駒アタリ奇数番予備の法則 メモリアル篇
第1期竜王戦全局分析 島朗六段VS米長邦雄九段
2003.09.16 解題 マシュダ一家


第1期竜王戦全局分析1 駒アタリ奇数番予備の法則 メモリアル篇 No: 2428 [返信][削除]
 投稿者:マシュダ一家  03/09/16 Tue 05:29:03

明日はいよいよ竜王戦挑戦者決定戦三番勝負最終局である。
竜王戦における新旧対決がどのように過去にあったのか。
では第1期竜王戦を全局分析してみよう。世間では米長邦雄が初代竜王と思っていた戦いであった。当時島朗六段の名前すら一般に知られていなかった頃である。

棋戦:1988年第1期竜王戦第1局
戦型:急戦矢倉 W腰掛け銀
先手:島朗六段
後手:米長邦雄九段

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲7七銀 △6二銀
▲2六歩 △4二銀 ▲4八銀 △3二金 ▲7八金 △4一玉
▲6九玉 △5二金 ▲5六歩 △5四歩 ▲3六歩 △7四歩
▲2五歩 △3三銀 ▲3七銀 △4四歩 ▲4六銀 △4三金右
▲6六銀 △6四歩 ▲5五歩 △同 歩 ▲同銀左 △5四歩
▲6四銀 △8五歩 ▲7七角 △9四歩 ▲5八飛 △3一角
▲5三歩 △4二金寄 ▲5七銀 △7三桂 ▲5九角 △5三金上
▲同銀成 △同 角 ▲3七角 △8六歩 ▲同 歩 △同 角
▲8七歩 △3一角 ▲6六銀 △6八歩 ▲同 飛 △8六歩
▲同 歩 △同 角 ▲8七歩 △6八角成 ▲同 玉 △3二玉
▲2四歩 △8八歩 ▲5二金 △2四銀 ▲6二金 △5五銀
▲同 銀 △同 歩 ▲同 角 △5七銀 ▲同 玉 △6五桂
▲4八玉 △6二飛 ▲7三角成 △5二飛 ▲4一銀 △同 玉
▲6三角 △5七桂成 ▲3九玉 △4八銀 ▲2八玉 △5三金打
▲5二角成 △同 金 ▲6一飛 △5一歩 ▲6三銀 △4二金寄
▲5一馬 △3二玉 ▲5四銀成 △8二角 ▲5五歩 △同 角
▲同成銀 △2五飛 ▲2六歩 △5五飛 ▲4一角 △3三玉
▲3二銀 △3五歩 ▲2三銀成 △3四玉 ▲2四成銀 △4五玉
▲2三角成 △3六玉 ▲2七銀 △4七玉 ▲3八銀

まで113手で先手の勝ち


5=77銀は急戦矢倉もあると言う双頭手。66歩ならば守備一貫。
7=26歩は持久戦になりにくい。
11=78金は最強の受け。
17=36歩は挑発。後手の弱点34歩との駒アタリ奇数番を作る歩、銀桂角の移動する空間として双頭手或いはトリプル手としての解釈可能。ところが55地点に駒アタリ奇数番予備1が後手に発生している。
18=74歩。手ぬるい。先手は既に77銀と対の76歩を護っている。
19=25歩。先手が駒アタリ奇数番予備を換算。これを33銀と受けると角筋が遮断される為に55地点の駒アタリ奇数番予備1は自動的に解消。
23=46銀。これにて先手は一挙にふたつの駒アタリ予備を作成。しかし駒アタリ偶数番の為先手にチャンスを与える危険な手。
24=43金。緩手。これで後手作戦負け。
25=66銀。W腰掛け銀。後手が飛車先を突かないために有効。これで駒アタリ奇数番3を先手が掌握し優勢。
26=64歩。悪手。これが敗因1。
27=駒アタリ奇数番1を行使。
31=連続して先手は駒アタリ奇数番1を奪取し最後に64歩を銀で取り勝勢。これで1歩得。後手にはその代償となるものが皆無。
以下は清算。敗因2は終盤力の手合い違い。米長の悪あがきのみ抽出される。すでに即詰みだと言うのに延々玉が逃げている様は滑稽。序盤の作戦から寄せに至るまで島の完勝。この1局のみで米長には到底島には勝てないとわかる。


