2004.07.04NHK杯 中井VS秀司 手損角換り穴熊No: 5763 [返信][削除]
 投稿者:マシュダ一家  04/07/04 Sun 21:49:49

2004.07.04NHK杯 中井VS秀司 手損角換り穴熊
放映:2004/07/04(日)
棋戦:第54回NHK杯1回戦
戦形:手損角換り穴熊
「禿げ山の一夜」
先手:中井広恵女流
後手:佐藤秀司六段
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4二飛 ▲4八銀 ▽6二玉
▲6八玉 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2二銀 ▲7八玉 ▽7二玉
▲7七銀 ▽8二玉 ▲5六歩 ▽3三銀 ▲5七銀 ▽9二香
▲5八金右 ▽9一玉 ▲8八玉 ▽8二銀 ▲7八金 ▽7一金
▲6六歩 ▽2二飛 ▲9六歩 ▽2四歩 ▲9五歩 ▽4四銀
▲8六歩 ▽5二金 ▲6八金右 ▽6二金寄 ▲8五歩 ▽7二金寄
▲3六歩 ▽3五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲3八飛 ▽3六歩
▲3四角 ▽2五歩 ▲同 歩 ▽4九角 ▲2八飛 ▽3七歩成
▲同 桂 ▽3六銀 ▲4五桂 ▽4七銀成 ▲4三角成 ▽2七歩
▲1八飛 ▽3七成銀 ▲5八飛 ▽同角成 ▲同 金 ▽4九飛
▲4八歩 ▽2八歩成 ▲5五角 ▽2三飛 ▲3四馬 ▽3八と
▲2三馬 ▽4八と ▲6八金右 ▽4七成銀 ▲4八銀 ▽同飛成
▲2四馬 ▽4六歩 ▲8四歩 ▽同 歩 ▲3一飛 ▽5七銀
▲6七金直 ▽5八銀成 ▲4九歩 ▽同 龍 ▲8三歩 ▽同 銀
▲2一飛成 ▽5七成銀寄▲同 金 ▽同成銀 ▲4六馬 ▽6七金
▲5七馬 ▽同 金 ▲7五桂 ▽8二金上 ▲7一銀 ▽6九角
▲8二銀成 ▽同 金 ▲7九金打 ▽6七銀 ▲8三桂不成▽同 金
▲8七銀 ▽7八角成 ▲同 金 ▽同銀不成 ▲同 銀 ▽7九金
▲6九銀打 ▽7八金 ▲同 銀 ▽7九金 ▲6九銀打 ▽7八金
▲同 銀 ▽8五桂 ▲8六銀 ▽7二銀 ▲7一金 ▽6八金
▲6九金 ▽同 龍 ▲同 銀 ▽7九銀 ▲8七玉 ▽8八金
▲9六玉 ▽6九金 ▲8五銀 ▽8七銀 ▲8六玉 ▽8五歩
▲7七玉 ▽7八銀不成▲6五歩 ▽6八金 ▲8一金 ▽同 銀
▲同 龍 ▽同 玉 ▲5一飛 ▽7一銀 ▲7二銀 ▽同 玉
▲8四桂 ▽同 金 ▲7三角成 ▽同 玉 ▲7一飛成
149手で先手勝ち


2=34歩。 今年1月中原が中井相手に矢倉を受けなかったように中原の弟子も中井の得意戦法を受けない。
4=42飛。秀司は横歩取りでもやるかと思ったらこのようなことをする。中井に25歩を突けと恫喝する態度。
8=88角成。手損角換り。これを手損四間と言うのは正しくない。飛車は穴熊にするために4筋に移動しただけ。棋聖戦第2局で康光が手損角換りから四間にしたのは先手森内の棒銀牽制。しかしこちらの後手番戦法は明解に穴熊指向なので手損角換り穴熊。四間とは関係ない。
アマチュア戦法をプロが取り入れた有力戦法と解説島は言う。有力などと言うのは旧友三浦がこの戦法でやられた為。手損角換り穴熊を見せたのは中井の旦那植山。以下の棋譜。

日時:2003/11/13
棋戦:第45期王位戦予選
戦型:手損角換り穴熊
先手:三浦弘行
後手:植山悦行
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4二飛 ▲6八玉 ▽8八角成
▲同 銀 ▽2二銀 ▲7八玉 ▽6二玉 ▲4八銀 ▽7二玉
▲5六歩 ▽3三銀 ▲5七銀 ▽2四歩 ▲7七銀 ▽2二飛
▲8八玉 ▽5二金左 ▲7八金 ▽8二玉 ▲6六歩 ▽9二香
