駒アタリ奇数番の法則実戦講座

「二枚腰」の正体

2003.08.31マシュダ一家


「二枚腰」の正体 サンプル=本日のNHK杯戦。 No: 2249 [返信][削除]

ハ投稿者:マシュダ一家 ハ03/08/31 Sun 17:10:25

サンプル

棋戦:2003.08.31NHK杯戦
戦型:矢倉急戦雀刺し
先手:南 芳一 九段
後手:真田 圭一 六段

▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀
▲5六歩 ▽9四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲6八銀 ▽6二銀
▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽5二金 ▲5八金 ▽3三銀
▲7七銀 ▽3一角 ▲7九角 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽9五歩
▲6七金右 ▽9三香 ▲3七銀 ▽9二飛 ▲4六銀 ▽7三桂
▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽9六歩 ▲同 歩 ▽9七歩
▲同 角 ▽同角成 ▲同 香 ▽8五桂 ▲8六銀 ▽9七桂成
▲同 銀 ▽4四銀 ▲同 銀 ▽同 歩 ▲6一角 ▽9六香
▲同 銀 ▽同 飛 ▲9七香 ▽5一金 ▲3四角成 ▽6四角
▲5二歩 ▽同 金 ▲5八飛 ▽5五香 ▲同 飛 ▽同 角
▲9六香 ▽3九飛 ▲5九歩 ▽1九角成 ▲5八香 ▽5三歩
▲3五桂 ▽3三香 ▲5二馬 ▽同 玉 ▲4三金 ▽同 金
▲2二飛 ▽4二金打 ▲4一銀 ▽6一玉 ▲4三桂成 ▽4一金
▲5三成桂 ▽3二銀 ▲5二金 ▽7二玉 ▲6二金 ▽7三玉
▲6三成桂 ▽8四玉 ▲9五銀 ▽8五玉 ▲8六銀 ▽9六玉
▲3二飛成

迫力ある。塚田の解説も内容が素晴らしい。言葉は違うが我々の読みと一致している。 南も塚田も復活の兆し。しかし南も塚田もそして真田も読みは同じでも我々の方がはるかに素早く最善手を導いている。その理由をここに記す。
43手め=真田の急戦雀刺しに対して南が5筋を制覇した局面。対森下システムの最強雀刺しには5筋突破がセオリー。ところが8手めを見て欲しい。戦略家真田は▽9六歩である。これに切れた南は次に9手め26歩と飛車先の歩を突いてしまう。これが波乱万丈の原因と結果である。真田はこの9手め26歩に大満足している。作戦成功である。これで先手は森下システム雀刺し破りができないはずとの読み。即ち後手から仕掛けることが可能となった。先手の26歩の一手分を緩手とすることで急戦を仕掛ける戦略である。
そこで43手めとなる。駒アタリ奇数番の法則に従い真田は44銀。ここはこれしかない。歩切れの為駒が当たる所がここしかないからである。
南は同銀と取る。これも考える必要はない。相手の駒アタリ奇数番を消すということである。47手めは南が61角と敵陣に打ち込みこれで先手が駒アタリ奇数番をゲット。ここで真田は長考している。バカの証拠である。この長考で負けにしたと言っても過言ではない。我々は3秒で解答がでた。ここで51金は角をどっちに成っても駒アタリ奇数番を先手に維持される。72銀の角殺しは52角成でオシマイ。すると96香しかないのである。これで1歩入手し52角成-同玉-58飛には入手したばかりの歩で受かる。だから南も素直に9筋を清算するしかない。このような所は換算とは言わない。ただの清算である。コンビニで買い物するより簡単な計算である。南は97香を打つだけのことに考えているがこれもバカな証拠である。ここはテンポ維持が当然。手番を確実に握るということである。すでに先手は銀桂歩と手駒は十分なので相手に息をつかせてはいけない。だからすぐに香車でよい。考える必要などない。すぐに目に付くのは64角の飛車香取りだが終盤の角打は攻めの双頭手などちーとも怖くない攻防の双頭手だけが要注意なのである。だから64角など考える必要ない。
52手めじっと51金。真田は64角を打たない。ここで時間を使うのもバカの証拠であるが立派である。少し読むとこうなる。

▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀
▲5六歩 ▽9四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲6八銀 ▽6二銀
▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽5二金 ▲5八金 ▽3三銀
▲7七銀 ▽3一角 ▲7九角 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽9五歩
▲6七金右 ▽9三香 ▲3七銀 ▽9二飛 ▲4六銀 ▽7三桂
▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽9六歩 ▲同 歩 ▽9七歩
▲同 角 ▽同角成 ▲同 香 ▽8五桂 ▲8六銀 ▽9七桂成
▲同 銀 ▽4四銀 ▲同 銀 ▽同 歩 ▲6一角 ▽9六香
▲同 銀 ▽同 飛 ▲9七香 ▽6四角 ▲5二角成 ▽同 玉
▲5八飛 ▽5五香 ▲同 飛 ▽同 角 ▲9六香 ▽3九飛
▲5九歩 ▽5八歩 ▲6八玉 ▽5九飛成 ▲7七玉 ▽9九角
▲8八銀 ▽8九龍 ▲9九銀 ▽同 龍 ▲5四飛 ▽5三銀打
▲5五飛

