奇数升と偶数升の盲点
朝日オープン第2局
MF変化3 4枚桂「胡蝶の舞」X4
奇数番型棋士は偶数番原理でハメやすい
2004.04.21 解題 マシュダ一家

奇数升と偶数升の盲点No: 5003 [返信][削除]
 投稿者:マシュダ一家  04/04/21 Wed 17:35:26

昨日の朝日オープン第2局は57手め73歩成で先手が無条件に桂得で勝勢なのでこの局面は二度と登場しない。そこで遊んでみよう。

昨日の当家実況&分析で登場したMF変化3「胡蝶の舞」を変化させてみる。
MF変化3 再掲載 4枚桂「胡蝶の舞」
▲2六歩 ▽3四歩 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽4一玉
▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽2二銀 ▲5八玉 ▽6二銀
▲3六歩 ▽5一金 ▲3八銀 ▽7四歩 ▲3五歩 ▽同 飛
▲3三角成 ▽同 桂 ▲4六角 ▽2五歩 ▲1六飛 ▽3四飛
▲3五歩 ▽4四飛 ▲9一角成 ▽7三桂 ▲7五歩 ▽8八歩
▲同 銀 ▽2八角 ▲7七桂 ▽1九角成 ▲3七桂 ▽1八馬
▲4六香 ▽4五香 ▲7四歩 ▽同 飛 ▲9二馬 ▽4四飛
▲7四歩 ▽4六香 ▲同 歩 ▽1四香 ▲4五歩 ▽同 桂
▲8六飛 ▽8五歩 ▲9六飛 ▽3七桂成 ▲同 銀 ▽6五桂打
▲4六桂 ▽7七桂成 ▲同 銀 ▽6五桂 ▲5六桂 ▽4五桂
▲6六銀 ▽投了
73手で先手の勝ち

MF変化3 基本変化解題
57手め=46同歩と取る。局面を面白くする故意の緩手。同じ勝つにしても芸を見せる。人気棋士の知られざる秘密はコレ。勝ちが見えたところで局面を複雑化させるエンタ将棋の手法。
58手め=14香打。46歩が空間閉塞手となった瞬間を逆用する飛車取り。
59手め=45歩。唯一の凌ぎとなる駒アタリ奇数番3。
60手め=45同桂。駒アタリ奇数番3奪取。
66手め=65桂。73桂を利用する唯一のサザンクロス。
67手め=45桂。本変化の白眉。54飛変化を避ける時間差双頭手。
この4枚桂の構図は以下のように相転化。
初期段階値=81-21-89-29
第一相転化=73-33-77-37
第二相転化=73-65-77-46

第二相転化の46桂のみが偶数升。これが筋と外れる。第二相転化の65桂は当家ではサザンクロスと名が付くほどの手筋。これは互いに奇数升の為見えやすい手。逆に偶数升の手は盲点
71手め56桂=駒損で飛車を狙う方針一貫。
72手め45桂=後手からの第三相転化。以下の変遷。
初期段階値=81-21-89-29
第一相転化=73-33-77-37
第二相転化=73-65-77-46
第三相転化=45-65-56-46

後手はなぜ第三領域へ突入したか?飛車を見捨てて57桂成で先手玉に迫ろうという勝負手。不利を打開するチャンスを求める手を連盟用語で勝負手と言う。当家では第三相転化の範疇に納める。
この45桂は駒アタリ奇数番3であると同時に57桂成を見せている。王手となるナンバーは番外。
次の73手めの先手の指し手には大きく二通りある。飛車を取るか否かという選択。
先手ならば誰でも飛車を取りたくなるであろう。飛車を取ると全面戦争に突入し先手が負ける変化が以下。

MF変化3B 飛車を取ると先手が負ける変化
▲2六歩 ▽3四歩 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽4一玉
▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽2二銀 ▲5八玉 ▽6二銀
▲3六歩 ▽5一金 ▲3八銀 ▽7四歩 ▲3五歩 ▽同 飛
▲3三角成 ▽同 桂 ▲4六角 ▽2五歩 ▲1六飛 ▽3四飛
▲3五歩 ▽4四飛 ▲9一角成 ▽7三桂 ▲7五歩 ▽8八歩
▲同 銀 ▽2八角 ▲7七桂 ▽1九角成 ▲3七桂 ▽1八馬
▲4六香 ▽4五香 ▲7四歩 ▽同 飛 ▲9二馬 ▽4四飛
▲7四歩 ▽4六香 ▲同 歩 ▽1四香 ▲4五歩 ▽同 桂
▲8六飛 ▽8五歩 ▲9六飛 ▽3七桂成 ▲同 銀 ▽6五桂打
▲4六桂 ▽7七桂成 ▲同 銀 ▽6五桂 ▲5六桂 ▽4五桂
▲4四桂 ▽5七桂右成▲5九玉 ▽4四歩 ▲7三歩成 ▽3七桂不成
▲2一飛 ▽3一金 ▲同飛成 ▽同 玉 ▲6九玉 ▽8九飛
▲7九金 ▽9九飛成 ▲6二と ▽3六馬 ▲4七歩 ▽4九桂成
▲7八玉 ▽6七成桂 ▲同 玉 ▽4五馬 ▲6六玉 ▽7九龍
▲5一と ▽6四金 ▲4一と ▽同 玉 ▲4三香 ▽4二桂
▲同香成 ▽同 玉 ▲3四桂打 ▽3三玉 ▲5六歩 ▽6五香
▲同 馬 ▽同 金 ▲同 玉 ▽6四金 ▲7六玉 ▽6五角
▲6七玉 ▽7八銀 ▲5七玉 ▽5九龍 ▲5八香 ▽4八成桂
▲6八金 ▽5六角 ▲4三金 ▽2四玉 ▲5六飛 ▽同 馬
▲同 玉 ▽5五香 ▲6六玉 ▽6五飛 ▲7六玉 ▽7五金
▲投了
132手で後手の勝ち

