2006.08.05囲碁将棋ジャーナル 王位戦第3局タカミチ解説
2006.08.03竜王戦決勝T 鎮VS杉本 四間相穴
2006.08.04A級順位戦 藤井VS郷田 対四間銀冠 

2006.08.5囲碁将棋ジャーナル 王位戦第2局タカミチ解説 No: 1196 [返信][削除]
 投稿者:マシュダ一家  06/08/05 Sat 19:43:30

10手め32銀の左美濃は康光相手に羽生は絶対やらない。康光ならしょっちゅーやってる。タカミチの羽生解釈はヌルイ。だから43手めまでポンポン進んでしまう。タカミチ級なら68角や38飛に一言あってもいい。しかし自分でもそう指すと言う戦友感覚。そこまで洗練された駒組ならなぜ先手は無理な打開になるのか?しかもそれで先手が勝ってしまうのはなぜか?
タカミチの告白は「矢倉は難解」。つまり10手めからしてまだ判らないことだらけ。明らかなことは40手めぐらいまで惰性で指しても全面駆使になると言うことだけ。そこにアグラをかいてきたのがタカミチたち。だから88玉さえもアタリ前であるかのように述べる。この手が先手の疑問かもしれない。当家や森内はそこまで考えて分析してきた。
54手めタカミチは54銀らしい。そんな純正駒アタリ偶数番2しか考えないからバカにされる。33桂やったら54桂。それが仮想駒アタリ偶数番2なのかと言う議論をしている時にオトトイ来いの解説。
そうは言ってもラシー指摘がひとつだけあった。
64手め64同歩はどうかと言うもの。
これはいかにも熱狂矢倉のタカミチらしい手。王座戦で渡辺明に指した羽生64歩を一瞬彷彿させる。派手にやると。

先手:73手め57金
後手:64手め64同歩
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀
▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金
▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽7四歩 ▲6七金右 ▽5二金
▲7七銀 ▽3三銀 ▲7九角 ▽3一角 ▲3六歩 ▽4四歩
▲3七銀 ▽6四角 ▲6八角 ▽4三金右 ▲7九玉 ▽3一玉
▲8八玉 ▽2二玉 ▲4六銀 ▽5三銀 ▲3七桂 ▽9四歩
▲2六歩 ▽2四銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲1八香 ▽7三角
▲3八飛 ▽9五歩 ▲6五歩 ▽3三桂 ▲5五歩 ▽同 歩
▲2五歩 ▽同 桂 ▲同 桂 ▽同 銀 ▲3五歩 ▽5四桂
▲3七銀 ▽3五歩 ▲同 角 ▽9三桂 ▲2六銀 ▽3四銀
▲2四歩 ▽同 歩 ▲6四歩 ▽同 歩 ▲2四角 ▽2三歩
▲6八角 ▽6五歩 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲1四歩 ▽6六歩
▲5七金 ▽6四銀 ▲1五香 ▽1二歩 ▲投了
76手で後手の勝ち

先手:73手め66同銀
後手:64手め64同歩
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽6二銀
▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金
▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽7四歩 ▲6七金右 ▽5二金
▲7七銀 ▽3三銀 ▲7九角 ▽3一角 ▲3六歩 ▽4四歩
▲3七銀 ▽6四角 ▲6八角 ▽4三金右 ▲7九玉 ▽3一玉
▲8八玉 ▽2二玉 ▲4六銀 ▽5三銀 ▲3七桂 ▽9四歩
▲2六歩 ▽2四銀 ▲1六歩 ▽1四歩 ▲1八香 ▽7三角
▲3八飛 ▽9五歩 ▲6五歩 ▽3三桂 ▲5五歩 ▽同 歩
▲2五歩 ▽同 桂 ▲同 桂 ▽同 銀 ▲3五歩 ▽5四桂
▲3七銀 ▽3五歩 ▲同 角 ▽9三桂 ▲2六銀 ▽3四銀
▲2四歩 ▽同 歩 ▲6四歩 ▽同 歩 ▲2四角 ▽2三歩
▲6八角 ▽6五歩 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲1四歩 ▽6六歩
▲同 銀 ▽同 桂 ▲同 金 ▽5六歩 ▲5五桂 ▽3七歩
▲同 飛 ▽5七銀 ▲7七角 ▽8五桂 ▲投了
82手で後手の勝ち

