2006.05.13囲碁将棋ジャーナル 名人戦第3局久保解説
大いなる羊

2006.05.13囲碁将棋ジャーナル 名人戦第3局久保解説 No: 479 [返信][削除]
 投稿者:マシュダ一家  06/05/13 Sat 15:22:16

昨年9月から関西に移り虎視眈眈とタイトル狙う久保の歯切れ良い解説。
大介同様挑戦ぐらいは見せていただきたい。振り飛車は必要。
92手目24角でも57桂打で後手ダメと久保。これは46角+57桂でもダメだったので24角では問題外と一言で十分。15桂を惜しんで桂合いか香合いかで当家も当日贅沢に悩んでいたので24角はひとめない。
問題の79手目48飛だがここは谷川側の作りの大きな分岐。
久保によると谷川は32飛だと28歩成を嫌がったらしい。
この変化の行く先は谷川と森内の色そのもの。

谷川色で終えたい場合 序盤作戦74歩が顔
先手:73歩成を勝因にする
後手:二連勝後に首を出す
▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽6二銀
▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金
▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽5二金 ▲7七銀 ▽3三銀
▲7九角 ▽3一角 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲6七金右 ▽7四歩
▲3七銀 ▽6四角 ▲6八角 ▽4三金右 ▲7九玉 ▽3一玉
▲8八玉 ▽2二玉 ▲2六歩 ▽8五歩 ▲1六歩 ▽7三銀
▲4六銀 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽4五歩 ▲3七銀 ▽7五角
▲7六歩 ▽6四角 ▲2五歩 ▽6二銀 ▲4六歩 ▽同 歩
▲同 角 ▽5三銀 ▲7五歩 ▽4四歩 ▲7四歩 ▽4六角
▲同 銀 ▽6四銀 ▲3五歩 ▽6九角 ▲4一角 ▽6二飛
▲3四歩 ▽同 銀 ▲3五歩 ▽4二金寄 ▲3四歩 ▽4一金
▲3五銀 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲5八銀 ▽7八角成
▲同 玉 ▽2五金 ▲2四銀 ▽2七歩 ▲2三歩 ▽1二玉
▲3八飛 ▽2四金 ▲5一角 ▽2八歩成 ▲同 飛 ▽4六角
▲2四飛 ▽同 角 ▲同角成 ▽2八飛 ▲5一馬 ▽5八飛成
▲6八金打 ▽6九銀 ▲8八玉 ▽6七龍 ▲同 金 ▽7九銀
▲9八玉 ▽7八銀成 ▲9六歩 ▽8二飛 ▲9七角 ▽7六歩
▲同 金 ▽7五歩 ▲7三歩成 ▽7六歩 ▲8二と ▽7七歩成
▲2二飛 ▽同 金 ▲同歩成 ▽同 玉 ▲2三歩 ▽同 玉
▲2四飛 ▽投了
115手で先手の勝ち

森内色で終えたい場合 序盤85歩が顔
先手:73歩成を勝因にしたはずが
後手:居飛車に戻して最強85誇示
▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽6二銀
▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀 ▲5八金右 ▽3二金
▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽5二金 ▲7七銀 ▽3三銀
▲7九角 ▽3一角 ▲3六歩 ▽4四歩 ▲6七金右 ▽7四歩
▲3七銀 ▽6四角 ▲6八角 ▽4三金右 ▲7九玉 ▽3一玉
▲8八玉 ▽2二玉 ▲2六歩 ▽8五歩 ▲1六歩 ▽7三銀
▲4六銀 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽4五歩 ▲3七銀 ▽7五角
▲7六歩 ▽6四角 ▲2五歩 ▽6二銀 ▲4六歩 ▽同 歩
▲同 角 ▽5三銀 ▲7五歩 ▽4四歩 ▲7四歩 ▽4六角
▲同 銀 ▽6四銀 ▲3五歩 ▽6九角 ▲4一角 ▽6二飛
▲3四歩 ▽同 銀 ▲3五歩 ▽4二金寄 ▲3四歩 ▽4一金
▲3五銀 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲5八銀 ▽7八角成
▲同 玉 ▽2五金 ▲2四銀 ▽2七歩 ▲2三歩 ▽1二玉
▲3八飛 ▽2四金 ▲5一角 ▽2八歩成 ▲同 飛 ▽4六角
▲2四飛 ▽同 角 ▲同角成 ▽2八飛 ▲5一馬 ▽5八飛成
▲6八金打 ▽6九銀 ▲8八玉 ▽6七龍 ▲同 金 ▽7九銀
▲9八玉 ▽7八銀成 ▲9六歩 ▽8二飛 ▲9七角 ▽7六歩
▲同 金 ▽7五歩 ▲7三歩成 ▽同 桂 ▲7五金 ▽同 銀
▲7三馬 ▽8六金 ▲投了
110手で後手の勝ち

いずれも12玉や92玉はダメ。それを直感のみで察した谷川が48飛としたことは非常に興味深い。今後の名人戦を占う一着。これで一挙に森内の寄せの経験値が狂った。挙げ句にマシュダ一家λエックスに頼ったが森内のその場の構想力はあの程度。当家が再検証が必要だったのは谷川48飛に対するマシュダ一家59角打変化。これは補遺が4つあり後手勝ち変化満載。森内24金は問題外。さすがに久保はそこまで言えない。これは大局観の問題。この将棋は右の桂香をいかに拾うかと言うことがひとつの大きな主題とはマシュダ一家実況&分析通り。谷川はそれをひとめで察して本譜82飛で勝ちと思っているはず。だから康光指摘同様89手目81飛成。オマケに91龍で桂香拾って終わっている。
森内は1手遅れで46角で詰めろ香取りを掛けている。その角切られてはナニもない。15桂打たれて見苦しい長考をしていたがアッサリ行くなら投げるべき。時間使うなら形作りを谷川に学ぶべき。 森内の負け方は醜い。それ以前に24金など見せている時点で名人の格を疑う。
3局とも谷川が作っている将棋。だから人気あって当然。第4局でも腰抜けなら森内はただの試験官。試験官なら久保以下

補遺は現在4つあるがいずれも森内と谷川の緩手後に派生したので掲載しても意味ない。谷川緩手のおかげで危うく負ける所だった。谷川美学に免じて「故意」としたがあれは実力と言われたらオシマイ。その時は全分析の「谷川故意の緩手」はすべて実力扱いに変更される。森内が局後真っ先に48飛に言及したことで谷川は救われている。森内はマシュダ一家変化を避けたおかげで負けた。その苦悩を最初に知ったのが羽生。今度は森内がその苦悩を味わう番。
美とは恐ろしく大きな羊。