マシューとミツたんの幻想対談 第1回

体力と精力

2003.08.30



マシュー「体調は?」
ミツたん「まーこんなものかと」
マシュー「アッチは?」
ミツたん「湿気がこの夏少ないせいかいいカンジですね」
マシュー「馬の毛は敏感じゃね」
ミツたん「なんで弦に馬の毛なんか使うんでしょうか」
マシュー「摩擦計数。しかも丈夫」
ミツたん「結構切れたりしますけど」
マシュー「そりゃーいつかは切れる。中原でも切れた」
ミツたん「(笑い)まー人間はいつか切れますけど」
マシュー「馬の毛は昔はオペによく使ったね」
ミツたん「切れません?」
マシュー「切れんね。しかも体にフィットするから最高の糸」
ミツたん「今は使う人いませんか?」
マシュー「入手困難。特殊なドクターしか使っとらんね」
ミツたん「外科医にも古学奏者がいるんですか(笑い)」
マシュー「腕の良い外科医は昔の手法で十分。現代医学を越えとんの」
ミツたん「いやー、それ実感あります。現代医学ってなんか信用できないよーな」
マシュー「結局技術が廃れたんでバカ医者を救うために現代医学の予算が取られてきたのが実情」
ミツたん「やっぱ技術ですか」
マシュー「外科医は指先の世界。メスと糸だけで十分。すべてのオペに言えるね」
ミツたん「機械なんていらないと」
マシュー「外科医はね。だから内視鏡は内科医の分野。アレはポリープとんのに便利じゃね。おかげで外科医はその分仕事減った」
ミツたん「昔は全部お腹切ったんですかね?」
マシュー「内視鏡みたいなモンは昔っからある。でかいけど」
ミツたん「え?どんなカンジですか?」
マシュー「結石取んのにチンポコに鉄の棒を突っ込む」
ミツたん「ひゃー痛そう!」
マシュー「その鉄の棒の先が開いて結石をパックンちょしてそれをグイと引っ張る」
ミツたん「うひゃー、もっと痛そー!」
マシュー「痛いなんてもんじゃない。失神して泡吹く」
ミツたん「麻酔しないんですか?」
マシュー「麻酔薬は検閲があってね。使用数がチェックされる」
ミツたん「まさかガメていたとか?」
マシュー「自分の分をとっとかんとね」
ミツたん「いやー、皆さん怖いですねー」
マシュー「そもそも痛くなけりゃ病気の実感が沸かん」
ミツたん「んー、まあ治ればいいですか」
マシュー「バカ医者ほど痛みを除去したがる」
ミツたん「鎮痛剤は欲しいですけど」
マシュー「痛みを甘受できんと病気は治らんね」
ミツたん「癌はやっぱり治りませんか」
マシュー「オペ次第。悪性腫瘍は全部取ろうとすると患者はすぐ死ぬ」
ミツたん「わざと残すんですか?」
マシュー「すこーしだけね。全部取ると癌の子分が怒りだして必ず転移先で狂い出す」
ミツたん「それですこーしだけ残すと」
マシュー「全部あるようにみせかけて残すのがコツ。すると癌細胞は騙されてクランケと共存するようになる」
ミツたん「それで長生きできるんですか?」
マシュー「人間は誰もが生まれつき癌細胞持っとるの。仲よくせんとね」
ミツたん「よく胃の全摘とか聞きますけど」
マシュー「胃は腸の延長と考える。食ったもん消化すりゃえーんじゃね。それでもちょっぴり残す」
ミツたん「それは患者さんに伝えます?」
マシュー「アホな患者には言わん」
ミツたん「インフォームドコンセントとよく言いますけど」
マシュー「バカ医者を信用せんからね。三世代目は金で医者になったガキばっかで指先の技術がない。生命の神秘を知らんのよ」
ミツたん「それでMRとかCTとかで?」
マシュー「そんなもんで体の中見てもなんにもならんの。脳外科ぐらいじゃね。ちょっぴり役立つのは」
ミツたん「ちょっぴりですか(笑い)」