中盤で無意味に見えた96地点の飛車も実は終盤の受けに役だっている。 横歩取りもこれぐらい全面戦争となれば楽しい。飛車などアッサリ見捨てて桂香の魅力を駆使する気が双方にあれば今の技術力でも可能かもしれない。技術のみを信用すると最後は技術に裏切られる。むしろ技術的に不完全でもデザインを楽しむところから始めるのが現代産業の趨勢。車はスピードよりデザイン。機能だけなら棋士は和室で対局する必要もない。和室は優秀なデザインの集積。動機はいかに人間が楽しめるか。
しかし「アンタ勝負師でしょ」と悪魔のようなカミさんに唆された時は、以下の手順で先手も勝てる。余りに芸がないので後手にV2固めを挿入。

MF変化3C 飛車を取って勝つ変化
▲2六歩 ▽3四歩 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽4一玉
▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽2二銀 ▲5八玉 ▽6二銀
▲3六歩 ▽5一金 ▲3八銀 ▽7四歩 ▲3五歩 ▽同 飛
▲3三角成 ▽同 桂 ▲4六角 ▽2五歩 ▲1六飛 ▽3四飛
▲3五歩 ▽4四飛 ▲9一角成 ▽7三桂 ▲7五歩 ▽8八歩
▲同 銀 ▽2八角 ▲7七桂 ▽1九角成 ▲3七桂 ▽1八馬
▲4六香 ▽4五香 ▲7四歩 ▽同 飛 ▲9二馬 ▽4四飛
▲7四歩 ▽4六香 ▲同 歩 ▽1四香 ▲4五歩 ▽同 桂
▲8六飛 ▽8五歩 ▲9六飛 ▽3七桂成 ▲同 銀 ▽6五桂打
▲4六桂 ▽7七桂成 ▲同 銀 ▽6五桂 ▲5六桂 ▽4五桂
▲4四桂 ▽同 歩 ▲4八銀 ▽3六桂 ▲7三歩成 ▽7七桂成
▲6二と ▽7八成桂 ▲5一と ▽同 玉 ▲7一飛 ▽投了

83手で先手の勝ち

先手が深浦のように冷酷なキャラだと後手も飛車を逃げたくなるかもしれない。ところがここでヒルんでは中座飛車など指せない。飛車を逃げるともっとヒドイ。

MF変化3D 後手が飛車を逃げた場合
▲2六歩 ▽3四歩 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽4一玉
▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽2二銀 ▲5八玉 ▽6二銀
▲3六歩 ▽5一金 ▲3八銀 ▽7四歩 ▲3五歩 ▽同 飛
▲3三角成 ▽同 桂 ▲4六角 ▽2五歩 ▲1六飛 ▽3四飛
▲3五歩 ▽4四飛 ▲9一角成 ▽7三桂 ▲7五歩 ▽8八歩
▲同 銀 ▽2八角 ▲7七桂 ▽1九角成 ▲3七桂 ▽1八馬
▲4六香 ▽4五香 ▲7四歩 ▽同 飛 ▲9二馬 ▽4四飛
▲7四歩 ▽4六香 ▲同 歩 ▽1四香 ▲4五歩 ▽同 桂
▲8六飛 ▽8五歩 ▲9六飛 ▽3七桂成 ▲同 銀 ▽6五桂打
▲4六桂 ▽7七桂成 ▲同 銀 ▽6五桂 ▲5六桂 ▽4五桂
▲6六銀 ▽2四飛 ▲4八銀 ▽7七歩 ▲6八金 ▽3六歩
▲3九香 ▽3七歩成 ▲同 香 ▽2七馬 ▲6五銀 ▽3七桂成
▲同 銀 ▽同 馬 ▲7三歩成 ▽同 銀 ▲3四桂 ▽投了
89手で先手の勝ち

上記89手めの局面は先手から45桂打ちの「三連星」からトドメが歩の頭に桂を打つサザンクロスのコンビネーションで後手陣は崩壊。
横歩取りでは飛車を逃げるだけの手を喰らっては大抵負ける。棋王戦で丸山の横歩取り総本山を先々月攻略した谷川も飛車を見捨てた。昨日の羽生は飛車を空ナリで逃げて一挙に深浦に負け。