ザット見ると面白いが少し考えるとダメと判る。羽生が見送った理由は角筋開通に1手+攻撃連動手=2手分のツケ。
初日から康光は角いらないと言っているので上記変化にならず角捨て変化しかない。しかも55桂ではなく46桂が先手のデフォルト。77手め46桂で57銀は間に合わない。95歩にかけた2手や93桂が寒い。さらに後手玉は31から63に抜けて行く脱出路が本筋。だから64手め64同歩は最終盤から逆算すると逆転のチャンスが一瞬で消える。これは最終盤変化を追うと判る。後手は77馬で55地点を死守しつつ詰めろ逃れの詰めろをかけるのが当家の最終図案。以下先手の猛攻に64玉と後手は逃げるが55銀に同馬で逆転。64手め64同歩変化だと63地点に打ち込まれたら後手玉はアウト。
この羽生エスケープの進路を知っているからこそ康光は75手め35桂打としている。タカミチは正直に75手め35桂打を理解不能と述べた。その不能度を象徴するのがタカミチ推奨の64手め64同歩と言うオチ。
75手め25桂打は全然ダメ。31玉から後手玉はそれでは捕まらない。
54桂とは空間閉塞手でもあった。羽生が試したいのも至極当然。三頭手どころか四頭手の可能性があった。同角変化でダメなら最初からデザインし直し。
もうひとつ重要なこと。
54桂矢倉では後手の初手84歩に意味を与えるために最終盤83玉と逃げる変化がある。84歩は85桂の支えとして役目を果たすが本譜のように最初から86銀が負けと判っている変化では先手は当然手抜きする。すると飛車先不突きでこの進行に出来れば後手必勝。羽生が終始1手遅いと感じた原点はこの84歩にある。だからこそ当家は実況&分析開始地点No: 1170で真っ先にこの問題に触れた。そしてNo: 1171でも。55歩変化とはこの84歩を無力化する。同様に33桂もそうなのかと言うのが羽生の葛藤であった。渡辺明なら85歩から86桂を考える。その場合44手めは85歩でないといけない。ところが85歩には先手に穴熊の選択肢が発生する。康光はそれで森下に勝ったばかり。だから羽生は今回95歩。すると端にかけた2手を正当化する93桂から構築する。そのための33桂であった。33桂はタカミチが言う「ツッパリ」ではない。すべて後手の初手をどう生かすかにかかっている。ところが先手の初手76歩は自陣の天蓋なのでそのような負い目がない。これが矢倉先手有利の根本的な問題。これを言わずに連盟棋士は第二手めを84歩からある時期34歩にすり替えてしまった。横歩取り85飛や手損角換りがその系譜。だから矢倉が旧態依然の定跡で40手以上も指されてもそれが当たり前と思っている棋士がほとんど。
後手の初手に83玉の意味を賦与したのは当家のみだがなぜそこに至ったか記す。それは後手の方針は受け流しのため。84歩を玉の流刑地として最初からデザインする。だから本譜のように33玉から44地点へ抜けるルートは絶対思考しない。
康光の大長考はいつもコケるが今回の75手め35桂はあらゆる意味で面白い。タカミチは康光のベスト5に入る棋譜と述べたがベスト20には入るであろう。羽生の第二手めへの執着が希薄なためにまだベスト10入りには早い。結果は第10手めに当家が思考したように羽生は84歩に意味を賦与できず負けた。


2006.08.03 鎮VS杉本 四間相穴 No: 1195 [返信][削除]
 投稿者:マシュダ一家  06/08/05 Sat 04:00:00

2006.08.03 鎮VS杉本 四間相穴
日時:2006.08.03
棋戦:竜王戦決勝T
戦形:四間相穴
先手:畠山 鎮七段
後手:杉本昌隆七段
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲4八銀 ▽3二銀
▲6八玉 ▽4二飛 ▲7八玉 ▽6二玉 ▲5六歩 ▽7二玉
▲7七角 ▽4三銀 ▲5七銀 ▽8二玉 ▲8八玉 ▽5四銀
▲6六歩 ▽9二香 ▲2五歩 ▽3三角 ▲9八香 ▽6四歩
▲9九玉 ▽9一玉 ▲8八銀 ▽8二銀 ▲7九金 ▽6二飛
▲5九金 ▽5二金左 ▲6九金右 ▽7一金 ▲7八金右 ▽1二香
▲3六歩 ▽4五歩 ▲2四歩 ▽同 角 ▲6八銀 ▽3三桂
▲3五歩 ▽同 歩 ▲2六飛 ▽6三銀 ▲1六歩 ▽7四銀
▲3七桂 ▽5四歩 ▲6五歩 ▽5五歩 ▲同 歩 ▽5七歩
▲6七銀 ▽3六歩 ▲同 飛 ▽6五歩 ▲5四歩 ▽6六歩
▲同 角 ▽6五銀 ▲4四角 ▽5四銀 ▲2五歩 ▽同 桂
▲6二角成 ▽同金寄 ▲2五桂 ▽5五角 ▲3一飛成 ▽6六歩
▲5六銀 ▽6四角 ▲7一龍 ▽同 銀 ▲1一飛 ▽7二飛
▲9五桂 ▽8二銀 ▲1二飛成 ▽9四歩 ▲6五香 ▽4二角右
▲6三歩 ▽同 金 ▲同香成 ▽同 銀 ▲6四歩 ▽同 角
▲2三龍 ▽9五歩 ▲6三龍 ▽7一香 ▲6四龍 ▽4二角
▲5三歩 ▽5八歩成 ▲6三銀 ▽投了
99手で先手の勝ち

