神崎七段の日記に感想戦の谷川の反省が書かれてある。いい日記である。
38手め24歩を我々は赤子のオシャブリと酷評したが、谷川もそのように素直に反省したそうである。理論的には直後に谷川が駒アタリ偶数番を引かされた為にこの手は緩手となるのは当然。
換りにここで37歩成を決めれば24歩の一手分と43銀成の前に64角が利くので2手スキの間隙が埋まり勝負形ということを谷川は言いたいのである。その場合にも64角が勝負手と言うのが谷川の愚痴。随分後ろ向きの感想戦。本局のように駒アタリ偶数番直後に深浦に43銀成とされては我々の実況のようにハッキリ先手優勢となることだけが明解だからこの地点の検証となっただけある。本局はそれ以前の問題。

今年の王位戦の中継は素晴らしかった。名人戦も竜王戦も1年で凌いでしまった。見えない戦士たちの努力のたまもの。
中原は現役で最高峰の棋士のひとりである為に連盟会長職の責務を代表取締役並の重責で押しつけるのはバカである。事務の総指揮は専務理事に決まっている。葬式は葬儀屋。
中原にはマシュダ一家が思考している将棋を先取りされている。下記の棋譜。

棋戦：王位戦
日時：2003/11/27
先手：中原　誠
後手：行方尚史
戦型：相掛かり蛇行銀+中原式入玉戦法

▲２六歩　　△８四歩　　▲２五歩　　△８五歩　　▲７八金　　△３二金　　
▲２四歩　　△同　歩　　▲同　飛　　△２三歩　　▲２八飛　　△８六歩　　
▲同　歩　　△同　飛　　▲８七歩　　△８四飛　　▲３八銀　　△３四歩　　
▲２七銀　　△３三角　　▲３六銀　　△２二銀　　▲７六歩　　△４一玉　　
▲６九玉　　△６二銀　　▲９六歩　　△９四歩　　▲１六歩　　△５二金　　
▲４五銀　　△２四歩　　▲６六角　　△同　角　　▲同　歩　　△１四歩　　
▲８八銀　　△２三銀　　▲７七銀　　△５四歩　　▲５六銀　　△５三銀　　
▲７九玉　　△４四歩　　▲５八金　　△３一玉　　▲７五歩　　△８二飛　　
▲８八玉　　△２二玉　　▲６七銀　　△３三桂　　▲７六銀直　△５五歩　　
▲７七桂　　△４三金右　▲９七玉　　△４五歩　　▲８六歩　　△３五歩　　
▲８七玉　　△２五歩　　▲６五歩　　△４四銀　　▲８五歩　　△５三銀　　
▲９五歩　　△同　歩　　▲９四歩　　△８四歩　　▲９五香　　△８五歩　　
▲同　銀　　△５六歩　　▲８四歩　　△３九角　　▲３八飛　　△５七角成　
▲同　金　　△同歩成　　▲７六銀上　△５二飛　　▲８三歩成　△４四銀　　
▲８六玉　　△５六飛　　▲９三歩成　△２六飛　　▲８七金　　△６七と　　
▲９八飛　　△５五銀　　▲８二と左　△６六銀　　▲９一香成　△７七と　　
▲９二飛成　△９四歩　　▲同　竜　　△８七と　　▲９五玉　　△８六と　　
▲８一成香　△８五と　　▲同　玉　　△９三歩　　▲同　と　　
まで107手で先手勝ち

このようなことを行なえる棋士は中原しかいない。天衣無縫。行方には何も言えないであろう。今年のベスト対局賞に入れてもよいほどの驚異的な発想。相掛り蛇行銀としても屈指の棋譜。このような将棋を指すものが事務職など行なっては日本文化の損失にしかならない。
この日は以下の結果。
11月27日（木曜日）
○ 丸山忠久 金沢孝史 ● 王位戦 予選
○ 中原　誠 行方尚史 ● 王位戦 予選
● 堀口一史座 岡崎　洋 ○ 王位戦 予選

