今日の谷川の潜在的モデルは王座戦の渡辺明。我々が絶賛した73歩と23歩をオーバーラップさせようとした。敗因は12角ではない。すでにこれしか受ける手段がない為に敗因は単に谷川の横歩取り定跡のド忘れ。谷川がマネしたかったのは端歩のブランコ特性だけ。
森内の揺らぎのない構築法に堪能した一日。
来年の名人にふさわしい精神の在り方を森内に見る。

千日手指直し局
横歩取り85飛+タコ12角
先手：森内
後手：谷川

▲７六歩 ▽３四歩 ▲２六歩 ▽８四歩 ▲２五歩 ▽８五歩
▲７八金 ▽３二金 ▲２四歩 ▽同　歩 ▲同　飛 ▽８六歩
▲同　歩 ▽同　飛 ▲３四飛 ▽３三角 ▲３六飛 ▽２二銀
▲８七歩 ▽８五飛 ▲２六飛 ▽４一玉 ▲５八玉 ▽６二銀
▲３六歩 ▽５四歩 ▲３三角成 ▽同　桂 ▲７七桂 ▽８四飛
▲３五歩 ▽５五歩 ▲３八金 ▽５一金 ▲６八銀 ▽１四歩
▲７五歩 ▽９四歩 ▲７四歩 ▽１二角 ▲３四角 ▽２三歩
▲４六飛 ▽７四飛 ▲４三角成 ▽４五歩 ▲３二馬 ▽同　玉
▲８六飛 ▽８四歩 ▲３六飛 ▽２四歩 ▲４八銀 ▽９三桂
▲３七桂 ▽８五桂 ▲７五歩 ▽同　飛 ▲３四歩 ▽７七桂成
▲同　銀 ▽４四桂 ▲３五飛 ▽２六角 ▲２七桂 ▽４二金
▲７六歩 ▽７四飛 ▲６六銀 ▽３六歩 ▲６五銀 ▽３七歩成
▲同　金 ▽３五角 ▲同　桂 ▽３四角 ▲７四銀 ▽２五桂
▲６五角 ▽４三桂 ▲同桂成 ▽同　角 ▲同角成 ▽同　金
▲３五桂 ▽３七桂成 ▲同　銀 ▽３八飛 ▲４八金 ▽３九飛成
▲４三桂成 ▽同　玉 ▲３五桂 ▽４二玉 ▲４三金 ▽５一玉
▲２一飛 ▽投了

97手で先手の勝ち

千日手局の55歩を我々は褒めすぎた。あれはクソ手と訂正する。
指直し局で谷川の本性を見た。12角など蛇の道。
谷川は大一番で昔ながらの悪弊を立ち切ることができなかった。
おい、山崎。マネすんなと言ってやれ。
ひとことでハッタリ将棋。
竜王戦における対森内の敗戦より悪くなった。
森内相手だと谷川はなぜこうなってしまうのであろう？
猿之助のような芸に突然成り下がってしまったのはなぜであろう？
阪神タイガースのせいである。

森内は44桂を打たせる筋を選択。憎い色男。
76歩は投げろという合図。飛角交換後角打王手が厳しすぎる。谷川の42金先受けも虚しい。

千日手の筋を利用して中空理論の展開は以下。44桂も手順に阻止。

▲７六歩 ▽３四歩 ▲２六歩 ▽８四歩 ▲２五歩 ▽８五歩
▲７八金 ▽３二金 ▲２四歩 ▽同　歩 ▲同　飛 ▽８六歩
▲同　歩 ▽同　飛 ▲３四飛 ▽３三角 ▲３六飛 ▽２二銀
▲８七歩 ▽８五飛 ▲２六飛 ▽４一玉 ▲５八玉 ▽６二銀
▲３六歩 ▽５四歩 ▲３三角成 ▽同　桂 ▲７七桂 ▽８四飛
▲３五歩 ▽５五歩 ▲３八金 ▽５一金 ▲６八銀 ▽１四歩
▲７五歩 ▽９四歩 ▲７四歩 ▽１二角 ▲３四角 ▽２三歩
▲４六飛 ▽７四飛 ▲４三角成 ▽４五歩 ▲３二馬 ▽同　玉
▲８六飛 ▽８四歩 ▲３六飛 ▽２四歩 ▲４八銀 ▽９三桂
▲３七桂 ▽８五桂 ▲６五金 ▽４四飛 ▲５五金 ▽７四飛
▲６五金 ▽４四飛 ▲８五桂 ▽同　歩 ▲５五金 ▽８四飛
▲３四歩 ▽同　角 ▲４五桂 ▽同　桂 ▲同　金 ▽投了

