Uの支柱>光の支柱 角換り腰掛け銀先後同型考
MahudaBBS2003.05.03
以上の構図は二重構造であった。そしてその下にさらに位置する絶対的な命題がある。
「王手が先手」という命題である。これは将棋のすべての構図に共通した命題であった。この絶対的な命題へ本筋と裏筋が行き着くように導く行為が将棋を指すということである。
角換り腰掛け銀先後同型とは先手にとって先手の玉が79地点に玉が居ること、そして後手の玉を22地点へ導くことがこの命題への道筋となる。後手はその逆を考えることになる。
角換り腰掛け銀先後同型は鏡に向かって演じるパントマイムであろうか?
むこうのピエロはこの命題で違う所作を見せるのであった。
71手めの最善手は48金である。羽生が康光に応じた手も48金。これがなぜ本筋と直感で羽生にはわかるのか?既に述べた通りである。「Uの支柱>光の支柱」という構図が形として直ぐに引き出せるからである。
さてこれを証明する為に三種類の変奏曲を作ってみた。後手が勝つ変化と先手が勝つ変化、そして最後は悪魔の変化である。前者は美が優先する。後者は地獄絵図となる。
69手め28飛は本筋の手であった。そして後手は70手めに42飛と光の支柱へ入り74角の支点を逆行相転化させてグランダイアを完成させる。表層をみれば先手島も後手郷田もここまでは指している。
ではなぜ島は次の悪手を指してしまったのであろう?71手め88玉で島はこの将棋を負けにしてしまった。
その理由は明解である。Uの柱より光の柱を上位に置いた為に裏筋で必ず出てくるグランダイアの逆柱に幻惑されてしまったのであった。
居飛車の本筋とは2筋である。これは4筋に後から発生した光の柱とは違い盤上に最初からある筋である。先手の居飛車にとって2筋こそ天から付与された絶対的な特権であり本筋の柱となる。これは居飛車の自己認識機能と自己保存機能を最大限有効にできるUの柱であった。グランダイアの光の柱はこのUの支柱を突き崩すことはできない。グランドデザインのその下に潜む確固たる筋こそ本筋である。
この支柱への飛車周りを先に行なうのは後手の権利であると確認し終えればあとは28飛の位置が14銀出という縦の攻めにとって最善であることを読みで確認する。なぜこのような順番で考えるかと言うと手番の問題となる。後手が先に光の柱に進入することが果たして手番を握ることになるのであろうか?そして先手が本筋通りに光の支柱を逆柱とした時に果たして逆転しているのか?そのようなことをなぜ28飛が最善かという問題と連結して考えるのである。
74地点に角を打たれたら先手が28飛と逃げるのは当たり前と考えるであろう。38角成を防ぐためである。これは名人戦第2局の展開でも全く同じ考え方であった。しかし我々はある理由で28飛という形をまず想定しない。その形の裏に74角で発生したグランドデザインをまず考えることになる。すると先手が狙う14香を後手は助ける手段がない換りに名人戦第2局でも提示されたグランダイアの構図がすでにここにあることが確認できる。主軸は4筋の光の柱となる。グランダイアの構図においてはこれが逆柱となる変化がある。先手も後手もこの4筋の光の柱へ飛車を回ることがクライマックスとなる。羽生佐藤戦でも勝敗を決定する支柱であった。
http://www.bekkoame.ne.jp/i/yusai/02308kioh4.html
3月25日棋聖戦本戦1回戦郷田VS島は角換り腰掛け銀先後同型となる。11角打の丸山定跡から下記の変化となる。先週の名人戦第2局で阿部が羽生が指すのではないかと述べた14歩の手順である。
▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩
▲8八銀 ▽3二金 ▲7八金 ▽7七角成 ▲同 銀 ▽4二銀
▲3八銀 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽1四歩 ▲1六歩 ▽9四歩
▲4六歩 ▽6四歩 ▲4七銀 ▽6三銀 ▲5八金 ▽4一玉
▲6八玉 ▽3一玉 ▲3六歩 ▽5二金 ▲5六銀 ▽5四銀
▲7九玉 ▽4四歩 ▲6六歩 ▽7四歩 ▲3七桂 ▽7三桂
▲2五歩 ▽3三銀 ▲4五歩 ▽同 歩 ▲3五歩 ▽4四銀
▲1五歩 ▽同 歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲7五歩 ▽同 歩
▲2四飛 ▽2三歩 ▲2九飛 ▽6三金 ▲1二歩 ▽同 香
▲1一角 ▽3五銀 ▲4五銀 ▽2二角 ▲同角成 ▽同 玉
▲1三歩 ▽同 香 ▲3四銀 ▽3三歩 ▲1四歩 ▽同 香
▲2五銀 ▽7四角
郷田の74角は良しとして次の手から我々は様々なバリエーションを考える。
先々月3月25日に棋聖戦本戦1回戦で行なわれた島VS郷田の角換り将棋が産経将棋WebにUPされている。
http://www.sankei.co.jp/edit/shogi/shogi.html
このサイトは朝日などとは違い対戦日を書かないので自分で調べる必要がある。棋譜も狭い位置に配置しているために17インチの画面でも1024*768にしないと上下が詰まり全部見えない。これを作成した者はこの棋譜を自分で楽しむことはないであろう。しかし有り難いことに Kifu形式の為に自分のパソコンにそのまま取り込んで鑑賞することができる。そのようにして利用するのが最も手っ取り早い。棋譜保存でファイルを開くとこのようになっている。
開始日時:2003/04/26(土) 20:37:12
終了日時:2003/04/30(水) 23:28:17
これは産経将棋WebにUPされる期間であろう。もちろん対戦日ではない。だから自分で対戦日は調べるしかない。棋聖戦本戦1回戦というデータのみを頼りに産経将棋Web上の記事を追い、最後はそこで得た日付の確認を日本将棋連盟の対戦表で行なう作業となる。