▲6五歩 ▽9一玉 ▲9六歩 ▽8二銀 ▲9五歩 ▽7一金
▲5八金 ▽4四銀 ▲6八金右 ▽3三桂 ▲4六歩 ▽6二金寄
▲1六角 ▽2三角 ▲7五歩 ▽5四歩 ▲6六銀右 ▽1四歩
▲4九角 ▽3五歩 ▲6七角 ▽1五歩 ▲8六歩 ▽7二金寄
▲7六銀 ▽1四角 ▲5五歩 ▽2五歩 ▲同 歩 ▽同 飛
▲同 飛 ▽同 角 ▲5四歩 ▽5九飛 ▲5三歩成 ▽同 銀
▲5一飛 ▽4七角成 ▲8七銀 ▽4八馬 ▲7七銀 ▽5六歩
▲5八歩 ▽6二銀 ▲2一飛成 ▽4七馬 ▲7六角 ▽4六馬
▲6四歩 ▽4五桂 ▲6三歩成 ▽同 銀 ▲6二歩 ▽同金上
▲6九歩 ▽5七歩成 ▲同 歩 ▽同桂成 ▲1一龍 ▽6八成桂
▲同 金 ▽2九飛成 ▲9四歩 ▽同 歩 ▲9三歩 ▽同 銀
▲8五桂 ▽8四銀 ▲5一龍 ▽6一歩 ▲6七香 ▽6八馬
▲同 歩 ▽7九金 ▲7八銀 ▽同 金 ▲同 玉 ▽7九金
▲8七玉 ▽6九龍 ▲4三角成 ▽7五銀 ▲9三歩 ▽7八龍
▲9七玉 ▽9三桂 ▲同桂成 ▽同 香 ▲9六角 ▽8五桂
▲同 角 ▽9五歩 ▲8八桂 ▽8四桂 ▲8七金 ▽5四歩
120手で後手の勝ち

愛妻中井ママが余りに多忙な為フリークラスへ転身して家事育児に勤しむ植山悦行が三浦相手に大金星をあげた戦形を秀司は選択。大金星と言っても植山はかつて羽生も苦しめた戦略家でありアマチュア将棋界では頭が光る神様として認知されている。秀司にとってNHK杯は自己アピールの最大の場なので相当な準備をしたはず。師匠中原に絶対に負けるなと念を押されたであろう。矢倉では危険なので絶対に負けない穴熊戦法を選んだ。中井ママならダンナの得意戦法の弱点を知っているだろうからその裏筋を準備すればよいと。
三浦は手損角換り穴熊攻略の為に位取りから7thの仕掛けを選択。A級棋士なら当然。一方手損角換り穴熊側は陣形を低く構えて左桂を使ったサバキが通れば優勢確保。三浦がA級クラスの仕掛けでも勝てなかった程未開拓な戦法なのでその弱点を的確に咎めないと先手は即時ダウン。
23=78金。後手はすでに穴熊に難なく囲いこれで中井が勝てるはずがないと言うのが大勢のイメージ。島もすでに中井の作戦負けをほのめかす。この先手の陣形「金銀門柱囲い」は三浦も選択している。島はこれで負けた三浦がアホと言いたいのであろう。中井はこんなのお手のモノ。飛車を早々に打たせて勝つつもり。畠山もやられた。一方秀司はすべて予想通りの展開と思っている。
31=86歩。間違いなく中井用意の一手。3rd作成に8筋を使うという最も過激な順。思い付きでは怖くて指せない。三浦でさえ7筋を突くのが精一杯であった。7筋で位を張ると9筋を突くことになり三浦のようにアナグマ側の香車で逆襲されやすい。だから中井は8筋から行った。
32=52金。秀司の緩手。86歩を突かれているのでこれでは後手から仕掛けられない。最善は33桂牽制手。まず秀司には41金のままでは怖くて指せない手。86歩の怖さを知らない証しがこの52金。
33=68金。中井の絶妙な呼吸。秀司が86歩を知らないと察して一回だけ故意の緩手をここで入れる。
34=62金。ここでも最善は33桂。秀司は2回もチャンスを逃しては苦しい。
35=85歩。中井作戦勝ちを決める3rd作成。これで後手からの仕掛けが膠着。
36=72金。その証拠に秀司は何もできないと気がつきこの緩手3で負けることに。
第一部は姉御の作戦勝ち。ここから第二部
37=36歩。すでに先手十分なので4thでエサを蒔く。
38=35歩。秀司の敗因。中井の必殺86歩に撹乱された。4thで仕掛けて通用するほど程甘くない。因みに解説島は中井の86歩を悪手と述べ中井負けをほのめかした。これが元A級下位クラス並の常識と覚えておけば良い。87銀の形なら86歩はあるが77銀では86歩が突けないと言うのが彼らの常識。だからB2レベルの秀司ならカルーク騙されるということ。