南が上に逃げれば必死がかかり真田の勝ちだが手堅く銀を打たれると先手必勝形である。南なら一目であろう。真田がここで王位戦第1局の谷川のように ▽5八歩と打てないのはその後の進行を見てもわかる通り彼の実力であるが、ここではそんなことはどうでもよい。実力に従ってじっと金を下がった謙虚さが立派なのである。
本譜に戻る。
真田の52手め51金の指し手は上記の変化などいちいち読む必要はない。 ここは三手だけ読めばよい。これは角取りである。もしここで南が96香と飛車を取ると飛車角交換なのである。子供でもわかる。ところがこの清算後次に南は駒アタリ奇数番を作ることがむずかしい。飛車銀桂では真田に1歩渡した為に切れ筋である。だから南は角を逃げるしかない。これが一目でわかるのが駒アタリ奇数番の法則の利点である。塚田も34角成しかないとわかっている。ここで「駒アタリ奇数番の法則により」とひとこと説明すれば子供にでもわかることである。真田が上記変化などいちいち読む必要はないのである。こんな変化を書くから子供が混乱する。
南が34角成とした54手めの局面。駒アタリは9筋の飛車取りと44馬と歩を取る手のふたつ。しかし44馬と歩を取る手はすでに駒台に歩が4枚あるので無意味であると南は無意識で考えた。素直な大人ではない。だからこの局面で駒アタリ1と数えたのである。54手めに真田は64角と打つ。これが先ほどの攻めの双頭手である64角と違い攻防のトリプル手となっている。まあ対局者にはわからないであろうが。真田もこれがトリプル手と知らないで打っているのである。だから次に南に52歩と打たれて負けを覚悟したと感想戦で口をすべらせた。これが南の勘定した駒アタリ奇数番の法則、即ち駒アタリ3なので必勝という読みである。目先の損得だけ数えると44地点がかくも無視され味わいも失せることになる。つまりこの将棋は熱気球のように膨らみしぼむだけとなる。
感想戦を聞くと真田は終盤の▽5八歩を忘れている。しかも▽9九銀のシバリも忘れている。しかしそれで勝ちではない。以下のように進行して南の勝ちである

▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀
▲5六歩 ▽9四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲6八銀 ▽6二銀
▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽5二金 ▲5八金 ▽3三銀
▲7七銀 ▽3一角 ▲7九角 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽9五歩
▲6七金右 ▽9三香 ▲3七銀 ▽9二飛 ▲4六銀 ▽7三桂
▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽9六歩 ▲同 歩 ▽9七歩
▲同 角 ▽同角成 ▲同 香 ▽8五桂 ▲8六銀 ▽9七桂成
▲同 銀 ▽4四銀 ▲同 銀 ▽同 歩 ▲6一角 ▽9六香
▲同 銀 ▽同 飛 ▲9七香 ▽5一金 ▲3四角成 ▽6四角
▲5二歩 ▽同 金 ▲5八飛 ▽5五香 ▲同 飛 ▽同 角
▲9六香 ▽3九飛 ▲5九歩 ▽5八歩 ▲7九玉 ▽9九銀
▲6八玉 ▽5九飛成 ▲7七玉 ▽8九龍 ▲8一飛 ▽5一金
▲5二銀 ▽3一玉 ▲3五桂 ▽8五桂 ▲8六玉 ▽7八龍
▲8三飛成 ▽5二金 ▲同 馬 ▽7三金 ▲同 龍 ▽同 銀
▲4二金 ▽同 金 ▲同 馬 ▽同 玉 ▲4三金 ▽投了

89手で先手の勝ち


そこで興味深いのは塚田が述べた手。即ち52銀打。実に明解である。南もこれを考えていたが決行できなかった。これは単純にこうなる。

▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀
▲5六歩 ▽9四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲6八銀 ▽6二銀
▲7八金 ▽4一玉 ▲6九玉 ▽5二金 ▲5八金 ▽3三銀
▲7七銀 ▽3一角 ▲7九角 ▽7四歩 ▲3六歩 ▽9五歩
▲6七金右 ▽9三香 ▲3七銀 ▽9二飛 ▲4六銀 ▽7三桂
▲5五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽9六歩 ▲同 歩 ▽9七歩
▲同 角 ▽同角成 ▲同 香 ▽8五桂 ▲8六銀 ▽9七桂成
▲同 銀 ▽4四銀 ▲同 銀 ▽同 歩 ▲6一角 ▽9六香
▲同 銀 ▽同 飛 ▲9七香 ▽5一金 ▲5二銀 ▽同 金
▲9六香

