マシューとハブたんの幻想対談
第1回「模倣と新生」
2003.06.01

ああ 父さん 後生よ 彼が好きなの
ポルタ・ロッソに行って指輪買いたいの
もしこの愛が実らないなら
ポンテ・ヴェッキオに行って河に「身投げ」よ
燃える恋なの
主よ 死なせて
お願い 父さん
許して 父さん


公園のベンチ
ハブたん「どうもお待たせしまして」
マシュー「待っとらんよ。蚊とケンカしてた」
ハブたん「昨日の雨で随分ふえましたか」
マシュー「どっち飲む?」
ハブたん「ア、どうも。ではこちらを」
マシュー「名人就位祝い」
ハブたん「嬉しいですね(笑い)。缶コーヒー好きなんです」
マシュー「なんでビンにせんのかね」
ハブたん「回収が大変なのでは?」
マシュー「浮浪者がビンを集めて小銭を稼げたのに」
ハブたん「缶では実入りが減りますか?(笑い)」
マシュー「自動販売機は金属のお化けじゃね」
ハブたん「外国ではみかけませんか?」
マシュー「道路にはおかんね。ゴミがでる」
ハブたん「飲んでそのまま道に缶を捨てる人多いですものね」
マシュー「カミさんに捨てられたダンナと似とる。誰も拾ってくれん」
ハブたん「なんでも便利さだけが優先する世の中で」
マシュー「便利すぎて頭悪くなったんとちゃう?」
ハブたん「それはありますね(笑い)。前回の対談では字が小さくなったと不評なんですが、わざわざ文句言いにくる人も」
マシュー「コマンドキーとプラスキーを一緒に押せば大きくなる」
ハブたん「ア、やっぱり。実は私も知りませんでした」
マシュー「チンポコ大きくする方法は知っとる?」
ハブたん「はあ、まあなんとか(笑い)」
マシュー「あれは頭悪くてもデカクなる」
ハブたん「男性は便利すぎですかね」
マシュー「女はオマンコに脳細胞ができる」
ハブたん「よく子宮でも考えるっていいますけれど」
マシュー「子宮に脳髄が形成されるからね」
ハブたん「不思議ですね」
マシュー「カミさんのでっかくなったお腹さわった?」
ハブたん「レゴだと分解して再構成でしたけれど、妊娠は何でしょう?」
マシュー「やっぱ男は頭が悪くても勤まる」
ハブたん「鉄道模型が千日手だとすると妊娠は新手ですか?」
マシュー「人体模型を見たことは?」
ハブたん「ええ、小学校の理科室にありました」
マシュー「妊娠模型は?」
ハブたん「ちょっと記憶にないです」
マシュー「フィレンツに川が流れておるじゃろ」
ハブたん「よくNHKの音楽紀行にでてきますね」
マシュー「そう。ジャンニ・スキッキの歌と一緒に必ずでてくるアルノ川」
ハブたん「<お父さまにお願い>でしたっけ」
マシュー「ああいう娘がいたらどうするね?」
ハブたん「ポルタ・ロッソに行っておいでと言ってしまうかもしれません(笑い)」
マシュー「ワシなら川に飛び込む前に、川向こうのラ・スペコラへ行けと言う」
ハブたん「堕胎専門のお店ですか?」
マシュー「蝋細工の人形館。そこに精巧な妊娠模型が沢山ある」
ハブたん「結婚前にリアルなものを見ろと?」
マシュー「あんなもの作らせる金持ちのヘンジンが昔からいたとわかる」
ハブたん「千駄ヶ谷と似たようなカンジでしょうか。最近は不況ですが」
マシュー「あそこは贅沢過ぎる。接待にマクドナルドを使うらしい」
ハブたん「私も実は昨日犠牲に(爆笑)」
マシュー「駅前ならせめて蕎麦屋の顔を立てんと。色紙にヘノヘノモヘジ書くだけでテンプラぐらいオマケしてくれる」
ハブたん「マクドナルドでは顔も知られていませんでした」