マシュー「開けてみんとわからんね。CTで見ても無意味。どーせ開腹せにゃならんから一発勝負」
ミツたん「時間との戦いですか?」
マシュー「それに尽きる」
ミツたん「最高でどのくらい?」
マシュー「8時間が限度。朝から立ちっぱなしで夕方にケリがつく」
ミツたん「うーん、棋士の方がはるかに楽です(笑い)」
マシュー「5分で終わるときもある。盲腸なんかあっと言う間」
ミツたん「いやーアレ30分以上やって傷跡がミミズみたいになってる人知ってますけど」
マシュー「ひどい医者にかかったね。素早くやらんと傷口は醜くなる」
ミツたん「うーん将棋も秒読み勝負が多いんですが」
マシュー「なんで羽生とやる時わざわざ終盤で1分将棋やんの?」
ミツたん「アレどーしてなんでしょーか。どーしても考えてしまうんですよねー」
マシュー「だから傷口は醜くなる。最後は死体でも縫合せにゃならん」
ミツたん「さすがに投了直前はもう考えませんが」
マシュー「ワシは三手も読まんね」
ミツたん「三手も読めれば相当なものかと」
マシュー「ウチのバカ息子は一手しか読まん」
ミツたん「んー、でも最善手は一手しかないわけで」
マシュー「よく何手先まで読むのか人に聞かれるじゃろ?」
ミツたん「ソレ聞かれるのが一番頭にきますね」
マシュー「で一億手読むの?」
ミツたん「いやー傷口腐っちゃいますかね?」
マシュー「脳細胞の働きからすると一億手は少ないね」
ミツたん「そうなんですか?」
マシュー「読みを省くというのは実は大変な量の計算を一挙に行なっとる」
ミツたん「省くのがですかぁ?」
マシュー「膨大な記憶から瞬時に演算して省くという指令を出しとる」
ミツたん「なるほど」
マシュー「羽生が強い理由は?」
ミツたん「それがわかれば苦労はしないんですが」
マシュー「ありゃね、視覚野に膨大な蓄積データもっとるの。それを一瞬に演算しとるからいちいち読まない。こんな局面にしたいナと思えば、それに合わせていろんな図面が次から次へとでてくる」
ミツたん「羽生さんの脳を開けてみたんですか?」
マシュー「棋士の脳は棋譜みりゃわかる」
ミツたん「棋譜がCTスキャンですか」
マシュー「羽生は自分が指した将棋は全部暗記していると豪語しておったじゃろ」
ミツたん「最近は一年前の棋譜も忘れていると本人が言っています」
マシュー「忘れたフリしとんの。あるキッカケで全部瞬時に思い出す」
ミツたん「キッカケはー」
マシュー「フジテレビ」
ミツたん「あ、すいません。つい乗ってしまって」
マシュー「いい運動になった」
ミツたん「体力維持の秘訣は?」
マシュー「オマンコにかぎる」
ミツたん「精力旺盛のご様子ですねー」
マシュー「体力と精力はどう違う?」
ミツたん「んー、将棋はよく体力勝負といいますけど」
マシュー「精力勝負となぜいわんのかね」
ミツたん「精力で勝負されたらかなわないかと」
マシュー「中原には勝てん。丸山は体力かね?」
ミツたん「あれにはまいりましたヨー。エアコンの設定温度が16度ですよ。人間じゃありません」
マシュー「丸山のおかげで東京電力がスポンサーおりたわけじゃない」
ミツたん「いやー、スポンサーも何も対局者にしてみれば冷凍人間にされちゃいます」
マシュー「体力勝負と思えば勝てる。棋聖戦は3タコじゃったろ」
ミツたん「運がいいというか」
マシュー「運かね?」
ミツたん「最近あのヨダさんまで運がよかったなんて言い出すんですから」
マシュー「運気じゃね。精力の源」
ミツたん「医学的になんか根拠あります?」
マシュー「あるね。細胞を活性化するパワーが運気と呼ばれるもの」
ミツたん「どうやったら呼び込めますかね。薬とか?」