谷川王位を頂点とするこの棋戦もまた百鬼夜行。シーザーでさえ落ちる。今日は棋王戦挑戦者決定戦が行なわれた関西将棋会館で浦野真彦VS渡辺明の王位戦予選も行なわれた。勝者は中原とリーグ入りをかけて決戦。ナベラが勝ったはずである。中原とどんな将棋を指すのであろう。王位戦も熱い。
谷川王位は今日は棋王戦挑戦者決定戦で負けてしまった。深浦に完敗。ひどい作戦負けから最後まで挽回できなかった。序盤で55歩の作戦から歩交換に3手も費やした上に先手は飛車先をひとつに止めている為に5筋で交換した歩で手を作られたら何も出来ないのは当然。2手スキの状態から終盤の逆転を期待できるほど深浦は甘くない。ハブでも逆転は無理であろう。
中原の上記の棋譜はそれさえも笑い飛ばしている。常識が通用しない。
康光は三日前に入玉できずに森内に名人挑戦をすんなり許してしまった。谷川も今日は入玉などほど遠い。
甘い。クッタレの行方など出る幕どころではない。
誰がこんな発想をタイトル戦で現実にみせてくれるのであろう？

http://www.shogi.or.jp/kisenhyo/oui/45yosen/index.html

共同が駒音につくらせた棋王戦のトーナメント表をみるとわざと永世棋聖の名前を間違えている。米永邦夫などと表示している。波布芳春と書くような悪質なイタズラ。
連盟と同じ表なので故意にこのようなことを行なっているのは主催者の共同通信社記者かこのサイトを作成した武者野関連の人間となる。
連盟がいくら一丸となってもこのように周囲が不協和音であった。陰湿なイヤガラセもここまでくるとドッチモドッチとなる。米長は今年の春に引退の件で嘯いたために共同の記者は赤恥をかいた経緯がある。
そもそもスポンサー同士など敵対会社なので掛け持ち棋士の付和雷同は宿命となる。棋王戦はよくもここまで頑張っている。中継はなぜこうもムラがあるのかと言うと各社マチマチに独自で行なっているからである。
連盟はこれを一括して行なえばよいものをそれを故意にしない。理事がだらしないせいではない。連盟職員にそのようなアイデアマンがいないからである。各社勝手にやっているものとタカを括っている。
一方関西将棋連盟は懸命にサイト充実を計っている。
棋王戦のよう零細棋戦をなぜ連盟はふんぞりかえって眺めているのであろう？
実況の内容もお粗末極まる。マシュダ一家が銀成で早々に深浦優勢を断言しているのに、間近で見ているはずの棋王戦実況ではそのはるかあとに深浦優勢とか細い声で歌っているだけ。武者野のようなワラジ虫に依頼などさせずに連盟がキチンとバックアップしたらよい。そうすれば関西の棋士なら喜んで控え室実況を奉仕で行なうであろう。武者野がクソ垂れてる場所に誰も来たがらないのは当たり前である。
王座戦並のことが棋士の協力で貧乏棋戦にもできるはずである。中継など事務員が率先してやるべきこと。それをやらせないでよくも米長は連帯などと言える。武者野にコケにされて当然であろう。上記のような故意のミスは叱り飛ばすべきである。フツーの会社なら懲戒免職であろう。

http://www.bekkoame.ne.jp/i/yusai/031224bbs.html

イヴであるが「火の用心」の声と拍子木の音が相応しいのが日本であった。
谷川らしい負け方。いいところは全部食べられてしまったが、最後は一本のロウソクのほの明かり。よい落しであった。

谷川は最高の気分であろう。やはりハっとさせてくれる棋士は谷川である。
ステキな負け方を見せつけられたのでは深浦は次局がタイヘン。
色気を奥さんが教育するべきであろう。やはり次回はナースのコスプレが良い。