マシュー「現代娘がポルタ・ロッソ知らんのと一緒」
ハブたん「それでラ・スペコラの方へ行けと」
マシュー「ラ・スペコラではキレイなオマンコのアップから始まる」
ハブたん「娘さんには敬遠されますか?(苦笑)」
マシュー「いや。そこに子供が宿り出産するまで逐一蝋細工で見せとるから、まず感心する」
ハブたん「勉強になりますね」
マシュー「最後はここまでリアルに執着した人間に呆れる」
ハブたん「なるほど。それで娘さんは結婚を諦めると?」
マシュー「恋愛と蝋細工の妊娠模型が同じ幻想と気がつけば諦めるじゃろーね。なんで講座やめたの?」
ハブたん「矢倉講座ですか?なんかリアルすぎたのかも知れません(苦笑)」
マシュー「あれで勉強するアマチュアはおらんね」
ハブたん「むしろ呆れますか?」
マシュー「まじめに書くフリして実は大したこと書いておらんのじゃない?」
ハブたん「すいません。レベルが低すぎました」
マシュー「将棋は妊娠模型と何が違う?」
ハブたん「うーん(しばし沈黙)」
マシュー「娘が二人も生まれてわからん?」
ハブたん「片方は八百長で片方は幻想」
マシュー「どっちがどっち?」
ハブたん「まず言えることは本物の妊娠は八百長ではありませんね」
マシュー「そうかね?」
ハブたん「違いますか?」
マシュー「本物の妊娠も八百長に成り得る」
ハブたん「二上会長は王座就位式で私がうまく負けてくれたら盛り上がったろうにと挨拶されましたけど(笑い)」
マシュー「お腹が盛り上がると子供が生まれる可能性が高くなる」
ハブたん「接戦だと新タイトルホルダーが生まれる可能性が高いと?」
マシュー「タイトルホルダーと一緒にしては生まれる子供が哀しい」
ハブたん「確かに」
マシュー「なんで娘さんはラ・スペコラを出たときに長いため息をついたんじゃろーね?」
ハブたん「んー。男にはノーコメントでしょうか(笑い)」
マシュー「医学を知らない娘さんがいきなりお腹の中見せられたら誰でも気持ち悪くなる」
ハブたん「エコーなら感動するんですけれど。育児アルバムの最初のページにも張り付けますし」
マシュー「オマンコから頭が出てくる写真は?」
ハブたん「それはあっても育児アルバムに張るひとはいないかと(笑い)」
マシュー「ところが博物館ではそれをお腹の中まで見せとる」
ハブたん「それは医学の教育の為ではなかったと?」
マシュー「そう言う名目で金持ちがあの一群の蝋細工を工房芸術家に作らせたんじゃね。その一部はハプスブルクが後に購入して現在ウィーンの医学史博物館に陳列されとる。購入費はあくまで医学研究が建て前」
ハブたん「うーん、美術館ではないと?」
マシュー「見たままを精巧に描写したモノは美術費では購入できんかったということ」
ハブたん「アニメのCGが味気ないのと同じですかね」
マシュー「定跡書と実戦の違いは?」
ハブたん「育児書と現場の違いでしょうか」
マシュー「現場とは何かね?」
ハブたん「新しいものが生まれる場所ですか」
マシュー「地震がくれば壊れるのが現場」
ハブたん「確かに」
マシュー「人間の心などしょっちゅう地震だらけ」
ハブたん「震度3ぐらいまでならいいんですが(苦笑)」
マシュー「ベッドの上は震度7?」
ハブたん「そうきましたか(爆笑)」
マシュー「定跡書と言うものは設計図になっとらんのよ」
ハブたん「人間の設計図は壊れないと(突然真顔になる)」
マシュー「そして注目の棋聖戦」
(続く)