7月9日(金)
 13:00発のエールフランス航空便で成田を発つ。飛行機は太陽を追いかけて飛ぶのでいつまで経っても昼のままだ。東京−パリ間は約12時間の飛行で、その大半がシベリアのツンドラ地帯の上空を飛行していることになるのだが、雲の間から垣間みるこれまで見たこともない地上の不思議な風景は私を飽きさせなかった。パリ郊外のシャルル・ド・ゴール空港には現地時間の午後6時過ぎに到着。フランスは現在夏時間制を取っているので、日本との時差は7時間遅れ(通常は8時間)。もともと夜型の私は日本にいながら時差ボケ状態なので、こちらに来てそれが帳消しになったようなもんだ。
 パリ在住の真島氏の弟さんが空港に車で迎えに来てくれていた。パリ市街に向かう高速の車窓からは日本企業の看板のオフィスビルが目立つ。この風景を見る限り日本と大して違わないじゃないかと思っていたが、市街にはいると風景は一変する。彫刻を施した石造りの建物に石畳の舗道、おお、これこそ映画などでもおなじみのパリの風景だ。パリではいわゆる景観保護条例のようなものがあって、市街に近代的な建築物を建てることが厳しく規制されているそうである。それだからこそ、このパリらしさが保たれているんだなぁと納得。


我々の逗留したアパルトマン(アパート)
7区の Rue Bertrand(ベルトラン通り)にある

 パリ在住の日本人が日本からの旅行者用に貸している安アパートを借りて逗留することに。荷物をいったん置いて早速パリの街に繰り出すことにした。時計は午後8時をゆうに回っていたが、外はまだ陽が射している。緯度的には樺太付近にあたるパリでは7月の日没は10時頃なのだが、夜の10時にまだ外が明るいというのは何とも奇妙な感覚だ。サンジェルマン・デ・プレまで出かけてレストランに入る。いや、正確にはこの時期のレストランは舗道にまでテーブルが出ていて、そちらに座ったので「入った」ことにはならないのだが……。まずはパリへの無事到着を祝して乾杯。くれなずむパリの空を楽しみながらの食事はなかなかオツなものである。


夏のレストランは舗道にテーブルが並ぶ
思い思いに語らうパリジャン達


夏時間制
 現在夏時間制の導入を検討している日本だが、フランスをはじめ、ヨーロッパ諸国ではむしろ夏時間制の廃止の方向に向かっているそうである。なんでも、夏時間との切替日にコンピュータでの予約等で混乱が生じているという。まあ、切替日には存在しない1時間や、重複する1時間があるわけで、時間に対してはおおらかなヨーロッパも、コンピュータによるシビアな時間管理に人間の方が翻弄されてしまっているのでしょうな。
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緯度的には樺太付近にあたるパリ
 そのかわり、日の短い冬は、石畳の街パリはそれはそれは凍てついた日々が続くという。まあ、それもパリらしさなのだろうが。
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