対局日：2003/12/24(水) 10:55:38
先手：深浦
後手：谷川

▲２六歩 ▽３四歩 ▲７六歩 ▽５四歩 ▲６八玉 ▽５五歩
▲４八銀 ▽５二飛 ▲７八玉 ▽６二玉 ▲６八銀 ▽７二玉
▲４六歩 ▽８二玉 ▲４七銀 ▽７二銀 ▲５八金右 ▽３三角
▲７七銀 ▽３二銀 ▲３六銀 ▽５六歩 ▲同　歩 ▽同　飛
▲４七金 ▽５一飛 ▲４五銀 ▽３五歩 ▲３六歩 ▽４四歩
▲３四銀 ▽４二角 ▲６六銀 ▽３六歩 ▲５五銀 ▽５六歩
▲５八飛 ▽２四歩 ▲３三歩 ▽同　銀 ▲４三銀成 ▽６四角
▲同　銀 ▽同　歩 ▲３三成銀 ▽同　桂 ▲４四角 ▽３七歩成
▲同　桂 ▽３六歩 ▲６二銀 ▽同　金 ▲同角成 ▽７一銀
▲同　馬 ▽同　玉 ▲５四歩 ▽同　飛 ▲４三銀 ▽５一飛
▲５二歩 ▽６一飛 ▲５一金 ▽３七歩成 ▲４四角 ▽６二銀
▲６一金 ▽同　銀 ▲５一飛 ▽２三角 ▲６二角成 ▽同　玉
▲６三銀 ▽同　玉 ▲６一飛成 ▽５三玉 ▲３四銀打 ▽１四角
▲５六飛 ▽４四玉 ▲３三銀成 ▽３五玉 ▲３七金 ▽８六桂
▲同　歩 ▽８七銀 ▲６八玉 ▽投了

87手で先手の勝ち

諸君は谷川をお手本としなさい。
彼は最後にこのようなファンサービスを惜しまない。
これは以下のようになると光速のイルミネーションである。
対局日：2003/12/24(水) 10:55:38
先手：深浦
後手：谷川

▲２六歩 ▽３四歩 ▲７六歩 ▽５四歩 ▲６八玉 ▽５五歩
▲４八銀 ▽５二飛 ▲７八玉 ▽６二玉 ▲６八銀 ▽７二玉
▲４六歩 ▽８二玉 ▲４七銀 ▽７二銀 ▲５八金右 ▽３三角
▲７七銀 ▽３二銀 ▲３六銀 ▽５六歩 ▲同　歩 ▽同　飛
▲４七金 ▽５一飛 ▲４五銀 ▽３五歩 ▲３六歩 ▽４四歩
▲３四銀 ▽４二角 ▲６六銀 ▽３六歩 ▲５五銀 ▽５六歩
▲５八飛 ▽２四歩 ▲３三歩 ▽同　銀 ▲４三銀成 ▽６四角
▲同　銀 ▽同　歩 ▲３三成銀 ▽同　桂 ▲４四角 ▽３七歩成
▲同　桂 ▽３六歩 ▲６二銀 ▽同　金 ▲同角成 ▽７一銀
▲同　馬 ▽同　玉 ▲５四歩 ▽同　飛 ▲４三銀 ▽５一飛
▲５二歩 ▽６一飛 ▲５一金 ▽３七歩成 ▲４四角 ▽６二銀
▲６一金 ▽同　銀 ▲５一飛 ▽２三角 ▲６二角成 ▽同　玉
▲６三銀 ▽同　玉 ▲６一飛成 ▽５三玉 ▲３四銀打 ▽１四角
▲５六飛 ▽４四玉 ▲３三銀成 ▽３五玉 ▲３七金 ▽８六桂
▲同　歩 ▽８七銀 ▲同　玉 ▽６九角成 ▲７八桂 ▽８八金
▲同　玉 ▽７九角 ▲８七玉 ▽８八金 ▲９六玉 ▽７八馬
▲８五玉 ▽８四銀 ▲投了

