マシューとミツたんの幻想対談 第2回

単体と連続性

2003.09.02



マシュー「眼鏡人間が多いね」
ミツたん「マワリが皆さん眼鏡ばっかりですからむしろしてないヒトが異常ではないかと」
マシュー「丸山は異常か」
ミツたん「あのヒトは眼鏡に関係なく異常です。絶対おかしいです。もーこれは断言させてください」
マシュー「虫歯はあるかね」
ミツたん「いやーこれが目が悪いより始末が悪くて」
マシュー「入れ歯してないジジイは異常かもしれん」
ミツたん「健康優良児ってなんか早死にしそうな感じがしますよね」
マシュー「戦地に行って生き残った者は年取っても大抵自前の歯がそろっとる」
ミツたん「生命力がなんかちがうんでしょーか?」
マシュー「生まれつき違う。極限状態になるとその違いがようわかるね」
ミツたん「うーん、努力しても報われませんか。一生懸命歯磨きしても?」
マシュー「ある日歯磨きを忘れると翌日虫歯になっとる。努力も限界あるね」
ミツたん「歯磨きしなくても虫歯できない人って便利ですね」
マシュー「インプラントにすりゃえーの。歯なんていくらでも差し替えられる」
ミツたん「心臓は無理ですか」
マシュー「可能」
ミツたん「脳味噌は無理ですよね」
マシュー「んなことない。需要がないだけ」
ミツたん「自分が自分でなくなりますか」
マシュー「ある記憶を抹消したいと言う要求は叶えられるがね」
ミツたん「いやーソレできたら最高ですよ」
マシュー「何を消したいの?」
ミツたん「たくさんあって」
マシュー「死ぬ前にこの世から抹消したいモノはあるかね」
ミツたん「んー、その時になってみないとなんとも」
マシュー「どーしても残したいモノは?」
ミツたん「やっぱり棋譜ですかね」
マシュー「そりゃ嫌でも残る」
ミツたん「消したい棋譜もあるんですが」
マシュー「公開しては無理じゃね」
ミツたん「つらいところです」
マシュー「だから棋士は自選集をまとめたりする」
ミツたん「いいところばっか集めるのっていいですね」
マシュー「全部残さんといかんね。流れが中断する。悪手もむしろ好手の素材になっとる」
ミツたん「あ、悪手と言えばあの論文たまげましたヨー」
マシュー「全部理解できたかね」
ミツたん「何回も読みましたけど唸るばかりです」
マシュー「子供にもわかるように加藤一二三調なんじゃね」
ミツたん「あ、それはなんとなく(笑う)」
マシュー「アレが羽生の指し手のごちゃごちゃしている意味。一個の細胞にいろいろくっついている癌細胞」
ミツたん「あの25桂なんかワザとやってんですかねー」
マシュー「カミさんと前日喧嘩でもしたのかもしれん」
ミツたん「逆行連動手、換算手、逆行双頭手、もー最高ですよ。こんなことプログラマーに知られたらすぐにプロは負けちゃいますね」
マシュー「大丈夫。すでに公表したから盗んだら知的財産権侵害となる。基本の思考ルーチンを盗んだらすぐにわかるね。奇数番にナンバー振り当ててるの子供にもわかるから。勝手に盗んだら裁判所でプログラム公開を迫られるだけ」
ミツたん「いやー、革命的な発想ですよ。誰も駒アタリが奇数か偶数かなんてプロでも考えていません」
マシュー「経験的に結果の指し手が同じということ。プログラムにすると最重要の思考ルーチンそのものに明確に知的財産権が発生する」
ミツたん「確かに駒アタリを奇数番にすれば有利となるなんて誰も考えなかったことです。それに奇数番逆行連動手なんて」
マシュー「しかし人間がこのように思考して将棋を指すこと自体には知的財産権侵害とはならん」
ミツたん「安心しました。でもどうしてですかね。人間が同じ考え方で指してもいいのに機械が行なうと知的財産権侵害となるのは?」
マシュー「人間の心の中は覗けんからね。機械のプログラムは丸見えだから裁判が成立する。特に駒アタリを奇数番にすれば有利となるというのは思考ルーチンの根本。我々が最初に公表したんでこれを真似したら間違いなく泥棒」
ミツたん「プログラムも黙って使っちゃえば?」
マシュー「思考ルーチンの中枢を盗んでそれをプログラムに組み込むとどんなに改変しても証拠が永遠に残る。なんせ基本は奇数と偶数の駒アタリにその種類を振り当てるだけのことなんじゃね。そして奇数番の駒アタリを有利と判断させるだけのこと。盗んだらすぐにバレる。あとでバレたら損害がふえるだけ。勝手に盗んで裁判になればもうけた分から全部引かれて会社が倒産するかもしれんね」
ミツたん「人間でよかった」
マシュー「棋士は何盗んでも許される。しかしそのかわりに全世界的に棋譜には著作権が保護されとらんね。それやるとチェス愛好家が怒り出す。日本は閉じとるからワシの話なんぞ聞かんフリしとるだけ」
ミツたん「解説の用語はどうですかね?」
マシュー「用語自体に著作権はない。言葉は社会の共有物」
ミツたん「でもひとつひとつの用語を作るのってそれなりの努力の結果ですよね」
マシュー「連続性の中で使用される翻訳となればね。しかし用語そのものは単体として社会の共有物。棋譜も連続性の中で著作権を主張することはできる」
ミツたん「なるほど。確かに手筋は共有物ですが、それをいろいろ組み合わせて組み立てるわけですものね」
マシュー「世の中泥棒だらけじゃよ」
ミツたん「私はむしろ自分の将棋を盗んでもらってほしいんですが、誰も真似してくれないんでよねー」
マシュー「難しすぎて真似できんのとちゃう?」
ミツたん「羽生さんが指した手は真似するのになんで私のは無視されるのかと」
マシュー「羽生の指し手は見た目が簡単なんじゃね」
ミツたん「私のは見た目が難しそうで中身がないと?」
マシュー「見た目が難しけりゃ中身もわからん」
ミツたん「いやー実は私もなんでこんな手を指すのか本当はわかっていないのかもしれませんけど(笑う)」
マシュー「王将戦第1局?」
ミツたん「アレ悪手ですか?」
マシュー「森下はなんて?」
ミツたん「他に替る手がないと」
マシュー「で?」
ミツたん「他に替る手ありました?」
マシュー「ワシに聞いてどーすんの」
ミツたん「ほんと頭きますよねー」
マシュー「ありゃね谷川も阿部も解釈間違えた57地点なんで連盟棋士でわかる者はおらんね」
ミツたん「やっぱしー」
マシュー「だから換算せんと」