将棋世界という将棋を読む 7月号検証3 24-28P
第3回「名人戦第4局 千日手にしたのは誰か」
マシュダ一家 2003.06.05


024=マゾヒスト島はここで文学少女に変身する。「至高体験」「清教徒の倫理」「適度なパラノイア」と処女が背伸びして使いたがる言葉のパンチラである。オカマのかん高い声で朗読するとかなり笑えるであろう。島は見たまま聞いたままを絵日記にしているがそこに見いだす符牒が発展しない。修学旅行で便秘した少女である。彼女には同情するしかない。そのように読んで行くとページの最後に42金寄りと初めて指し手がでてくる。「名人の指したかった」オカマ囲いである。この囲いは便秘少女の住む村では「箱入り娘」と呼ばれている。「箱入り娘」という名称は副村長の米長を始め、青野も使用する村の公認名称であった。便秘少女にはそれが許し難い。その欲求不満のはけ口は島自らを「箱入り娘」としてしまった。これを島の心憎い演出と読んであげなければならない。
025=森内は42金寄りを着手後、紅茶にレモンを一枚落とす。島はこの枚数にこだわりがある。小皿には三枚のレモンがあると示唆する。ここで「いちまーい、にまーい、さんまーい」と例の呪文を思い出した諸君はマシュダ一家愛読者であろう。
もし42金寄りとしないですぐに後手が75歩と仕掛けると以下の展開が考えられる。
▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽1四歩
▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉 ▲7八銀 ▽3二玉
▲6七銀 ▽5二金右 ▲4八玉 ▽5四歩 ▲4六歩 ▽5三銀
▲5八金左 ▽7四歩 ▲3九玉 ▽6四銀 ▲2八玉 ▽8五歩
▲7七角 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽7六歩 ▲同 銀 ▽7二飛
▲6五歩 ▽7七角成 ▲同 飛 ▽5五銀 ▲8五銀 ▽7七飛成
▲同 桂 ▽7六歩 ▲同 銀 ▽7九飛 ▲8二飛 ▽7七飛成
▲6七銀 ▽7三桂 ▲6四歩 ▽7四龍 ▲6一角 ▽4二金寄

後手はどこかで42金寄りが必要となる。そこで森内名人は先に42金寄りならばどうかと考えたわけである。その反動として名人が心配した筋を島が紹介している。

▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲5九角 ▽7二飛
▲7五歩 ▽同 銀 ▲7三歩 ▽同 飛 ▲9五角 ▽7二飛
▲6二角成 ▽同 飛 ▲7五飛 ▽8二飛 ▲7一飛成 ▽8三飛
▲7四銀 ▽8四飛 ▲7六銀

本当であろうか?島は森内の飛車が「▲7六銀」で取られそうだと書いている。以下のように後手が指したらどうするのであろう?
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲5九角 ▽7二飛
▲7五歩 ▽同 銀 ▲7三歩 ▽同 飛 ▲9五角 ▽7二飛
▲6二角成 ▽同 飛 ▲7五飛 ▽8二飛 ▲7一飛成 ▽8三飛
▲7四銀 ▽8四飛 ▲7六銀 ▽6六角 ▲8五銀上 ▽4四角打
▲7二龍 ▽7一歩 ▲6三龍 ▽8二飛
42金効果で飛車は52飛と逃げることができる。これで先手が勝てると言うプロ棋士は即日失業であろう。44角効果で先手は62歩とも打てない。いい加減な変化を島ももっともらしくよくも書けるものと思う。そこで島が次に紹介する▲5九角以下の変化は以下の通り。

▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲5九角 ▽5五銀
▲7五歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽6六銀 ▲同 銀 ▽同 角
▲7四歩 ▽6九銀

森内がこんな変化を考えていたと言うのは島の嘘っぱちである。以下のように進んだら後手は勝てない。
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲5九角 ▽5五銀
▲7五歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽6六銀 ▲同 銀 ▽同 角
▲7四歩 ▽6九銀 ▲7六飛 ▽9九角成 ▲7三歩成

島は次の変化もあると書く。
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲7五歩 ▽同 銀
▲9五角 ▽7四歩 ▲7六歩 ▽6六銀 ▲同 銀 ▽同 角
▲6八飛
これで後手は「63の地点に飛車が成れる」と島は書く。だから「金寄りはあまりいい手ではなかった」と森内のセリフとして勝手に書く。名人がここまでコケにされてよいのであろうか?以下のようにシロウト並に素直に進行したらどうなるのであろう?
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲7五歩 ▽同 銀
▲9五角 ▽7四歩 ▲7六歩 ▽6六銀 ▲同 銀 ▽同 角
▲6八飛 ▽9九角成 ▲6三飛成 ▽8九馬
後手はこれで桂香を先に入手している。しかも次に94歩からの催促や52銀打が後手にはある。これで先手優勢と考えるプロ棋士がいるはずがない。だから羽生は素直に96歩を指したのである。上記クソ変化を森内が心配したなどと島が書くこと自体が名人戦の権威を汚しているのである。