飛車を捨てるのは構わないが飛車が攻めに働かないのが不満と思う場合も大抵負ける。飛車を無理してでも敵陣に成る変化を望むより自陣の受けに使った方が楽しい。もともと横歩取りはUの初期機能を放棄して成立している為に飛車は取ったり取らせる以外は自陣の受けと割り切った方が楽しい。
以下は先手が飛車を後手陣へ成り込んでと金作成まで目論む日和見主義者の末路。逃げ回っているとロクなことがない。

MF変化3X と金&龍を作ろうとする日和見主義者の末路

▲2六歩 ▽3四歩 ▲7六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽4一玉
▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽2二銀 ▲5八玉 ▽6二銀
▲3六歩 ▽5一金 ▲3八銀 ▽7四歩 ▲3五歩 ▽同 飛
▲3三角成 ▽同 桂 ▲4六角 ▽2五歩 ▲1六飛 ▽3四飛
▲3五歩 ▽4四飛 ▲9一角成 ▽7三桂 ▲7五歩 ▽8八歩
▲同 銀 ▽2八角 ▲7七桂 ▽1九角成 ▲3七桂 ▽1八馬
▲4六香 ▽4五香 ▲7四歩 ▽同 飛 ▲9二馬 ▽4四飛
▲7四歩 ▽4六香 ▲同 歩 ▽1四香 ▲4五歩 ▽同 桂
▲8六飛 ▽8五歩 ▲9六飛 ▽3七桂成 ▲同 銀 ▽6五桂打
▲4六桂 ▽7七桂成 ▲同 銀 ▽6五桂 ▲5六桂 ▽4五桂
▲6六銀 ▽2四飛 ▲6五銀 ▽3七桂成 ▲3四桂 ▽3三歩
▲2二桂成 ▽同 飛 ▲6八玉 ▽2七馬 ▲5八金 ▽4六桂
▲5九金 ▽4八銀 ▲6九金 ▽3六馬 ▲7九金寄 ▽7五歩
▲9三飛成 ▽5八桂成 ▲7七玉 ▽4六馬 ▲8三馬 ▽5七銀不成
▲8六歩 ▽5五馬 ▲6六銀 ▽同銀成 ▲同 歩 ▽5四銀
▲同 銀 ▽同 馬 ▲6五銀 ▽7六銀 ▲8八玉 ▽6五銀
▲7三歩成 ▽8六歩 ▲6二と ▽同 金 ▲9一龍 ▽5一銀
▲6五歩 ▽5五馬 ▲7七金 ▽同 馬 ▲同 玉 ▽7六金
▲8八玉 ▽8七歩成 ▲8九玉 ▽8八歩 ▲同 金 ▽同 と
▲同 玉 ▽8七歩 ▲7九玉 ▽8八金

金と歩だけで無残に負けた終局図は投了まで忘れたアホさ加減を物語る。無念とアホは紙一重かもしれない。昨日は朝日記者が「羽生無念の投了」と書いた。アレは自分がアホらしくて投了のしどころを間違えただけであった。読売なら「羽生狂う!」と書いたであろう。もっと売れない毎日は「深浦会心の指し回し」と書くかもしれない。世間では猿回し一座の記事と勘違いしてくれるであろう。


朝日オープン第2局 奇数番型棋士は偶数番原理でハメやすい No: 5002 [返信][削除]
 投稿者:マシュダ一家  04/04/21 Wed 12:51:45

羽生は昨日深浦には連勝続きの中座飛車に頼って無残に負けた。心の敗因は2手め。昨日の羽生はすでに出来上がっていた。最初からやる気ない。当家の不満は深浦が丸山の棋風をマネしていること。朝日しか取り柄がない選手権者がコレでは芸がないと言われて当然。丸山は後手番戦略を練った為分析が楽しかった。深浦は先手番で最初から冷たい将棋を目指している為著しく感興を損ねた。勝ちが見えたらもっと色気が欲しい。やはり桂馬の使い方。
本譜50手めの局面は疑問。54手めも疑問。深浦はマシュダ一家偶数番原理で羽生をハメた。最後に双方の駒台に歩が2枚づつ残ったのがその残照。奇数番原理で勝つ羽生と康光は歩を3枚残す。
羽生は谷川や康光同様典型的な奇数番型棋士なのでハメやすい。深浦は「まずまずの出来」などと昨日述べたが奨励会に在籍しているかのような気分ではこの先大成できない。深浦を褒めるのはまだ早かった。昨日は羽生がマシュダ一家偶数番原理に50手めから付き合ってくれた為双方悪手連鎖を御友達同士で楽しめたであろう。ギャラリーはドッチラケであった。59手めの局面は今後二度とでない。それ以前にこれはすでに興業将棋ではない。局地的な戦いしか期待できない為に見せ物として欠陥商品。深浦は59手め以後すでにどうやっても勝ちなのでもっと魅力を発揮しないと誰も好きになってくれない。丸山型は一人で十分。