71手で先手の勝ち

バトルの漫画のような笑えない展開となった。
もっと笑わせていただきたい。また千日手はどうであろう？

先手：俺は後手で勝ちたいという森内
後手：もう帰りたいのにーという谷川

▲７六歩 ▽３四歩 ▲２六歩 ▽８四歩 ▲２五歩 ▽８五歩
▲７八金 ▽３二金 ▲２四歩 ▽同　歩 ▲同　飛 ▽８六歩
▲同　歩 ▽同　飛 ▲３四飛 ▽３三角 ▲３六飛 ▽２二銀
▲８七歩 ▽８五飛 ▲２六飛 ▽４一玉 ▲５八玉 ▽６二銀
▲３六歩 ▽５四歩 ▲３三角成 ▽同　桂 ▲７七桂 ▽８四飛
▲３五歩 ▽５五歩 ▲３八金 ▽５一金 ▲６八銀 ▽１四歩
▲７五歩 ▽９四歩 ▲７四歩 ▽１二角 ▲３四角 ▽２三歩
▲４六飛 ▽７四飛 ▲４三角成 ▽４五歩 ▲３二馬 ▽同　玉
▲８六飛 ▽８四歩 ▲３六飛 ▽２四歩 ▲６五金 ▽４四飛
▲５五金 ▽７四飛 ▲６五金 ▽４四飛 ▲５五金 ▽７四飛
▲６五金 ▽４四飛 ▲５五金 ▽７四飛 ▲６五金 ▽４四飛
▲５五金 ▽千日手

12角に34角と打てばこれしかない。
手数が延びれば森内が悪手を出すと期待するだけの谷川。
そういえば今年の正月将棋に谷川は一般人相手にこのようなことをテレビで披露した。康光が谷川から大変いいことを学んだそうである。

森内はオバケの誘いに乗った。角交換ではすぐに桂損で後手は負け確定。そこでこの手には二種類。まず23銀だが以下の変化で後手受け無し。

▲７六歩 ▽３四歩 ▲２六歩 ▽８四歩 ▲２五歩 ▽８五歩
▲７八金 ▽３二金 ▲２四歩 ▽同　歩 ▲同　飛 ▽８六歩
▲同　歩 ▽同　飛 ▲３四飛 ▽３三角 ▲３六飛 ▽２二銀
▲８七歩 ▽８五飛 ▲２六飛 ▽４一玉 ▲５八玉 ▽６二銀
▲３六歩 ▽５四歩 ▲３三角成 ▽同　桂 ▲７七桂 ▽８四飛
▲３五歩 ▽５五歩 ▲３八金 ▽５一金 ▲６八銀 ▽１四歩
▲７五歩 ▽９四歩 ▲７四歩 ▽１二角 ▲３四角 ▽２三銀
▲同角成 ▽同　角 ▲２四歩 ▽２五歩 ▲２三歩成 ▽２六歩
▲３二と ▽同　玉 ▲３四歩 ▽投了

51手で先手の勝ち

これでは順位戦ではないので残りのひとつしかない。信じられないであろうが谷川は23歩で耐えるしかない。それを自ら選ぶ谷川はすでに谷川ではない。

森内得意の展開。谷川の36手め14歩は誘い。38手め94歩も誘い。独身者の機械と成り果てた谷川のデュアル単一ブランコ。これで前後運動を単独で完結し森内を誘う。
深夜に独り乗るブランコには長い髪のお化け。
飛車の横利きを74歩で止めるのはセオリー。同飛は無論8筋に角をぶち込んで完勝。同歩は34歩の桂殺し。お化けは来いと泣いている。
40手め12角。お化けの手。ほとんど仮装行列のノリ。
蹴飛ばせば化けの皮が剥がれるだけ。仮装行列を眺めてしばらく誘惑を楽しむか、蹴飛ばすかの違い。谷川はすでに谷川ではない。

先手：森内
後手：谷川

▲７六歩 ▽３四歩 ▲２六歩 ▽８四歩 ▲２五歩 ▽８五歩
▲７八金 ▽３二金 ▲２四歩 ▽同　歩 ▲同　飛 ▽８六歩
▲同　歩 ▽同　飛 ▲３四飛 ▽３三角 ▲３六飛 ▽２二銀
▲８七歩 ▽８五飛 ▲２六飛 ▽４一玉 ▲５八玉 ▽６二銀
▲３六歩 ▽５四歩 ▲３三角成 ▽同　桂 ▲７七桂 ▽８四飛
▲３五歩 ▽５五歩 ▲３八金 ▽５一金 ▲６八銀 ▽１四歩
▲７五歩 ▽９四歩 ▲７四歩 ▽１二角

