森内攻略法 竜王戦挑戦者決定戦三番勝負へ向けて
2003.08.29 マシュダ一家
そう。驚くかもしれないが森内はここでも迷わず逃げるのである。この程度の切りあいではまだ寄せに来ない。しかしここで先手も同様に飛車を逃げてはすでに先手に勝ちはない。
▲2九飛 ▽3八金 ▲5二銀 ▽7二玉
▲7九飛 ▽6五桂 ▲6八金 ▽3七歩成 ▲7四歩 ▽5七銀
▲同 金 ▽同桂成 ▲同 角 ▽4八と ▲同 角 ▽同 金
▲同 玉 ▽7四飛
上記変化では森内の切り札▽7四飛で簡単にお陀仏となる。そこで先手の唯一の勝ち筋はこの切り札▽7四飛を逆用する以外にない。森内の頭には「▽7四飛▽7四飛▽7四飛」と念仏の如く最初から唱えられているからである。▽7四飛を実現させてはいずれの変化でも先手は負ける。以下74地点を逆用した玉の遁走夢幻劇。
74地点を逆用した玉の遁走夢幻劇
棋戦:竜王戦16期本戦準決勝
戦型:横歩取り85飛 73角型
先手:谷川浩司王位+勝手にしやがれ
後手:森内俊之九段+「▽7四飛▽7四飛▽7四飛」の念仏
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽8四歩
▲2五歩 ▽8五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽2二銀
▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽4一玉 ▲5八玉 ▽6二銀
▲3六歩 ▽5一金 ▲3八銀 ▽7四歩 ▲3五歩 ▽8八角成
▲同 銀 ▽7三角 ▲6六角 ▽2四歩 ▲4六歩 ▽3五飛
▲2四飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6五歩
▲7七角 ▽3四飛 ▲7九銀 ▽3三桂 ▲6八銀 ▽9四歩
▲3六歩 ▽6四角 ▲3七桂 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽7六歩
▲8八角 ▽7五角 ▲4八金 ▽7三桂 ▲7七歩 ▽同歩成
▲同 銀 ▽9三角 ▲7五歩 ▽6六歩 ▲同 銀 ▽2四歩
▲5五銀 ▽8四飛 ▲3五歩 ▽7七歩 ▲同 角 ▽5四歩
▲6六銀 ▽6五歩 ▲3四歩 ▽2五桂 ▲3六飛 ▽3七桂成
▲同 飛 ▽6六歩 ▲同 角 ▽5五桂 ▲4五桂 ▽4二金上
▲5六歩 ▽4四歩 ▲3三歩成 ▽同 銀 ▲同桂不成 ▽同金直
▲3四歩 ▽4七桂成 ▲同 金 ▽4三金寄 ▲3五桂 ▽3四金
▲4三銀 ▽3六歩 ▲2七飛 ▽3八銀 ▲4二銀成 ▽同 玉
▲4三金 ▽5一玉 ▲2八飛 ▽4七銀成 ▲同 玉 ▽3七金
▲5八玉 ▽6一玉 ▲2九飛 ▽3八金 ▲5二銀 ▽7二玉
▲7九飛 ▽6五桂 ▲6八金 ▽3七歩成 ▲7四歩 ▽5七銀
▲6九玉 ▽6八銀成 ▲同 玉 ▽5七銀 ▲7八玉 ▽6八金
▲8八玉 ▽7九金 ▲7三銀 ▽8一玉 ▲9六歩 ▽7八飛
▲9七玉 ▽8五桂 ▲8六玉 ▽7七桂右成▲7五玉 ▽8七飛成
▲6四玉 ▽6六銀成 ▲6二銀成 ▽7五角打 ▲6三玉 ▽8三龍
▲7三歩成 ▽8四龍 ▲7二成銀 ▽9二玉 ▲6一銀成 ▽8八飛成
▲8三歩 ▽6四龍 ▲5二玉 ▽8三龍 ▲同 と ▽同 玉
▲6六歩 ▽8四玉 ▲9七桂 ▽投了
159手で先手の勝ち
上記手順にはわざと森内側に緩手と悪手が挿入してある。少なくとも緩手さえ引き出せばイケイケ路線でもなんとかなる。ここまで煽らないと森内に勝てないのかと思ってはいけない。最後の数十手分は名人戦をみてもわかる通りすでに森内は錯乱状態のはずである。ベルカントオペラの狂乱の場なのである。すでに谷川のように55桂を取らずに寄せに入った場合、今の開き直った森内相手ではこの位開き直った覚悟をしないと容易に勝てない。森内が用意した罠は76地点への桂打と74地点への飛車のサクリファイスだけである。そこで9筋がいかに重要かわかるであろう。昨日の王位戦第4局の羽生の思考法とソックリである。渡辺明ならクリソツですと言うであろう。羽生は昨日森内のように指したから勝てたのであった。最終盤で96歩と突かないと先手は勝てないのではすでに谷川は負けていたはずと言うのはたやすい。しかし駒損覚悟で一度仕掛けたら飛車をかわいがってはまず勝てない。中原が康光に勝てたのは飛車を見捨てたからであった。あとは詰むまで決して諦めないという気迫しかない。相手に冷静に指されると例の切り札▽7四飛の念仏が霧散し単に▽8七飛成とされて以下のように負ける。
棋戦:竜王戦16期本戦準決勝
戦型:横歩取り85飛 73角型
先手:谷川浩司王位
後手:森内俊之九段
