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   五中−瑞陵百周年事業

    記念イベント「吉例顔見世」観劇

記念イベント 市川團十郎さん御挨拶と生徒からの質問    
平成19年10月20日、記念式典に引き続き記念イベントが御園座にて実施されました。
市川團十郎さんの挨拶や生徒とのトークにつづいて、「吉例顔見世」歌舞伎観劇がおこなわれました。
※市川團十郎さんの挨拶や生徒とのトーク、およびイベントの歌舞伎公演の写真は、御園座さんとの取り決めで掲載してありません。

市川團十郎さん御挨拶

 皆様、おはようございます。ただいま、ご紹介にあずかりました市川團十郎でございます。この度は瑞陵創立百周年を迎えられ、本当におめでとうございます。多くの先輩の皆様が本当にすばらしい伝統を作られ、また今の在校の皆様方がまた、新しい伝統を作られる一つの節目として素晴らしい時を迎えられ、又その式典に当御園座を選んでいただいたことは、我々にとっても嬉しいことです。歌舞伎も四百年という歴史と伝統の上に我々も頑張っております。この瑞陵創立百周年というおめでたいときに、日本の伝統芸能をご覧いただけるということは我々も嬉しく思っております。今日一日、ごゆっくりご鑑賞いただければありがたいと思っております。本日は本当におめでとうございます。

生徒から市川團十郎さんへの質問コーナー

 挨拶に引き続いて、舞台上で代表の生徒からの團十郎さんへいくつかの質問に答えていただく時間がとられました。生徒の質問に対して團十郎さんは気さくに答えられ、会場は和やかな雰囲気につつまれました。

◎パリ公演のときはどんなことが一番印象に残っていますか。
 今年、3月の23日にパリのオペラ座というパリの伝統ある劇場に歌舞伎がはじめて出るという好機をいただきました。フランスの方々というのは文化というものに強い関心をもたれているなと思っております。もちろん経済ということも大事でしょうけどもフランスの方々というのは自分たちの文化が経済を作り出すと考えておられるようです。ですから画家の方々のアトリエを訪ねても、日本の浮世絵とかそういうものが飾ってあって、大変、日本の文化に興味を示して下さっていると恩いました。歌舞伎をやらせていただいて大変興味を持っていただいた。例えば、今、地舞台という舞台ですけども、この後、歌舞伎を演じる場合には所作舞台という物を置きます。そうすると舞台がドンドンドンドンと音が出ます。そういうのも西洋の舞台にはありません。そういうことやなんかもどういうことかと質問を受けたりしましたけれども、フランスの方々は日本の歌舞伎とか、能とか、侘び、寂び、といったものに大変興味を持っておられます。われわれもそういう知識を入れて日本の文化はこうだという誇りを持ってやっていただければ幸せだなあと思っております。

◎成田屋とか音羽屋とかいう声がかかりますが、屋号にはどういう意味がありますか。また、誰がどこで声をかけるのですか。
 屋号というのは、市川家では成田屋というものがございます。初代團十郎がひとつの演目をやるときに役者の家に屋号というものを考え出しました。以後、そのうちうちにその家にちなんだ屋号を考え出すようになりました。初代團十郎は千葉の成田山というところから出てきた。成田不動という祀られているところにちなんで成田屋を名乗るようになりました。音羽屋さんは関西の音羽山というのがありますが、関西出身だったので音羽屋と名乗るようになりました。
 これは誉めとか、呻きとか、また、大向うと言う言い方がありますが、誰でもかけていいのです。気に入ったときには「成田屋!」でいいわけですね。
 「成田屋!」「音羽屋!」誰がかけても構いません。ですから、今日チャレンジしたい方は是非チャレンジしていただきたい。覚悟するまでは大変なんです。声をかけようと思っても、(のどを示して)ここまでは出るんですが、ここからはピタッと止まるんです。これを思いっきりポーンと出すんです。こんな気持ちのいいことはありません。勇気のある方は是非声をかけてみてください。(客席からすかさず「成田屋!」の声) あ、ありがとうございます。