棋戦:第1期竜王戦第2局
戦型:急戦矢倉封じ
先手:米長邦雄九段
後手:島朗六段

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲7七銀 △6二銀
▲4八銀 △4二銀 ▲5六歩 △3二金 ▲7八金 △4一玉
▲6九玉 △5四歩 ▲5八金 △5二金 ▲3六歩 △5三銀右
▲4六歩 △4四歩 ▲4七銀 △4三金右 ▲2六歩 △3三銀
▲2五歩 △6四銀 ▲3七桂 △1四歩 ▲1六歩 △8五歩
▲6八金右 △3一角 ▲6六銀 △4二角 ▲7九玉 △3一玉
▲5八飛 △2二玉 ▲5五歩 △同 銀 ▲同 銀 △同 歩
▲同 角 △5四歩 ▲8八角 △7四歩 ▲5五歩 △7三桂
▲5四歩 △8六歩 ▲同 歩 △同 角 ▲5五角 △6八角成
▲同 金 △5七歩 ▲2八飛 △8七飛成 ▲7八金 △8二龍
▲8三歩 △7二龍 ▲8二角 △6五桂 ▲9一角成 △5八歩成
▲同 銀 △7五歩 ▲6六銀 △5四金 ▲2四歩 △同 銀
▲7三角成 △6一龍 ▲6五銀 △同 金 ▲2六桂 △8七歩
▲3四桂 △1二玉 ▲1五歩 △8八金 ▲同 金 △同歩成
▲同 玉 △7六金 ▲7八玉 △5九銀 ▲5七銀 △9一龍
▲1四歩 △8七角 ▲8八玉 △7八金 ▲同 飛 △同角成
▲同 玉 △2八飛 ▲6八香 △5六銀 ▲1三金 △同 銀
▲同歩成 △同 桂 ▲2二金 △同 金 ▲同桂成 △同 玉
▲1三香成 △同 玉 ▲3五角 △2四歩 ▲2五桂打 △2三玉
▲3四銀 △1四玉 ▲1五歩 △同 玉 ▲1六歩 △同 玉
▲1七金 △1五玉 ▲1六歩 △1四玉

まで124手で後手の勝ち

10=32金。ここで54歩をわざと受けない。55地点に駒アタリ奇数番1を先手に作らせない急戦矢倉封じ。
14=ここで54歩は島の挑発。先手玉があとで移動した為にその流れに乗じる。
15=58金。玉移動の流れに乗った緩手。
16=52金。緩手に緩手で付き合う島。これが後手の誘い。
17=36歩。後手の緩手に乗じて島の誘惑に乗った米長。
これは55地点の駒アタリ奇数番予備1に対して先手が作る駒アタリ偶数番予備2である。第1局で終盤力がはっきり劣ることを見せつけられた米長はせめて序盤で優位を確立しないと勝ち目はない。ここで誘惑に乗ってはすでに心理的に劣勢。
18=53銀右。作戦成功。これで次に44銀と進出すれば腰掛け銀で先攻可能。駒アタリ奇数番1の権利をすでに掌握。
19=46歩。作戦負け自認。これでは米長に勝ち目はない。腰掛け銀には腰掛け銀で対抗するのが常識。
20=44歩。これで先手の急戦がすべて封印される。
21=47銀。悪手。
23=26歩。緩手。
24=33銀。緩手に対する緩手は有効。島の余裕。85歩なら最強。
26=64銀。緩手。ここでも85歩なら最強。37桂と先手が跳んで次に45歩を見せた時に64銀で十分。
27=37桂。緩手。66銀とすべき。
31=68金。作戦負け自認。すでに後手は駒アタリ奇数番1を確保し臨戦体勢。第1局のような米長の終盤力では万にひとつも勝ち目はない。
34=42角。二日制の余裕。すでに島は楽勝気分。
37=58飛。負けても行くしかない。すでに駒アタリ奇数番を先手が奪取できる地点は55地点のみ。島は先手がここに来ることを待つだけのこと。
以下は島にもてあそばれて自滅するだけ。手合い違いどころか子供の将棋。ひとめで寄りがないのに王手をかけまくって投了する米長。これではすでに島が初代竜王となるのは一目瞭然。