026=封じ手がどの指し手かもわからない観戦記である。棋譜にも文中にも書いていない。二日目はいきなり33角の場面から島は書く。これが先日森内が解説した小学生名人戦で出現した形と島は大発見であるかのように大見えを切る。小学生と同レベルと言いたいのであろうか?
027=森内はこの33角に対して羽生が56歩と応じると思っていたと島は書く。これは信頼できる。初めて島がここでまともな変化を書いた。
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲9六歩 ▽7六歩
▲同 銀 ▽7二飛 ▲8八角 ▽3三角 ▲5六歩 ▽2四歩

しかし羽生は ▲5六歩とはしなかった。67銀には73銀とやはり中空理論特有の展開となるがこの交換が美しくないからである。そこで不本意であるが68金とした。空中サーカスの始まりである。森内の33角と羽生の68金が双方に意外な手であったことは我々も実況で記した。島は我々の実況が正確であったことを本人たちから聞いて裏づけている。島がマシュダ一家軍門に下ったということである。島の言葉で言えば「名人戦史上に残るすさまじい読み合いはここから始まった」とのこと。大げさである。読み合いではない。瞑想である。
羽生の▲8五銀に対して森内は▽7五歩の下記変化を考えたと島は書くがこれは先手優勢となり意味がない。
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲9六歩 ▽7六歩
▲同 銀 ▽7二飛 ▲8八角 ▽3三角 ▲6八金 ▽9四歩
▲8五銀 ▽7五歩 ▲6五歩 ▽5五銀 ▲7四歩
最終手は▲7四歩と▲7三歩の二種類あると島は書くが羽生なら当然▲7四歩である。いずれにしても▽7五歩など最初から有り得ない。▽7三歩なら可能である。しかし名人戦として相応しくない。指し手には好悪に係わらず恥ずかしい手というものが存在する。その場合、将棋は恥の文化であるという系譜となる。そこで名人は82飛を選択。島の次の表現が素晴らしい。この82飛を見た羽生の仕草、そして扇子について語る。
「扇子を閉じるストッパーの和紙は若草色。小さなものだけれど、彼はそれをとても大切に使う」
彼の身近にいなければ決してわからないことである。我々は羽生の扇子よりもこのストッパーが欲しくなってしまった。
▲7四銀とした場合の変化は島がご丁寧に記している。
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲9六歩 ▽7六歩
▲同 銀 ▽7二飛 ▲8八角 ▽3三角 ▲6八金 ▽9四歩
▲8五銀 ▽8二飛 ▲8六歩 ▽7三桂 ▲7四銀 ▽8六飛
▲6三銀成 ▽5五銀 ▲7三成銀 ▽8七飛成

▲7四銀とする者はプロ棋士にはいないであろう。

028=羽生はここで ▲6五歩変化を指しかったと島は言う。羽生らしい切り合いなので指したい気持ちはそこだけ見ればわかる。
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲9六歩 ▽7六歩
▲同 銀 ▽7二飛 ▲8八角 ▽3三角 ▲6八金 ▽9四歩
▲8五銀 ▽8二飛 ▲8六歩 ▽7三桂 ▲6五歩 ▽8八角成
▲同 飛 ▽6五銀 ▲7八飛 ▽7六歩
島は「少し苦しい」と判断しているが、少しどころではない。後手の桂馬がさばけ最後に68金と42金の決定的相違が抽出されるだけのことである。それでは先手が戦うことはできない。これは大局観で一目でなくてはならない。桂馬を交換する為に素直に進めても以下のようになっては先手が勝てない。
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲9六歩 ▽7六歩
▲同 銀 ▽7二飛 ▲8八角 ▽3三角 ▲6八金 ▽9四歩
▲8五銀 ▽8二飛 ▲8六歩 ▽7三桂 ▲6五歩 ▽8八角成
▲同 飛 ▽6五銀 ▲7八飛 ▽7六歩 ▲同 銀 ▽8六飛
▲6五銀 ▽同 桂 ▲8八歩 ▽7七歩 ▲同 桂 ▽同桂成
▲同 飛 ▽8八飛成

44手めに森内は76飛車切りを敢行する。以下島が紹介する森内の読筋。

44手め84飛の場合
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲9六歩 ▽7六歩
▲同 銀 ▽7二飛 ▲8八角 ▽3三角 ▲6八金 ▽9四歩
▲8五銀 ▽8二飛 ▲8六歩 ▽7三桂 ▲7六銀 ▽8六飛
▲7七金 ▽8四飛 ▲8五歩 ▽7四飛 ▲8六金

