椎葉民謡によるラプソディー
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 この曲は、熊本県との県境に近い宮崎県北西部の椎葉地方の民謡「駄賃付け節」をテーマに用いている。「駄賃付け」とは、馬の背に荷物を付けて町に行き、それを売り、また町の物を馬の背に付けて帰ってくることで駄賃をもらう仕事のことである。その道中に唄われたのがこの「駄賃付け節」である。

 ♪おどま(私ゃ)十三から駄賃付け習うたよ
   馬の手綱で日を送るよ
       c
 集落によって内容は多少違うのだが、唄の出だしはだいたいこのように始まる。駄賃付けは村の若者の仕事だったらしい。

 曲は大きく、馬に荷を載せ山道を歩いてゆく描写的な前半部分と、テーマをモチーフにした舞曲の後半部分に分かれる。
 一番鶏の鳴き声を模したトランペットのフレーズで開始される短い序奏に続いて、夜明け前の谷の情景に移る。

 馬を連れての道中が始まる。ここでは「駄賃付け節」が追分け風に演奏される。

 さて、疲れたのでちょっと小休止。谷間を通り過ぎる風はすがすがしい。木々のざわめき、そして森の奥からはホトトギスの鳴き声も聞こえてくる。

 これまでののんびりした曲調を断ち切って、後半の舞曲の部分に入る。

 曲は「駄賃付け節」のテーマを変形したメロディーによって展開されてゆく。


データ

演奏タイム:約7分30秒 難易度:中級

編成:Picc., 1&2 Fls., Ob., Bsn., EbCl., 1,2&3 Cls., A.Cl., B.Cl., 1&2 A.Saxs., T.Sax., B.Sax., 1,2&3 Trps., 1,2,3&4 Hrns., 1&2 Trbs., B.Trb., Euph., Bas., Str.Bass, Timp., Glock., Xylo., Mrmb., W.Chime, Sleigh Bell, S.D., Sus.Cymb., Cymbs., T.Block, Tamb., Tam-t.(Perc.はTimp.を含めて5名)

1996年作曲、同10月26日、磯部省吾指揮、宮崎市吹奏楽団によって初演。

ビデオ:文献社販売「THE BAND」に収録
(演奏:セバスチャン・ビヤール指揮/パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ・オーケストラ)

楽譜:文献社販売「THE BAND」に付属


(c) 1996 by Takashi Hoshide
楽譜の無断転用を禁ずる。