第1期竜王戦全局分析2 駒アタリ奇数番予備の法則 メモリアル篇2  No: 2429 [返信][削除]
 投稿者:マシュダ一家  03/09/16 Tue 05:32:28

棋戦:第1期竜王戦第3局
戦型:相矢倉
先手:島朗 六段
後手:米長邦雄 九段

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲7七銀 △6二銀
▲4八銀 △4二銀 ▲5六歩 △3二金 ▲5八金右 △4一玉
▲6六歩 △5四歩 ▲6七金 △5二金 ▲7九角 △3三銀
▲3六歩 △4四歩 ▲6八玉 △4三金右 ▲7八玉 △7四歩
▲8八玉 △7三桂 ▲7八金 △5三銀 ▲1六歩 △6四銀
▲3五歩 △4五歩 ▲3四歩 △4四銀 ▲3八飛 △5五歩
▲同 歩 △7五歩 ▲同 歩 △8五桂 ▲7六銀 △5五銀左
▲3三歩成 △同 角 ▲6五歩 △3七歩 ▲同 飛 △3四歩
▲9八玉 △6五銀 ▲同 銀 △7七歩 ▲8八金 △6六銀
▲6八金 △5五角 ▲3六飛 △1九角成 ▲6六飛 △5五馬
▲5七銀 △6六馬 ▲同 銀 △4九飛 ▲6九歩 △7八香
▲5八銀 △2九飛成 ▲7八金左 △同歩成 ▲同 金 △1八龍
▲5九歩 △9四歩 ▲7三角 △9二飛 ▲8四角成 △1六龍
▲5六香 △7七歩 ▲同 桂 △同桂成 ▲同 銀 △3一玉
▲7四馬 △8二飛 ▲8八角 △2二玉 ▲7六銀直 △1二玉
▲7三馬 △9二飛 ▲8三馬 △3一金打 ▲4四桂 △同 金
▲同 角 △6四桂 ▲同 銀 △同 歩 ▲1四歩 △同 龍
▲2六桂 △3三銀 ▲8八角 △2四龍 ▲5三香成 △6五桂
▲6六角 △4六歩 ▲9二馬 △同 香 ▲6二飛 △4五角
▲6七銀上 △7七歩 ▲7九金 △6七角成 ▲同 銀 △7八銀
▲同 銀 △同歩成 ▲同 金 △7七銀 ▲同 金 △同桂成
▲同 角 △7八金 ▲4三角 △4二桂 ▲同成香 △同金寄
▲3六桂 △7七金 ▲4二飛成 △2二角 ▲3一龍 △同 角
▲2四桂

まで139手で先手の勝ち

21=米長に敬意を表してがっぷり四つの勝負かと思えばここで島はなんと早囲い。どうやっても勝てるというより負けてもいいという余裕。ここは78金が常識。なぜならば先手番の権利で35地点に駒アタリ奇数番1がすでに発生しているからである。68玉ではここでこの駒アタリ奇数番1が一手分消滅してしまう。
22=43金右。緩手。終盤に自信がない証拠。
24=74歩。玉頭を脅かす双頭手。駒アタリ奇数番予備3。
25=88玉。話にならない。早囲いで作戦勝ちと思っているらしい。
26=73桂。米長はすでに勝ちを確信している。
29=16歩。大悪手。プロの手かと疑う。後手が臨戦体勢なのに手も足も出ないというカタツムリ戦法。島は来いと誘っているだけ。終盤でかわいがってあげるからという態度。
30=64銀。勝負は終わった。これで後手が負けるならハッキリ手合い違い。
31=ここで先手の唯一の利権駒アタリ奇数番1を行使。これで後手は確実に1歩入手できる。
36=55歩。後手の駒アタリ奇数番1。
40=85桂。後手の駒アタリ奇数番3。すでに後手必勝体勢。
49=これが噂の米長玉。島のいたぶり方はこの形を指すことにあった。米長の顔に泥を塗ろうと言う魂胆。ここで先手が64歩と銀を取れば46銀で王手飛車。それで島は銀も取れずに玉を角筋から逃げたのであった。以下は将棋でない。親子の追いかけっこと同じ。
59=酷い局面。島はすでに銀を二枚獲得。中盤でも米長は手合い違い。
74=94歩。もう投げても良い局面。それでも端歩を突く滑稽さ。序盤での島の16歩の緩手に対応。
90=米長が今度は島をマネして米長玉。完全に島に馬鹿にされている。以下は相変わらず詰めよもかからないのに後手は必死に攻めるだけ。
島がわざと作戦負けしているのに終盤までに大差。これでは島も負けようがない。