◎もうひとつ、歌舞伎役者は女性にもてると聞きますが、僕たちどうしたらもてますか。
 うーん、ひとつだけ言えることだと思うんですけども、我々は小さいころから勉強します。いろいろ人生ですから紆余曲折というのがあります。ひとつ仕事を貫こうと、一生の仕事を決めようという思いで舞台を取り組んでいる人たちが多いと思います。やはりいろんな方を見ていても、自分の一生の仕事を貰こうという意思を持ってる。それを拝見するとなんか違う魅力がある。ですから歌舞伎役者がもてるというのは現実であるようなそうでもないようなところもありますが、皆さん一生の仕事を貫こうという思いが出てくるのではないのかな。あなたも自分のこういう仕事を貫こうという気持ちが出たらもてるようになるのじゃないかな。

◎團十郎さんは4年ほど前に海老蔵という名から團十即という名を襲名されたそうですが、襲名すると名前以外に何か変わるものはありますか。
 名前が変わるというのは日本の昔からの風習なんです。○○丸とか、名古屋なら藤吉郎とかから秀吉に名前が変わっていくわけですね。幼名と成人の名前、それから一家の棟梁の名前と変わるわけです。名前が変わったからどうということもないという考え方もありますけれども、我々にとってみると名前が変わるってことは人生にとってひとつの節ができます。ですから、竹みたいにまっすぐに伸びようとすると節というものがきちっと支えになりますね。同じように名前を変えるというのもひとつの竹の節に自分の中でなっているような気がします。ですから、節があるということはそれだけ丈夫に高く伸びられるという可能性を秘めている。そういう意味でも日本の昔の方の智恵といいますか、名前を変えることによって自分の精神をまた新たに作り直して力を得る。女性ですと結婚すると名前が変わる可能性がありますけれども、そういう時にはまた力強くひとつの新しい人生が始まると・・・女性が強い原因にもそういうことがあるんじゃないかと思いますけども、名前が変わるというのも人生のひとつの節目、それから精神を強くするということがあると思います。

◎ひとつの役を完成させるのにどれくらいかかりますか。
 ひとつの役を完成させるということは本当に難しいことです。何回も何回も繰り返すということによって、ま、完成というまでにはいきませんけども、前回やった時から比べて少しずつ前進しようという風に思っています。まあ、我々舞台を務めていてひとつの役で完成した−なんていうことはまずないですね。同じことですけども、同じことを繰り返しながら繰り返しながら同じことをやってるなあと思っていても、あるときポーンと違うステージに上がれるんですね。まあ、そんな感じで役を務めていますから、完壁だとか、完成しただとかいうことはありませんし、どのくらい稽古をやるかいわれたら一生稽古をやっているということだと思います。


記念イベント 「吉例顔見世」観劇     
「吉例顔見世」観劇
 
 市川團十郎さんの挨拶や生徒とのトークにつづいて、「吉例顔見世」歌舞伎観劇がおこなわれました。
 参加者は2回の幕間に2班に分かれて昼食をとりました。(費用は記念事業から支出)
 生徒全員にイヤホンガイドも貸し出されました。

@歌舞伎十八番の内 毛抜き
  11時〜12時05分
   主な配役: 尾上松禄 市川門之助 片岡市蔵 板東亀三郎 板東亀寿  板東秀調 
           市村萬次郎
  幕間 12時05分〜12時35分

A色彩間苅り豆 かさね 
  12時35分〜13時25分
   主な配役: 尾上菊之助 市川海老蔵
  幕間 13時25分〜13時50分

B権三と助十

  13時50分〜15時10分
   主な配役: 市川團十郎 中村魁春 市川團蔵 河原崎権十郎 片岡市蔵 市川男女蔵
           板東秀調 市村家橘 市川左団次 澤村田之助 尾上菊五郎

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瑞陵会では、今回のイベントに関連して、以降10年間、毎年100名の高校生・留学生を御園座にご招待する「ポプラシート」の企画をおこなっています。