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽8四歩
▲2五歩 ▽8五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽2二銀
▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽4一玉 ▲5八玉 ▽6二銀
▲3六歩 ▽5一金 ▲3八銀 ▽7四歩 ▲3五歩 ▽8八角成
▲同 銀 ▽7三角 ▲6六角 ▽2四歩 ▲4六歩 ▽3五飛
▲2四飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6五歩
▲7七角 ▽3四飛 ▲7九銀 ▽3三桂 ▲6八銀 ▽9四歩
▲3六歩 ▽6四角 ▲3七桂 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽7六歩
▲8八角 ▽7五角 ▲4八金 ▽7三桂 ▲7七歩 ▽同歩成
▲同 銀 ▽9三角 ▲7五歩 ▽6六歩 ▲同 銀 ▽2四歩
▲5五銀 ▽8四飛 ▲3五歩 ▽7七歩 ▲同 角 ▽5四歩
▲6六銀 ▽6五歩 ▲3四歩 ▽2五桂 ▲3六飛 ▽3七桂成
▲同 飛 ▽6六歩 ▲同 角 ▽5五桂 ▲4五桂 ▽4二金上
▲5六歩 ▽4四歩 ▲3三歩成 ▽同 銀 ▲同桂不成 ▽同金直
▲3四歩 ▽4七桂成 ▲同 金 ▽4三金寄 ▲3五桂 ▽3四金
▲4三銀 ▽3六歩 ▲2七飛 ▽3八銀 ▲4二銀成 ▽同 玉
▲4三金 ▽5一玉 ▲2八飛 ▽4七銀成 ▲同 玉 ▽3七金
▲5八玉 ▽6一玉 ▲2九飛 ▽3八金 ▲5二銀 ▽7二玉
▲7九飛 ▽6五桂 ▲6八金 ▽8七飛成 ▲8八歩 ▽5七銀
▲同 金 ▽同桂成 ▲同 玉 ▽6五桂 ▲6八玉 ▽5七銀
▲同 角 ▽8八龍 ▲7八銀 ▽5七桂成 ▲同 玉 ▽7五角
▲6六桂 ▽4八角 ▲6八玉 ▽5七金 ▲6九玉 ▽5九角成
▲同 玉 ▽4八金寄 ▲6九玉 ▽5八金寄 ▲投了
142手で後手の勝ち
▲6八金をしない場合は切り札▽7四飛の念仏復活
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲7八金 ▽8四歩
▲2五歩 ▽8五歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽2二銀
▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽4一玉 ▲5八玉 ▽6二銀
▲3六歩 ▽5一金 ▲3八銀 ▽7四歩 ▲3五歩 ▽8八角成
▲同 銀 ▽7三角 ▲6六角 ▽2四歩 ▲4六歩 ▽3五飛
▲2四飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6五歩
▲7七角 ▽3四飛 ▲7九銀 ▽3三桂 ▲6八銀 ▽9四歩
▲3六歩 ▽6四角 ▲3七桂 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽7六歩
▲8八角 ▽7五角 ▲4八金 ▽7三桂 ▲7七歩 ▽同歩成
▲同 銀 ▽9三角 ▲7五歩 ▽6六歩 ▲同 銀 ▽2四歩
▲5五銀 ▽8四飛 ▲3五歩 ▽7七歩 ▲同 角 ▽5四歩
▲6六銀 ▽6五歩 ▲3四歩 ▽2五桂 ▲3六飛 ▽3七桂成
▲同 飛 ▽6六歩 ▲同 角 ▽5五桂 ▲4五桂 ▽4二金上
▲5六歩 ▽4四歩 ▲3三歩成 ▽同 銀 ▲同桂不成 ▽同金直
▲3四歩 ▽4七桂成 ▲同 金 ▽4三金寄 ▲3五桂 ▽3四金
▲4三銀 ▽3六歩 ▲2七飛 ▽3八銀 ▲4二銀成 ▽同 玉
▲4三金 ▽5一玉 ▲2八飛 ▽4七銀成 ▲同 玉 ▽3七金
▲5八玉 ▽6一玉 ▲2九飛 ▽3八金 ▲5二銀 ▽7二玉
▲7九飛 ▽6五桂 ▲7四歩 ▽5七銀 ▲同 角 ▽同桂成
▲同 玉 ▽7四飛 ▲6六桂 ▽4八角 ▲6八玉 ▽5七銀
▲6九玉 ▽5九角成 ▲同 玉 ▽4八金 ▲6九玉 ▽5八金
▲投了
132手で後手の勝ち
このように冷たく指されたら客は帰る。狂乱の場でルチアが直立不動で歌うようなものである。中原ならば特大の扇子をバッコンバッコン鳴らしながら恫喝する必要はない。森内にはフザケルナなとハッキリ面前で言ってもらいたい。旧島研モドキの腰抜け将棋ばかりでは谷川がかわいそうである。それでも相手がわからないようなら最後の手段である。じっと91手めは55歩と桂馬を取ればよい。我々なら最初からそう指す。これで駒アタリ奇数番を( σ・∀・)σゲッツし楽勝である。これが最大の必勝法でありここから負ける棋士は連盟の会員ではない。しかし王者達は進む。勝敗は二の次である。渡辺明の健闘も祈る。