棋戦:第1期竜王戦第4局
戦型:相矢倉
先手:米長邦雄 九段
後手:島朗 六段

▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲7七銀 △6二銀
▲4八銀 △4二銀 ▲5六歩 △3二金 ▲7八金 △4一玉
▲6九玉 △5四歩 ▲5八金 △5二金 ▲6六歩 △5三銀右
▲6七金右 △6四歩 ▲7九角 △6二飛 ▲3六歩 △6五歩
▲同 歩 △同 飛 ▲6六歩 △6一飛 ▲3五歩 △同 歩
▲同 角 △6五歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲3八飛 △6六歩
▲6八金引 △4四銀 ▲2六角 △1四歩 ▲4六歩 △1三角
▲5七金 △3六歩 ▲4七銀 △3五銀 ▲6六銀 △2六銀
▲6五銀 △3七歩成 ▲同 桂 △同銀不成 ▲同 飛 △4五桂
▲同 歩 △5七角成 ▲7一飛 △5一銀 ▲6四桂 △5九金
▲同 玉 △4八角 ▲6九玉 △3七角成 ▲5二桂成 △3一玉
▲5一飛成 △2二玉

まで68手で後手の勝ち

18=米長は得意の急戦矢倉も通用しないので素直に囲うがここで島が決めに来る。
20=64歩。手合い違いをみせつける歩。
22=62飛。ご存じ右四間矢倉。これで後手の島が駒アタリ奇数番1を獲得。こんなことを許すようでは米長に竜王挑戦の資格さえ疑う。
23=36歩。悪手。これは駒アタリ偶数番2。これで米長劣勢。あの終盤力では米長負けと言って良い。ここは角移動が先決。
29=35歩。大悪手。せっかく駒アタリ奇数番1を残したのにここで行使してしまっては意味ない。負けが確定。
30=65歩打ち。これで島に駒アタリ奇数番1を簡単に奪取される。
34=同歩同飛がまたも駒アタリ奇数番1。しかも2歩後手に持たれてはすでに処置なし。
以下は島のなぶり殺し。米長に引退を勧告するような幕切れ。


第1-4局までの総評=一言で済む。はっきり手合い違い。
ところが世間は逆に誰もが米長が島に勝つと思っていた。なぜであろうか?
世間は将棋を知らないからである。ネームバリューだけで米長とその周囲は金が稼げると思って遊びほうけていたということである。このようにひどい将棋ではあるが負けた側にも大金を支払う奇特な新聞社が今でも日本には存続している。
この対局を最後に竜王戦では新旧対決はない。島のおかげで先輩に遠慮する必要はなくなった。島がこのようなクズ将棋に鉄槌を振るったおかげで羽生も谷川も森下も康光も竜王戦に次々に登場する。そして最後には将棋界の金字塔「藤井システム」の開花をみる。今年は中原森内の竜王戦挑戦者決定戦三番勝負である。第2局までを見る限り中原の至芸は旧島研の最終兵器森内を完全に翻弄している。興味深い。中原は名人を羽生に禅譲する時に米長を通した。これが連盟将棋の引き継ぎ方であった。しかし中原は今回は遠慮などしていない。逆の現象が起きている。若い世代に遠慮しない旧世代という構図であろうか?そのようなステレオタイプでは括れない。これは大名人だけが行なえる一大清算劇なのである。