98手で後手の勝ち

しかし87手めは玉が68地点に逃げて谷川投了となる。深浦が87手めに87同玉と取れなくても責めてはいけない。

おい深浦。このような手は先に指せ。

やはり谷川は優しい。このような男がモテルのである。

35玉ならそこでそこで37金と手を戻す。
しかし同玉と取られるとやや胃にもたれる。
55角ぐらい打たせて早いところケーキを喰わせろ。

対局日：2003/12/24(水) 10:55:38
先手：深浦
後手：谷川

▲２六歩 ▽３四歩 ▲７六歩 ▽５四歩 ▲６八玉 ▽５五歩
▲４八銀 ▽５二飛 ▲７八玉 ▽６二玉 ▲６八銀 ▽７二玉
▲４六歩 ▽８二玉 ▲４七銀 ▽７二銀 ▲５八金右 ▽３三角
▲７七銀 ▽３二銀 ▲３六銀 ▽５六歩 ▲同　歩 ▽同　飛
▲４七金 ▽５一飛 ▲４五銀 ▽３五歩 ▲３六歩 ▽４四歩
▲３四銀 ▽４二角 ▲６六銀 ▽３六歩 ▲５五銀 ▽５六歩
▲５八飛 ▽２四歩 ▲３三歩 ▽同　銀 ▲４三銀成 ▽６四角
▲同　銀 ▽同　歩 ▲３三成銀 ▽同　桂 ▲４四角 ▽３七歩成
▲同　桂 ▽３六歩 ▲６二銀 ▽同　金 ▲同角成 ▽７一銀
▲同　馬 ▽同　玉 ▲５四歩 ▽同　飛 ▲４三銀 ▽５一飛
▲５二歩 ▽６一飛 ▲５一金 ▽３七歩成 ▲４四角 ▽６二銀
▲６一金 ▽同　銀 ▲５一飛 ▽２三角 ▲６二角成 ▽同　玉
▲６三銀 ▽同　玉 ▲６一飛成 ▽５三玉 ▲３四銀打 ▽１四角
▲５六飛 ▽４四玉 ▲３七金 ▽５五角 ▲４一龍 ▽８八金
▲６八玉 ▽４一角 ▲５四金 ▽３五玉 ▲５五飛

入玉への執念。
瀕死の母には死に場所さえない。

谷川は73手め63同銀と取った。53玉と逃げると41飛成で同角が54金打の素敵なリボン形。それで投了するのもクリスマスらしい。
78手めに55角は以下の変化。


対局日：2003/12/24(水) 10:55:38
先手：深浦
後手：谷川

▲２六歩 ▽３四歩 ▲７六歩 ▽５四歩 ▲６八玉 ▽５五歩
▲４八銀 ▽５二飛 ▲７八玉 ▽６二玉 ▲６八銀 ▽７二玉
▲４六歩 ▽８二玉 ▲４七銀 ▽７二銀 ▲５八金右 ▽３三角
▲７七銀 ▽３二銀 ▲３六銀 ▽５六歩 ▲同　歩 ▽同　飛
▲４七金 ▽５一飛 ▲４五銀 ▽３五歩 ▲３六歩 ▽４四歩
▲３四銀 ▽４二角 ▲６六銀 ▽３六歩 ▲５五銀 ▽５六歩
▲５八飛 ▽２四歩 ▲３三歩 ▽同　銀 ▲４三銀成 ▽６四角
▲同　銀 ▽同　歩 ▲３三成銀 ▽同　桂 ▲４四角 ▽３七歩成
▲同　桂 ▽３六歩 ▲６二銀 ▽同　金 ▲同角成 ▽７一銀
▲同　馬 ▽同　玉 ▲５四歩 ▽同　飛 ▲４三銀 ▽５一飛
▲５二歩 ▽６一飛 ▲５一金 ▽３七歩成 ▲４四角 ▽６二銀
▲６一金 ▽同　銀 ▲５一飛 ▽２三角 ▲６二角成 ▽同　玉
▲６三銀 ▽同　玉 ▲６一飛成 ▽５三玉 ▲３四銀打 ▽５五角
▲５六飛 ▽８八金 ▲６八玉 ▽４四玉 ▲５五飛 ▽同　玉
▲７七角 ▽投了

