マシューとハブたんの幻想対談
第5回「逆算と換算」
2003.06.05


ハブたん「門戸を閉ざすのはアマにきついハンデ?」
マシュー「負けるとカーちゃんが嘆くのがプロ。カーちゃんが喜ぶのがアマ」
ハブたん「負けて悔しいと言うのはなんでしょう?」
マシュー「ストレスが発生するだけ」
ハブたん「一流と超一流の違いは?」
マシュー「ストレス消化量の違い」
ハブたん「機械にもストレスはあります?」
マシュー「金属は膨張すると誤差を生む」
ハブたん「調整するのはあくまで人間と?」
マシュー「人間は膨張すると子供を生む」
ハブたん「そうくると(笑い)。スパコンは?」
マシュー「コン助は逆に圧縮の問題」
ハブたん「圧縮技術に限界はあります?」
マシュー「ないね」
ハブたん「すると人間も超えてしまうと」
マシュー「それは無理じゃね。機械が壊れても墓は作らん」
ハブたん「夢の島行きですか」
マシュー「大阪の夢洲行きたい?」
ハブたん「人口島でしたっけ。二年前完成の夢舞大橋が閉鎖中とか」
マシュー「島は未完の廃墟になっとるから橋は閉鎖しとる」
ハブたん「もったいないですね」
マシュー「未完のまま廃墟ツアーでもやりゃえーのに」
ハブたん「大きなおばけ屋敷ができますか(笑い)」
マシュー「島への地下鉄とトンネルの開通計画は続行中」
ハブたん「行き先の島に何も建造されていないのに?」
マシュー「無駄でも仕事つくっとるんじゃね」
ハブたん「指す予定もない戦型を研究しているような?」
マシュー「太っている人間は無駄に見えんかね?」
ハブたん「人それぞれかと(笑い)」
マシュー「地上にも無駄なものができるんよ」
ハブたん「仮に完成してもやがて廃墟になりますか」
マシュー「一旦できたものは別の記録媒体に保管される」
ハブたん「その記録もやがて朽ち果てますよね?」
マシュー「記録は圧縮されるんじゃね」
ハブたん「勝ち星に集約されるような?」
マシュー「勝ち星だけで評価すんのが忙しい世間」
ハブたん「内容までいちいち鑑賞する暇はないんでしょうか」
マシュー「そんなことないね。感動は自分の胸にしまっとく」
ハブたん「それが堆積すると勝ち星のように増えます?」
マシュー「向こう側にフレームつくっちゃう」
ハブたん「ブラックホールのような?」
マシュー「黒丸は逆算。ワシが言っとるのは換算」
ハブたん「比喩で言うと?」
マシュー「人間には戸籍に決して載せない名前がある」
ハブたん「法名ですか?」
マシュー「そっ。その名前は人生を数文字に圧縮したもの」
ハブたん「法名は最短の人間の設計図でしたか」
マシュー「そこから逆算したら人生逆戻りでつまらん」
ハブたん「初期化して出直したほうがすっきりしてますか」
マシュー「ワシは換算しろと言っておるの」
ハブたん「値が違うとむずかしいような」
マシュー「人間社会は将棋よりモロいと言うのはわかるかね?」
ハブたん「思う通りに指し手が進みませんね(笑い)」
マシュー「どっちも定跡書どおりだったらつまらんじゃろ?」
ハブたん「それだけは共通していますか」
マシュー「ところが将棋が人間社会よりモロかったら夢がない」
ハブたん「あのヒトはこういうヒトなんだとよく言いますが」
マシュー「振り飛車しか指さないヒト?」
ハブたん「決めつけはいけませんか(笑い)」
マシュー「コン助がヒフミン相手に対棒銀の布陣で対抗する?」
ハブたん「序盤は穴熊も警戒するでしょうね」
マシュー「人間なら警戒せんのよ。言葉でできておるからね」
ハブたん「その先に夢があると」
マシュー「将棋連盟を普通の会社と比較するバカおったね」
ハブたん「一般と比較したら夢が消えますか(爆笑)」
マシュー「法外にムダなもの作っとるから夢がある」
ハブたん「普通の会社のようにアクセク働くなと(笑い)」
マシュー「書類に目を通す棋士は情けないと思わんかね」
ハブたん「棋譜に目を通すのが本業なんでしょうが」
マシュー「法外なムダにテコ入れしたら大概セコイ楽園となる」
ハブたん「法外がミソですね」
マシュー「棋士の演出とは棋譜そのもの」
ハブたん「棋譜というのは確かに法外ですね」
マシュー「あの広告はよくできとるね」
ハブたん「ア、どーも」
マシュー「7月号で最高のページになっとった」
ハブたん「島さんもマシュダ一家に対抗してガンバリましたけど(笑い)」
マシュー「ありゃスーパードライの足元にもおよばん。執念で競り勝ったと書いたね?」
ハブたん「執念という言葉ですか?」
マシュー「ツルッパゲなら飛車逃げんのとちゃう?」
ハブたん「(無言)」
マシュー「その言葉は使えんね」
ハブたん「脚色しすぎたかもしれません」
マシュー「ハブ将棋は好きじゃよ」
ハブたん「自分の将棋でもわからないことが(笑い)」
マシュー「門戸(もんこ)を開けと叫ぶとマンコを開けに聞こえる」
ハブたん「(爆笑)夢舞大橋も船が通ると開くそうですが」
マシュー「蝋細工でマンマ作ってフィレンツェの変態貴族は楽しかったかね?」
ハブたん「ラ・スペコラに娘は送れませんでしたか(笑い)」