谷川。貴様それでも永世名人か？
森内。夕食に何を食った？行けば壮絶な谷川悶死だった。

本譜
先手：谷川
後手：森内

▲７六歩 ▽３四歩 ▲２六歩 ▽４四歩 ▲４八銀 ▽３二飛
▲２五歩 ▽３三角 ▲６八玉 ▽４二銀 ▲７八玉 ▽６二玉
▲５六歩 ▽５二金左 ▲７七角 ▽７二銀 ▲８八玉 ▽７一玉
▲９八香 ▽６四歩 ▲９九玉 ▽７四歩 ▲８八銀 ▽５四歩
▲７九金 ▽９四歩 ▲３六歩 ▽９五歩 ▲５五歩 ▽４三銀
▲５四歩 ▽６三金 ▲６八角 ▽２二飛 ▲３八飛 ▽８二玉
▲３五歩 ▽同　歩 ▲同　飛 ▽５二飛 ▲５三歩成 ▽同　金
▲３七桂 ▽６三金 ▲３六飛 ▽３四歩 ▲２六飛 ▽１五角
▲３六飛 ▽３二飛 ▲２四歩 ▽同　角 ▲同　角 ▽同　歩
▲２六飛 ▽２二飛 ▲５九金 ▽５八歩 ▲同　金 ▽２五歩
▲５六飛 ▽２七角 ▲２三歩 ▽同　飛 ▲４二角 ▽５五歩
▲同　飛 ▽５四銀 ▲５七飛 ▽６五銀 ▲５五飛 ▽５四銀
▲５七飛 ▽６五銀 ▲５五飛 ▽５四銀 ▲５七飛 ▽６五銀
▲５五飛 ▽５四銀 千日手成立

森内の方針は37桂を咎めること。
50手めには谷川も嫌気がさしたかもしれない。夕食を食べるとこうなる。しかしこれは一日制であった。順位戦の宿命。二日制ならば色気はでる。
51=24歩。切れた谷川。これで歩損。
52=同角。森内は無条件で歩得。
53=24同角。行くしかない。
54=24同歩。連動手。これでまたも手得。
55=26飛。次に35歩では桂損になる。Ｕの柱に固執しつつ24歩の連動手を逆行相転化できればというお願い。
56=22飛。歩得したので先手の動きにあわせるブランコ開始。
57=59金。地を這うだけ。陣形の差からくる自虐金。
58=58歩打。得した歩でむち打ち。
59=58同金。ただであげた歩で酷い形にされた。
60=25歩。これが角を取った24歩からの連動手となっては三重苦。
61=56飛。Ｕの沽券も汚され放浪飛車とされた。
62=27角。横歩取りの筋。何もしなければ35歩。
63=23歩。飛車交換を狙い桂損解消を計る。
64=同飛。何の苦労もせずにまたも歩得。
65=42角打。24歩打狙い。
66=55歩。ただで得した歩で形を乱すセオリー。次に谷川が24歩なら駒アタリ偶数番となる。

結局この将棋は先手のＵの柱は硬直したまま24歩は永遠に凍結し、後手の5筋森内プランのみが続行される。
すでに三種類の作図は完成したがいずれも森内圧勝となる。82玉は正解。角筋に玉がある攻防手のみが先手の逆転筋であったがそれも消滅する変化しかない。

谷川。もういい。みっともない。
55歩の天性の閃きを見ただけで十分。あとは自己修復機能が汚泥にまみれるだけ。そこまでしがみつくことはない。

森内見せる。これで名人挑戦は森内で不足はない。
ここで22飛などと手を戻すようでは名人復帰など期待できない。
これは37桂を咎める二枚換えの筋。
飛車を縦に逃げれば35歩から導入。同角なら36歩で桂が死ぬ。角を追って再度26飛なら34銀で完封体勢。

谷川の開き直り。Ｕの特権に傷心の里帰り。

次に逆に34歩を打たれては困る。この歩打は屈辱でもなんでもない。谷川の手に乗り自陣の傷を手順に消去しただけ。これで53歩成の先手の得は解消する仕組み。
結果後手の森内は当初の予定通り歩の切れた5筋に飛車を開通させることによって後手の駒組み進展を抑制することに成功。

これが37桂の欠陥。歩の成り捨てで1手稼ぐマシュダ一家手順を最も贅沢に使ったツケ。もったいないことをした。

これも当初の森内プラン通り。飛車で取って52飛としても同じようであるが、37桂への意味が換る。谷川を煽ると第二の野性が目覚めてしまうかもしれない。だから53金は森内の風。