44手め81飛の場合1
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲9六歩 ▽7六歩
▲同 銀 ▽7二飛 ▲8八角 ▽3三角 ▲6八金 ▽9四歩
▲8五銀 ▽8二飛 ▲8六歩 ▽7三桂 ▲7六銀 ▽8六飛
▲7七金 ▽8一飛 ▲8六歩 ▽7四歩 ▲8七金

44手め81飛の場合2
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲9六歩 ▽7六歩
▲同 銀 ▽7二飛 ▲8八角 ▽3三角 ▲6八金 ▽9四歩
▲8五銀 ▽8二飛 ▲8六歩 ▽7三桂 ▲7六銀 ▽8六飛
▲7七金 ▽8一飛 ▲7四歩 ▽8五桂 ▲8六金 ▽9七桂成
▲同 角 ▽6六角 ▲7七桂

森内も羽生もこの凝り形になじみがない。島は彼らの「自信なし」と言う言葉をそのまま使うが「やる気がしない」と言うことである。恰好が悪すぎる。嘔吐感さえ感じる。泥試合である。羽生はこれが得意である。しかしそのように言えないので両者「自信なし」と言うのである。
島は44手め76飛が森内の「決断」と言う。泥遊びを終えて温泉に浸る爽快な気分であろう。
島は千日手にしたのは森内の方ではないかと証拠を出す。以下の変化を森内が見送ったと言う。
56手め66龍変化
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲9六歩 ▽7六歩
▲同 銀 ▽7二飛 ▲8八角 ▽3三角 ▲6八金 ▽9四歩
▲8五銀 ▽8二飛 ▲8六歩 ▽7三桂 ▲7六銀 ▽8六飛
▲7七金 ▽7六飛 ▲同 金 ▽8七銀 ▲7七金 ▽7八銀成
▲同 金 ▽8七歩 ▲同 金 ▽6九飛 ▲7八銀 ▽6八飛成
▲5八飛 ▽6六龍 ▲同 角 ▽同 角 ▲7七金 ▽4四角
▲6六歩 ▽7五銀
島はこれを「駒の勢いが後手が良い」と言う。本当であろうか?これは「44手め81飛の場合2」よりはるかに先手の陣形は整備され74歩や飛車打が先手にあるために先手が良い。島は千日手の責任をこんな変化で名人のせいにしているのである。羽生相手に島が本当にここから指す気があるか聞いてみたい。この形は羽生がもっとも得意とする終盤術へ至る。

さて飛車交換となりいよいよ千日手のクライマックスを迎える。
59手め71飛変化
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲9六歩 ▽7六歩
▲同 銀 ▽7二飛 ▲8八角 ▽3三角 ▲6八金 ▽9四歩
▲8五銀 ▽8二飛 ▲8六歩 ▽7三桂 ▲7六銀 ▽8六飛
▲7七金 ▽7六飛 ▲同 金 ▽8七銀 ▲7七金 ▽7八銀成
▲同 金 ▽8七歩 ▲同 金 ▽6九飛 ▲7八銀 ▽6八飛成
▲5八飛 ▽同 龍 ▲同 金 ▽7五銀 ▲7一飛 ▽8六歩
▲7七金 ▽6六銀 ▲同 金 ▽7七歩 ▲同 角 ▽7九飛
これは島の書いたとおり先手の負けとなる。

63手め83飛成変化
▲7六歩 ▽8四歩 ▲1六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8五歩
▲7七角 ▽1四歩 ▲6八飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽4二玉
▲7八銀 ▽3二玉 ▲6七銀 ▽5四歩 ▲5八金左 ▽5三銀
▲4六歩 ▽7四歩 ▲4八玉 ▽5二金右 ▲3九玉 ▽6四銀
▲2八玉 ▽7五歩 ▲7八飛 ▽4二金寄 ▲9六歩 ▽7六歩
▲同 銀 ▽7二飛 ▲8八角 ▽3三角 ▲6八金 ▽9四歩
▲8五銀 ▽8二飛 ▲8六歩 ▽7三桂 ▲7六銀 ▽8六飛
▲7七金 ▽7六飛 ▲同 金 ▽8七銀 ▲7七金 ▽7八銀成
▲同 金 ▽8七歩 ▲同 金 ▽6九飛 ▲7八銀 ▽6八飛成
▲5八飛 ▽同 龍 ▲同 金 ▽7五銀 ▲7四飛 ▽6四銀
▲8四飛 ▽7五銀 ▲8三飛成 ▽6六角 ▲7三龍 ▽8八角成
▲同 金 ▽5五角 ▲8三龍 ▽8六飛
これで島は後手の手が続くと書くが、これならば以下▲同 龍 ▽同 銀▲7七歩で羽生は指す気があれば指せたはずである。その場合羽生は最後は龍を自陣に引いて戦う得意の展開にするであろう。しかしすでに四間飛車のひとつの主題がそこで終焉しあとはいつもの終盤戦となるので嫌気がさしたのである。従って千日手にしたのは羽生の方である。島、嘘は書くな。