将棋の形式美1-4

MashudaBBS2003.03.10


形式美 番外 気合い 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 3月10日(月)13時41分43秒

プロ棋士は「気合い」という言葉が好きである。意味は判明しないがここは切りあうべきという時に気合いと解説するのである。横歩取りで先手が34飛と後手の横歩を取る行為が「気合い」の典型である。
気合いという言葉は棋士の自我を現す。自分の方から前進するという意気込みに聞こえる用語である。自己認識機能が自己保存機能とのバランスを顧みずに自我を主張するのが「気合い」という言葉である。羽生の場合、気合いではない。我々は気息と呼ぶ。例外が羽生のグランサタンである。藤井の場合は相手の「気合い」を待っている。藤井にとって気息とは持久戦を意味する。


形式美4 終盤 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 3月10日(月)13時30分02秒

終盤で再び序盤からの形式美に回帰する。ここでは全ての駒が意味を持っていたことが明らかになるのである。いい棋譜は少ない。そこで手直しするということが必要になる。これが将棋におけるクリティカルエディションとなる。プロ棋士は「実戦ならばこう指す」とよく言う。このように考えるべきである。実戦とはライブ演奏なのだと。だから当然間違える。ミスのないライブ演奏は人間が行う表現芸術では有り得ない。これは観賞法に二通りあるということを示す。その場でハラハラドキドキのライブセッションを楽しむ場合と後で記録された棋譜を鑑賞する場合である。そこで終盤に形式美だけを当てはめると破綻することになる。谷川の形式美に羽生が勝つということはこのような違いである。羽生はライブセッションで全く違う主題を途中で持ち込み最後は自分のソロで締めくくる演奏家である。それを見落としてまた最初の形式美に戻れると思っていると自分のソロの出番がないままコーダを迎えてしまうのである。


形式美3 中盤の展開部 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 3月10日(月)12時49分31秒

中盤には第一展開部と第二展開部がある。プロ棋士はこれを「ねじりあい」とのみ表現する。この用語は曖昧なので我々は第一展開部と第二展開部に明確に分ける。昨日阿部は解説で中段に二枚並んだ銀を「形が悪い」と表現した。それが一目でわかるのが阿部の形式美である。ところが第一展開部と第二展開部をもつソナタ形式において、ベートーヴェンならばこのような「中段の二枚銀」を駆使することがある。ベートーヴェンが古典様式から逸脱した異常性は、正しく阿部が一目で感じたような「有り得ない形」から派生している。これはどのような発想かと言うと、玉に駒を集結させるのではなく、玉から動くという相転換である。遠くの勢力圏に自ら赴くといううねりとなる。するとここで持将棋を目指す指し方というものが戦略として有効になる。攻めあいではなくいかに玉を脱出させるかという技術開発なので、序盤からの形式美を一旦そこで自ら破壊することになる。ベートーヴェンとはそのような作曲家であった。谷川が羽生から王位を奪取できたのはこの相転換があった為である。一方序盤からの形式美の相転化のみで勝てる場合もある。その場合には展開部に第二がない。終盤へ直結するために、その展開は古典的な形式美のみである。それがかつての谷川であった。


形式美2 序盤とは 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 3月10日(月)12時18分20秒

序盤でプロ棋士が感じる無理筋な仕掛けというものを我々は形式美において否定しない。羽生の場合はグランサタンと我々は呼ぶが、それは中終盤で逆行相転化する手となり得るからである。谷川の場合は後手番でも自分からの仕掛けを好む。ところが谷川の中終盤の特性によりそれをグランサタンと我々は呼ばない。谷川は昨日序盤で勘違いがあったと素直に認めたようだが、谷川の形式美に従えば我々はそうは考えない。中盤にチャンスが2回あったからである。序盤だけを単に反省するのでは彼の全様式を否定しかねない。プロ棋士ならば研究熱心な棋士に対して中終盤で力が衰えたので序盤戦術で得点を稼ぐなどと陰口を叩くであろう。しかし横歩取りやゴキゲン中飛車という後手番戦法はそのように研究すると亜流で終わってしまうであろう。森下システムや藤井システムの序盤の優秀性は中終盤へ繋がる鋭利なバランス感覚に顕著である。バランス感覚などという言葉は曖昧なので我々はこれを形式美と呼ぶのである。
序盤とは主題を演奏することである。どのように相手と共演するかまず呼吸をあわせないとバランスはすぐに崩れる。序盤とは自分だけでつくるものではないということである。これは藤井のように戦形が決まっているようでいても同じ事である。むしろ戦形が決まっている方が名局が誕生しやすい。


形式美1 将棋の技術 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 3月10日(月)11時48分49秒


将棋の技術とはバランスをいかにとるかに尽きる。谷川が勝てなくなったのは以前の圧倒的な中終盤の力と序盤の無理筋がアンバランスになった為である。先週のA級最終局での対藤井戦や昨日のNHK杯対先崎戦はいずれも後手番であったが、同じような負け方をしている。一昨日ゴキゲン中飛車で敗れた山崎も同様である。谷川研究会の方向性に欠陥があるはずである。


名人位挑戦プレーオフ 羽生VS藤井戦 投稿者:マシュダ一家  投稿日: 3月10日(月)11時35分50秒

進行が気になるところである。なぜこのような大勝負を中継しないのであろう。