どうもおかしいと思った。森内らしい。同金は初志貫徹。冷静な証し。
対して谷川は中空三角理論を避けた37桂であったことが判明。
ならばこの37桂はただの逃げ。踏み込めなかったのは谷川がＵの王道を意識したため。
攻めの形を見せびらかしただけのカッコつけた逃げ。
これは55歩の野性味と一致しない抑制された理性。

谷川の優等生的バランス感覚。
この局面において緩手は許されない。すると絶対に緩手にならない合理的攻撃手は37桂しかない。これが谷川の消去法。
我々はこの35飛の中空飛車をみると棋王戦の丸山ラインを想起する。
駒アタリには85飛と逃げて96歩を狙う手法。ところが37桂と跳ねると飛車は逆に桂頭を死守する為に自縛したことになる。およそ優等生とは時間に縛られるもの。

同金では55飛とされ中空理論へ突入。しかし53飛を谷川が強いたことにより森内ラインは変更を強いられることに。
谷川はここまで読んで55歩を決行したわけではない。55歩ができるのは谷川の野性の臭覚。

33=68角。常識。
34=22飛。45歩変化は48銀型の為に飛車交換をされる。
35=先に35歩としない所が素直。しかし48銀型では相変らず不満。
36=22玉。以上谷川の攻撃手に対して森内の受けは単一手の為に先手がすでに後手に与えたふたつの双頭手の得を緩和。この22玉は岐路。これが逆行相転化すれば森内は負ける。単一手ならば森内指せる。双頭手ならば森内勝ちであるがそれは有り得ない。谷川は5筋で損した歩の運動の代償を9筋に求める。2歩と桂馬を入手し96歩から逆襲した場合に22玉が逆行連動手のターゲットになる。
37=35歩。当然。
38=同歩。当然。
39=同飛。これが谷川の十字飛車転換ライン。34歩ならば55飛と展開し5筋へ。成り行き上こうなってしまうのが谷川の天才たる由縁。善悪の彼岸ではこのようなことが発生する。
40=52飛。綿密な森内プランを横取りされないように先に回る。もともと5筋は森内ラインの要。
41=53歩成。マシュダ一家手順執行。

成り捨てろ。

歩損解消のための金の進出に見えるがこれは振り飛車特有の双頭手。
駒アタリ奇数番1を作成すると同時に52地点を空ける空間開放手。
52飛の展開を見せつけ先手の48銀を飛車の壁とする逆行連動手を示唆。
このままでは先手のＵの柱は機能麻痺する。43銀に死守され35歩は手抜かれ中央から突破される。それを防御する手順は後手の掌中。

自ら作成した駒アタリ奇数番1を自ら解消する谷川。
即ち谷川レイプは独身者の機械となった。
1歩獲得するために3手かけている。一方森内は歩損解消の為に金銀を繰り出すことになる。
歩は盤上から消える為に位の概念は霧散し、換わりに後手の金銀の進出を促すだけ。

谷川必死の駒アタリ奇数番1に対して森内は43銀。
これは双頭手。谷川レイプに53銀はない。54歩と取り込ませても駒アタリ奇数番連動手とならないように三段目に進出し、谷川が得た1歩で仕掛ける35歩の駒アタリ奇数番へ備える。

12時10分からの昼食休憩後55歩が指された。
谷川ヴァイオレンスというより谷川レイプ。
心境は察しがつく。
名人挑戦を賭けた今年最大のヤマだと言うのに度胸がある。
指し手の善悪を超越している。
本日新人王記念対局を田村が羽生とやっている。田村もふっとぶような度胸。

現在28手め95歩まで。
森内、嬉しい。
これは昨年の王将戦第1局で康光が示した道筋。
羽生康光戦は先に53銀と57銀の交換を入れていたためにこの95歩は30手めで指された。
いろいろ思い出す。

先手：谷川
後手：森内

▲７六歩 ▽３四歩 ▲２六歩 ▽４四歩 ▲４八銀 ▽３二飛
▲２五歩 ▽３三角 ▲６八玉 ▽４二銀 ▲７八玉 ▽６二玉
▲５六歩 ▽５二金左 ▲７七角 ▽７二銀 ▲８八玉 ▽７一玉
▲９八香 ▽６四歩 ▲９九玉 ▽７四歩 ▲８八銀 ▽５四歩
▲７九金 ▽９四歩 ▲３六歩 ▽９五歩