ナカータ三間の完成度は目を見張る。ヤクザの親分相手にいい将棋である。振り飛車は素晴らしい。横歩取りより歴史の厚味があるのは当然である。
ここまで指せるならトップにももっと指していただきたい。ナカータ三間のマネでもいい。その変奏をもっと見たい。ヒトマネが嫌いなどと偉そうなことを言っても始まらない。これほど洗練された技術なら堂々とマネをするべきである。どうせ同じ将棋にはなりはしない。
谷川の光速ノート34をみると目新しいモノだけが彼の使命のように感じてしまうが、イイモノはどんどん取り入れるべきである。たとえ40手以上同じ指し手でも必ず違う。音楽などまったく同じ和声進行で何百年も違うモノを作っている。ナカータがここまで三間でできることを生涯のテーマにしているのであるから、じゃんじゃん使ってあげればよろしいかと思う。

対戦日：2003.09.16
棋戦：C1順位戦
戦型：三間飛車VSイビアナ
先手：中田　功六段
後手：西村一義九段

▲７六歩 △３四歩 ▲６六歩 △８四歩 ▲７八飛 △８五歩
▲７七角 △６二銀 ▲６八銀 △４二玉 ▲４八玉 △３二玉
▲１六歩 △５四歩 ▲５六歩 △５二金右 ▲５八金左 △３三角
▲３八銀 △２二玉 ▲３九玉 △１二香 ▲１五歩 △１一玉
▲４六歩 △４四歩 ▲３六歩 △２二銀 ▲５七銀 △４三金
▲４七金 △３二金 ▲２八玉 △５三銀 ▲３七桂 △７四歩
▲４五歩 △５一角 ▲４四歩 △同　銀 ▲６五歩 △７三角
▲４六歩 △２四歩 ▲７五歩 △同　歩 ▲６六角 △８四角
▲４五歩 △３三銀引 ▲４六銀 △７六歩 ▲８四角 △同　飛
▲７六飛 △７三歩 ▲４四歩 △同　銀 ▲４一角 △４二金引
▲６三角成 △８八角 ▲９八香 △９九角成 ▲４五銀 △同　銀
▲同　桂 △４六歩 ▲同　金 △８九馬 ▲７七飛 △８八馬
▲４七飛 △５二銀 ▲６二馬 △４四歩 ▲５三銀 △４五歩
▲４二銀成 △同　金 ▲４五金 △５三銀打 ▲５二馬 △同　金
▲３四金 △４四桂 ▲４五銀 △３二角 ▲４四銀 △同　銀
▲同　金 △同　馬 ▲同　飛 △３三銀打 ▲４一銀 △２三角
▲３五桂 △４四銀 ▲２三桂不成△同　銀 ▲３一角 △２二金
▲６六角 △３四飛 ▲２二角成 △同　玉 ▲４五金 △４三金
▲３四金 △同　金 ▲６二飛 △３二桂 ▲４四角 △同　金
▲３一銀
まで115手で中田功六段の勝ち

先週の王座戦第2局の羽生の横歩取りが余りにひどかったのでこの戦法そのものが貶められている。今日はナカヒロが羽生の換りにお口直しをしてくれた。真田も立派に受ける。いい将棋である。25飛と回りたいならこのように指すのだと彼らが見本を示している。
いくら指しあきたなどとトップが思ったところで横歩取りなどまだ盤面半分しか使っていない。このように全面に渡る戦いがもっと進歩すればもしかしたら矢倉のように総力戦となるかもしれない。10年ほど前の矢倉と現代矢倉でも全く違う。たかが数年指されたくらいで飽きたなどと言ってはいけないのであった。Ｃ1以下の棋士をクズ扱いするタコが多いが、彼らがいなかったら誰がこのような戦法を細やかに進化させるのであろう？
今日のナカヒロも真田も先週の羽生などよりよほど横歩取りに貢献している。

対戦日：2003.09.16
棋戦：C1順位戦
戦型：横歩取り25飛型
先手：真田圭一六段
後手：中田宏樹七段
▲７六歩 △３四歩 ▲２六歩 △８四歩 ▲２五歩 △８五歩
▲７八金 △３二金 ▲２四歩 △同　歩 ▲同　飛 △８六歩
▲同　歩 △同　飛 ▲３四飛 △３三角 ▲３六飛 △４一玉
▲５八玉 △２二銀 ▲８七歩 △８五飛 ▲３三角成 △同　桂
▲７七桂 △２五飛 ▲２六歩 △２四飛 ▲５六飛 △６二金
▲３八金 △５二玉 ▲７五歩 △８二銀 ▲２八銀 △３一銀
▲６八銀 △４二銀 ▲７六飛 △７二金 ▲２七銀 △８四飛
▲８六歩 △４四飛 ▲３六銀 △９四歩 ▲３五銀 △５四飛
▲２五歩 △５五飛 ▲３六歩 △２五桂 ▲１六角 △２四歩
▲２六歩 △１四歩 ▲２五歩 △１五歩 ▲２七角 △２五歩
▲４六銀 △５四飛 ▲３五歩 △２四飛 ▲３七銀 △９五歩
▲５六飛 △７一銀 ▲１六歩 △同　歩 ▲同　香 △１五歩
▲同　香 △同　香 ▲１六歩 △２六香 ▲４五角 △２九香成
▲１五歩 △２六歩 ▲同　銀 △２七歩 ▲２五歩 △４四飛
▲２七角 △１九角 ▲３七銀 △３九成香 ▲４八金 △４五桂
▲４六銀 △２八角成 ▲４五銀 △２七馬 ▲４四銀 △同　歩
▲３六桂 △４三銀打 ▲５五桂 △３八成香 ▲同　金 △同　馬
▲６五香 △８八歩 ▲５九銀 △４九角 ▲６八玉 △３七馬
▲６三香成 △同　金 ▲同桂成 △同　玉 ▲７九玉 △５九馬
▲８八玉 △５二玉 ▲６五香 △６九銀 ▲７九金打 △７八銀成
▲同　金 △６八金 ▲同　金 △同　馬 ▲６三香成 △同　玉
▲６六飛 △５二玉 ▲４四桂 △同　銀 ▲４一銀 △同　玉
▲６一飛成 △５一香 ▲１一飛 △３一金　　まで136手で中田宏樹七段の勝ち