85手で先手の勝ち

涙が出尽くすとこのような手が出る。
大本営発表の中飛車が一枚の歩で遮断されては愛も涙も枯れ果てた。
祖国に裏切られ二束三文で売られて行く娘たちの悲哀。

もともと銀角を交換しているのでここで角切りは惜しくない。しかも自前の角であった。華々しく戦死した英雄として故郷では母も喜んでいるであろう。彼女は親族一同が去ったあとで息子の遺影を眺めて独り号泣する。

谷川は優しい青年であった。棋風は激しく気性も荒いのに優しさがにじみ出ている。
一方深浦は一見優しそうでいながらユングの夢分析に出てくるような悪魔の影を常に踏んでいる。深浦がヒゲを生やしたら手がつけられないであろう。中川あたりのヒゲならばまだ怖くない。

金が剥がれると美濃は脆い。風前の灯し火というよりほのかなキャンドルの火。
結婚してくれと言い出す時には誰にもそれぞれ思い出があるであろう。
深浦はいきなりエンゲージリングである。
結婚指輪が買えなくて銀製の安物の指輪を生涯指にしていた女もいる。
ピースの銀紙で指輪を作ってミルクハウスで彼女に渡した時代もあった。
チューインガムの銀紙で指輪をつくり鼻糞つけて渡すのが週間現代。

さすがにこれは手抜きできない。51銀成-61成銀が簡単な詰めよとなるからである。有無も言わせぬ速攻にうなずくしかない。

谷川ヴァイオレンスのお株を奪うような寄せのナンバー。
イブに豪華なエンゲージリングを差し出す深浦。

残念ながら谷川にはこの手しかない。
純情一途なお手製の愛情。この手は遅い。無視されてもただの桂損である。
一見速そうな手は銀のブチコミであるがそのような手では飛車をかわされ後続手がない。

歩得の上に手順に桂馬を跳ねる。これは連動手。谷川の33桂がサクリファイスの連動手ならばこの桂馬もサクリファイス。

出し遅れたプレゼントだが手作りの愛情がこもっている。
ここで出さなくてはナマモノだけに黴が生えてしまう。

46手め44同桂は仕方ない。37歩成など無視されて42銀といきなりぶち込まれてしまう。このように手順に駒アタリ奇数番3を与えては逆転のチャンスもない。
ところがこの44同角も駒アタリ奇数番3。これは歩切れを補填しつつ敵玉をニラミ、33角成の桂取りも見せた本局初のトリプル手。

歩切れを解消する56金は47銀で困る。23角打では遅い。
次に後手からの37歩成が厳しいので44銀のような悠長な手はない。
ここでは先手は駒アタリ奇数番3を作成するのが本筋。ところが52歩と打てない。歩がないからである。懐から歩を出すマジックは反則である。そこで銀の差し違い。

ここで考えてはいけない。こんなものはすぐに取る。56金もあるカナなどと3秒も考えてはいけない。それではひとめで偶数番なのでダメとわかる。

別に谷川が発狂したわけではない。31角と逃げては将棋にならない。換る手もない。これを駒アタリ奇数番3に換算しようという勝負手しかないのである。なぜこれが駒アタリ奇数番3に換算できるかと言うと33地点の銀は桂馬に死守されているからである。畏れずに取る勇気があればこれも実は駒アタリナンバー。すると谷川のこの勝負手も実態は偶数番4と言うことになる。

これは先手が獲得した駒アタリ奇数番3。先手ハッキリ優勢となる。
あのどうしようもない孤独な腰掛け銀四辺形からよくもここまで出世したものと感慨にふける。二匹のトナカイさんは元気いっぱいであった。これを深浦のクリスマス定跡と呼ぼう。

これを同桂は同慶の至り。
しかし33同銀は後手が引かされた駒アタリ偶数番4。
イヤリングを2セットも用意したツケはこの偶数番であった。

なぜこの局面で谷川は33歩を打たないのかと怒っている彼女は今し方中継を見始めた逆子をもつ妊婦であろう。今は深浦の手番である。だから深浦が33歩と打つ。
谷川が露骨な銀バサミを見せつけたので深浦は先ほど大長考で立てた寄せのプランに小便をかけられたような思いかもしれない。
それにしても「敵の打ちたい所へ打て」という毎度のセリフは下品である。
逆子と一言いえば良い。
逆子になると妊娠体操がある。四つんばいとなってお腹の赤ちゃんにひっくりかえってくれと刺激する。それを見てダンナが発情すると流産してしまうのでかなり危険な技。

