10の純粋な遊び

MahudaBBS2003.03.05

さてあと5分で対局が始まる。我々もドキドキしている。初手から二手目、そして三手め、四手め。これにドキドキするのである。

メンコが買えない子供たちは給食に出る牛乳瓶の蓋を利用してメンコ遊びを行なう。東京では牛ブタと呼ばれている。何度も言うが泉研は牛ブタである。島研はコインである。

メンコという子供の遊びがあった。マンコではない。それでは米長である。メンコと書く。
これは象戯と同じように先後がある。強い者なら先手必勝である。ところがそこまで強い子供はいなかったので、子供たちは夢中になったのである。

羽生の象戯は老獪であるとよく表現される。老獪という言葉は人々に感動を与えないのである。獪という文字をみてごらんなさい。体内に巣くう寄生虫のようである。

郷田が人々に感動を与えたのは彼の純粋さによる。我々も感動した。郷田が大好きである。なんであんなことをするんだろうと思いつつひきこまれてしまう。子供の絵に感動する親の気持ちと同じである。

象戯の場合はベーゴマと違い「セーノ」で一斉にゲームを始めるわけにはいかない。先後がある。これは直列式の時間である。一方ベーゴマは並列式の時間である。同時に回してどちらの息が長いか争うことになる。ベーゴマ式の並列された時間軸のことをスカラ方式と呼ぶことは既に紹介した。象戯とは実は思考法においてはスカラ方式である。盤面の現象として直列式の時間軸が顕在化しているだけなのである。これはすでに2001年の竜王戦第4局のマシュダ実況で語られていたことに諸君らは気がついていたであろうか。

諸君等はオハジキやベーゴマのような単純なモノで子供たちが夢中になれるという現象を美学として考えたことはあるであろうか？我々はそのようにして彼らの象戯を見ている。ところがそれを理解できないのではなく、理解しようとしない者達が我々を罵るのである。彼らは麻雀で金をかけないと気が済まないことであろう。

さて本日は角換り腰掛け銀となるはずである。そこで昼休み直前が最も緊張することになる。米長は二日制だと決まって勝負は明日からですネと言うが、それは根が腐った証拠である。彼がそのように断言した対局では必ず初日に勝負所を迎えていることは諸君等もネットで見てきたとおりである。今日の棋王戦は一日制で持ち時間も双方4時間である。これは順位戦の6時間や竜王戦予選の5時間という持ち時間とは全く意味が異なる。そこで昼休み前がターニングポイントとなるのである。
角換り腰掛け銀は矢倉と双璧となるべき象戯の基本形であるが、康光は矢倉より角換り腰掛け銀の方に惹かれている。丸山の影響である。角換り腰掛け銀は谷川の代名詞でもあった。谷川の伝家の宝刀と呼ばれた戦形である。我々はこのようなこだわりをもつ棋士たちが大好きである。だから藤井も大好きである。それをバカにする先崎は大嫌いである。

本日棋王戦で戦う羽生と丸山にはサンバカ対象の家畜の要素がまったくない。純粋な遊びの条件に最も近い状態である。このようなふたりの将棋は象戯と表記してもよい。もともとＳＨＯＧＩとはそのように表記されていたのである。中国のシャンチーは象棋と今でも表記する。

ヘーゲルの精神現象学序説に自己還元しない純粋な慾動に言及がある。自己カンキなどとワケわからない日本語に訳されて来たモノである。カンキは将棋界ではカンキラダムスとしてまるで相手にされないお笑い芸人である。しかしそれは谷川が先崎を相手にしないという意味とは違う。カンキも谷川も純粋な慾動で動いているから我々に共感を与える。しかしネットの住民はそのような慾動を否定するのである。むしろいかに現世に引きずり降ろすかと考えている。米長-先崎-林葉という煩悩の三バカ対象はマスコミでは恰好のターゲットである。そして彼らもまたそれを逆に利用することを考えて育ってきた。先崎も先日テレビで諸君等も見たように米長のように飼い慣らされた豚となっている。家畜である。