マシュー「薬で活性化するのがヤヴ医者。名医は患者を励ます」
ミツたん「強く生きろと?」
マシュー「逆。痛いのは生きている証しと励ます」
ミツたん「うーん」
マシュー「棋士は負けた時のアフターケアが肝心」
ミツたん「羽生さんは負けた将棋はすぐに忘れるそうですけど」
マシュー「そんなこと言ってるうちが華」
ミツたん「負けが込むと確かに持続力が消えますね」
マシュー「王将戦の4タコ?」
ミツたん「いやー、どーして負けちゃったんでしょーか?」
マシュー「ワシに聞いてどーすんの」
ミツたん「敗因がよくわからないんです」
マシュー「悪手を指したからじゃね」
ミツたん「んー。アレが悪手なら相手はもっと悪手かと」
マシュー「ソレソレ。悪手に最善手のつもりで応じるから負けちゃう」
ミツたん「羽生さんも悪手を?」
マシュー「癌細胞だらけじゃね」
ミツたん「(爆笑)」
マシュー「一手分が一個の細胞とすると羽生の一手は1.5個分の質量がある。まさしく癌細胞と同じ」
ミツたん「一手が1個にしかみえないんですが」
マシュー「よけいなモノがウジャウジャくっついとるからね。それを浄化しようとしても無理。最初から癌細胞だと思えばオペレーションは楽」
ミツたん「そこを全部読んじゃうんですよね」
マシュー「ごちゃごちゃして頭に来るじゃろ」
ミツたん「えー、なんでこんな手を指すのかと」
マシュー「単細胞みたいな手を指されてカッとくる?」
ミツたん「んー、これでこっちが良くならなければ嘘だと思うんですが、いつの間にかこっちが悪くなってるんです。もーカッとすると言うかナンデーと言うか。そーですか、アレは癌細胞でしたか」
マシュー「それを全部除去した時に局面はすでに収拾がつかんのよ」
ミツたん「それで癌細胞はそのまま残せと」
マシュー「全部残しちゃいかんね。輪郭だけ残して中身だけクリぬく」
ミツたん「それで癌細胞と共存できちゃうんですかぁ?」
マシュー「首の皮一枚残してクリぬくんじゃね」
ミツたん「確かに首の皮一枚で勝負しないと絶対に勝てませんね」
マシュー「クリちゃんは好き?」
ミツたん「もう秋ですかー。栗拾いはどこがいーでしょーか?」
マシュー「埼玉でえーんちゃう」
ミツたん「森内さんも埼玉が穴場と」
マシュー「矢内もよくジャーナルで森内がいつ結婚したかなんて聞くね」
ミツたん「失礼ですよね。仮にも前名人にむかって」
マシュー「で、いつ結婚すんの?」
ミツたん「はぁー最近そればっかり聞かれて頭にきてたんですが」
マシュー「心配せんでえーよ。最高の嫁さんはこれから必ず現れる」
ミツたん「断言できます?」
マシュー「断言する。今まで逢ったこともないよーな最高の花嫁が突然現れる」
ミツたん「んー、それも運次第とか?」
マシュー「いーや。運じゃなくて宿命」
ミツたん「亭主関白でも大丈夫でしょーか?」
マシュー「死ぬまで一緒に居てくれる」
ミツたん「そっか。だったらあせることなんかないですねー」
マシュー「大丈夫。若くて最高の美人が必ず来るから待ってりゃえーの。中倉彰子よりグラマー」
ミツたん「いやー期待してます」
マシュー「あと1年ちょっと待てる?」
ミツたん「エーそれぐらい。生涯の伴侶ですから」
マシュー「今年もえー将棋ばっかじゃね」
ミツたん「んー、反省することしきりなんですが」
マシュー「将棋とも生涯付き合わんと」
ミツたん「そればっかりはこの先どうなるか」
マシュー「大丈夫。息の長い将棋になっとるよ。百年後も輝いとる」
ミツたん「それまで生きてはいませんが(笑い)」
マシュー「ひ孫は生きておるじゃろ」
ミツたん「んー、ひ孫ですかぁー」