この55手めの局面は実にわかりやすい。 子供でもわかる。南は考えすぎである。これは誰が見ても一目で駒アタリ奇数番の法則1とわかるからである。これで先手優勢なので後は考えなくともよい。なぜ考える必要はないか?南が心配したのは手番を相手に渡すことだけである。しかし手番を握った後手はいかなる駒アタリの手を指そうとも駒アタリ偶数番を握らされる。51香打などと攻防手を指しても手番を渡してしまう。飛車打がメチャクチャに厳しいので駒をペタペタ自陣に打つしかないのでは負けである。しかし万が一という読み抜けがあるかもしれない。だから南はじっと馬を作り真田に首を差し出した。南も真田と同じように己の実力に謙虚であったということである。これがいわゆる将棋界で二枚腰と言われるものの正体となる。塚田がこの52銀を解説したということは最強塚田復活の兆しであるかもしれない。それにしても真田。コレでは竜王戦で谷川に4タコ喰らって当たり前であろう。アレからちっーとも進歩していない。なんであんな手筋を見逃すのであろう?序盤は懲りすぎである。だからこんな優秀な序盤はすぐに盗まれてしまう。盗まれて負けるという輪廻が延々と続くのであろうか?真田は優秀な大戦略家である。当家に欲しい。


Re: 王位戦第4局の先崎解説検証 Prev: 2247 / No: 2248 [返信][削除]

ハ投稿者:横ヤリ ハ03/08/30 Sat 21:45:43

> 本日の囲碁将棋ジャーナルの先崎解説はジャーナル始まって以来過去最悪であろう。22手めの56歩で後手優勢と言えないどころか、そんな指し手も存在しないかのごとく22手めは32金と「こう指すモノ」と一言でオシマイである。
> こうなると青野や森下がいかに棋界の良心であるかがわかる。しかも康光が指す36歩などないと言わんばかりである。それでも実際指された手には「無きにしもあらず」と言うのが先崎の昔からの癖。タイトル戦では「無きにしもあらず」という手のオンパレードであることを知らないのであろうか?
> 谷川39金で先手優勢と言わなかった点は素晴らしい。先崎のいいところである。先崎は中盤に異様な力を発揮する。これで米長が森内や康光がこの谷川39金で先手優勢などと言っていたと当日書いていたことは嘘っぱちであることはわかるであろう。先崎にまでバカにされたのでは師匠も悲しい。そのうち米長は森内や康光が嘘っぱちと言いふらすかもしれない。米長に真面目に返答する棋士はいないのである。
> 先崎は我々の実況をよく読んでいるが読み方を知らない。我々の当日の実況における唯一のミスを指摘したつもりであろうか?。詰めよ金取りの角打が86手めにある為に谷川の32飛打は必然である。それに気がつかれたらまた逆転されるかもしれないのでわざわざ55角打変化を書いているのである。32龍と逃げると66角打でなんとあの39金に当たっている。子供でもわかる明解なハメ手である。ハマるとハッキリ先手負けである。中継が中断していたのでもしや谷川がハマったのかと心配してしまったが、谷川はやはりこんな幻術には騙されないのであった。羽生がこんな露骨な手を用意していたことに谷川も嫌気がさしていたのであろう。幻の66角はあの39金をタコと大声で言っている手なのである。それをさも大発見であるかのように滔々と述べる先崎も相当なアンチマシュダ一家であろう。先崎。読み方を勉強してこい。我々は谷川が正着を指した直後ハッキリ羽生の幻術と言っている。
> 羽生の94歩が緩手という先崎の指摘は傲慢。それに換る73桂は谷川に桂馬を二枚持たれて逆転される。この変化は無数にある。中盤のねじりあいに自信がある先崎らしいが羽生の手順がもっとも手堅い。
> これを名局と何度もおだてる先崎。らしくない。もう解説はいいからB級の主でも目指せ。

相変わらず手厳しい御指摘で。でも先崎八段へも愛情も感じます。彼は今までで一番真面目に解説したつもりなのではないですか?手数も長かったですし、マシュダ一家さんが触れなかった部分をよく噛み砕いて来られたような。
谷川王位の37手目▲4七金はやはりおかしかったようで▲5五角で、はっきり先手がいいと先崎さんも言っていましたヨ。まあマシュダ一家さんも実況で▲5五角とされているわけですがその後の変化の様子からいろいろ組み合わせていますね。珍しくマシュダ一家さんが「中盤に異様な力を発揮」などと褒めるだけのことはありかと。でもやっぱりいろいろおかしい手がたくさんあったようですね。「狂った音程」楽しませていただきました。