2002.3.26朝日オープン将棋決勝五番勝負 第1局
杉本昌隆VS堀口シーザー
四間アナグマ VS 居飛車アナグマ
総力戦! デュアル・ペガサスの逆襲
実況&分析 マシュダ&ファミリー 2002.3.26up
先手=杉本昌隆
後手=堀口一史座
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初手16歩!
No: 214 [返信][削除]投稿者:マシュダ 02/03/26 Tue 10:45:19
「いきなりぶっ放しました!」
「杉本じゃから慌てることない。藤井システムやるだけのこと」
初手16歩のデメリットは?
No: 215 [返信][削除]投稿者:マシュダ 02/03/26 Tue 10:56:34
「藤井システムというノレンを見せびらかす為、相手に急戦の戦闘意欲を与える」「論理的には?」
「後手が角交換して筋違い角を打つという選択肢を与える」
「やりますかね?」
「やらん。そういうエキセントリックな戦法は野月でもやらん」
「野月-堀口戦みたいにはなりませんかね」
「王道を歩くのがシーザー」
もう初手16歩は斬新ではないと?
No: 216 [返信][削除]投稿者:マシュダ 02/03/26 Tue 11:09:21
「坂田三吉の指した16歩と意味が違うと?」
「システムの裏付けがある16歩は四間飛車で初めて効力を持つ」
「新鮮味はなくなりましたか」
「戦法の斬新さで言うならば、野月が試みた向かい飛車-左玉戦法。シーザーはあの力戦将棋に勝てたのが大きな一勝」
四間飛車から13手目15歩です
No: 217 [返信][削除]投稿者:マシュダ 02/03/26 Tue 11:23:57
「ここで堀口六段長考です」
「端歩突き越されたら急戦はむずかしい」
「穴熊に組みますか?」
「ここはまず53銀か52金か迷う所」
「42銀は?」
「大一番でそこまでやらん」
14手めは52金でした
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)12時02分14秒
「らしい」
「一番無難ですか?」
「シーザーの場合ニュアンスが違う」
「どのように?」
「一歩引いて襲いかかる獅子」
「トリトヌス空間に二重の響きを持たせると?」
「15歩の一手分を指し手の内容だけではなく、手数としても計算しとるということ」
17/36歩です
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)12時13分31秒
「これもシステム開発がなければ相当斬新な手」
「初手16歩以上に?」
「そーね。15歩も斬新」
「いずれも穴熊対策ですね。ここで後手動けませんか?」
「とりあえずは飛車先を突いて受ける所」
20/24角です!
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)12時17分34秒
「康光流がでたか。シーザー見せるね」
「王将戦最終局のようになると?」
「それは杉本次第。取りあえずは58金で角成受けんと」
21-22手め
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)12時21分48秒
「必然。先手は直接受けに対して後手は先受け。46歩は突けんからこれで後手穴熊に組みやすい」
23-24手め
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)12時25分46秒
「必然。角道開けて今度は44歩を43金で直接守る対の応答。これで先手の玉が動けば穴熊に組める」
25/48玉です
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)12時28分32秒
「杉本も怖いんじゃね。やや気迫負け」
「後手穴熊に組みますか?」
「15歩と圧迫されとるからやるじゃろ」
26/22玉に32金ですが?
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)12時32分45秒
「最も確実な穴熊の組み方。先に12香だと56銀や37桂からの強襲を喰らう」
29/28玉には94歩です!
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)12時38分16秒
「シーザーの研究手。表の意味は37桂-26歩からの角への圧迫に対する対抗手。後手12香車-11玉の時にそこで46歩と突けば角で取れる。杉本への挑戦状」
「裏の意味は?」
「角交換をするぞと脅せば96歩を突く。突きあいは後手得。それで先手から95角とでる手が消滅し7筋から逆襲を計れる。この端歩を手抜きして杉本が手を作れるかどうかじゃね」
31手目37銀で対抗です!
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)12時49分50秒
「流石に杉本もビビったか。46歩はただでは取らせんとね」
「次に46歩と突けば相当な圧迫では?」
「それでは53銀と上がられる」
「45歩と突けば?」
「角を引いて74歩からの稲妻落としと95角からの角交換を狙う」
「それが第二の挑戦状だったんですね」
32手目12香で後手穴熊です
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)12時55分54秒
「37銀なら当然。杉本が挑戦状を受けないんでは、初手16歩から15歩と突き越した手がただの脅し」
33手目18香でなんと相穴熊に!