幸運を呼ぶブタさんにも耳がある。このブタさんの耳にはナンバーを刻印したアルミ札がぶら下がっている。もう好きに喰ってくれと開き直っている。
なぜピンクの豚なのであろう？
ここでピンクフロイドのザ・ウォールを思い出した人はその後のベルリンも好きになるであろう。
この24歩は谷川の次男へのプレゼントである。これはウサギさんのイヤリングとセットになった双子のオシャブリ。

誰が指してもこうなる。深浦はなぜここで大長考をしたのであろう？
期間限定のクリスマスセールにでも行ってきたワケではない。
寄せの構図を彼は描いていた。ウサギさんの耳をかじってみようということである。

一方こちらのウサギさんは金の耳にイヤリングをして喜んでいる。
57歩成-同金-37歩成-同桂-36歩などとウマイ話はカチカチ山といい勝負であろう。

二匹めのトナカイさんが出陣。これが深浦演出であろう。どうりで威勢が良い。やはり地元決戦では遠方から来た者にノリがある。

これで後手は一時的に歩得となった。江戸時代ならば歩得をした時点で優勢などと考える。現代ではクリスマスバーゲンで10個99円の卵を買ったような虚しさである。

今日の深浦はヤケに元気である。同じ花村門下で最近腰痛地獄から開放されつつある森下ならば迷うことなく34歩で「ヤリー」などと言うであろうか？それでは24歩と突かれて33歩の銀バサミで天使とあの世でクリスマスかもしれない。5筋歩交換の損得は双方にある。
このような歩の得は宗歩が徹底して主張した。現代の飛車先歩交換はそれだけではダメなのである。

ここでヘコんだ気持ちになっては聖夜祭のたびに孤独を感じてしまう独り者である。今の世の中家庭の孤独の方がもっと凄惨である。子供は塾に行き、妻はパートに行き、ダンナは残業である。42角などでイジケてはいけない。

谷川はここで長考した。息子たちへのプレゼントは今年もまたプラレールでは飽きてしまう。しかし戦車を買っては徴兵志願されてしまう。そこで昨日買った次男用のドイツ製オシャブリを思い出している。
オシャブリは奥が深い。母の乳首の柔らかさでなくてはならない。そこで買うときには親が大抵自分で吸ってみる。ベビー用品売り場ではこのようなモノが必ずあるので注意が必要である。44歩はオシャブリ。
結局後手の欠陥である左の金銀に働きかける深浦の46歩に収斂する。あれを位の概念としては後手は困るのであった。

36地点の駒アタリ予備を消す先手が作成した駒アタリ奇数番1。同歩と取ると5筋で交換した1歩で角頭を叩ける。44歩には手順に歩を取りつつ銀の泡踊り。歩を取ればクリスマスプレセントとなり和洋折衷となる。

居飛車ならばこのような角頭歩は浮き飛車による飛車の横利きで受かる。
本局は中飛車を双頭手にするのが後手の方針なので54飛の浮き飛車から銀バサミ狙いは最初からない。9筋が突きあっていないからと54飛から94飛と逃げると喰い散らかした無残なデコレーションケーキを帰宅後のパパは見ることになるであろう。
この歩は取られては困る。歩損になるからである。だから逃げる。しかしただの逃げでは51飛で手番を渡した負い目だけが残り56歩までに3手もかけた後手は負けてしまう。だからこれを連動手とすればよい。

