければならない立場に立たされました。 「男女雇用機会均等法」 (1986年施行)、父母
のいずれかが日本人でも子の日本国籍が取得できるという国籍法の改正 (1985年施行)、 学校教育における
家庭科の男女共習、 そして子の養育は男女及び社会がともに責任を負うという条約の精神を受けての 「育児
休業法」(1992年施行) は、 そのような施策の流れの中で理解することができます。
 けれども、 現在の状況は、 条約が予定する平等の実現とはかなりほど遠いというのが、 多くの女性の実感
でしょう。 雇用機会均等法は、 欧米の平等法と比較すると、 罰則が設けられていない点でも、 平等な雇用や
昇進を直接実現する救済手段が設けられていない点でも立ち遅れています。 不況になれば女子学生の就職が
真先に困難になる状態は変わっていません。 育児休業法も休業中の有給が保障されておらず、 父親や母親が
現実に休業取得できる態勢は多くの職場で整っていません。 更には、 伝統的な男女役割意識が変革されるべ
きだという考え方は、 保守的な陣営ではもちろん、 他の点では革新的な男性たちにも、 十分に理解されてい
るとは言いがたいのではないでしょうか。 家事の分担についても、 職場や組合等での活動についても、 戸籍
法の夫婦同姓主義のために自分の名前を失うことについても、 「伝統的」 な通念の壁に阻まれて苦闘してい
る女性は多いのです。 女子差別撤廃条約の内容は、 まだまだ実現過程にあると言えます。
 
     
   
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