2004.07.11NHK杯 山崎VS福崎 穴熊急戦向い飛車 敵駒相転換 No: 5857 [返信][削除]
 投稿者:マシュダ一家  04/07/11 Sun 12:25:29

放映:2004.07.11
棋戦:第54回NHK杯1回戦
戦形:穴熊急戦向い飛車
先手:山崎隆之五段
後手:福崎文吾八段

▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲2五歩 ▽3三角
▲4八銀 ▽2二飛 ▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉
▲5八金右 ▽8二玉 ▲5六歩 ▽4二銀 ▲7七角 ▽4五歩
▲8八玉 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽9二香 ▲7八銀 ▽9一玉
▲6六歩 ▽8二銀 ▲5七銀 ▽5二金左 ▲9六歩 ▽9四歩
▲8六歩 ▽3三銀 ▲6五歩 ▽4四銀 ▲6七金 ▽3五銀
▲6六角 ▽3三角 ▲同角成 ▽同 桂 ▲6六角 ▽4三金
▲8五歩 ▽7一金 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲同 角 ▽2四歩
▲同 歩 ▽2五歩 ▲6六角 ▽2四飛 ▲8四歩 ▽7二金
▲3六歩 ▽同 銀 ▲8三歩成 ▽同 銀 ▲8四歩 ▽同 銀
▲同 角 ▽2六歩 ▲1五銀 ▽2二飛 ▲2六飛 ▽2五銀
▲2八飛 ▽2七歩 ▲同 飛 ▽2六歩 ▲2八飛 ▽3六角
▲9五歩 ▽同 歩 ▲9三歩 ▽同 香 ▲8五桂 ▽8三金
▲9三桂成 ▽同 桂 ▲6六角 ▽8二飛 ▲8七香 ▽8六歩
▲同 香 ▽8五歩 ▲9四歩 ▽同 金 ▲9五香 ▽同 金
▲9三角成 ▽9二香 ▲8三歩 ▽9三香 ▲8二歩成 ▽同 玉
▲7五桂 ▽4六歩 ▲5二飛 ▽7一玉 ▲8三桂成 ▽6一玉
▲3二飛成 ▽9六桂 ▲8九玉 ▽9四角 ▲7三成桂 ▽投了

107手で先手の勝ち

山崎の勝因は13手め58金。この時のビシっと言う駒音で「NHK杯でアナグマやってんじゃネーヨ」と恫喝した。おかげで小心者の福崎は42銀から18手め45歩の敗着を指す。これは位ではなく2ndで駒アタリ奇数番1を作成した大悪手。一昨日の森のゴキゲン2nd75歩と同じ。これでは山崎相手に万にひとつも福崎に勝ち目はない。
本局の白眉は63手め15銀。解説浦野の関西弁はいつも耳に心地よいがこの15銀を恥ずかしい手と考えている。山崎ならこんな辺境地に打つはずないとおだてたつもりであろう。ここはみたマンマ。福崎は銀と歩三枚の交換で実は駒得している。この駒得を頼りに先手飛車を抑え込んで先手陣の右辺から制圧すれば後手必勝とひとめ。
だから15銀は素晴らしい大局観。この銀は確実に歩を取り返せる。しかも後手がこの銀を狙うと後手は負ける。もともと82地点にあった銀なので先手は歩損を取り返せば自然に勝てる。後手のアナグマの蓋だった銀が15地点へ一挙に左遷された計算。都内の公務員が八丈島に飛ばされてもここまでショッキングではない。相手の意思によってこの銀は自分が指した悪手にされる為。この15銀は後手が指した手に相転換する。ストッキングをかぶった福崎は自業自得と諦めるだけであろう。
敵駒による価値の相転化は将棋ではよくある。大駒を切って取ったカナ駒を開いた地点に双頭手でブチコムならよくある手筋。しかしアナグマの蓋を辺境地にいきなり飛ばすとは実に豪快。これは相転換かもしれない。だから山崎は面白い。本局を記念して山崎ワープと愛称をつけたい。敵駒相転換として当家では把握。