26手め51飛も当然。この飛車先歩交換原理により仕掛けられた方は手番を握る。その手番で深浦は45銀。トナカイさんのソリ。

ここで47銀ではクリスマスではない。泡踊りでは顰蹙を買う。
やはり谷川と仲よくケーキを食べたい深浦。

谷川が好感度ナンバーワンである理由は王位戦でもそうであったように「こう指すべき」という期待を寸分も裏切らないからである。

間違いなく深浦が指している。凄まじい情熱。
深海魚と言われて頭に来たのであろう。
これは谷川の表向きは第2手めを狙いに行く手。中味はタイトル挑戦とはここまでしなくては勝ち取れないと深浦がようやく理解したということ。善悪を問う手ではない。
理論的にはこれは無意味な単独の腰掛け銀の四辺形。26歩が機能しないばかりか、双頭手となるべき46歩も単なる空間開放手としてしまった。この銀は泡踊りか45地点へ行くしかない。いずれも腰掛け銀の四辺形特有の双翼の歩が意味をもたない。谷川も燃えるであろう。蝋人形谷川キャンドルに火をつけたのは深浦であった。

この手に谷川も30分ほど思考。MahusdaBBSでも読んでいたのであろう。
42銀ではなくなぜ32銀か？
これは46歩に対応している。これを双頭手にしなければ52飛の双頭手の優位性が維持できるはずという試算。

これを見て深浦が嫌いになった者は深海魚を食べたことがないのであろう。
深浦は始めての長考31分でこの手を指した。
ここで先手から96歩のブランコ前進はやりたくない。後手にブランコ前進を指させたいからである。
36歩は36銀と進軍する楽しみが奪われる。
16歩は相停滞手となるがこの局面では緩手。
当然に見える25歩は33角の顔に化粧を塗る行為。そこまで二人は仲よくない。

深浦が25歩と突いていないのに谷川はここで33角以外に手がない。
もしこの局面で後手が94歩とすれば先手も96歩。このブランコは玉の位置の関係で先手が有利となる。

谷川が安請負の鉄筋コンクリート三階建てに安住して喜んでる間、深浦は着々とすべての素材を駆使して堅固な城を盛り上げている。この城は可塑性に富み変幻自在。
なぜこのようなことができるのか？
先手は居飛車だからである。2筋のＵの特権が先手の強大な遺産。

美濃完成。完成で喜んではいけない。むしろ玉の囲いに進展がないことを嘆くべき。55歩の方針と一致しない。
この美濃は欠陥住宅である。しかも直しようがない。
これはみた目ではわからない。床を剥がしてみないと水が溜まっているかわからない。すでに引き渡しを行ったあとなので我慢してそこに玉は住むしかない。

谷川はこの47銀が嫌いである。55歩にまともに付き合う手と彼は考える。
ところが銀は進出しているとのみ考えればスッキリする。後手の31銀は相変らず動かせないからである。作戦を彩る双方の攻撃銀は先手が優位性を誇示。一見仕事が無くても動いている。動く銀は真冬でも体がポカポカ。後手の31銀はこたつの中のネコ。

後手から試算すれば逆にこの46歩を単一手とすれば55歩への負担は軽減する。これも消去法で82玉。千日手路線への死の行軍。
不思議である。玉移動の手が死出の旅とは。
消去法と言うのはよくない。前進ではなく後ろ向き。ところが深浦の背中には顔がついている。山を昇るときは後ろ向きで昇ると足に負担がないと彼は思っている。

これが深浦。紛れを消すのが最善と言う思考法。谷川はまたしてもイヤーな感じであろう。36歩-37銀からの仕掛けは谷川が大介相手に失敗したばかり。この46歩は47銀とする為の空間開放手。55歩が作成した駒アタリ予備1の権利を消去する手。空間開放手としては後手の52飛と対応。ところが52飛が双頭手であるのに対してこの46歩は単一手。するとこれは位取り予備2としての機能も持たせなくては先手は損な手を指したことになる。

ここが谷川の回想録。深浦が棋王戦挑戦者としての気迫を見せているのに谷川には消去法しかない。
ここで角にヒモをつけている31銀は動かせない。すぐに56歩と突かれて角がスヌキとなる。ウドンならタヌキであろう。
そういえば肉ウドンと肉ソバを間違えて食べてしまい神崎に両手を合わせて謝罪した南は今日はナニしているのであろう？
南に拝まれると怖い。拝まれた方は生き仏となってしまう。