藤井もそうだがなぜ必要以上に振り飛車が動くのか。タコ相手にはタコのフリして付き合うのが最善。タコは殴っても痛がらない。30手め62飛は悪手にしか見えない。杉本は後手で3-2アタック示唆なのでまだ何か期待できたがビビって6手も溜めてはやはり62飛は悪手。せっかく対亮介で見せ場を作ったのにもったいないことした。


2006.08.04A級順位戦 藤井VS郷田 対四間銀冠 No: 1194 [返信][削除]
 投稿者:マシュダ一家  06/08/05 Sat 03:43:56

2006.08.04A級順位戦 藤井VS郷田 対四間銀冠
日時:2006.08.04
棋戦:A級順位戦
戦形:対四間銀冠
先手:藤井 猛九段
後手:郷田真隆九段
▲7六歩 △8四歩 ▲7八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲6八飛 △4二玉
▲6七銀 △3二玉 ▲3八銀 △5二金右 ▲1六歩 △1四歩 ▲4八玉 △5四歩
▲5八金左 △7四歩 ▲3九玉 △8五歩 ▲7七角 △2四歩 ▲4六歩 △2三玉
▲2六歩 △3二銀 ▲4七金 △4四歩 ▲3六歩 △1二玉 ▲3七桂 △2三銀
▲5六歩 △3二金 ▲5五歩 △同 歩 ▲5八飛 △4三金右 ▲5五飛 △5三銀
▲5八飛 △3一角 ▲2八玉 △7二飛 ▲5九飛 △7五歩 ▲同 歩 △同 飛
▲6八角 △4二角 ▲2七銀 △2二玉 ▲3八金 △6四歩 ▲9六歩 △9四歩
▲5五歩 △7一飛 ▲7六歩 △6五歩 ▲同 歩 △6六歩 ▲5六銀 △8六歩
▲同 角 △7六飛 ▲7七歩 △7四飛 ▲4五歩 △同 歩 ▲同 銀 △5八歩
▲6九飛 △4四歩 ▲5六銀 △7三桂 ▲5七金 △8五歩 ▲9七角 △9五歩
▲6六金 △9六歩 ▲7九角 △8六歩 ▲同 歩 △9七歩成 ▲5七角 △9八と
▲9五歩 △同 香 ▲7五金 △9四飛 ▲6四歩 △5九歩成 ▲同 飛 △6四銀
▲同 金 △同 飛 ▲6五歩 △同 桂 ▲7五角 △8九と ▲9五香 △4六桂
▲3九金 △7四飛 ▲4二角成 △同金引 ▲7六香 △6八角 ▲6九飛 △5七角成
▲6五銀 △8四飛 ▲4八銀 △同 馬 ▲同 金 △8六飛 ▲9七角 △8七飛成
▲4二角成 △同 金 ▲4三歩 △3二金 ▲7五角 △6四歩 ▲5四桂 △4三金
▲6四銀 △7八龍 ▲6八金 △8八龍 ▲5三銀成 △3三金 ▲4二桂成 △6七歩
まで136手で後手の勝ち

藤井の7thアタックは振り飛車の系譜としては異端。5筋に振り直した時点で先手作戦負け。おかげで59飛の緩手に55歩ではヒドイ。59手め76歩打つ前に投了でよかった。5thアタックから出た銀を引っ込めるようではナニもない。25歩決めてから角銀交換強要して55飛の瞬間24歩同銀に46角で玉砕して貰いたかった。玉頭怖ければ単に64角の飛車香取りでも。森下久保の方がまだ面白い。