40=35同銀。これも当たり前の手と思って仕掛けたのなら後手は絶対勝てない。島はここで後手優勢と言う。中井が苦しくしたと。当家は逆にこの局面先手必勝と考える。後手は桂馬が使えないと負け。
41=38飛。この銀アタリが先手の3rdアタック。明解に先手優勢。
42=36歩。32飛は中空三角理論で後手壊滅。
43=34角打ち。中井ラインの白眉。旦那の得意戦法の弱点を伝授されてきたのであろう。夫婦二人がかりでこられては秀司も勝ち目ない。アホな島さえこの手を見て形相を変え中井劣勢から盛り返したカモと言う。
44=25歩。悪手の偶数番。それまでアナグマ必勝気分でタコ仕掛けからお茶をすすっていた秀司はここで初めて長考にふける。オヤっと言う顔から身を乗り出してようやく事の重大さに気づく。
46=49角打ち。醜態晒すだけの秀司。勝負手ならまだ33桂。こんなアホがNHK杯にでてはせっかくの日曜日が汚れる。替りに清水を出せ。貴様の手は永遠の偶数番地獄。
51=45桂。中井必勝の駒アタリ奇数番3。
52=47銀成。後手初めてまともな手を成り行きで偶然作成したが・・・
53=43角成。つかのまの夢。逆行奇数番3。
54=27歩。逆行奇数番3で返すがこれで歩切れが悲しい秀司。
55=18飛。すでに終盤思考。飛車を逃がす順より馬との交換。中井がここまで強くては逆転はない。
56=37成銀。藤井並に鈍臭い38成銀では羽生のように16歩突かれて飛車の大脱走。仕方なく銀を辺境地へ。アホはどこまでもアホ。
57=58飛。28歩成直前に大見得のスライド。これで成銀がソッポ。
58=58同角成。秀司ためらいながらも切るしかない。
59=58同金。連動手で最強「金銀門柱囲い」再建。中井鉄壁の布陣。
60=49飛。歩切れで飛車一枚では虚しい後手。
61=48歩打ち。47銀を許さない。
62=28歩成。羽生の27歩成同様余りに遠い。
63=55角打ち。康光71金より酷い。森内なら即時投了。
64=23飛。NHK杯なので投了しない秀司。
島は演技で中井負けをほのめかしたわけではない。その証拠は75手め84歩を悪手と断じたこと。後手に1歩渡すので57歩が厳しいと言う。島は豊川ともども「2歩は禁じ手」と一日千回唱えながら連盟の便所を1年間掃除するように。84歩は盤上この一手。当家は番組みながらひとめ。
以下すでに中井必勝なのであとはいかに盛り上げるかに尽きる。
中井がフツーの棋士に貫禄勝ちしている理由は谷川並の演出力。
色気はすでに谷川を越えた。勝ちを確認すると時間をぎりぎり延ばして緊張感を盛り上げつつお茶を飲み記録係へ流し目を送る。色っぽい。植山がうらやましい。
まず簡単に必死をかけては面白くない。117手め72金などでは物足りない。やはり引っ張るだけ引っ張って最後は詰むや詰まざるやの緊迫感の中で即詰みに討ち取るのが百戦錬磨のタイトルホルダー。ご主人植山がアマチュア相手に絶大な人気を誇る遅延芸が中井にも染み込んでいる。
中井の芸は島までダマシてしまった。島がこれで必死と豪語する傍らで即詰み筋のみを読んでいる。これは中井の仕草から間違いない。そもそも必至などで簡単に投了されたら秀司はタコ棋士のレッテルを張られてしまう。ダンナの必殺戦法「禿げ山の一夜」をNHKで見せてくれた秀司へ中井ママがそんなことをするはずがない。
一方今期B2へ行く予定の島は来年のライバル秀司を信じて中井の即詰み手順を読めずに中井が負けにしたかの発言。あれで全国の将棋ファンは3カ月寿命を縮めた。
島は中井の最高のカバン持ちになれる。あの天然ボケは逆に中井演出にはうってつけ。
秀司はしばらく中井家の掃除係に任命したい。