ここでアナグマ思考する58金はそもそも棋王戦挑戦者の資格はない。
ここで25歩は久保開発の千日手がある。そこでこの土壇場では68銀しかない。

9手めに深浦が78玉とすれば谷川とて玉移動をしなければ危険と感じるであろう。戦形とは玉移動で決まるからである。ここで55歩の位が後手には負担となっている。それもすべて玉移動の問題につきる。ここで乱戦を仕掛ける場合いずれもどこかで後手は手を戻すことになってしまう。だから先手が玉に二手かけた分が55歩の位となる。天王山でもなんでもない。先手の必然の2手の代替となった重荷が55歩であり、その支えが52飛。従って52飛を空間開放手の双頭手と解釈しなければ後手は不利となる。だからここで62玉。

作戦の顔。この顔は55歩に誘引された必然。これを見たとおりの中飛車と言う戦法とは我々は考えない。この飛車は55歩の位を支えた銀の役目と玉を移動するための空間開放手と我々は見る。深浦が先に玉を移動した為に後手の谷川も玉の移動を誘発される。すると飛車を振るしかない。55歩としたからには52飛しかない。

先手はラクチンの追従。いかに55歩が丸山並にヘンタイ手好みかということである。深浦は千日手でもよいと思って指している。
だから先に48銀か先に68玉かなどどうでもよい。谷川は55歩と指すに決まっているからである。

位を取れと言われて逃げる谷川ではない。
深浦相手だとコレかと鼻息が荒くなるのが谷川。
ここで丸山の変態44歩を思い出す。4手めで完全対象となる相振りは相掛りの4手め完全対象と同じ発想。ところが丸山は奇妙な位取りを見せた。
この6手めの後手の位取りも奇妙である。55歩の位は天王山などと言うタコは恐らくいまだに端歩は居飛車の税金などと言う大介の将棋講座といい勝負であろう。

これが最近のハヤリ。復刻したブリキのおもちゃ。
安上がりでしかも昔より精巧。これを復活させた影のモデルは中原である。理論的構築を行ったのがマシュダ一家。
これは後手に好きに5筋位取りをしろという手。で我々は5筋位取りとは見ないのである。55歩はダミー。

昨年は谷川を王位にした54歩。
もうゴキゲンの切った貼ったのコラージュ将棋は古い。ゴキゲン分析はすでに飽きた。もっと根本から考えないと棋士は分裂病になるかもしれない。
ゴキゲンのひとつの結論は後手が千日手にできるということである。

棋王戦は谷川が丸山に挑戦しなくてはならない。しかし今日決めるのはタイヘンである。記録係のおかげで第2戦まで持ち込むと考えてはイケナイ。後手番で千日手がイヤと思うからイヤーな気分となる。
待ちかまえている丸山は三日前公開のＮＨＫ杯で変態相振りで康光に勝ってしまった。相振りは王位戦で谷川も正面から受けハブを追い詰めている。
つくづくあの時の北海道新聞の中継は素晴らしかった。今年の将棋界はあの中継が印象的。そして女流王位戦。
ハブは王座戦が最も印象深いと言う。それはそうであろう。ニンジンぶらさげた馬の気分に違いない。
マシュダ一家としては今年の棋王戦がひとつの分岐点。丸山の位相変換、あの日の端歩。羽生初めての敗北感。いろいろ思い出す。

駒音の中継。掲示板がシッチャカメッチャカとなっている。
今年の中継は北海道新聞の王位戦が圧勝であった。中継の老舗のはずの駒音は努力だけアピールして昨年よりヒドい。
なぜ谷川は相掛りが受けられないか？
深浦は相掛りで朝日クンとなったからである。おかげで最近千日手となる筋ばかりが目立つ。谷川はいやーな気分で34歩しかないのであった。

関西将棋会館での対局。悪しき慣習振り駒でと金が4枚。谷川は嫌な気分であろう。序盤は深浦に付き合うと千日手の筋ばかり見える。
26歩は相掛り十字架銀への自信。中原のように相掛り蛇行銀も見える。相掛り変奏となる横歩もある。いずれも谷川は受けない。というより受けられない。