2002.4.28テレビ東京早指し新鋭戦
田村VS松尾
相振り三間飛車
サードディフェンス12手組
2002.4.28マシュダ談話


松尾 歩(まつお あゆむ)五段(棋士番号231)
■生年月日 1980年3月29日
■出身地 愛知県日進市
■師匠 所司和晴六段

■竜王戦−5組
■順位戦−C級1組

■昇段履歴
1994年3月 6級
1997年 初段
1999年4月1日 四段
2002年4月1日 五段
 

■優勝履歴
新人王戦 1回(第32回−2001年度)
 
優勝合計 1回 

■将棋大賞
第29回(2001年度) 新人賞

「注目の新人登場です」
「楽しみじゃね」
「田村さん、升田式石田流の出だしです」
「お、松尾35歩か」
「相振りですね」
「面白い。チェス定跡みたいな名前で呼ぼ」
「初手から全く先後同形で進行します」
「13手目で端歩を突きあい、初めて対象型が崩れる」
「先手からの飛車先交換は?」
「18手目で73歩打たして先手の利を維持」
「20/88角成です」
「これで先手一手得」
「22/36歩。後手攻めますね」
「同歩なら55角」
「ここで歩を交換しじっと26/72玉の局面です」
「先手一手得で歩を二枚持ち指しやすい」
「14歩は受けませんね」
「むずかしい。受けると端攻めに弾みがつく。54角打の筋から18歩を狙われやすい」
「22銀に84歩なら?」
「持ち歩二枚で後手ひく必要はない」
「それで77銀と遊び銀の進出ですね」
「双方左銀をどこかで進出することになる。それまでに角と歩を手持ちにし隙を互いに伺う将棋」
「先手は1歩手持ちが多いのが利点?」
「その代わり飛車が浮いている分、角で狙われやすい」
「しかし、すでに先手は一手得ですから、飛車を引けるのでは?」
「ゆっくりした展開では手得の価値が薄れる」
「36/93銀ですが?」
「先手の棒銀をどうかわすか」
「38/13桂です!」
「銀を繰り出すのでは遅すぎるから非常手段。もうあとに引けない」
「42/75銀を35飛であてました!」
「怖いことするね」
「43/76歩で受けましたけど」
「ほっほ、田村どうしちゃったんかね」
「おぼこ戦法ですか?」
「局面戻して」
「42手目です」
「84歩-同歩-同銀は85歩打たれて先手敗勢。65角は手順に33銀なら強く45銀-34飛-35歩で先手勝ち。よって65角には44角の一手。65角-44角-74歩-66角-73歩成-同金-66銀で大乱戦。次に74歩の叩きを見せて陣形の差で先手優勢だったはず。松尾うまくハッタリかましたね。76歩を打たされては田村指しにくい」
「手順に25歩に対して56角打で勝負です」
「純情一途じゃね。それで76歩でじっとがまんか」
「これで次に84歩-同歩-同銀-85歩なら83角成でオワですが?」
「角打ったからね。怖くない」
「手筋の74歩でした。同銀の一手に64角。ここで83銀成は?」
「飛車先が重すぎる。61玉と手順に逃げられるだけ」
「それでじっと87飛ですね」
「松尾もじっと61玉が柳に風。26歩と取込むと同銀。38飛成-同玉-19角成の二枚換えはじっと37歩打たれて後手切れ筋」
「さすがに36桂は打たせてくれませんか。それで61玉にはじっと36歩?」
「すでに角を打ち合っているからわずかな利を維持していかんとね」
「先手の端攻めから小競合です。最後の1歩で94歩。同銀なら?」
「田村喜んで84飛と走る」
「じっとがまんで82銀引きでした。それでも喜んで84飛と走りましたけど?」
「64角で銀にヒモついておるからね。76に歩を打ったから73歩とは打てんの」
「それでじっと26歩の取り込みですか。いいカンジ?」
「69/25銀までは流れじゃね。これで田村一応駒得。後手も馬作ってなんとか勝負型」
「70/81歩はつらいんじゃないですか?」
「次に37桂or28歩-81歩でどうせ受ける歩。先受けは手筋」
「田村さん、37桂or28歩はしないで75桂打で攻めます!」
「なに考えておるんかね。重すぎ」
75桂の緩手一発で大逆転。以下数十手で田村投了
「松尾の将棋は気持ちええね。次も楽しみ」