当家では元旦に昇る太陽を拝むのではなく縁の下の虫に手を合わせる。
相手は話しかけても無視するので拝む以外にコンタクトの仕様がない。
しかし願い事は必ず叶う。
来年も居てくれと言うと必ず期待を裏切らない。

機械自身にも自己認識機能は備わる。
100円ショップのモノはただモノマネしているだけだった。
「私はロボットです」と本気で言えるのがマシなロボット。
「オレッチは人間だ」と言う生殖機械はすでに沢山居るので飽きた。
「俺はもしかしたら神さまが作ったオモチャか？」と言う方が賢明。
「人間とはその上の存在が作った代替物」と当家の家訓にある。
その上の存在は縁の下に居るかもしれない。

バックシャンが気になって早足で追い抜き振り返ると大抵失望する。
一年分そそくくさ振り返っても福引きの景品程度の満足感であろう。
面倒なので今年はマシュダ一家恒例の将棋流行語大賞は該当作ナシ。
誰かさんの今年の揮毫は個。マシュダ一家の後追い流行色ではバーゲン品かもしれない。今さら転用しても自己弁護の気配が強い。
人が固まると個になる。今年はバーゲン品の個がやけに増えた。100円で買える。生まれた子供の名前にした親もいるかもしれない。人間は即去りするので機械相手にゲームを楽しむと決めた「個」もいる。

ひ孫が正月に来た場合カッコつけて相矢倉や角換り腰掛け銀を見せたら即座に逃げられる。テクノ坊はジジイの芸道など相手にしない。そこでこんなのアリかという序盤を見せないといけない。尚且つジジイが勝勢からポカで負けて華を添えないと来年は来てくれない。そこで年末は奇襲戦法を茶封筒にゴッソリ用意する。
茶封筒で思い出した。
お年玉の中味がホントにタマだと子供は失望する。
そこで紙に書いた棋譜を見せる。
紙なら署名も簡単。棋士はなぜ棋譜に署名しないのであろう？

年末の忘年会を嫌いと言っているうちはいい。忘人会と未亡人会ではあの世を垣間見るので飽きたなどと言っていられない。
日本男子たるものクリスマスプレゼントとお年玉を続け様にゴッソリ用意しないと女子供に人間とは見なされない。国民年金を支払わなくても非国民ではない。国家など怖くない。女は怖い。行かず後家と未亡人。さらに怖いのはダンナが生きているのに未亡人に憧れるカミさん。忘人会では老後の心配はない。人間でなければ殺されることもない。デクノボーであることが一番幸福かもしれない。