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)13時00分23秒
「杉本もいきなり飲み屋のツケは払いたくないんじゃろ」
「どうします?」
「後で美代ちゃん」
54手目まで進んでいます
投稿者:マシュダ 投稿日: 3月26日(火)14時50分17秒
「なんじゃこりゃ?」
「後手指しやすそうですね」
「シーザー楽勝。杉本先手で逃げ越しはいかんね」
「立会人の加藤先生も怒ってますかね?」
「そりゃ朝日オープンで横歩取り55歩止め見せてくれた立て役者じゃからね。こんな将棋を杉本に決勝戦でやられたんでは呆れておるじゃろ」
「もっと怒っていらっしゃる方も?」
「中原はこんな奴に負けた自分に怒っておるじゃろ」
終局後のマシュダ
「どうです?」
「ワシはモーロク爺か? 大損ジャイ!」
「全面降伏と?」
「シーザー信用しとったんじゃが」
「二枚角は怖いですね」
「ちと甘く見すぎた。情は禁物。杉本の鉄面皮には用心せんと」
「神崎掲示板で24角の源流に触れていますが」
「ええことじゃね。康光も大舞台でお披露目済み」
「では一応57手以下の表層分析を追加しときます」
すでに後手優勢
57/64歩。杉本第二の仕掛け。すでに先手一歩損の為無理攻め
58/64同角。堀口の勇み肌。同歩と取れば無難に後手優勢維持。
59/75銀。先手一歩取り返し勢いを得た
60/42角。遊び銀に進出された上にただの退却となる
66/ 先手桂得と龍VS後手と金
78/25飛。これは三つの意味。しかし疑問
1=角筋を通し64桂馬に当てる
2=52桂成なら47と金-同金-26飛車-同歩-52金以下27桂馬という詰み筋
3=37桂なら26飛車-同歩から93角の筋を狙う
79/37角。杉本にあっさりすべての目論見を一蹴される
82/55飛。ここで飛車を逃げるだけの一手で形勢不明に
83/91龍。ついに杉本の終盤戦術開始。これは受けに使う香車を取りつつ、杉本特有の馬を作って自陣を守る双頭手。一般には「杉本の粘り」と表現されているが、我々はデュアル・ペガサス効果の第一弾として認識。
85/66角。デュアル・ペガサス効果第二弾
86/38角成-同金。必然手
87/56飛車。堀口二回目の飛車逃げ
88/93角成り。デュアル・ペガサス効果第三弾。角が馬に昇格
90/66歩 手順前後による堀口の緩手。先に47金。
91/83角打ち。デュアル・ペガサス効果第四弾。
92/46飛車。堀口三回目の飛車逃げ
94/36飛車。堀口四回目の飛車逃げ。しかも歩を取った為に39歩の底歩が効くようになってしまう。
96/(52成桂馬を)同金。手順前後。
103/44香車。攻防の一手。これでデュアル・ペガサス効果三部作に突入。二頭のペガサスが杉本陣営を遠くから守る。
105-107/杉本二枚の金打ちは一見「粘り」に見えるが、すべてDP効果によって初めて成立し得た受け。
110/48歩成。二枚目のと金ができて一見攻め倒せるかに見えるが
111/66馬! ペガサス颯爽と前線へ。捨て身の攻防。
114/58桂成。馬に飛車をあてるが
117/第一ペガサス殉死によって敵陣へ食い込む成香。
137/65角成! 第二ペガサス前線へ。敵の総大将と刺しちがえる
138/同飛
139/同桂。これでまた53の角当たり。
140/35角。ただ逃げるだけのつらい手。
160/48と。ついにシーザー息切れ。
169手にて杉本勝ち
逆転の背景
堀口優勢の将棋が徐々に逆転した背景は杉本の二枚の角。この角によっていずれの攻め筋変化も受かる展開。昨年の竜王戦第二局で羽生が見せたペガサス七変化の源流は杉本にあった。杉本は確信犯。83/91龍からすでにデュアル・ペガサス効果を狙っている。
2002.3.27up